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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 3 死の礎は生

[著]入間 人間 [絵]左

なんとか病院から退院して、まーちゃんとの二人暮しを再開したみーくん。まーちゃんからのバレンタインチョコに絶句したり、ダイエットと称して自分の肉を包丁で削ごうとしたまーちゃんを必死に宥めたりとそれなりに平和(?)な日々を送っていたのだが、夜の散歩の最中に死んだ筈の妹(らしきもの)と遭遇する。そしてその直後、連続動物殺害事件は殺人事件へと発展して…
   個人的お気に入り度数
うむむむむ、とりあえず最後まで行こうと頑張って読んでみたけどちょっとこれはキツかった…良くない意味で。

1、2巻の頃はまだ「味」として読むことが出来た、回りくどいみーくんの一人称が3巻では更に気合入ってパワーアップ。あまりにも頻繁に「嘘だけど」「嘘だけど」って来るのでもう何が現実で何が嘘なのか区別がつかなくなってきました。もうこれがこのシリーズ最大の味であるのは間違いないし、三人称や「嘘だけど」が入らないみーまーなんか具のないお握りみたいなもんですが、テンポ悪いし読みづらいことこの上ない。

完璧に壊れてしまっているまーちゃんと違って、正常と異常のボーダーラインの上で意図的に“異常”の方に身を置きながらもゆらゆらしているみーくんの心情は実に様々な方向が不安定で、そんな彼の一人称に感情移入して読もうとすると全く理解できないまま物語が進んでしまうといいますか。結局何がなんだかわからないまま物語そのものに理解されるのを拒まれてしまったというか、煙に巻かれてしまったという印象。それが味といえば味なんでしょうけど。

まーちゃんの嫉妬をギリギリのラインでかわしながら他の女の子とコミュニケーション取ったり、まーちゃんの常識がスコーンと抜け落ちた珍妙な行動を見ているのは中々楽しいんですが、そのエッセンスだけでは楽しめないものがありました。あ、あと小指で繋がれた赤い糸のシーンが地味にグロくてきつかった……なんか無駄に想像できてしまうのが痛かった…。

うーん、嫌いな作風ではないんだけど、この読みづらさを我慢しても続きを読みたいかといわれるとどうにも。4巻はおそらく買わないかなあ。


女装萌えなライトノベル作品をその場の勢いでまとめてみた(修正版)

まいじゃー推進委員会さんの「落ち着け、その中の人は男なんだぜ?……なTS(性転換)ライトノベル」というエントリ(※サイト消滅のためリンク削除済)が何故かTSモノまとめエントリになってしまったことに血涙したその場の勢いで女装モノまとめエントリをやらかしてしまいました。基本的に「“女装”が該当キャラクターの特色の一つとして認識されており、それがシリーズの中である程度特色となっていること」というのを基準にして選んでいます。あと自分が読んだことのあるラノベ縛り。一応各キャラの作中での女装滞空時間率も載せているので御参考ください。

紹介形式上一部作品の紹介文に重要ネタバレが含まれる場合があります。
(※2022年7月18日:リンク切れを修正&紹介部分の文章などを調整しました)

2008年のラノベ界が誇る、二大人気(?)女装キャラ

誰が呼んだか「第三の性別」・木下秀吉(バカとテストと召喚獣)
滞空女装時間 : 30%以下 | 嫌がり度 : 20%(演技派)
傾向 : やや男性向 / むしろ性別「秀吉」向
一見美少女にしか見えない美少年にして、名実共に第三のヒロイン。文月学園「女装が似合う男子生徒」ランキングで「アンフェアである」という理由で候補から除外され、修学旅行に行けば一人だけ風呂を別にされ、水着のポロリでプールが血に染まる。ヒロイン二人を遥かに上回るサービスシーンの連続に、撃沈した男性の数は数知れず。ほぼ毎回女装シーンがあるのも一種のお約束です。
女装でスパッツはギリギリアウトでは!?白姫彼方(おと×まほ)
滞空女装時間 : 70%程度 | 嫌がり度 : 98%(最近下がってる?)
傾向 : ほぼ男性向 / 男だと思っているのは本人だけの予感
「かなたん」の愛称で親しまれる、男の魔女っ子。男なのに変身後の衣装がスパッツというのは冷静に考えるとセクハラでは……?それなりに男らしい性格をしているものの、わりと総受気質。クラスメイトの男女双方や魔女っ子仲間は勿論、母親や猫にもセクハラされつつ愛されちゃってます。最近はぼちぼちTS展開が混ざってきたので女装好きとしてはハラハラして見守っています。

