“左” の検索結果 | ページ 2 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:左 (67 件 / 7 ページ)

電子書籍の本の整理に悩む

ここ数年で紙書籍から電子書籍への依存度がぐっと上がって、それまであまり気にしていなかった電子書籍アプリにものすごく使いづらさを感じるようになったよという話をします。

BOOK☆WALKERの購入書籍一覧が使いづらい。

そもそものはじまりは「BOOK☆WALKER」で2016年12月にブラウザビューワー機能が実装されたこと。

PC版アプリをいちいち立ち上げるのに使いづらさを感じていた(BWアプリは微妙に使いづらかった)のでそれまで電子書籍はラノベ中心に限定的な使い方しかしていなかったのですが、PCブラウザから手軽に読めるようになったことでそれまで画面が小さい/見開きができないという理由で紙書籍で買っていたマンガが殆ど電子書籍に移行していった。

2017年を境目にわかりやすく電子書籍の購入冊数が増えていく。

2015〜2016は純粋に本を読めなかった時期なので減っているというのもあるのですが、それにしても2018年くらいから一気にコミックの割合が増えていく。それまで、ラノベの電子書籍はアプリの購入書籍一覧を購入美順に並べて使っていたんだけど、すごい勢いで買った本が一覧の下の方に埋もれはじめた。

前述の通りマンガはほぼスマホで読まないんで非表示にしたい。
でもスマホアプリの購入履歴一覧に「ジャンルでしぼる」という機能はない。
レーベル並び替えならあるけど違うそうじゃない。

PCブラウザ版の書籍一覧ではかなり細かい絞り込みが出来るのだが、問い合わせてみた所いまのところスマホへの実装予定はないらしい。なお一覧の表示形式は3種類あるけど書影なしにしても8冊が限界。書影のみ表示に至っては上下左右4方向へのスクロールが発生する。なんでこんな↓UIに……?(横スクロールやめて書影をもうちょっと小さめにしてせめて15冊くらいは一画面に入れてほしい…)


マンガだけ別書店で買う、とかも考えたんだけど今まで買ったマンガを移せるわけではないので根本的な解決にはならない。

本棚機能を今更使うことにした。

悩んだ挙げ句、●月に買ったラノベという本棚を作ることにした。
並び替え機能がスマホだと使いづらすぎて放置してしまっていたけどいつのまにかブラウザから本棚編集できることに気づいたので活用することにした。
書影が小さすぎると判別つかないので20冊弱くらいの本棚レイアウトにしてそこからはみ出すようなら増やす。一定以上昔の本は未読のもののみ本棚を分けて1シリーズ1冊で少しずつ格納していく。ずぼらな性格なのでちゃんと整理し続けられるか自信ないんですけど、まあ本棚の限界数に達したら一度別名保存して作り直せばいいよな、くらいの気持ちでおります。

まだ仕分け途中なんですけどそのうち一番奥底までたどり着く……んじゃないでしょうか…。


これはPCブラウザで見た本棚整理中の画面。購入冊数あまり多くないので現状2ヶ月分で1棚で足りてます。てかPCブラウザの本棚ページ、めちゃくちゃこれテンションあがりますね…!?これもっと宣伝したら良いと思うんですけど…。

ちなみにBWアプリの書籍一覧には「本棚順」というソートがあるんですけど、一番上に「未整理」が来てしまったのでだめでした。違うそうじゃないなんでわからないんだ。未読だけに絞ると読みかけの本とか消えちゃうしほんと悩ましいなあ……せめて本棚順+購入日順とか二重ソート出来れば良いなぁ……むしろスマートソートくれ。

BW〜!!!「一ヶ月以内に買った+未読の+ラノベ」とかで勝手に本棚作ってくれ〜!!頼む〜〜!!!

他の人の電子書籍の整理法が知りたいです。

私はまだ電子書籍のマンガはその場で読んでくスタイル+ラノベは月10冊前後購入だからこれで済んでるんだけど、もっとヘビーに利用してる人はどうやって整理してるのか知りたいです。こんな隅っこのブログで叫んでも反応ないかもしれないけど気になるので一応聞いてみたい。答えは自分のツイッターかブログで適当に言及してほしい。

いやでも他の人も7年くらい前の初回ニコカド祭りかなにかので気が狂って買った本とか大量に詰んでますよね?
私だけじゃないよね……?


