[著]深沢 美潮 [絵]山本 ケイジ |
イラストが結構好みだなーと思ったらROアンソロでおなじみの「超肉」さんでした(笑)しかし、もうこういうイラストレーターさん達にたけひとさんの影響受けすぎとかいう突っ込みはいれるだけ無駄なんでしょうかねえ。好きな画風なだけになんか嫌なんですが。
全体的な感想として、作者は現在のITとかデジタルなものに関して
かなーり懐疑的なイメージを持っているんだなあと。
3作中2作品は、ネットの形だけの人間関係よりも現実の人間関係が大事、
ってしきりに主張しようとしている部分が見て取れるんですよね。
以下、作品ごとの感想↓
表題作「TETORA」
最初の方のほのぼの展開から、その後のリアルでの知り合いにネットゲーム上で
PK(プレイヤーキル)されるという展開はネットゲーやってる人間としては
あまり他人事とは思えず、かなり怖くなりました。
ネットっていうのは基本的にリアルで表現できない自分を表現するみたいな部分があるので
「知られたくない部分」を晒している人間にはリアルでの知り合いに見られるのは凄い恐怖ですよね。
その後の特訓のくだりは普通に笑えましたが、その後の展開がちょっと安易なような。
最終的に「主人公はネットの世界から目覚めて現実での友人関係を手に入れた」ってくだりに
そのエンディングはあまりにも安易だろうという印象と「納得いかない」という思いが起こるのは
やはり私も多少ネット依存っ気があるからかもしれませんけど。
「私とロボットの関係」
一番ほのぼのとして好きだったのがこれ。
ロボットと人間の友情・愛情を描く作品は全体的に好きですが、
「1週間だけ」の関係というのが非常に印象的で、面白く哀しい。
ただ、主人公が憧れのお兄さんからのメールやデータを全て削除するのが印象的でしたが
「そんなにお前はネットに恨みがあるんかっ!?」とツッコミたくなったネット依存症の私(笑)
ネットでの人間関係に於いて、本当の自分・本当の相手を理解するのは難しい。
どうしてもディスコミュニケーションが発生する、っていうのは判るんだけど
リアルの事情で離れた相手とメールとかでコミュニケーションすることまで否定する必要はないと思う。
「ファントム・ファーザー」
ネットに関する言及が無かった為なんか一番安心して読めました(爆)
その分一番印象に残らなかったのも事実。
最後の終わり方もなんかありがちというか、ある意味当たり前の結末で、なんだかなあと。
なんか綺麗な終わり方といえば聞こえがいいんだけど、奇麗事臭い気がしてしょうがなかった。
こんなこと書いてますが「客観的に見れば」面白かったです。
単純にこの人の作風と私が合ってないだけなんだろうなあ。