元の姿とギャップがあるからこその「女装萌え」である。派閥のあなたに

“お嬢様”の正体は…跡見忍・鳴海千尋・藤間陽向・涼橋萌流(みずたまぱにっく。)
滞空女装時間 : 90% | 嫌がり度 : 不明(忍さんはおそらくノリノリ)
傾向 : どちらかというと少女向け?
表紙右側、他。お洒落に無頓着で男の子みたいに見える女の子が、名門女子校の「お嬢様」4人のお手伝いさんに……でも実は4人は男の子で……というお話。独特のテンポのある性別逆転系ほっこりラブコメ。女子校でのお嬢様としての姿と、寮での「素」に近い彼らの姿のギャップが良い感じでした。
真の姿はイケメン王子様。カーリーガード・アリソン(カーリー)
滞空女装時間 : 90% | 嫌がり度 : 50%(本意ではない)
傾向 : 格調高き百合のかほり。実態はベタベタな少女漫画。
表紙左側。主人公に色々と良くしてくれる同性の親友にして美しい黒い髪を持つ少女。しかしてその実態は……異国の王子。ヒロインの事が好きなあまり「残念なイケメン」になってしまう2巻が個人的には超ポイント高いですよろしくお願いします。
ファミ通文庫で一度打ち切りになって講談社文庫で新装版と続巻が出ているのですが、椋本夏夜さんの描くカーリーが完璧すぎるので挿絵も収録してほしかったんですって未だに暴れる。
性別を偽り生きる若武者・碓井貞通(魍魎の都シリーズ)
滞空女装時間 : 99% | 嫌がり度 : 0%(ノリノリ)
傾向 : 少女向/ギャップに萌えましょう
表紙左側。様々な苦難に遭い、自らの保身の為に性別を偽って生きる事を余儀なくされた、源頼光四天王の一人。本編ストーリーを見ると割りと現状をエンジョイしているように見えますが、外伝「花に嵐の喩えもあれど」では貞通の知られざる過去が明かされます。「男性として」の貞通とのギャップ萌えもしっかり完備。「女装はギャップだ!」という貴女にオススメしたい作品。

人の好みは人それぞれ。……女装の理由も人それぞ…れ…?

ただし記憶は残らない。葉山辰吉(えむえむっ!)
滞空女装時間 : 不明 | 嫌がり度 : -100%(ノリノリである)
傾向 : これをBLを言って良いのか悩む。
表紙になってなかった。ドM体質な主人公を見てもヒかずに優しくしてくれる貴重な親友。しかしてその実態は1巻時点での恋のお相手…!?というわけで、賑やかで不良のような元の外見と、おしとやかな和風美人な女装挿絵のギャップでの破壊力はバツグン。主人公との関係はBLといえなくもないような、人格もスイッチしてしまうのでBLではないような……と悩むやつ。
F組に降臨した裏アイドル(?)・アキちゃん(バカとテストと召喚獣)
滞空女装時間 : 10%未満 | 嫌がり度 : 100%(ただし終盤では慣れた)
傾向 : 良くも悪くも秀吉と方向性逆だった。
「女装の似合う男子生徒」「同性愛の似合う男子生徒」「こいつにだけはバカといわれたくない」ランキングで三冠を達成し、気がついたら数冊に1回くらいのペースで女装をさせられており、親友とは常時同性愛疑惑をかけられる可哀想なバカ。女装時の姿は“アキちゃん”としてブロマイドまで販売されているようである。序盤の恥じらいぶりがめちゃくちゃ好みだったんですが、原作終盤では完全に慣れちゃってましたね……。

男女の双子は女装のサイン!?入れ替わり系女装ラノベ

双子の姉と入れ替わって女子校へ…淡路雪国(SH@PPLE)
滞空女装時間 : 70% | 嫌がり度 : 90%
萌え傾向 : 割りと王道の双子入れ替わり系ラブコメ
クールでかっこよくて同性からモテる姉と平凡でちょっと弱気な弟。見た目はそっくりな双子が入れ替わってお互いの学校に通う入れ替わり系学園ラブコメ。基本的に2人の入れ替わりをきっかけにして入り組んでいく関係性を楽しむ正統派なラブコメなんですが、4巻のカラー挿絵が最高に「女装萌え」だったのでヨシ!!!
死んだ姉のために自ら女装して……桂高志(ふたかた)
滞空女装時間 : 60% | 嫌がり度 : 120%→30%
傾向 : ちょっとエロい
表紙左。交通事故で死んだ双子の姉・瑞希の霊に取り憑かれ、気がついたら女装させられていたという実にかわいそうな弟くん……と思いきや、とある事情で姉の為に自ら女装の腕を磨くハメに。こちらも結構正統派な青春ラブコメですが、割りと生々しい描写が多くて萌えというよりはエロに近いかも。