日和ちゃんのお願いは絶対

 

まるで、世界が終わりたがっているみたい──それは。最後の恋物語。
「──わたしのお願いは、絶対なの」 どんな「お願い」でも叶えられる葉群日和。始まるはずじゃなかった彼女との恋は、俺の人生を、世界すべてを、決定的に変えていく──。 ほんわかしていて、かわいくて、どこかちょっと流されがちで。 それなのに、聞いてしまえば誰も逆らう気になどなれない「お願い」の力を持つ日和と、ただの一般人なのにその運命に付き添うことになってしまった俺。 「──でも、もう忘れてください」 世界なんて案外簡単に壊れてしまうのに、俺たちの恋だけが、どうしても終わってくれない──。 これは終われないセカイの、もしかして、最後の恋物語。

不思議なチカラを持つ日和と、彼女に近づけば近づくほど彼女の存在を遠くに感じてしまう深春の関係がなんとももどかしく、それでも世界とか能力とかどうでもよくて、ただの彼氏と彼女として恋をして共に歩もうとするふたりの姿が印象的でした。懐かしの「セカイ系」だこれーー!!!!!

壊れかけの世界で、最終兵器な彼女と普通の少年が恋をする

同じクラスのちょっと可愛くて優柔不断な女の子・葉群日和から告白された深春。彼女は「お願い」すればなんでも相手が言うことを聞いてくれるという不思議な力を持っているという。最初は高校生らしいお付き合いをしていたふたりだが、とある事件をきっかけに彼女の正体を知ってしまう……。

世界すら揺るがしかねない力を持った最終兵器な彼女と何の変哲もない普通の少年が恋をする物語。高校生カップルらしいもどかしい恋愛模様とは裏腹に、日和に惹かれていく一方で近づけば近づくほど彼女を遠く感じてしまう深春と、深春を巻き込みたくないと願う一方で縋るように精神的支柱を彼に求めていく日和の姿が印象的でした。

あくまでこの「現実」と地続きのものなのだと伺わせる世界観設定が新鮮でした。大学入試制度の改革の話や新型ウィルスの蔓延の話とか、身近に体験したばかりの話が出てきてネタが新しい…。世界観情勢の話で伏せ字が多すぎてわからんってなるときもあるんですけど明らかに現実の人物をモデルにしている話が多くてこりゃ伏せるよなっていう。そんな(現実の)世界を描きながら、ヒロインに「世界が終わりたがっているみたい」って言わせちゃうのがあまりにもパワーある。

令和の世に生まれ落ちた新「セカイ系」ラノベ

自分の「お願い」を相手に強制的に叶えさせてしまう力を持った日和。草の根から始まった彼女の活動は徐々に活動範囲を広げ、深春と付き合い始める頃には既に世界をも左右する存在となっていた。「彼女の力になれることが自分にもあるはず」と自分を頼ってくれない日和にもどかしさを感じていた深春だが、とある事件をきっかけに彼女の能力が時に相手の尊厳さえも歪ませ、踏みにじるものだと知ってしまう。

あくまで日和は自らの意思で能力を使って「この理不尽な現実」を良くしていこうとしていて、彼女の非日常の中に深春の存在は求めてない。架空ではなく現実を思わせる世界、巻き込まれるのではなくあくまで自分の意思で非日常に身を置く日和とそこに関わりたいのに関わらせてもらえない深春の関係がどこか新鮮でした。惹かれ合い、すれ違い、傷つけ合い、一度はお互いの手を手放して──それでも手を取り合うことはできるのだと、別々の世界に身を置くふたりが、今度こそ「お願い」の力ではなくてただ手を取り合って再び歩き出すラストがアツかったです。

私の中の「セカイ系」とは、大きな力を持ってしまったがために世界の中の大きななにかに翻弄され、押しつぶされそうな少女とそんな彼女の事情には何も出来ない少年が手に手を取ってふたりだけのセカイに行こうとする(けどうまくいくとは言ってない)物語だったのですけど、自ら世界の中に飛び込んで押しつぶされそうになりながらも大人たちを巻き込み世界を変革しようとする少女とその彼女の手を握ろうと手をのばすけど何も出来ない少年が、それでも「ありふれた高校生男女」でいようとあるき出すこの物語はなんていうか令和に生まれ落ちた「新しいセカイ系」なのだろうなあみたいなことを思いました。うまく言葉に出来てないけどなんか凄く昔懐かしい反面新しいお話であった。

挿絵が超よかった。

現実の世界と地続きであるかのような物語の世界を表すかのように、写真にイラストを組み合わせた口絵と、章毎に挟まれる風景写真の使い方が面白かったです。

特に、日和の秘密が明かされる所の挿絵の大胆な使い方がめちゃくちゃ好き。そしてその挿絵を惜しげもなくツイッターで作品紹介に使ってくる作者さんの大胆さがすごいなとおもいました。いやだってこれ完全にネタバレじゃん……、でもこの挿絵見なかったら普通の最近よくあるエモい青春ラブコメだと思って手を出さなかったと思うのですごく正しい。セカイ系なんて今めったに見ないのでそこアピールしていってほしい。

