[著]喬林 知 [絵]松本 テマリ
聖砂国に向かう船の中で、亡命して送り返されそうとしている難民達を発見したユーリ。なんとかして彼らを助けようとするユーリは、一世一代の大芝居を演じることに。一方、ひょんなことから4つの“禁忌の箱”のうちの1つが聖砂国にあることが発覚して…。聖砂国でコンラッドが、羽田空港で勝利が出会った意外な人物とは!?
近頃なんだか物凄くストーリーの進み具合が遅くてヤキモキさせられる「まるマ」シリーズ。前巻の感想でぼやいたとおり、「これがマのつく第一歩!」と1冊にまとめて出した方がテンポ良く読めたんじゃないでしょうか?やっぱりどうにも分冊した意味がわからない…聖砂国に向かう船の中で、亡命して送り返されそうとしている難民達を発見したユーリ。なんとかして彼らを助けようとするユーリは、一世一代の大芝居を演じることに。一方、ひょんなことから4つの“禁忌の箱”のうちの1つが聖砂国にあることが発覚して…。聖砂国でコンラッドが、羽田空港で勝利が出会った意外な人物とは!?
ユーリの王としての成長や眞魔国の人々の変化が見て取れる一冊。ダカスコスが船の中で交わした会話が非常にツボです。ユーリは自分が王様になってやったことなんて殆ど無いと思っているけど、やはりユーリの存在によって眞魔国の人々にもたらされた変化は大きかったんだなあと、ちょっと嬉しい気分になれました。同時に貨物船の中の難民を助ける為にユーリたちが一芝居打つシーンが非常にツボ。花形船長の台詞がいちいちまた熱い。
ダカスコスにしろ花形船長にしろ、生まれついた国の価値観というものは私達が考えていたより大きなものなんだな、と実感させられます。ダカスコスは「人間は魔族の敵」だと思ってて、花形船長は「奴隷は自分達とは違う、虐げられて当然の存在」と思っていたわけですがその二人の価値観をユーリが変えたのだとしたらそれってかなりすごいことだなあ、と思うと思わず胸がジーンとなってしまうシーンでした。
そして遂に外伝「お嬢様とは仮の姿!」のキャラクターが本編に密接に絡んで来ます。勘違いゲイシャガール・アビゲイルが非常に良いです。そしてなんだかすっかり“振り回され属性”な渋谷兄(笑)
サラレギーの正体には少々驚いたものの、その目論見に関しては色々と予想通りな展開でした。それにしてもまた嫌な所で切ってくれるなあ…。
ところで170ページの挿絵はコンラッドがユーリを襲ってるようにしか見えません。
なんですかこのファンサービスはテマリ先生!!