なんなら男子の姿とか出て来ない

女装したらモテまくり!?藍原ヒカル(アストロ!乙女塾!)
滞空女装時間 : 99% | 嫌がり度 : 30%(最初は嫌がってたけど…)
傾向 : 対読者よりも作中ヒロインがなぎ倒されてる
表紙右。なんの取り得もないオタク少年が何故か女装したら「完璧な美少女」になってしまい、その可愛さで並居る美少女達を陥落させていく。女装姿で女性のハーレムを築いていくという異色作。終盤はなぜか異能バトルでした。なお最初に女装させられてから基本的に戻らないという徹底ぶり。
見た目は美女だが心は漢・すめらぎ(ゼランディーヌ 〜性悪ないばら姫〜)
滞空女装時間 : 100% | 嫌がり度 : -30%(おそらくノリノリである)
萌え傾向 : 見た目はどうみても百合。
表紙右。田舎から出てきた純粋無垢なヒロインを振り回す、ワガママサドデレゴスロリ女装少年。ちょっとイった笑顔で日本刀を振りかざす姿は、性癖に刺さる人はめっちゃ刺さりそう。見てくれは百合ですが「百合」として萌えるには無理があるくらい中身が男性なんだよなあ……ちなみに男姿は出てこなかったです。

番外編:1回キリの女装イベント系で好きなやつ。
■ いーちゃん (クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子
 赤い人の依頼で女子高に潜入することになり、そこの制服を着ることになるネタが。
 ちなみにセーラー服です。まぶしいゼ!!!
 挿絵は……手元にないので確認できません。ありましたっけ?
 コメント欄で御指摘いただきましたが挿絵あったそうです。
 当初はもうちょっと女装ネタを挟む予定もあったとか……な、なんて残念な!

■ 渋谷有利 (息子はマのつく自由業!?
 少女レーベルは除外しようかと思ったんですが、せっかくなので一応。
 小さい頃の有利が母親に女装させられる話があります。挿絵もあり。正直、超萌えた…。

■ 椎堂密 (殺×愛 4?きるらぶ FOUR?
 文化祭で女子生徒の制服を着て女装するネタがあります。通称“密子”ちゃん。
 挿絵もありますが…個人的にはもっと気合入れて描いてほしかったぜ…。

■ 城島晶 (れじみる。Junk
 同じく、こちらも文化祭の出し物で女装するハメに。こちらはメイドさんです。
 挿絵がミニキャラしかなかったことに、本気で絶望した……orz

■ 二階堂勇樹 (疾走する思春期のパラベラム 灰色領域の少女
 ライバルグループの頭の少女との取引で、なぜか1日メイド体験をすることになる映研部長。
 しかしこのシリーズのキモはやはり勇樹の女装ネタよりも副部長・尾褄とのBL疑惑でしょう。
 条件を聞いてまるで勇樹の彼氏のようにワタワタする尾褄の姿は必見です。

■ ネイト・イェレミーアス (黄昏色の詠使い6 そしてシャオの福音来たり
 男子禁制の女の園に飛び込んだボールを回収する為、同級生達の手により女装を余儀なくされるネイト。
 なんだこの破壊力。素養あるとは思っていたけどここまで可愛いとは思わなかった…必見!!


文庫版「空の境界(上)」+映画版1〜3章感想

 

2年間の昏睡から目覚めた少女・両儀式(りょうぎしき)が記憶喪失と引き換えに手に入れた、あらゆるモノの死を視ることのできる“直死の魔眼”。浮遊する幽霊の群れ。人の死を蒐集する螺旋建築……。この世の存在のすべてを“殺す”、式のナイフに映る数々の怪異。非日常の世界は、日常の世界と溶け合って存在している。 あの伝説の同人小説の講談社ノベルス化が満を持して成就。“新伝綺”ムーブメントの到来を告げる傑作中の傑作がいま新生する!!

映画と同時進行で1ヶ月1章ペースで再読を進めていた「空の境界」、漸く文庫版の上巻分まで読み終わったので映画版とあわせての感想を。どちらかというと映画版感想の比重が高いかも。

1/俯瞰風景
実は私、映画化決定直後に再読を決意して、1章読みきるのに1週間を要して力尽きたという素晴らしい体験をしました。映画のパンフレットに掲載された解説に「わざと難解な作りにした」との言がありますがぶっちゃけそれから判断すると私は一応最後まで読んだものの、確実に“奮い落とされた”側でしょう。空の境界という物語は元々判り辛い物語に7章の時間軸がバラバラに配置されていることで更に読みづらさを上げている作品ですが、この「俯瞰風景」という物語は物語の中ですら時間軸が錯綜します。そこに良い具合で橙子さんや幹也の薀蓄が入り込み……で、一言で言えばとにかく読み辛い。

…で、この時間軸の錯綜が映画版では発生しないのでかなりシンプルな物語として描かれます。映画版のビジュアルで補完しながら読むと、あれだけ解読に時間のかかった1章があっさり数十分で読めました。1章で投げてしまっている人は、とりあえず映画版を観てから本編を読むのもアリかと思います。この文章ならではの「読みづらさ」が解消されると物凄く面白いんですよね、実際のところ。

それで映画版の方ですが、個人的にはテーマソングもストーリーも、今までに見た3章の中では一番好きだったり。「銀幕で観る」事を意識した効果音にはとにかく惹きこまれるし、ビルの上を浮遊する少女達というどこか現実離れした風景は美しい。屋上で繰り広げられるバトルシーンもどこか現実離れしたかっこよさが…。そして田中理恵さん演じる巫条霧絵の最期の独白シーンには泣かされました。この回だけ2回見に行ってしまったのですが、とにかくあっという間の1時間でした。

