無事にゲーム本編の破滅フラグを乗り越え、進級を果たしたカタリナ。安心して2年に一度開催される魔法学園の文化祭を満喫していたが、その最中になにものかに誘拐されてしまった。しかも、またもや闇の魔術が関わっているようで…!?
書き下ろしで綴られる続編エピソード。ゲームで示された破滅フラグをへし折るという目標は2巻の時点で果たされているのでどう続けるのかと思ったけど、良くも悪くも割と今後の物語のための方向性を示すための話感が強い。それまで謎とされてきた闇の魔術の情報が前回の事件で一部に流出した話とかカタリナに魔法省という進路が提示されたりとか。あと、恋愛方面でも進展があったのには驚きました。全員にいい顔しいのどっちつかずで逆ハーエンドだと思ってた(酷)
登場人物のほとんどが例外なくカタリナにメロメロだし、登場した新キャラも属性も嗜好も性別も問わず大体カタリナの人たらし力で無双されていくのが相変わらず爽快。見た目からも第一印象からもオーソドックスな腹黒執事に見える新キャラのルーファス(表紙右)が、カタリナにふりまわされて本来のキャラを覗かせていくのと、不思議と(?)緊迫感が足りない誘拐生活が大変に楽しかったです。セリーナがカタリナの人たらしで無双されてカタリナLOVEにならなくて本当に良かったよね……いや信者になってる感はあるけど。
2巻でも軽くそんな感想を書いてるんですけどジオルドはじめ攻略キャラの皆さん+αがそれぞれを牽制し合って主人公の鈍感力も相まって誰との仲も進展しないの、主人公総受け(総愛され)ラブコメ同人誌みたいで、頭を軽くして気軽に読めるのは凄く良いです。なんか疲れてるときとかこういうの凄く読みたくなるんですけど、以外にこういうストレスなしで読める本少ないんですよ……。
ただ、カタリナの一人称で一度描いたことを他者の視点からもう一度描いて追体験させていく構造になっているのが今回ちょっともっさりしすぎてる感ありました。ページ数に対してやってることも薄いしその割に1場面に対する描写が過剰でしつこいという印象。カタリナの一人称と他者の視点で1:1くらいの感じだったよね……2巻まではそこまで気にならなかったんですが。
主人公総愛されラブコメ同人誌だと思えば「攻視点も受視点も描きたいなら両方の視点で2回描けばいいじゃない!」くらいの潔い強さを感じるんだけど。いやしかし……。