真伝勇伝・革命編 堕ちた黒い勇者の伝説7 | 今日もだらだら、読書日記。

真伝勇伝・革命編 堕ちた黒い勇者の伝説7

 

戦火のローランドで、シオンはついに父王と対峙する!
戦場と化した街の中で、革命の象徴として戦うクラウ。その陰で、舞台を整えるべく暗躍するルークたち。一方、シオンは、玉座の間の扉を開く。この国の王であり、憎むべき父と対峙した時、シオンは何を想う――!?

革命の旗頭として最前線で踏ん張り続けるクラウ。ところが期待していたミラーからの援軍は見込めない状態。ルークは次善の策を走らせつつ、仲間とともにクラウの元に急ぐが……。一方、シオンは「王と対面した」という実績によって周囲を動かすため、独りで父王の元に向かい……。

変わり果てた父の末路がなんとも悲しい

狂った現政権の象徴である父王との対峙。母の仇を討つため、それ以上に狂ったローランドを変える為にずっと追いかけてきた男に「殺してくれ」って言われるのって本当にどういう感情なんでしょうね……彼の王がとうに狂ってしまったことはルシルから知らされていたし、知ってたんですが……しかし、ここでこんな姿を見ないといけないのあまりにも……特に大伝を読んだ後だとどうしても未来のシオンが辿るかもしれない姿としてその姿にオーバーラップさせてしまう。

もうなんか狂っていると言っても何言ってるかわかんないというか、最後まで話の通じないラスボスというか、最後までシオンにとって「超えなければいけない障害」であってほしかった。なんともやるせない……(しかもこんな醜態を晒しつつもシオンより強いの反則では??)。

今巻はもう一つ、ミルクが隊長に就任する前のルーク小隊、俗に言うところの忌破り追撃隊の面々の姿が印象的でした。ミルクと出会う前の彼らがこうだったことはこれまでの物語でも何度か言及がありましたが、どうしても未だに「とり伝」での彼らのイメージが強すぎるんですよね。

何気ない日常描写で涙を搾取しに来るのやめろォ!!(発狂)

雑誌掲載の短編はもうだいぶ前から「大伝」を読んでるの前提としか思えない、ライナとシオンとフェリスの穏やかな、もう戻らない日常の話をやってて時折ライナやらシオンやらフェリスやらがこの日常をどれだけ愛していたかを覗かせて感傷に浸らせるみたいな、読むと楽しいのに冷静に考えるとなぜか胸が苦しくて発狂しそうな展開をやってるわけなんですが、今回一番最後に収録されている「いえすたでぃ・わんす・もあ」があまりにもひどい。もうほんと、ひどい。いやめちゃくちゃ良いんだけど、ひどい。

珍しく仕事のないシオンがライナを誘って、途中でフェリスが着いてきて、3人で酒場に行く。3人で酒をのんだり団子食べたり他愛の無い会話に興じる。ライナが最後にちょっとだけシオンのことを心配して、シオンがなんでもないよと笑って、それで別れる。

……という一連の本当になんでもないかつての穏やかな日常の一幕を、最後にライナがいつもの冗談で「また2年後に」なんていったまさに2年後の、「大伝」のライナが、今まさに英雄王の率いるローランド帝国と戦っている悪魔王が、回想するという、いや、なんでそういうことするんですか!? いやなんでそういう事するんですか!!?????

あと、このへんは深読みしすぎかもしれないんですけどローランドの法律で未成年になる彼らが飲酒することをフェリスが指摘して、シオンの返事が「じゃあ法律変えるよ」なんですよね。成人するまで待つよじゃなくて法律の方を変えちゃうんですよね。意識してか無意識かはわからないけど、フェリスが成人する時までこのモラトリアムが続かないって知ってたからこそ「法律変えるよ」になったんじゃないかなぁというかと思ってしまうと……無限にしんどい…………。

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