あとハーゲンダッツの殺傷能力が高すぎます。式可愛いよ式。

2/殺人考察(前)
高校生時代の幹也が式と出会い、式が昏睡状態になるまでの話。最初に本編を読んだときも一番内容を覚えていた話なんだけど、やはり1章&3章と比較すると全然読みやすかった印象。実はというか予想通りというか、この話に登場する式のもう1つの人格“織”が凄い好きなので、織と幹也のデートシーンではニヤニヤが止まりませんでした。ちなみに映画版のデートシーンではもうひとつ、「月姫」シリーズ好きには思わずニヤリな仕掛けが。

映画版は幹也と式(織)の日常がメインになる分、他の2章よりも冗長な印象を少しだけ受けました。というか、内容を全く理解できてなかった1章・3章と比べて内容をそれなりに覚えていたのが逆に冗長さにつながってしまったのか…でもまだ初々しい二人のやりとりにニヤニヤ出来る、良い話です。式の笑顔が結構良い確率で見れるのも個人的には美味しい。後半殺伐だけど気にしたら負け。

余談ですが、織と幹也のカップリングはやはり腐カップリング扱いなのでしょうか。うーむ。1章・2章終わったあとに「コクトーはヒロイン!!コクトーはヒロイン!!と騒いでいたのは何を隠そう私です。

3/痛覚残留
式が目覚めて2ヵ月後に起こった、式が左腕を失うきっかけとなる話。出番が空気でお姫様状態な1章、なんとなく妙に悟った感じの高校生時代な2章と比べ、不思議と3章の幹也が凄く人間臭く感じてました。それまで解説担当というか薀蓄担当みたいな印象があった彼がアクティブに動く姿が見れるからかな。しかし、1度読んでる筈なのにカケラも内容を覚えていなかったのはなんでだ…orz

映画版を観た後に原作を読んだら、かなり様々な部分が削られてシェイプアップされてますね。藤乃と幹也のやりとりは相当短縮されてますし。ただ、だからこそ「映画を見た後に原作を読んだら、映画では判らなかった部分が理解できた」というのが結構多かったように感じます。かといって、映画がつまらなかったと言うことは全く無く、細かい描写を省いた分バトル面が引き立っていたような。バトルシーンは3章が一番気合はいってます。式と藤乃の超能力者対決は特に必見。

ちなみに映画版は始まった途端にいきなり「ギッコンバッタン」です。
擬音が何を示すかは推して知るべし。
てっきりグロ方面やファン層の関係でレイトショー公開だと思っていたのでこっちの方面で攻めてくるとは予想外でした。いや、確かに原作でもそういう類の表現あったけどよ!!!

映画版。ラストの式の笑顔は反則です。可愛すぎます。

総括
「空の境界」本編はとにかく難解で判り辛く、読みづらい小説です(少なくても私にとっては)。ただ、そのとんでもない読みづらさを無理に押してでも、ラストまで読んでしまうような魅力を持つ作品であると思います。解説の綾辻行人さんが評されているとおり、キャラクターにしろストーリーにしろとにかく「かっこいい」という言葉が似合う作品。

とりあえず映画を見て、ビジュアル面での補完を行ってから本編を読むと非常に読みやすくなるので、その辺で詰ってしまっている人にはとりあえず映画見るのを超オススメします。映画は本当にクォリティ高いので、原作を全く知らない人でも十分楽しめるかと。そして、該当する章を読んだ後で再度映画館行くと、文庫版で更に補完が出来ているので新しい発見があったりするかも。

とにかく、文庫版は単独で読もうとすると難解なんだよなあ……私の読解力が無いといわれればそこまでですが、特に「俯瞰風景」で投げてしまう人は凄い多そう。Web小説として掲載する際は確かにある程度読者の振り落としを必要としたのかもしれないけど、それが現在まで残ってしまっているのはなんだかもったいない。

あと、今回映画版を見てつくづく思ったのですが、やはり奈須氏の文章はビジュアル面での補強がそろって初めて真価を発揮するんじゃなかろうかと思うのですよ。「DDD」ではその読みづらさは多少なりを潜めた印象がありますが、やはりどこか読みづらい印象は拭えない。その読みづらさが、「月姫」や「Fate stay/night」では全く感じられないんですよね。別に文章力が無いとかそういうことを言いたいわけではなく、ただ「そういう」文章なんじゃないかと。だからこそ、やはり小説版で満足している人も映画版を一緒に見て欲しいなあと思う。「小説版」「映画版」の相互補完によって空の境界という作品は初めて完成するのではないかと、そういう印象を受けました。