私はこのツイートを見て買いました!!!(リンク先軽いネタバレ注意)

余談ですが「新しいセカイ系」とかいいつつもどうしてもセカイ系の代表作である「最終兵器彼女」を連想せずにいられなかったのですが、あとがきにアツい「最終兵器彼女」語りとセカイ系へのリスペクトがあったのでニヤリとしてしまった。めちゃくちゃな名作なのでこの作品が楽しかった人で未読だったら是非触れてほしい。多分好きなはず。ラノベなら「イリヤの空、UFOの夏」も。イリヤは今から読み始めるとリアルUFOの日までに読めるのでタイミングも良いはず。

「最終兵器彼女(1) (ビッグコミックス)」
高橋しん(著) (著)
小学館
発行:2000-05-30T00:00:00.000Z
「イリヤの空、UFOの夏 その1 (電撃文庫)」
秋山 瑞人(著), 駒都 えーじ(イラスト) (著)
KADOKAWA
発行:2013-12-26T00:00:00.000Z


ファイフステル・サーガ3 再臨の魔王と草原の灰エルフ

 

かつて魔王戦役にて魔王軍に与した灰エルフの子孫たちが、“魔王の左腕”を奪還すべく五芒国へと再び侵略を開始する。灰エルフたちの鍛え抜かれた弓の腕と馬術によって、フライスラントの地に多くの血が流れ、兵たちが敗北を重ねる戦況にカレルが、ヴェッセルが動き出す―。「心に正直になれ。どうして欲しい?一晩中これを続けて欲しいのか?」灰エルフ族長のひとり“天秤の担い手”ギルセリオン。圧倒的な武と、女を堕とす術を持つ新たな英雄は、来るべき『セシリアの死』を起こす元凶か、それとも未来を変える存在か―。かくして歴史の表舞台に英雄は揃う! (「BOOK」データベースより)

魔王再臨の兆しをうけ、灰エルフ達が五芒国に侵入した。圧倒的な騎馬能力を持つ彼らはアレンヘムと戦争中だったフライスランドを徹底的に蹂躙していく。フライスランド総督から和平及び援軍の要請を受けたカレルはヴェッセルに和平の仲介を頼むことに。一方、灰エルフの族長の一人・ギルセリオンはひとり、他の灰エルフ達とは別行動を取っていて……。

これまで「夢の中でセシリアを殺す存在」というどこかふわふわした輪郭しかなかった灰エルフに生き生きと肉付けされていく流れが楽しく、第三の主人公的な存在であるギルセリオンが圧倒的な力で立ちふさがる人間たちをねじ伏せ、それと並行して女を抱くことで版図を広げ情報を得ていく姿がまるで別の物語を読んでいるよう。魔王とも他の灰エルフ達とも異なる視点を持った彼の存在は今後の物語において大きな意味を持ちそうで、どんなふうにカレルやヴェッセルの物語に関わっていくのか楽しみで仕方がない。しかしあの一晩で陥落させられた領主の娘のアレの話とか色んな意味でどういう流れだったんですかねえ!?流石に夜の床でメロメロになってしまって手のひら返したという流れだとは思えないんですけど、そのへんに描写ないので若干どういうふうに受け取ったら良いか悩むよな…。

英雄、色を好む」を体現したようなギルセリオンのスケコマシ一代無双旅の後にカレル・セシリア夫妻の朝のイチャイチャ風景を読むの、温度差が凄くて口から砂糖出る。巻を重ねるごとに嫁バカになっていくカレルと、徐々に人前で憚らなくなってきた旦那に振り回されるセシリアがかわいすぎるんですが!!あと、ヴェッセルから漂う隠しきれない残念感が好きです。猛暑の中お外に出たくないヴェッセルさん……。

侵攻してきた灰エルフを撃退する流れ、セシリアの「夢」を元手に何度もデッドエンドを繰り返して生き残る道を模索していく流れは前2冊と比べるとめちゃくちゃざっくり割愛だったのが残念だった反面、その試行錯誤描写が削られた分恐ろしくスムーズにカレルの手のひらの上で事が運んだように見える。なるほど実際の泥臭い努力とは裏腹にこんなにもスムーズに策を立てているように見えるのかと。一応味方になったけどまだまだ痼の残るフライスランド総督の、カレルの手並みを見ての反応にめちゃくちゃ笑ってしまった。これは確かに「夢で予習してる」って知らなかったらこういう反応になるよなあ!

