タイトル通りの記事です。
このラノベの男同士のクソデカ感情いいよね!!というタイトルを独断と偏見で25タイトル紹介します。長年まとめ記事作るよ作るよって言い続けて気がついたら10年経ってたよ……関連記事の方に昔の同系統のまとめをリンクしておりますので良かったら併せてどうぞ。一応関係性で「親友・相棒」「ライバル・共闘」「因縁・敵対」の3つに分けてます。
関係性のみに焦点を絞っているので内容があまり女子読者向けじゃないものや未完のまま数年止まっているものも含まれます。予めご注意ください。
キーワード:渡航(Speakeasy) (6 件 / 1 ページ)
どうでもいい 世界なんて 2 -クオリディア・コード-
正体不明の敵<アンノウン>によって、世界が崩壊した近未来。今も<アンノウン>との戦争を続ける防衛都市・千葉に暮らす千種霞は、本来の戦闘科としての仕事ではない、出向先の生産科で残業に明け暮れていた。そんな中、生産科の科長・朝顔は、事実上の支配階級である戦闘科に反旗を翻し、首席選挙に立候補しようと目論むが、そのことが戦闘科にばれ、窮地に立たされる。起死回生を狙うため、霞が考えたとんでもない作戦とは!? TVアニメも好評だった『クオリディア・コード』の「千葉編」前日譚、完全書き下ろし小説第2弾!(公式サイトより)
千葉首席の座を勝ち取り戦闘科偏重の空気を覆すため、代表選に出ることを決意した釣瓶朝顔。生産科に出向中の霞をはじめ生産科の面々は彼女の活動を後押しするが、それを良く思わない戦闘科から釘を刺されてしまう。圧倒的な戦闘科優位を覆すため、霞はとある作戦を提案するが……?「クオリディア・コード」の前日譚、千葉完結編。
露骨に霞の中の繋がりの人ネタな「理由あってアイドル作戦」やらやたらと連発される作者繋がりの「勝ったな!!ガハハ」とかこれでもかとぶちこまれるメタネタの数々がテンポよくて楽しい。生産科が一丸となって彼女の選挙活動を盛り上げていく姿がアツかった。それにしても「恋ダンス」とか恐らく米大統領選を匂わせる話とかネタの鮮度が高すぎるんですけどこれ本来の発売日去年の年末じゃなかったっけ!?ものすごくギリギリ進行の気配を感じる……。
その一方で、前巻からばらまかれていた不穏な伏線がしっかり水面下で根付いていて、時折感じさせる薄ら寒さとそれが芽吹いてからの人間模様は流石だなあと。1巻も殆どバトルおまけみたいな扱いでしたが2巻は完全に人間vs人間の戦いだったなあ。そして、人間同士の心理戦に不確定な<世界>の要素が加わって繰り広げられる心理戦が熱い。選挙活動のシーンとか割と真剣に「政治」やってるのが印象的でした。
今回明かされた霞の<世界>の真の力とその代償についてはちょっとアニメでも見たかった気がしなくもないっていうかその設定正直美味しいんですけど今ここで明かされるんですかー!!!アニメでの壱弥の「本気を出せ」発言とかどういう気持で受け流してたんでしょうね……。思っていた以上に強力でそれ故に使い所が難しい能力を、自分(達)の思惑の為なら躊躇せず使う霞は本当にかっこよかった。
霞と明日葉、互いが互いに手を伸ばし合うようにして得たそれぞれの<世界>。二人の立場から見た夢見の世界の風景が、対称になってるのがすごく好きです。
いろんなことがあったけど、最終的に色々立場も変わったけど、それでもいつも通りの何気ない応酬で終わる物語が、これからも続いていく千種兄妹の物語を感じさせるようで良かったです。ノベライズの方もそうなんだけど、本当に渡先生の描く千種兄妹は何気ないやりとりが偉い甘くてズルい。後は予定されているのは円盤特典小説とダッシュエックス文庫のノベライズの最終巻のみとなりましたが、また機会があれば違った姿の彼らが見られたら良いなあと思います。
それにしても、終盤の漆原パイセンのかっこよさは異常。このニンジャスレイヤー原先輩、絶対卒業年度になっても内地行かないで3話の電車のアクロバティック脱線とか手伝ってくれてたに違いない。
クオリディア・コード 2
