“田口 仙年堂” の検索結果 | ページ 3 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:田口 仙年堂 (72 件 / 8 ページ)

コッペとBB団 その3

[著]田口 仙年堂 [絵]はしもと しん

かつてコッペを生みだし、BB団を裏切った男・K次郎博士の残した隠し部屋が発見され、その部屋に怪人の製造ポットが設置されていた。コッペの「弟妹」達の誕生に沸きあがる一同だが、BB団の支部が正義のヒーロー「トリオ・ザ・ナイトメア」に襲撃されて……
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アットホームな悪の組織・BB団と人工人間の少女・コッペが織りなすドタバタコメディ。「FBオンライン」で連載されていたお話に書き下ろしを加えた最終巻。

コッペの弟妹となる怪人で炎の男・ミスター・フランベ、氷の美女・ミス・ソルベ、大地の巨漢・ポテト・パパ、風の少年・アロマ・ボーイという4人が怪人として、そして「家族」として少しずつ成長し、絆を深めていくというお話。相変わらずちっとも「悪の組織」にはちっとも見えないBB団の面々と、凶悪な力を持ってはいるものの心優しく、敵と戦う時ですら躊躇してしまう彼らの姿が印象的でした。また、弟妹達の誕生によって4人の「お姉さん」としてこれまでと違った立ち位置で描かれるコッペの奮闘もなんだかほほえましい。

しかし、敵である「トリオ・ザ・ナイトメア」がまたちっともヒーローらしくなくて、彼らとの闘いを見ているともうどっちが悪の組織でどっちがヒーローだかわからなくなってくるから困る。ミスター・フランベが彼らに対して「そういえば俺達は悪の組織だった」みたいなこと言いだす場面がありましたが、あれは全国の読者も同じ気持ちだったのではないかと。しかしその一方で、最初バラバラに各自のやりたいことをやるだけだった「トリオ・ザ・ナイトメア」の子供たちが初めて“強敵”と呼べる存在に出会い、敵を打ち倒す為に少しずつ協調して戦う事を覚え、人間としての成長を果たしていく姿が印象的でした。そして予想以上に肝っ玉母ちゃんなゴーストWさんがすてきすぎる。

そしてエピローグではいい人だらけのBB団がなぜ「悪の組織」ではならないのかという、物語の秘密の一端が明かされます。しかしP子がラストで呟いているように、彼らの目的は徐々にコッペ中心のものに変わってきているわけで、BB団が今後どうなっていくのかは非常に興味をそそられます。むしろ数年後には普通に正義の組織に生まれ変わっててもおかしくないんじゃね!?コッペの進学とか主にそういう方向の理由で。

しかし、もともと「FBオンライン」で連載されていた作品と言うだけあって外伝色が強く、これが「最終巻」と言われてしまうのは少し物足りなさを覚えます。ゆっくりとした発刊ペースでも構わないので、彼らのアットホームなやりとりをもう少し眺めていたかったような。3巻も十分面白かったけど、ミスターフランベ達4人が中心になってしまって本来の主役であるコッペ達は物語の中心に居ませんでしたし。

また何らかの形で続きが出ないかなあ、と思わず考えてしまう最終巻でした。


本日の騎士ミロク2

[著]田口 仙年堂 [絵]高階 聖人

赤目隊の作戦が功を奏し、なんとかホラキア軍を退けたジルサニア王国。捕虜となったジュジュの幼なじみにしてホラキア国王子・ベンヤミンの口からもたらされたのは、ミロクの生まれ故郷でもあるオウガンの魔導士がホラキアを陰から操っていたという情報だった。講和条約と姫の講演を行うため、急遽ホラキアに向かう赤目隊の面々だが…
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変わり者揃いの王国騎士団「赤目隊」に入隊したミロクが、破天荒な王女様・ジュジュに振り回され、こきつかわれつつも難敵に立ち向かっていくファンタジー第二弾。今回は前巻でも不穏な影を覗かせていたミロクの故郷・オウガンが本格的に「ジルサニアの敵」として登場し、自らの立ち位置にミロクが葛藤するお話。