それにしても、次巻は子供大好き(ロリコンではない)コルネリウス隊長と幼女と政略結婚の縁組とかいうもう明らかに(コルネリウスが)荒れそうな流れだし、あとミーリエルの方も……これ流れ的に「エルフは多重婚イケる」って話まであったし側室フラグなのでは!?とおもってるんですけどどうなんですかね……楽しみすぎるんですけど、ほんとなんとか頑張って4巻が出て欲しい……あとがきの話は他の所で散々愚痴ったので割愛しますが、これで3巻打ち切り喰らったらほんと、ギルセリオンの真意もわからなくなってしまうしおおよそ最悪にキリ悪い所で終わるなあと思うのでよろしくおねがいします……。


天下一蹴 今川氏真無用剣

 

第六天魔王・織田信長が桶狭間で討った今川義元。その義元の佩刀、「義元左文字」は「それを持つ者は天下を取る運命にある」という。信長のいる京までその刀を届ける密命を徳川家康より授かったのは、義元の息子―大名としての今川家を滅ぼしたとされる天下御免の無用者、今川氏真であった。「己は駿河彦五郎。飛鳥井流と、新当流を少々」今は彦五郎と名乗っている氏真は、和歌と蹴鞠を愛し、その妻、蔵春とともには京へと向かう。その旅路を阻むは「甲賀金烏衆」。剣風吹きすさぶ京への街道に剣聖直伝の彦五郎の剣が、鍔鳴る!蝸牛くも×伊藤悠が贈る剣戟エンタテインメント小説!(「BOOK」データベースより)

蹴鞠と剣術を愛し、しかし大名として時代の波に乗れなかった男・駿河彦五郎(今川氏真)とその妻・蔵春(早川姫)が『信長に蹴鞠を披露する』という名目で天下人の刀と名高い今川の宝剣・義元左文字を届けるため京都に向かう。そのふたりの道中には、様々な刺客が立ちふさがり──!? というお話。

『ゴブリンスレイヤー』の作者さんの投稿作の書籍化。以前ゴブリンスレイヤーの大本になったスレッドまとめを読んだ際にこの作品の存在を知り、密かにものすごい気になっていたのですがついに書籍になりました。

章毎に様々な刺客と繰り広げられる剣戟戦が子供の頃の21時台とかにやっていた時代劇のようで、どこか懐かしい。のほほんとしているけれど剣客としての腕は確かな彦五郎が放たれた刺客達と戦いを繰り広げていくのが大変に楽しいんですけど、それとなくもう一つの趣味である「蹴鞠」が生かして戦っていくのにニヤリとしてしまう。

一方、そんな彦五郎に付き従う妻・蔵春も只者ではない。精神的な面でもバトル的な面でもしっかり旦那の背中を守る姿が頼もしいし、どこかおしゃまな印象を受ける発言の数々がめちゃくちゃ可愛い。というかほんと当時のスレッドまとめで作者さんがこの作品について

今川氏真が嫁さんの蔵春院とイチャイチャしつつ浜松から京都まで、信長と蹴鞠しにいくついでに、家康から頼まれて密命を何とかするべく、「甲賀金烏衆」の忍者をバッタバッタと斬り伏せるお話

って説明されてる(ソースはこちら)んだけど本当にそのままそうなんですよね……嫁さんとイチャイチャしながらちゃんばらしながら京都に行く話なんですよ。めちゃくちゃ夫婦がイチャイチャしてるんですよ……。

ただ、決して「無用者」二人のお気楽珍道中〜というだけではなく。のほほんとしている氏真には確かに過去に取り返しのつかない過ちをおかした男の昏い影みたいなのを感じるし、そんなどこか危なっかしい夫を愛し、現世につなぎとめ、最後まで付き従おうとする蔵春のまっすぐな想いがどこか強くて切ない。ただイチャイチャしているだけではない二人のどこか影がありそれでいて強く結ばれた関係性が、とても好きでした。

一方、立ちふさがる敵も彦五郎と同じ『剣』の道に拘泥する者だったり女児の苦しむ顔がみたいだけの好き者であったり、はたまた過去の今川に因縁があったり……と様々で、一時間ドラマの繰り返しのような構成でありながらも、飽きさせない。一気に読まされてしまうような物語でした。というかラスボスの正体これはズルいわ……。