セカイの真実は、どこにあるのか―?アンノウンの急襲によりカナリアを失った朱雀は、絶望に沈み込み戦線から離脱していた。首席を欠いてピンチの東京を支えるため、舞姫が新リーダーに就任。懸命に生徒たちを支えようとする舞姫だが、その陰ではカナリアを失った哀しみに必死に耐えていた。一方、ほたるはアンノウン急襲の鍵が侵入不可領域にあると考え、青生を連れて探索を始める。そして未知の新型アンノウンにほたるたちが襲われるのと時を同じくして、東京上空にかつてない規模でアンノウンが襲来!仲間たちが次々と倒れていく中、人類の希望を一手に背負った舞姫は激戦に身を投じていくが…!?話題沸騰のオリジナルTVアニメ完全ノベライズ、待望の第2巻!! (「BOOK」データベースより)
渡航が描く、TVアニメ「クオリディア・コード」本編のノベライズ。第2巻ではアニメ8話までの物語を収録しています。
1巻ラストで起こったカナリアの「死」を巡り、遺された5人それぞれの思いが透けて見えるのが楽しかった。完全に「メディアの違い」的な問題だと思うんだけどやはり心理描写を描くなら小説のほうが……みたいなのが、どのメディアミックスでもありますよね。兄気質故に妹っぽい舞姫のことが割と好感度高い霞はどこまで「兄」なんだよと笑ってしまった。「世界を守る」と叫んでいたかつての壱弥を唯一の「同志」だと考えていた舞姫の場面は、それを踏まえてその直後の壱弥とのすれ違いを思うと切なくなる。
良くも悪くも後半に千種兄妹視点になってからが本番で、兄妹の気の置けないやりとりとか青衣と視察に出ることになってどぎまぎする兄とかそれをストーキングしながらヤキモキする妹が可愛すぎた。そして妹のコードを弄る霞のシーンがアニメ以上にエロい。やっぱり首筋のコードは性感帯なんです?千葉全く関係ないけど壱弥に壁ドンされる霞のシーンは描写がまるでBL小説みたいでした(こなみ)。
ただ、千葉陣営が生き生きと動いているだけに逆に2巻前半の神奈川陣営メインの所はちょっと固さを感じたというか、割り食ってる印象はありました。ノベライズ自体はすごく良いと思うんだけど、それはそれとしてさがら総が描く4話までのノベライズ、橘公司が描く7話までのノベライズ、渡航が描く12話までのノベライズという形で読みたかった感じもちょっとする。
クオリディア・コード
約30年前、突如として地球に襲来した謎の異生物アンノウン。人類は総力戦で対抗、辛くも勝利を収めるが、現在も散発的な侵攻に苦しめられていた。東京、神奈川、千葉の各防衛都市では、固有能力“世界”を身につけた少年少女が、アンノウンと戦い続けていた。傲岸不遜な東京首席・朱雀壱弥と次席の宇多良カナリア。天然だが規格外の豪腕を誇る神奈川首席・天河舞姫と次席の凛堂ほたる。常にマイペースな千葉首席・千種明日葉とその兄・霞。戦いが日常となった世界で時に反発し、時に協力し合いながら過ごす朱雀たちだが、この世界には大きな秘密が隠されていた…。TVアニメ放送中の「クオリディア・コード」完全ノベライズ、第一巻!! (「BOOK」データベースより)
渡航が描く、TVアニメ「クオリディア・コード」本編のノベライズ。第一巻ではアニメ4話までの物語を収録。アニメだけでは分かりづらい部分の補足や、各キャラクターの心の動きがわかるのが嬉しかった。全シリーズ読破の上で読むと二度三度美味しい、まさにプロジェクトの集大成といえる物語。DVD付属のシナリオブックを読む限り、シナリオ段階ではあったけど尺の都合等で削られた部分も少し織り交ぜられているようです。
千葉組のもはや愛の営みと言って良いんじゃないのってくらいのイッチャイチャな戦闘描写が凄い好きなんですけど、まさに阿吽の呼吸で敵を屠っていく二人の姿を見ているとランキング二百位台の霞が千葉次席になるのはもう当然のことなんだなあと思わせてしまうこの説得力が凄い。明日葉は強いけど、その強さは兄とふたりでひとつの強さなんだよなあ。というか、要所要所で千種兄妹はイチャイチャしすぎで最高でした。神奈川組以上に戦場でイチャついてた!いいぞもっとやれ!