ジルサニアの王女ジュジュ、ホラキアの王子ベンヤミン、オウガンの皇子であるミロクとシェンラン。肩書きは同じでもそれぞれ違う立ち位置にいる4人が様々な思いをもって自らの国を思い、憂い、互いの護りたい者ため相対していく姿が印象的。たとえそれが未熟な想いでも誤った道であっても、誰も彼もが自分の国やそこにいきる人々のために一生懸命で、その姿が清々しく映る。特に、ヘタレヘタレと思っていたベンヤミンの成長っぷりには驚かされました。ラストのベンヤミンの演説はマジかっこよすぎる。

なし崩しに祖国と対立することになってからはじめて祖国とジルサニアのどちらを取るかで葛藤するミロクは残り3人の王子・王女達の姿と比較するとあまりにも考えなしだなあ、と思うわけですが(もちろんオウガンがジルサニアを攻める可能性自体が元々低かったというのもあるんだろうけど)、迷いを振り切って『どちらも救う』という第三の選択を選び、かつての友と相対する姿の凛々しさといったらない。っていうか名乗り合いのシーンがかっこよすぎなんですけど!!!うわあああミロクかっこいいよミロク!!!(ゴロゴロゴロ)

しかし、シェンランはカラー絵からしてふつうに女の子にしか見えないなあ…どうせならもうちょっと性別不詳系美形キャラっぽく描いてほしかった気が……挿し絵だとふつうにかわいい女の子なので、文章から受けるキャライメージとのギャップに時々戸惑いました。むしろふつうにシェンランでもいいじゃない……確かに「お兄ちゃん」の破壊力は妹萌え属性ない私ですらグラっとくるほどやばかったですが!いやでも、シェンラン×ミロクでもいいじゃない……(いろいろだいなし)

まだまだいろいろな部分で未熟なミロクと、とにかく肝心な所で言葉の足りないジュジュを暖かく見守る赤目隊とジルサニア王家の人々のアットホームな雰囲気も前巻から引き続き最高です。というかフェリサ最高です。あの外見のクールさと、口の悪さ及び中身のえげつなさが醸し出す壮絶なギャップが最高すぎます!!もっとフェリサ目立てばいい…むしろ彼女主役のスピンオフ短編とか超みたい……フェリサかわいいよフェリサ…!!

次巻はいよいよオウガンとジルサニアとの対立が本格化しそうな感じ。というか●●…だと…。物語がどの方向に転がっていくのか、とても楽しみです。


本日の騎士ミロク1

 

生来の気の短さからバイトを次々とクビにされたミロクは唯一の特技である剣を振るう事が出来る職場としてジルサニア騎士団を志す。ところが、配属されたのは「赤目隊」と呼ばれる変わり者ばかりが集められた、剣を持たない部隊だった。ところが憧れのお姫様・ジェルメールの意外すぎる素顔を目の辺りにしてイライラが募るばかり…!?

「吉永さん家のガーゴイル」「魔王城」シリーズの田口さんが富士見ファンタジアでおくる新シリーズなファンタジーもの。

血生臭いシーンも多かったですが、それ以上にやたらとアットホームな王族の皆さんとか移民であるミロク達に偏見のないジルサニア国の人々がまるで国ごと御色町(※吉永さん家のガーゴイル)みたいな心地よいご近所臭をかもしだしていて素敵です。もちろん、メインのお話はミロクと「赤目隊」のメンバー達の繰り広げるお話でそこに登場するキャラクターもそれぞれ魅力的なんですが、バイトをクビにしつつもミロクの転職先を提案してくれる食堂の店長さんとか、何かと話し相手になってくれる“騎士”の入団式でお隣だった公園管理人のお爺ちゃんとか、名もない脇役がいい味出してて、それがとてもツボに入る。

しかし、ストーリーはこのテのファンタジーラノベ的には王道中の王道すぎて先が容易に想像できてしまい、少々物足りないものがあったかも…ミロクに隠された過去とか「実は皆有能なんだよ!」な設定のあたりは明かされても「ですよねー」って感じになってしまってました。

そんなありがち感を一気に吹っ切ってしまうようなクライマックスには胸がスっとした!とっさの機転で武器にしたアレを構えてのシーンでも様々な意味で非常にときめいたのですが、返り血スキーとしては263Pのミロクの挿絵とその周辺でニヤニヤせずにはいられない。普段はヘタレバカだけど戦闘シーンではワイルド系有能(+返り血)って、なんだこの燃えキャラ!!!「ガーゴイル」「コッペ」、それに「魔王城」のイメージを加えても意外なほどに血生臭い展開にもびっくり。赤目隊、容赦ねー!