1冊で綺麗に終わってる物語ではあるのですけど本来新人賞投稿作だったわけで、2巻も続けるの可能ですよね!?ぜひとも手を変え品を変え敵を変えで続けていってほしい。

ところで小説も大変に楽しかったのですけど同日発売のコミカライズが物凄く良かったよ!!!!!という話を一緒にしたいんですけど!!彦五郎が昏い眼をするのがたまらん好きだし、あと徳川家康がまあまたものすごい昏い眼をするわけで、このうさんくささがたまらん。わざと刺客を食いつかせようとする徳川家康の狙いを見抜いた上でその密命を受ける彦五郎が小説の方でも最高に好きなんですけど、コミカライズではなんかキャラクターの表情の巧妙さも手伝って物凄く印象的だった。ほんとコミカライズの1話で恋に落ちたと言っても過言ではないです。

騙されたと思ってコミカライズ1話だけでも読んで。

amazon.co.jp:彼女のL 〜嘘つきたちの攻防戦〜
amazon.co.jp:天下一蹴 -今川氏真無用剣-(1) (ヤングガンガンコミックス)
天下一蹴 -今川氏真無用剣-(1) (ヤングガンガンコミックス)
蝸牛 くも,湯野 由之,伊藤 悠 (著)
スクウェア・エニックス
発行:2019-01-25


ロクでなし魔術講師と禁忌教典11

 

“フェジテ最悪の三日間”から始まった富国強兵の流れによって、アルザーノ帝国魔術学院に新学院長が就任する。武一辺倒の教育改革にグレンは反発するのだが…。そんな折、先の戦いの失態から、イヴが学院に左遷されてきて!?「いいわ。私も貴方に力を貸してあげる」―戸惑うグレンをよそに、改革の是非を懸けた『模範クラス』との決闘に向け、強化合宿を敢行。道を失ったイヴは、生徒たちとの交流を通じて、自分が本当は何を為したいのか気づきはじめ…。改革に伴う裏学院の開放。学院創世の闇に触れた時、代償とするのは、誰がための命―。 (「BOOK」データベースより)

 シリーズ新展開の11巻。前巻が第一部クライマックスのノリだったので息抜き的な話が入るかなと思ったんですが、前巻で色々と個人回フラグを立てまくってたイヴの話を中心に、しょっぱなからアツかったです。

 唯一信じて進んできた道を閉ざされ、彷徨うイヴが生徒達の指導を通してふたたび立ち上がる、再起の回。初登場のときから、嫌な役回りでありながらもどこか憎めないキャラで好きだったんだけど、今回は魔術師としての彼女の"強さ"を見せつけた上に物語も彼女自身もクローズアップされていて、凄く楽しかった!生徒達にツンデレ通じなくなってくあたりとか普通にニヤニヤするんだよなあ。

 同時に、教師モノとしてのロクアカもイヴの登場を機に次のステップに進んだ感じ。"邪道"の魔術使いであるがゆえにグレンでは指導できない部分を"正統派"の魔術使いであるイヴが実践的な指導をおこなうことで補うという、教師物としても新展開で楽しい巻だった。前巻から引き続き生徒たちが人間的にも魔術師的にも成長している姿が見て取れるのもとても良い。グレンの指導能力の限界が示された以上、今後はイヴとの二人体制で教えていくのかな、と思うんだけど実際どうなんだろうその辺。

 正直 恋の鞘当てに 追加入った 感じが すごく するぞ!!

 自分の目的というか「家」の事だけど最優先にして他のものを切り捨ててきた彼女が、家から切り離されて生徒たちと触れ合う事で自分が本当は何をしたいのか見つめ直していく姿が印象的で……だからこそ最後に見せた彼女の決意が重く、グっときた。なんかもう、最初憎まれ役で出てきた彼女がそういう覚悟を見せてくるのは、ズルいよね……。

 禁忌教典を巡る謎も深まって、新キャラもつかみは上々で、本当に続巻への期待がぐんぐん高まる1冊でした。楽しかった…!


幸運なバカたちが学園を回す1 〜豪運ザコとカワイイ幼馴染〜

 

矢内総流はかなり特異な運の持ち主だ。たとえば、ソシャゲでお気に入りのキャラが欲しくてガチャを回せば、まったく興味の欠片もないSSRを引いてしまうような、いわゆる“要らない幸運を引く”体質だった。そんな、人とは違う妙ちくりんな幸運を持った総流が―すべてが“運”で決まる学園に入学してしまった!時間割、食堂のメニュー、席替え、試験…学生生活に欠かせない、ありとあらゆるものが運試しによって決まるというとんでもない学園。そんな学園で総流は、小学校以来の幼馴染と再会する。…が、総流にとっては、それすらも“要らない幸運”だった!?これは、全然嬉しくない幸運を持つ少年と、愉快な仲間の物語。 (「BOOK」データベースより)