千種兄妹も最高に良いんだけど男二人のケンカップル模様が大好きな私としては霞と壱弥の関係も色々見逃せないというか、随所で巻き起こる軽口の応酬がいちいち本当に好き。しかし、改めて文字にされると本当に霞も壱弥もお互いが大好きだよねといいますか、壱弥が独断専行したときにそれを見越して準備してる霞の破壊力が高すぎるし、水着回で小型アンノウンを狙撃したときの口にせずとも伝わってる具合、本当は仲いいよねこの人達……。
時折挟まれる各キャラクターのモノローグが沁みる。壱弥はまだプレ小説での例の事件を引きずっていて、カナリアの存在でかろうじて自分を保ってるだけなんだよなあ……。そしてぱっと見で対称的に思える霞のモノローグをしっかり読むと、びっくりするほど壱弥と根本が同じなんだよなあ……。そしてカナリアのモノローグが本当にプレ小説から変わってないんだよなあ……。
カナリアが傷ついたことをきっかけに壱弥がやっと周囲を頼ろうとして、信じようとして、そしてカナリアのアレなんだよなあ……と改めて壱弥視点からの心象描写ありで物語を読むとやるせない。
あとがきによると「1巻」とのことなので恐らく2巻3巻があるのではないかと思われるのでとても楽しみなのですが、正直プレ小説千葉編の2巻もあるし「俺ガイル」の12巻も……でそろそろ渡先生の仕事量が心配になるレベル。どれも続きが読みたいだけに悩ましいよなあ……。ぶっちゃけ2巻は橘先生かさがら先生にバトンタッチでも良いようなきがするんだけど、どうなるんだろう。
どうでもいい 世界なんて -クオリディア・コード-
正体不明の敵<アンノウン>によって、世界が崩壊した近未来。今も<アンノウン>との戦争を続ける防衛都市・千葉に暮らす千種霞は、今日も今日とて「終わらない残業と不毛な営業」と戦っていたーー。成績不振により天然系うっかり女子の蓮華と共に戦闘科から生産科へと出向させられた霞を待ち受けていたのは、しっかり者の上司・朝顔が仕切るブラックな職場環境。TVアニメ放送中の『クオリディア・コード』の「千葉編」前日譚、完全書き下ろし小説として登場! (レーベル公式サイトより)
正体不明の敵性体・通称アンノウンの侵略により壊滅的な被害を受けた世界。戦争中にコールドスリープに入った子供たちは、スリープ中に次々と“世界”と呼ばれる異能力に目覚め、アンノウンに対抗する力を手に入れた。戦争はいったん終結という形を取ったが引き続きアンノウンの侵攻は続いた。関東には東京・神奈川・千葉に3つの防衛都市が築かれ、そこでは能力を手に入れた子供たちがアンノウンと戦っている。(以上東京編の感想ry)
舞台は防衛都市・千葉。華形である戦闘科に入ったものの成績の振るわない千種霞は同僚の榴ヶ岡蓮華とともに生産科への出向を言い渡される。そこで待っていたのは上司からの理不尽な要求と無茶なノルマをつきつけられるブラックな職場環境だった。そんな中で、霞は生産科のトップ・鶴瓶朝顔が語る「新しい世界」に少しだけの期待を見出すが……?
