[著]川上 稔
「大連射」をワンコインクリアできた喜びもつかの間、ゲーセンに行く為に岩田を誤魔化し続けたことがバレてしまったコウ。進路、部活、ゲーセン、そして岩田との関係との板ばさみ悩みながらもゲーセンに行く事は止められない。そんな中「大連射2」が稼動し、竹さんがファーストプレイ・ワンコインクリアに挑む日がやってきたが—!?
シューティングは集中力だ!!!!「大連射」をワンコインクリアできた喜びもつかの間、ゲーセンに行く為に岩田を誤魔化し続けたことがバレてしまったコウ。進路、部活、ゲーセン、そして岩田との関係との板ばさみ悩みながらもゲーセンに行く事は止められない。そんな中「大連射2」が稼動し、竹さんがファーストプレイ・ワンコインクリアに挑む日がやってきたが—!?
というわけで、ゲームセンターに熱い思いを掛ける男達の物語、完結編。
本当にストーリーはバトルも不思議能力も何もない、本当に学園生活やゲームをやってるだけの青春ストーリーなのに、川上さんが書くと物凄く熱い燃えストーリーとなってしまうのはなぜでしょうか(笑)とにかくクライマックスに向かうにつれてどんどんストーリーが熱くなっていきます。そしてクライマックスの熱さは格別です。
中盤で転がり落ちるように悪いことばかりが起きて、あれだけ入り浸っていたゲーセンにすら行けず、殆どどん底に落とされてしまった高村が少しずつ、でも確実に這い上がってくるシーンは必見です。ゲーセン仲間もさることながら、同級生の仲や、指導室の先生がまたいい味出してる。っていうか何もかもヘタに語るとネタバレになってしまう…orz
全然ジャンルは違いますし、プレイスタイルも全然こんなに張り切ってやってる方ではないですが一応アーケードゲーマーとしては「ああ、わかるわかる」という部分も結構多かったです。極めてしまって変に歪んだ方向に情熱を燃やすゲーマーとか周囲に結構居るし(笑)個人的には、後半で「大連射」の筐体に頭を下げるシーンが非常に印象的でした。
そしてまさに来るべくして迎えるクライマックス。(以下ネタバレ)
あまりにもいいタイミングで駆けつけた岩田が読み上げる、竹さんの“言葉”があまりにも熱すぎて、マジで泣いた。終わり方も逆に結末を明示されるよりも良かったような気がします。実際の前例のある無しにかかわらず…ある意味あの作品は結末がしっかりわかってしまったら面白くない気がするんですよね。それこそ「大連射」をクリアした高村のような気分になってしまうと思うのです。“あとがき”の文字を見て、あれだけの勝負の決着を見れなかった悔しさと、見なかったことによって“終わり”を見なくて済んだ喜びの入り混じった、凄く複雑な気分になりました。
何はともあれ、猛烈に熱い展開の良作でした。これは作者補正抜いても3600円出して良かったと思う。値段の関係か今月ハードカバーで注目作品多かった所為かあまり触れられているサイトが無いですがかなりの名作です。というか「電撃が出してる」「ハードカバー」だからこそ出せた奇作というか…
「値段的に敷居が高い」とか言わずに是非!