魔術学院時代の後輩に振り回されたり、生徒会が主催する、学院の体験学習会を任されたり……そして特務分室時代のグレンのエピソードも描かれる「ロクでなし魔術講師〜」シリーズの番外編シリーズ第3巻。
グレンの学生時代の後輩・ロザリーが受けた『依頼』につきあわされる『魔導探偵ロザリーの事件簿』、本編に出てこないお茶目キャラに主人公振り回されるシリアス度0%な頭の悪い短編ということでTHE・富士見ファンタジアの短編集という感じがすごい。努力家だが魔法はからきしでナチュラル不遜で考えが浅いポンコツ後輩・ロザリーが巻き起こす騒動にどんどん周囲が巻き込まれていくのが楽しくてたまらない。ラストでしっかりフラグ立ててきたけど、これは今後も短編集の方でシリーズ化してほしい。
そして、生徒会からの頼みでグレンが学院外の参加者達に魔術のなんたるかを説く『魔術学院わくわく体験学習会』がグレンの教師としての本領発揮感あって超楽しかった。学院内でも特に無茶苦茶な講師達を集めて暴れさせた後、最後にしっかりグレンが綺麗にまとめておいしいところを持っていくのが大変ズルい。最低限の労力で魔術の「怖さ」も「楽しさ」もしっかり刻み付けてしまうところが流石でした。
グレンの特務分室時代のエピソードを描く過去編『White Dog』は、理想と現実のギャップに悩むグレンのお話。グレンを立ち直らせようとするセラや、まだお互いに相容れない感をぷんぷん漂わせているアルベルトとのやり取りもよかったけど、イヴの不器用な上司っぷりが大変可愛かったです。いや本当に不器用可愛いなこの人……。