[著]あざの 耕平 [絵]村崎 久都 セルネットを壊滅させ、ようやく学生としての日常に戻った梓達。クラス替えで新しい友達を作って楽しそうな梓達を尻目に、景はどうしても日常になじめない自分を感じていた。そんな彼の元に、一人の少女が現れる。一方、DDに不穏な動きがあると聞いた梓達は景を除いた3人で彼らのドラッグパーティに潜入し… |
日常に戻りクラスにも段々溶け込んできた梓とは対照的に、梓達とは一人だけクラスもわかれ、なんとなく4人で居ても疎外感を感じてしまう景にクラスの惚れっぽい女の子が猛アタックをかけてきて…というお話。これまでは作品内でもあまり語られなかった景からの心情が直接的に描かれて、彼の過去とあわせて今までどんな気持ちで戦ってきたかと思うと切ないものがありました。
メインの話以上に静に振り回される景のヘタレっぷりが素敵。今までクールでかっこいい「悪魔狩りのウィザード」というイメージが先行していたけど、押しの強い静に振り回されてオロオロする姿は実にヘタレで可愛らしい。そんなヘタレっぷりと後半のいつもにも増したデンジャーさとのギャップがかなりツボだったりしました(笑)
DDの裏で動いていた計画が動き出して様々な弊害が出始めて、遂に“女王”との決着をつける為“王国”へ赴く事を決意する景ですが、それに至るまでの過程がほんと哀しい。せっかく梓との別離から立ち直ろうとしていた景を打ちのめした過去話も凄く切なかったし、特に甲斐と茜ちゃんのデコボココンビが大好きだった身としては序盤のメールのあたりからもう大ショックだったわけですが…何よりもエピローグが切なすぎる。唯一“ドラッグ”の影響を受けていない千絵の涙が印象的でした。
最終決戦前の梓と景のやりとりが凄くツボ。正直今まで千絵と甲斐・茜コンビにいいところを持っていかれがちだった(超個人的な印象ですが)二人ですが、主人公コンビの強さを魅せつけてきました。「一秒以内に答えなさい、物部景!」は名台詞すぎる。ていうか梓さんかっこいいよ梓さん。
個人的には静を巡るやりとりが大好き。
「ふふ。本人も緊張してるみたいだったよ。クラスメイトと連れ立って遊びに行くなんて、初めてのことみたいだから」
(中略)
「でも、ちょっとびっくりしちゃったわ。これまで梓さん、物部くんのこととなったら一番先走って動揺してたのに……ずいぶん成長したものね」
「梓ちゃん、僕は……」
『滝田さんのこと、実は結構気になってたでしょ?』
とんでもない変化球がきた。
「……は?」
『は?じゃないわよっ。どうなのっ。あからさまにアタックされて、実はいい気になってたでしょ!』
「そ、そんな別に……」
実はめちゃくちゃ気にしてたーーーっ!!