 ガチャ運が全ての学園で、「要らない幸運」ばかりを引き寄せてしまう主人公とちょっと運の偏ったクラスメイトたちが運に振り回されつつも楽しい(?)学園生活を送るお話。

 後述する時間割等の問題は置いておいて、ガチャを回すための「ポイント」がランダムで現金だけでなくいろんなもので消費されたり(カロリーガチャを死ぬほど回したい)、集団での意見統一ができればガチャの内容を変更できたり…と、割合様々な抜け穴のある学園のガチャシステムが面白い。「要らない幸運」を引き寄せる主人公を筆頭に各キャラクターたちにガチャ運の偏りがあり、それを戦略的に利用していく展開も楽しかったです。

 主人公・総流とその悪友である和光、幼馴染ヒロインであるレナとの関係性はまあ悪友萌え幼馴染ヒロイン好きとしては普通に美味しいやつなんですけど、しっかりものの義妹・みらいとの兄妹関係がなにげに好きでした。しかしガチャ産の義妹とは一体何なのか…。あと、徳光をめぐる学食ガチャのやりとりが楽しい。本人にとっちゃ笑い事じゃないだろうけど。

 ガチャをめぐるあれやこれやでバタバタしつつ、中心ではわりと真面目に「幼馴染との関係改善」を軸にラブコメしてるんだよなあ。軽口を叩き合いつつもわりと真面目に相談に乗ってくれる仲間たちが印象的でした。問題の「告白」に関しては流石にどうしてそれで「告白」だと思ってもらえると思った……なんですけど……。前後の文章の意味が理解できなくて三度見した。バカにありがちな思考の飛躍にしたって流石にもうちょっと言い様があるでしょうよ……。

 あと、これ作中でも申し訳程度に突っ込まれてるけど、時間割までガチャ運に左右させてしまう(6時間ぶっとおし腹筋とか、まだ習ってない単元の科目を受講させられるとか、毎日自習を引きまくるとか)のは流石に教育機関として破綻してない?いくら架空の学校とはいえ、これがまかり通る世界観はちょっと嫌だなあ。特に物語の序盤は割と主人公やヒロインの「引きの悪さ」を笑うような展開が連続するため、ちょっと笑いのツボが合わなくてしんどかったです。

 最後のオチが、何が何でも目当てのSSRを引かなければいけない状況で、「一番良いところで珍しく運が味方してくれる」みたいなご都合展開じゃなかったのは良かったなあと。主人公の「本人にとって要らない高レアを引いてしまう」という設定が完璧にハマっていて、挙句に「もう要らないと思った途端に来る」というガチャあるあるも踏まえていて大変趣深かった。

物欲センサーって、あるよね……。


学園交渉人 法条真誠の華麗なる逆転劇

 

七千人が通い、生徒の自治によって運営される白楊中央学園には華々しい実績の裏に、ある掟が存在した。それは「校則を破らない」こと。一見当然のこのルールは学園の特殊性から、法律のような実効力を持っている。そんな学園において唯一、法条真誠という男だけが法外な報酬と引き換えに、校則すらもねじ曲げて依頼人の問題を解決していた。とある事情で法条に借金をしてしまった少女、花咲華織は彼の助手を務めるうちに、法条の真意と学園の不自然な構造に気づいていく。ひねくれ者だが有能な主人公と、猪突猛進なヒロインによる、驚愕の学園逆転劇、ここにスタート!(「BOOK」データベースより)

 校内の揉め事を解決しているという先輩・法条に助けてもらった新入生・華織は、彼から高額な依頼料を請求され、借金を返すため法条の下僕…もとい助手をする羽目に。法条とともに様々な依頼に触れていくうち、平和だと思っていた学園の様々な暗部が見えてきて……というお話。

 タイトルからもっと俺TUEE系頭脳バトル的なものを想像していたんだけど、探偵役である法条が予想以上に人間らしいキャラクターで、傍若無人を装っているけれど、読み進めるにつれて相手への情が滲み出てるのがなんとなく察せてしまうのがズルい。学園の現体制に不満を抱きながらも最終的にその歯車のひとつとなってしまっていて、そういう自分の立ち位置を受け入れながらも、華織が自分では打ち破れない壁を破ってくれる存在となることに期待している構図が大変美味しかったです。

 そして、お人好しで他人の意見に左右されやすい助手の華織が、自らの「正義」に思い悩みながら人間的に成長していく姿も良かった。最初は嫌々だったのに、法条の不器用な本心が見えてくるうちに彼と離れがたくなっていく姿にニヤニヤしてしまう。