でも個人的には、展開よりもなによりもフェリサにしてやられた気がしてなりません。
銀髪無口娘=「何、このフェリ」とか思っててすいませんごめんなさい!口を開いた彼女の第一声を聞いた瞬間噴出しましたよ!!意外性的な意味でいいキャラすぎる…ひょっとして終盤まで殆ど口を開かなかったのはこのためだったんだろうかとか。

ミロクの過去やジュジュに隠された力をはじめとして、まだまだ色々な謎が残っているのでその辺が今後どういう形で明かされていくのかも気になります。続きがとても楽しみです。


魔王城二限目

[著]田口 仙年堂 [絵]朝未

“魔人”の子供たちの教師となったエイゴは、彼らと町の人々が少しでも理解し合うために、彼らが人の中で生きていくことが出来るように「社会見学」を計画する。なんとか町の人を説得し子供達を連れて町を訪れるが、町の子供たちの嫌がらせが思わぬ事態を招いてしまい…!?
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強大な力を持ち「魔人」と畏れられる子供達と、彼らの「先生」役としてやってきた軍人の青年達の心の触れ合いを描くファンタジー第二弾。

今回は表紙の通りキサラとマルスのターン!!社会見学をきっかけにして絵の才能を持つキサラと、不思議な音楽を奏でるマルスの才能がとある人物に認められて…というお話。町の人々と打ち解けるのには予想通りに様々な難題が立ちふさがるのですが、本当に僅かながら“魔人”である彼らと打ち解けようとする人々がいるという事に、なんだかほんわかしてきます。

そして、伯爵、本当に良いキャラだ…!!てっきり権力者にありがちな、横暴な頭の固い貴族かと思いきや、“魔人”達の力を危険視しながらも、評価できる才能があるなら偏見を持たずにきちんと評価し、それを生かさせようとするという、正しい意味で「貴族の誇り」を持った好人物でした。伯爵いい男だよ伯爵。エイゴとの関係にもにやにやします。

しかし一方で「魔人」を排除しようとする軍の上層部の人間…というよりもかつての「英雄」を妄信する狂信者的存在が動き出してなんだかきな臭くなってきた感じ。件の人は「ガーゴイル」でのレイジ的な存在になるのか、それともこの人はまだまだ前座でその上に更なる巨悪が立ちはだかる感じなのか。今後の展開が楽しみです。

それにしても、あとがきが色々凄い。初コミケが夏コミで一般入場っていうのは最大級にきついパターンだと思うんですが!あれ以上にキツかったコミケは、雪が降った年にコミケ一般参加したときくらいだなあ…。


ガーゴイルおるたなてぃぶ ZERO

[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二

実家を出て一人暮らしをしながら「鳥屋」というなんでも屋を営む駆け出し錬金術師・東宮ひかる。錬金術の研究にはお金がかかるし、なかなか依頼は来ないわで貧乏と戦う毎日を送っていたが、同じマンションで花屋を営む板垣から「ひかるちゃんにぴったりな仕事」という依頼を受けて…
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ひかるとガー助が古科学者達と戦う発端となった事件を描いた短編に、高原喜一郎を主人公にしたおるたなてぃぶで語られなかった事件を描く短編3つと、「吉永さん家」「おるたなてぃぶ」のキャラが競演する書き下ろし短編を収録した短編集です。

良くも悪くも「おるたなてぃぶの短編集」なんだよなー…タイトルに「おるたなてぃぶ」の名前を冠している以上当たり前のことなんですが、これが「ガーゴイルシリーズ最後の1冊」といわれるとちょっと寂しいものが…。おるたシリーズも戦いの無い、ほのぼのとした短編が読みたかったな?。特に喜一郎をメインに描く短編は「おるた」シリーズ本編よりも重くて、ちょっとキツい部分も多かったです。戦時中の話は結構好きだったんだけどな。特に「戦時中の」ガーゴイルが喜一郎との会話から「現在の」ガーゴイルへと変化を遂げていくやりとりは面白かった。

個人的には書き下ろしの「高原さん家の小さな変化」と「吉永さん家と東宮さん家と高原さん家の晩餐」が面白かった。前者は喜一郎を主人公としたシリーズのうちの1つでバトルメインのお話ではあるのですが、様々な立ち位置でひかる&ガー助と知り合った他人同士がそれぞれの立場から二人を護るため共闘するという展開が凄く良かった。そしてヒッシャムさんの大活躍を思わず絶賛せざるをえない。