そして映画版。とにかく効果音とかが映画の大迫力で観ることを前提に作られているというカンジなので、観れる環境があるなら是非映画館に見に行くべき!!と主張したい作品です。…とはいうものの、常時満員御礼&Web予約は日付変更後数分で完売という状態が3ヶ月続いているので相当の気合とか根性が必要となりますが…上映映画館少ないし、地方じゃやってないし。あと男性比重が極端に多いので、個人的に女性一人では入り辛い雰囲気が結構ありますね。女性一人で行って立見とかになると相当きついかも。でもそんな障害を乗り越えてでも、見に行く価値のある映画だと思います。

最後に、映画が始まる前のクレイアニメーションは型月厨的に超必見。猫アルクとかやさぐれ凛とかが何気なく出てきて、ファン心をくすぐりまくりやがります。
DVD化の際は当然映像特典として収録していただきたいところ。


お狐サマのから騒ぎッ!

[著]かたやま 和華 [絵]風都 ノリ

九尾の狐・紗那王に取り憑かれてしまった桐緒は、芝居を見に行った帰りにお尋ね者の高札を見かける。武士の刀を奪っていると言う辻斬りに怒りを覚えた彼女は、三百両という破格の賞金と“狐憑きの器”を認めてもらいたいという想いもあって夜のシン宿へ向かったが…!?
   個人的お気に入り度数
2巻にして安定した面白さと言うか、安心して読める1冊というカンジでした。

口では散々言いながらも紗那王が気になってしょうがない桐緒と、態度には出さないけど桐緒のことが心配でしょうがないらしい紗那王のすれ違いっぷりが可愛らしくて、読んでて飽きない。二人のとにかく不器用なやりとりに時にはニヤニヤ、時にはハラハラさせられながら一気に読みきってしまいました。

今回は自称「桐緒姫の一の家来」と彼女を慕う、紗那王にとっては恋のライバル(?)なシデンが登場し、いい具合に二人の間を引っ掻き回してくれます。シデンの妨害やら紗那王の家の事でなかなか誤解を解く暇を与えてもらえず、内心右往左往な二人が可愛い。また、そこに1巻であんな分かれ方をした藤真様の影が見え隠れして…と、事態がどんどんややこしい方向に。紗那王は、桐緒に信頼してほしいって思って敢えて何も言わないんだと思うんだけど、そういうところがますます二人の空回りの原因になってしまっているのがちょっともどかしかったです。猫にはあんなに優しく出来るのに?!!という桐緒の気持ちもちょっと判ります。

そしてとにかくトラブルメイカーな紗那王の姉・翠蓮王様がとっても素敵な役回りでした。最初は典型的なイヤ?なヤツかと思っていたら、正体がわかってみたらこれが非常に可愛らしい女性でして。見てくれは大人なのになんだか子供らしい一面を持っているというギャップが本当に可愛らしいお姉さんでした。今後も是非とも活躍して、事件をややこしくしていただきたい人材です。

紗那王の「斑取り」の事といい、また話がややっこしくなってきそうな気配がするので、今後どんな風に話が進んでいくのか期待。


彩雲国物語 隣の百合は白

[著]雪乃 紗衣 [絵]由羅 カイリ

年末に士気が下がる左右羽軍の面々を盛り上げるため、武術大会が催されることになった。優勝者は宮廷一の色男・櫂瑜様の恋愛指南が受けられると聞いて左右羽軍以外の部署の官吏達や御馴染みの面々までが飛び入り参加して…!?
他、邵可が黒狼を継ぐきっかけとなった話、そして百合姫から見た通称「悪夢の国試」の顛末のお話の計3本+αを収録。
   個人的お気に入り度数
遂に黎深様の時代がやって参りました。

後半2篇がまさに黎深様スペシャル。ここんところ、全体的に出番も無く影が薄くなりがちな黎深様の登場を心待ちにしていた貴方は絶対買いの1冊となってますw

「恋愛指南争奪戦!」はあらすじやタイトルからも想像出来る通りの、典型的なコメディ話。必死に優勝を狙う武官達を容赦なく追い落としていく御馴染みの面々の容赦ない姿も素敵過ぎますが、オチもいい具合にいかしてます。しかし、終始笑いの止まらない作品だっただけに、ラストではしんみりしてしまいましたね。

次の「お伽噺のはじまりは」は、紅家三兄弟の兄弟想いな姿が伝わってくる良い話。弟たちの為に自らの手を血に染める事を決意した邵可の姿にも胸を打たれるのですが、それ以上にラストの黎深・玖狼のやりとりが素敵すぎでした。黎深かこいいよ黎深。

そして書下ろしとなる「地獄の沙汰も君次第」。天上天下唯我独尊まっただなかの黎深が、邵可の傍に居たいが為に国試を受けようとして…という話。邵可や秀麗にはあんなにストレートな愛情表現をする黎深様が百合姫や「悪夢の国試組」に対してみせる素晴らしいツンデレっぷりに、最後までニヤニヤが止まらない話でした。紅家の経済力をフル活用した挙句、最終的には「あの」前王まで巻き込んで……というくだりではもう爆笑しっぱなし。黎深様かこいいよ黎深様。