 そんな華織が自ら考えて周囲の力を借り、法条とは別口で事件を解決しようとする最後の事件がとても好き。どこか敷かれたレールを走って解決した部分がないわけじゃないんだけど、それまでの依頼を積み重ねて彼女なりに築き上げた繋がりを必死に活かして事件を解決に導いていく姿が印象的でした。思い切り次巻に続く形で終わったのだけど、わりとエピローグ前までで綺麗にまとまってる印象なので続きがどうなるのかちょっと気になる…。

 個人的には法条が眼鏡のオンオフで性格がよそ行きになる?みたいなのがちょっとわかりづらくて、そこだけちょっと残念。眼鏡関係なく華織への態度は一貫しているので、単に敬語使うか使わないかくらいの違いに見えるんだよな。ギャップ萌え的には華織に対してもよそよそしい態度とるようになるくらいの劇的さが欲しかった……。


オタクガール、悪役令嬢に転生する。

 

オタク暦15年、BL一筋に生きてきた腐女子が『脱!悪役令嬢』を目指して大奮闘!?最後の記憶はイベントのアフター―なのに、目の前の鏡に映っている縦ロール女は誰っ!?戸川芭琉が転生したのは、超人気乙女ゲーム「私立学園花乱舞」の悪役令嬢。高校3年間の破滅フラグを回避せよ!…って言われても、このゲーム全然知らないよ!?だって私、腐女子だったんだから―!!攻略キャラの知識は無いけど、兄と幼なじみのCVが生前の推しカプと同じっぽいので妄想だけは捗ります!!!(「BOOK」データベースより)

 腐女子OLが、とある乙女ゲームの世界の「悪役令嬢」として転生してしまった。高校時代3年間の生活で「破滅エンド」を回避しなければいけないが、元になった乙女ゲームの知識などまるでなく、ヒロインも攻略対象すら知らない手探りの状態で…!?というお話。

 俗世から隔絶されたセレブ校、その身は箱入り娘のお嬢様。行動に縛りの多く一人になり辛い状態で転生先の世界観設定の把握すらおぼつかない。そんな中で自分にとっての「バッドエンド」を回避しようと右往左往する展開が楽しかった。その合間にオタク女子としてなんとかマンガとかアニメとかに触れようとするけど、どこまでも邪魔が入って阻止されるのがジワジワ来る。いやしかしオタクにとってこの「断食」はつらいですよねわかるわ……。

 ヒロインが誰だか解らないと、どういう行動が「悪役令嬢」として受け取られてしまうのか未知数で。序盤から「この娘がヒロインでは?」というキャラが何人か提示されているけど、あれだけ露骨にヒロイン扱いされていると引っ掛けのような気もしてくる。実は今主人公に弄られてるこの娘こそがヒロインなのでは……!?と想像しながら読むと、予想外の所で悪役令嬢フラグ立ててしまってそうで、勝手にハラハラしてしまったw

 しかし、世界観とか配役とか気になる部分が沢山あるのに、世界観の全体像すら見えずに終わってしまったのが残念です。原作が「なろう」らしいので続巻前提なんだとおもうけど、この巻だけだと面白いかどうかの判断すらできない。

 「悪役令嬢」の概念をラノベで見たから知ってる!!って言われるのも若干違和感あったのですがこれはラノベ発の概念なの?意味としてはなんとなく伝わるんだけど属性として直接単語にしてるのは初めて触れました「悪役令嬢」……最近少女小説系のなろうではやってるみたいなので、そっちを想定した発言なのかなあ。「兄と幼馴染みのcvが前世で好きだった二次カプの中の人と同じ」という腐女子設定も、今後生きてくるのかもしれないけどちょっと本編に上手く絡んでないというか、浮いてた気がする。

 読み終わった後に軽く「なろう」の原作の方も見たのですが、番外編で元の世界の主人公の友人が勢い余って主人公の追悼本?出す!!!みたいな流れになってるのおもしろかったです。元の世界の情報があまりにも少なすぎるので、あれ最後の方に入ってたら良かった気がする。


自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う3

昼熊
 

迷路階層の主を退け、異世界で着々と名声を築いていく自販機―ハッコン。そんな彼のもとには今日も続々と新たな依頼が。地図の制作やモンスターハント、更には大食い大会の景品に!?「これで今日一日、ハッコンは私の物っすよ!」自販機の独占使用権を得たのは底無しの胃袋を持つ少女・シュイ。暴食の限りを尽くす彼女に、全ての食料を食い尽くされてしまうのか―?自動販売機に転生した男の異世界無双ライフ第三弾!!(「BOOK」データベースより)

