男勝りの姫様と女の子らしい若君という双子の姉弟が繰り広げる新釈「とりかえばや」物語、完結編。
姉君の「結婚」に弟姫の「後宮入り」といよいよのっぴきならないところでギリギリの攻防に加えて帝やら三の姫やら女東宮やら宰相中将…と二人を巡る様々な人々が交錯し、そんな中で最初に「元服したい」と言ってしまった責任感で一人で矢面に立とうとする姉君の姿にハラハラしていましたが、最終的には絡まった糸を解して綺麗に収まってくれたことにホっとしました。前巻の自由奔放ぶりを知っていると、序盤の姉君の落ち込みぶりは見てて目に余るものがありますが、その後の行動の堂に入りっぷりは思わずニヤリとしてしまうものが。
そして何よりも後編の見所は立派に成長した弟姫の雄姿。後宮に上がったことを切っ掛けに、前巻のヒスっぷりからは見違えるように立派になって……女東宮に秘密を打ち明けた時のやりとりには思わず笑ってしまいましたが、なんだかんだいって根は女の子な女東宮や姉姫を上手い事あしらっていく姿には男の子の底力を見た気分でした。
正直、事情も知らずに振り回されてしまった三の姫や帝が可哀想に思えなくも無いのですが(宰相中将は自業自得なのでスルー)、なんだかんだいって誰もが幸せになる終わり方だったのが嬉しかったです。
個人的には、帝にはいつか本当のことを打ち明けてあげてほしいなあ。