そして更に何げに良い味出しすぎなのが、コウくんこと幼少時代の絳攸。黎深を無邪気に慕うその姿は様々な意味で同情を禁じえませんでしたが、その後も黎深と百合の仲を誤解(でもあながち間違いではない)してみたり、百合と噛み合わない会話をしてみたり……と可愛さ炸裂でした。

今まで出た「彩雲国物語」の短編シリーズの中では文句なしに一番面白かったんじゃないでしょうか。特に紅家及び吏部ファンの人は必読の一冊です。


れいしん様かっこいいよれいしん様。


嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 2 善意の指針は悪意

[著]入間 人間 [絵]左

殺人未遂の被害者として入院した僕こと<みーくん>を追いかけて、自分の頭を花瓶で殴ると言う自傷行為に及んだまーちゃんは僕と同じ病院に入院してきた。そして数日後、再び彼女の頭は花瓶と巡り合わされた。今度は誰かの手によって。この状況からまーちゃんを助けるため、みーくんは事件解決に向け動き出すが…
   個人的お気に入り度数

色々な意味で突き抜けていた前巻と比べると大分小さくまとまってしまった印象を受けました。個人的には、「化物語」ばりの軽妙な会話がお気に入りだったので、その会話にキレがなくなってしまったように感じたのは残念で仕方が無いです。あとまーちゃんのヤンデレ具合も1巻のほうが突き抜けていたかも。

ただし、今回は「みーくん」の正体が1巻で明かされている分、それまではなんとも思わなかった「まーちゃんとみーくんのやりとり」がなんだか少しスリリングなモノに感じました。本来持っていないはずの記憶をさも自分のもののように語るみーくんと、時々ただの「頭のオカシイ女の子」ではないんじゃないかと魅せ付けるまーちゃんのやりとりが凄く良かったです。

ヤンデレ・壊れ系としては1巻には及ばないし、ミスリードも今回はすぐにわかってしまう程度のモノだったのであまり面白くなかったんだけど、1巻とは別の方向で面白くなってきた感じ。ていうかぶっちゃけまーちゃん、みーくんの「正体」についてちょっと勘づいてるっぽいような気がしなくもないのですが…

でもやっぱり、元々1巻構成だった所を無理矢理続き書いた感じが否めなかったり。1巻以上のインパクトは早々生み出せるもんじゃないよなあ。あの事件が今回の事件に関してこんな風に繋がっていくとは思いもしなかったけど。あと捜査のためとはいえ、老人虐待は駄目だよみーくん。


当ブログでのライトノベル定義はこんなかんじ。

これを機会にラノベ読みの人達の「ここまでがラノベ」って話を沢山聞けたら嬉しいですねえ・・・。

とのことなので、面白そうなので便乗します。
あくまで個人のイメージですので、「これ明らかに違うぞ」ってのがあっても目をつぶってあげてください。

私が「ライトノベルだ!」と無条件で思っている本

 ・漫画っぽいイラストが表紙である。
 ・本文内に漫画っぽい挿絵が入っている。
 ・挿絵の人がオマケマンガを前とか後ろに描いていたりする。
 ・漫画・アニメ・ゲームなどのノベライズ作品全て。

従って「塩の街」とか「砂糖菓子?」は電撃文庫版がラノベでハードカバー版は微妙。
銀英伝も私の中ではギリギリラノベ外というイメージなのですが、多分道原先生が挿絵をしていらっしゃるVerはラノベ認定になるのかと。天野絵の創竜伝は微妙だけどCLAMP絵の創竜伝はバリバリラノベだと思って読んでたりしましたね。

余談ですが、がっつりスレイヤーズ世代な私は「銀河英雄伝説」といわれると
田中芳樹よりも先に伊東老師の漫画「宇宙英雄物語」を思い出します。

だってなんだか字面が似てるから。
ハマってた当初良く取り違えたから。
ついでにリューナイト大好きだったから。

…本当に申し訳ありません両先生。

私が「ライトノベルだ!」と無条件で思うレーベル

 ・上記の内容に当てはまる内容の本が大多数を占めるレーベル
 ・メインとなるジャンルが判らないカオスなレーベル

私はラノベってジャンルと言うよりもレーベルの種類だと思ってます。
「ミステリ」も「ファンタジー」も「現代小説」も一緒くたに含めて
いいとこ取りできるのがライトノベルレーベルの美味しい所ではないかと。
だから正直、基本恋愛が主体の少女レーベル全般は
厳密には「ライトノベル」には含まれないと思う。
あれはもうラノベとは似てても同一ではない「少女小説」ってジャンルでいい。

あと、理由はないけどファウスト系はラノベっぽくない気がする。

ただ、いっしょくたに含めてなんでも「ライトノベル」って定義できるので
逆にレーベルに限定しないライトノベルの定義と言うものは猛烈に広いと思います。
美少女文庫系もボーイズラブもそれっぽかったらライトノベルでOKみたいな。
そのカオスさがラノベの魅力!!