 自動販売機マニアだった青年が異世界に自動販売機として転生する物語。バトルあり、新キャラありで盛りだくさんなシリーズ3冊目。

 新キャラ・ミシュエルの見た目とは正反対の残念ぶりが好みだった!外面は穏やかな好青年、その実態はコミュ障のビビリ、しかし防御の加護を持つハッコンでも唸るほどの実力を持つ騎士であり、対峙した人間を容赦なく切り捨てる容赦ない一面もある……というギャップ萌えが詰まった美味しいキャラでした。というかこのシリーズに唯一足りてなかった美青年枠の登場に、ついついニッコリとしてしまう。ラッミスやヒュールミがミシュエルにぐらっといかないかヤキモチを焼くハッコンの姿も微笑ましかったです。

 今回は外征話が多めで、清流の階層でのエピソードが少なかったのが少しだけ残念だけど、その分大食い団とシュイが大暴れする大食い大会物語が最高に楽しかった!商店街にギリギリで赤字を出させないために、大会参加メンバーの胃袋をあの手この手でふくれさせようと右往左往する姿にニヤニヤする。

 その後の、シュイの事情に迫る1日デート(違)の話もたのしかった。序盤は生きるため、機能を拡充するために商売を最優先にしている部分があったハッコンがシュイの事情を目の当たりにして色々葛藤するのがいかにも「人間」らしい。とはいえ、それってこれまでの商売をて広くやってポイントに余裕が出たからこそ悩める事なんだなあと思うと、感慨深い(個人的にハッコンが商売してる話が好きなのでそこは割り切ってどんどんやってほしいんだけど!)

 階層主並の打撃力を持つミシュエルや圧倒的な力を持つ「冥府の王」、そして魔王の存在等、話も大きくなってきたなぁ。危ない場面は多々あれどなんだかんだで2巻まで敵なし状態で勝ち続けてきただけに、冥府の王との戦いは手に汗握らされました。圧倒的な力を持つ相手を前にどうやって状況を打開していくのか、楽しみです。

 しかしコインランドリーはともかくA●Dは自販機に含めてしまっていいの!?今回得たスキルで一気に自分で出来ることが広がって、ますます「自動販売機」とはいいづらい存在になってきたなハッコン。あとは会話が出来るようになったらもうほとんど自販機としてのデメリットなくなってしまう……。


ご覧の勇者の提供でお送りします2

 

「勇者テレビ」での大活躍で、初のコンビ勇者として認知されたフウトとフィオーレ。だが、人気が高まったことで、パパラッチに狙われることになったフウト。ついには、勇者アナスタシアとの「深夜の密会!?」というゴシップ記事を掲載される。自身の不注意で迷惑をかけてしまったことを謝罪するフウトだが、逆にアナスタシアから“本当のデート”の誘いを受けることに。初めてのデートに右往左往のフウトと、どこかぎこちないそぶりのアナスタシア。ふたりの初デートの結末は?一方、ふたりのデートを知ったフィオーレは、なぜかイライラを抑えられず。さらなる波乱のニュー勇者ファンタジー! (「BOOK」データベースより)

 フィオーレとともに初の「コンビ勇者」として活動をはじめたフウト。ところが、早速ゴシップ誌にあることないこと書き立てられてしまい、憤る羽目に。記事の中にアナスタシアとの恋愛報道があったため、謝罪するために騎士団に出向いたフウトだが、何故かアナスタシアと本当の「デート」をする羽目になって……というお話。

 発売日に買ってたんですけどあとがきだけ読んで死んでた(お察しください)。

 アナスタシア&フウトの急接近と、ふたりの関係に無自覚でヤキモチを焼くフィオーレの三角関係がとてもかわいかった。相変わらず本意が見えづらいフィオーレの行動と、一直線すぎて周囲の気遣いが伝わらないフウトのすれ違いっぷりに気をもむ場面もあったけど、なんだかんだでコンビとしての意思の疎通が出来ていくのにニヤニヤする。

 「勇者」ではない、騎士団団長としてのアナスタシアや、年相応の少女としての彼女の一面も見れたのが楽しかった。ヒーローでありながら騎士団のアイドルというか、ヒロインのようにかわいがられる彼女の姿がほほえましい。というか騎士団の男衆のお姑さん具合笑った。

 各勇者に焦点あてた話をのんびり読んでいきたい物語だっただけに、ここで打ち切りというのが残念すぎる富士見絶対に許さない。明らかに2巻殆ど書いたところで打ち切り決まったんだろうなあというか、エピローグで強引に落としました感がまた切なすぎるというか……。