あらすじと世界観は近未来学園異能SFだけど8割社畜ラノベだーー!?千葉メンバー特有のインテリヤクザ感とか、登場人物及びやってることの「高校生らしくなさ」とかが、余計社畜ラノベ感高まってしまう。むしろこいつら学生だっけ??って考え始めるまである。
選挙というシステム自体はあるものの、戦闘科のトップが首席を兼任する時代。生産科という存在を自らブランディングし、地位の向上を目指そうとする朝顔のひたむきな努力と、その本心を知り、力を貸そうとする霞や他の生産科のメンバーが一丸となって行く姿が印象的なのですが……まあ上しか見てないと足元掬われるよな。これだけ周到に根回ししていて、すぐ近くにあった小さな悪意みたいなものに気づけ無いのがなんだかやるせない。
東京編の悪意は割りと選民思想にコーティングされてるぶんそこそこむき出しだった気がするのですが、千葉編は東京編とは違った意味でどろどろしてるな…。表面上は取り繕いつつ水面下での腹芸と纏わりつくような悪意の応酬が凄かった。神奈川編は腹芸とか全部幼馴染百合で吹き飛ばすやつなので癒やしだな……ヒメかわいい(思考停止)。
千種兄妹のさらっとしつつも、いざとなるとお互いを立てあってる関係性が好きでした。表面上何を言ってても明日葉は霞のこと大好きなんだよな……。霞もなんだかんだ言いながら、「妹に釣り合う自分」になろうと努力していて、それでも自分とは関係ない部分でそこに届かないもどかしさを感じているのが印象的でした。逆に、だからこそ「妹の足枷にはならない」と言い切る霞が自称「妹の七光り」で千葉次席をやってるアニメ版にどう繋がるのか、とても気になる。良くも悪くもアニメの副読本的な役割も果たしているシリーズなので、早めに続きが出ると良いなあ。
しかし、アニメ版で成績やランキングなど気にしないと嘯く霞だけど、少なくても千葉編の1巻時点ではめちゃくちゃ気にしてるよね。というか、まあアニメ版も気にしてなかったらあんな微妙な順位即答出来る程度に覚えてないよね……霞が壱弥の事好きじゃないの、別に壱弥が出て来るわけでもないのにこれ読むとひしひしと伝わってきて萌えます。
クズと金貨のクオリディア
底辺高校生・久佐丘晴磨と、天使のような後輩・千種夜羽。同じ階層にいられるはずのなかった二人は、とある偶然をきっかけに接近してしまう。異常気象、異常現象、異常行動…少しずつ歯車が狂いだしていく二人の日常と奇妙な都市伝説。曰く「ランダム十字路」―真夜中、突き当たったT字路で誤った道を選ぶと、二度と帰ってこられない。行方不明の女子をなりゆきで一緒に追うなか、晴磨と夜羽の思惑は大きくすれ違い…!?レーベルを越えて広がる新世代プロジェクト第一弾!これはふたつの視点から紡がれる、終わりゆく世界とめくるめく青春の物語―。(「BOOK」データベースより)
友達いない底辺高校生・久佐丘晴磨はとあるきっかけから後輩の美少女・千種夜羽と出会う。半ば脅されるような形で行方不明になった彼女の“友人”を一緒に探す羽目に。見え隠れする“同業者”の姿と、「ランダム十字路」なる都市伝説の噂。事態は二人の想像もしなかった方向に転がっていって……!?
プロジェクト・クオリディアのアニメ・小説世界の更に前日譚となる物語。旧世界が<アンノウン>の襲撃によって終わりを迎えるまでの姿が物語の幕間幕間で示唆されつつも、そんなことは全部うっちゃってサイコパス美少女とやれやれ系男子高校生の奇妙な関係性を描く物語です。
わたりん節全開な晴磨のとりとめのない一人称と、さがら総が描くどこまでもクレイジーでサイコパスな夜羽の一人称がキャッチボールという名の相互壁打ち(決してお互いにボールを獲り合ってはいない)やってる感じが、めちゃくちゃ読んでて疲れるけどクセになる。最初から最後まで一貫して噛み合わず、思考はどこまでもあらぬ方向に脱線しながら、それでもつかず離れず寄り添うように進んでいく展開が面白い。
夜羽側の家庭の事情やこんな性格になった一端もそれとなく明かされるのですが、晴磨がそういった事情に絆されるわけでもなく、「お前はクソ女だ」という思いが最初から変わることはなく。それでも「一目惚れだ」って言ってしまうのが本当に凄い。最初から最後までどこかすれ違っていて、それなのにラストは本当にびっくりするほどラブラブで……唐突に終わる世界と、晴磨と夜羽ふたりだけのとびきり甘くて閉じたセカイが同時に描かれていくのが印象的でした。その後ふたりがどうなったのかどうとでも解釈できる、アニメのCパートのような終わり方が最高に好き。
「千種」「朱雀」「天河」「凛堂」とその後のクオリディアの中心となるメンバーと同じ名字が登場して、明確な示唆はされないんだけど彼らの“親世代”の物語になるのかな(特に朱雀に関しては壱弥が『父親が生徒会長だった』といってるのでほぼ間違いないとは思うけど)。晴磨と夜羽の物語には全く関係ない、各章の扉から描かれる旧世界の終わりの姿が、クオリディア・コードの3作品とアニメ4話までを踏まえると明確な形を見せてくるのが色々想像できて楽しかった。関連作品を知らずに読んだら全く違う感想になったと思うので、最後に読んでしまったのが少しもったいなかった気がする。
それにしても、カナリアの名字だけが登場しないのは意図的なモノを感じてしまう。明かされない彼女の『夢』といい、何か秘密がありそうだしなあ。