…そんなこんなで、私の脳内のライトノベル定義を出来るだけ再現してみたのがこちら↓
soukan.gif
明るい緑の枠の中が広い意味での「ライトノベル」の定義。
一応右に行くほどSF・ファンタジー率が高いレーベル・作家で
左に行くほど舞台は現代で不思議率が下がるという方向になってます。
角川スニーカーは学園モノが多い気がするので左。
朝日ソノラマは内容的にはほぼSF方面に偏ってるけど表紙絵がいつも漫画家さんで、挿絵もあるので。

もっと良い分け方はあるとおもうんだけど、そのへんはつっこまないであげてください…

なお、ガガガとかファウストとかはレーベル自体良く知らないので省略。
美少女文庫系もとりあえずBLとの対比で入れてみたけど全く判らないです。
MF文庫JはこのブログにMF文庫の感想がほぼ皆無なことからもお分かりの通り、殆ど読んだこと無いのですが、やたらとラブコメ率が高いというイメージがあります。実際のところどうなんでしょうね。

【8/27追記】
少女小説周りと修正したのとガガガ文庫をこっそり追加しました。
ビーンズとルルルは特に他のレーベルよりもライトノベルに近い印象を受けます。なんとなく。でもBLっぽかったりルビーパーティっぽかったりと女性向率は高いと思われるのでこんなカンジに。ウィングス文庫も入れるならビーンズの直上あたりですね。
ガガガ文庫は、エロゲライターの起用や「武林クロスロード」のタマモノでMF文庫Jよりも男性向な印象をもってたり。


みずたまぱにっく。2  - This is MIZUTAMASHIRO!! -

[著]ハセガワ ケイスケ [絵]七草

忍がある日、涼橋寮のメンバー全員を巻き込んで「コスプレ部」を立ち上げるとか言い出した。当然生徒会には却下されるのだが、そこから何故か"薔薇の団"全員で廃部寸前の歌劇部と生徒会の五月祭での手伝いをさせられる羽目に。なしくずしに忙しい日々を送ることになったマシロだが、そこに思わぬ落とし穴が…!?
 

男の子みたいな女の子と美少女少年4人が織り成す、学園コメディ第二弾。相変わらず独特のほのぼの感と妙なテンションのギャグが絶妙にマッチしていて、読んでいて楽しいシリーズ。正直「しにがみ」路線よりもこっちの路線の方が向いてるんじゃないのか、とか思ってみたりして。

五月祭の準備でてんやわんやの中実力テストがあり、成績が下がって特待生の基準を下回ってしまったマシロに退学の危機が…—という話で、「エア・メガネ」こと千尋の過去も明かされます。この「特待生」の基準とか、改めて考えると凄い高い基準ですよね。例え1番の成績は取れていないといえど、普通にその基準をクリアしていたマシロって案外かなり凄い。

そして今回はマシロ自身の魅力が大幅にクローズアップ。最初の方は“薔薇の団”の一員になったマシロに近づけばお姉さま達に…という下心が大きくあったんだけど、“五月祭”で彼女自身の魅力に気づいた学生が多かったんじゃないかなと思います。周囲の態度の変化に動揺を隠せないマシロがまた可愛いですね。エアメガネには…元々メガネ属性皆無なのであんまりときめかなかったかな。ちょっと「エア・メガネ」を引きずりすぎという印象も否めなかったし。

まあ何を言っても個人的ベストヒットは 中盤の陽向なんですけども。 なんだか 物 凄 い 萌 え ッ 子 が 出 て き た ぞ !?二重人格萌えとしては物凄く何かを期待してしまうのですが。ここは一つ、早い事陽向メインのお話をやっていただきたく思います!!順当に行けば次は陽向の話になるはずだし、これは3巻が楽しみだぜうへへへへへ。

ところでやっぱりこの作品、かの少女漫画界に咲くドクダミの花・岡田あーみんの蝶名作ギャグ漫画「ルナティック雑技団」の影響を受けてるみたいですね。

「この問題はね、まずじーっと見てみるんだ。しばらくそうしてると文字列がぷっかりと浮かび上がってくるでしょ。そしたら、左脳で文字たちが決闘をはじめて、あとは、右脳が勝ち残った文字をたたえてくれるんだ。ソレが答えだよって!ね?簡単でしょ?」

……ここに天湖森夜がいるよう…。


4088537211ルナティック雑技団 (1) (りぼんマスコットコミックス (721))岡田 あーみん
集英社 1994-03

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カッティング Case of Mio

[著]翅田 大介 [絵]も

恐ろしく美少女で頭も良いが左腕に血の滲んだ包帯を巻いてリストカットの跡を晒し、クラスの中でも孤立している少女・西周ミオ。そんな彼女に一目惚れした相坂カズヤはミオに告白し、付き合うことになった。暫くはお互い隣り合って静かに本を読むだけの毎日が続いていたが、徐々にミオも心を開き始める。ところが、ある日ミオが通り魔に襲われて…
 

