令嬢たちのあこがれの的である近衛騎士団副団長・シメオン様と婚約することになった令嬢マリエル。平凡で目立たない令嬢の彼女には、とんでもない秘密があった。他の令嬢達からの嫌がらせにも全く動じない彼女だが、当のシメオン様は何か勘づいているようで…!?
妄想たくましい女流ロマンス作家×イケメン眼鏡のロマンス
三度の飯よりも小説書くのが好き!!というマリエルが婚約者となったシメオン様をオカズ(おい)にするだけでなくライバル令嬢達からの嫌がらせすら「小説のネタ」として大喜びで頂いてしまう様子が楽しい。キレ者なのにマリエルのことになると惚れた弱みで残念になりがちなシメオン様、ことあるごとにマリエルの脳内で鞭を持たされ、更に隙あらばその妄想をそのまま匿名で出版されてしまうので強く生きてほしい。恋人に自分が主役のBL小説書かれてしまうシメオン様は本当に強く生きてほしい。
往年の少女小説を思い起こさせる、ラブコメ×ミステリー。
そんなふたりがとある貴族の家督争いに端を発した事件に巻き込まれる後半。好意と好奇心で事件を解決を捜査しはじめるマリエルだが、その一方でシメオンと衝突してしまい…という展開がなんというか、往年のコバルト文庫とかを思い出して懐かしい気持ちにさせられる。様々なすれ違いを経て、マリエルの方にも着々とシメオンへの恋心が育っていくのが印象的でした。嫌がらせにもめげない鋼のメンタルを持っているようで自己評価が低くて自身の恋愛には疎い彼女が無自覚に芽生えた恋心を制御しきれない様子が可愛いし、あらぬ方向に(被害)妄想を繰り広げてしまうのにはプッと笑ってしまう。気がつけばしっかりと両思いになっているのに、勘違いや先入観でなかなか噛み合わず、逆にシメオンに振り回されてすらいるのが微笑ましい。
すごく…眼鏡です。
文武両道イケメン眼鏡×マイペースで妄想過多な文学系眼鏡っ娘という、眼鏡好きにそっとおすすめしたいラブコメ。最後に眼鏡を外す描写はツイッターの眼鏡属性議論とか見てると好き嫌いが分かれるのか!?と思ってしまうのですが、「(ド近眼のマリエルが)眼鏡を外しても相手の顔がはっきり見えるくらいの至近距離」という表現には思わずニヤリとしてしまいました。