「リストカット」という題材自体は正直好きではないのですが、表紙絵に惹かれて購入。序盤の主人公の明らかに高校生らしからぬ言動にウンザリしかけたりしましたが、ミオの態度が変わってくる辺りから語り部である主人公・カズヤの態度も少しずつ変化してきて、それ以降は一気にストーリーに引き込まれました。正直、前半の主人公の言動をどれだけ許容できるかで相当評価が変わってしまいそうな作品です。まあ、その後も基本的に主人公は過剰なまでの気障発言を連発し、私たちを間違った意味でクラクラさせてくれますが……いいんかこんな高校生…

最初は会話もせずに本ばかり読んでいて周囲からも異様な目で見られていたのが、ミオがカズヤに話し掛けた事をきっかけに、本当に少しずつ二人の距離が縮まっていくという過程が凄く良かった。初めてのデートで緊張したり、互いの家に行って勉強したり……と、だんだん行動が普通の高校生カップルになっていくのが本当に素敵。

ただ、そういうもどかしい二人の関係が凄く気に入ってしまったので、中盤でミオが通り魔に襲われて以来の近未来SFっぽい設定がちょっと蛇足に思えてしまったり、みなかったり。後半を読んでいくと蛇足な設定ではない事がちゃんと分かるんだけど、そこにたどり着くまでが遅い。なんか普通にこのまま、リストカット少女と重度の中二病患者である主人公がお互いを感化しあって良くなっていく話でも良かったのになあとか思って、少し残念。

主人公が今まで自分に感じていた違和感の正体に気づいたり、ミオがリストカッターである真の理由が明かされる後半は、ある意味このストーリーで微妙に思っていた部分の種明かしを受けているようで面白かったです。確かにミオがただのリストカッターだったらもっとどろどろした話になっていた可能性が大きく、上手く説明を付けたなあと。ラストは青春らしい、熱い展開で最初予想していたのとは大きく違ったけど、楽しく読めました。

個人的には、主人公が中学時代にお世話になった元生徒会長・沙姫部先輩が非常にツボ。やはりラノベの生徒会長キャラは一味違うぜ!!


ダナーク魔法村はしあわせ日和 ひみつの魔女集会

[著]響野 夏菜 [絵]裕龍 ながれ

今日は「冬始まりの日」。新しい冬服に身を包んだイズーは突撃魔女・ビーから今夜は外に出ないよう、念押しされる。なんでも男子禁制の「ひみつの魔女集会」が行われるらしい…。好奇心をそそられはするものの、もう「ま」のつく面倒ごとに巻き込まれるのはこりごりだ、と家でおとなしくしていたイズーだったが、あろうことかダナーク署署員のシーカーが魔女集会を覗いてしまって…?!
 

長らく放置してました、「ダナーク魔法村」シリーズ第二段。好奇心から「ひみつの」魔女集会を覗いてしまったシーカーを助けるためにイズーとビーが奔走するというお話。

どう考えても一大事だっていうのに、妙に緊張感の無い村人の一連のやり取りが素敵過ぎます。魔女鍋にぶちこまれることよりも、自分を煎じて出来る薬が単なる軟膏だという方に文句をつけるシーカーとか、とりあえずシーカーがぶち込まれた牢屋に色々運び込んじゃう村の男達とか…軟膏のくだりについては、本気で飲んでたお茶噴きそうになりました。もうほんと、常識人なイズーの苦労が偲ばれます(笑)

ただ、逆にそれだけのんびりしたやりとりがあるからこそ、魔女達のはっきりとした態度に薄ら怖いものを感じてしまいました。村の男達もシーカーに差し入れをするくらいはやるけど、助命嘆願みたいな話には絶対に乗ってこない。ほんと、こういう“伝統”だの“慣習”のたぐいって怖いです。

シーカーの罪を帳消しにしてもらうため、「まくらの森」と呼ばれ、普段はダナーク村の人々が近づかない闇の森に向かうイズーと、魔女長アガードの命令でイズーについていくことになったビー。ビーをはじめとしたダナークの魔女、特にマリーク家にまつわる確執などといったダナーク村の影の部分が少し明らかになって、今後の展開に影を落としてきそうな感じです。いつのまにか3巻が既に発売されているようなので近いうちに買ってきたいと思います。

それにしても、本編もさることながら今回は普段とは違ったビーの一面を見て、内心右往左往するイズーが非常に良いですね!特に元気の無いビーを励まそうと孤軍奮闘し、我に帰って自己嫌悪に走る辺りのくだりなんか最高!!しかもそんなイズーの心遣いを知りつつもさりげなく焦らして美味しいところを持っていくビーが可愛い。

何も知らないまっすぐな少女と思わせておいて(それもまた彼女の一面ではあるのですが)、今回は完全にイズーより一枚上手でした。この二人のやりとりは是非もっと見てみたいです。

女の子はみんな魔女!!