後者はやっぱり双葉&イヨ&ひかる、ガーゴイル&ガー助という本編では出会わなかったキャラクターたちが競演、というだけで物凄い盛り上がる!特に本当に短い部分なのですが、ガーゴイルとガー助の共闘が熱すぎました。口調から性格からぜんぜん似てない二人(二体?)なのですが、根っこを流れる熱いものは同じ二人に胸を熱くさせられます。

しかし、やっぱり「これで最後」といわれると寂しいものが…ガーゴイル&ガー助のコンビももうちょっと見てみたかった気がするし、冒頭漫画で絡みのあった梨々&カンジとか、「おるた」終了後のガー助&狛の話とかも読んでみたかった。読み始めたのがつい最近というのもありますが、もう1?2冊何か番外編的な何かが出て欲しいなあと思わずにはいられません。


ガーゴイルおるたなてぃぶ4

[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二

お七婆さんの節約食事術に感服しつつ、ミズチの動向に関する情報収集を行っていたひかるたち。調べていくうちにミズチが様々な人物を相手にとんでもない脅迫を行っていることがあきらかに。彼らの陰謀を食い止めるために動き出そうとしたひかるたちの前に、パワーアップした狛が立ちふさがる…!?
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Lv.1なご近所ヒーロー・ひかる&ガー助コンビが繰り広げるもうひとつの「ガーゴイル」シリーズ、完結編。レイジとの決着がこちらで付かないのは解っていたのでどうやってオチをつけるのかと思ったんだけど、予想とおりあの人がラスボスとして出てきました。本編の「ガーゴイル」で軽く触れられていた、喜一郎が平賀に拾われて古科学をはじめた話ってこちらへの伏線だったんですね。

悪くはなかったけど序盤からバトル、バトル、バトルの連続でやはりそれ以外の部分への物足りなさが否めなかったかなあ。最後だし(最後だからこそ)もうちょっと日常描写がほしかった気がするのですが…個人的には日常分:バトル分の比率は3巻あたりが一番ちょうど良かったかも。

悪い意味で、3巻が盛り上がりすぎてて4巻が一種の後処理に見える。これまで「1つの生命をひかるとガー助の2人で分け合っている」という設定から生じていたバトル中の危機感が3巻で解消されてしまった上に、やはりレイジと比べると今回のボスキャラトリオは格が一段劣る感じで…。

個人的には、ひかるたちの活躍よりもお七御婆ちゃん大活躍にニヤニヤが止まりません。もう私、どんだけこのお婆ちゃん好きなんだと思うけど!!あと最初から最後まで可哀そうな役のヒッシャム哀れ。

このシリーズは一応ここで完結。来月「ガーゴイルおるたなてぃぶZERO」という番外編?っぽいタイトルの発売が予告されているのですが、こちらはどうなるのかな。個人的にはやはりバトルメインになったせいでおざなりになりがちだった逸色ビルの面々とのふれあいを中心にしたほのぼの番外編とかだったら嬉しいけど(エピローグでちょっと出てきた狛とガー介の凸凹コンビっぷりとかもっと見たい)、原作で事件の顛末しか語られていない板垣さんが古科学者に利用された事件の話とかになりそうな気もするなあ…


魔王城一限目

 
朝未

司令官に逆らい、ド田舎に左遷された軍人のエイゴ。彼を待ち受けていた任務は、何と魔王の申し子と呼ばれる歩く災厄―「魔人」たちの先生役だった!異形の身体と、生まれた瞬間に村ひとつ消し飛ばす魔力を持つ魔人。事実そうしていくつもの村を消滅させ、命を奪った存在を相手に、この自分が先生役!?と動揺するエイゴ。けれど、彼らの姿を知る中で、エイゴはある決断をすることに―。残酷な世界に抗う青年と子供たちの、痛みと優しさの物語、開幕。(「BOOK」データベースより)

「吉永さん家のガーゴイル」の田口仙年堂さんの新シリーズ。家族を"魔人"の暴走によって失い、軍人となった熱血直情型の青年が"魔人"の子供たちと出会うというお話で、「ガーゴイル」とはうってかわってかなりシリアスな雰囲気のファンタジー作品です。

熱血で直情的で一見ちょっと子供っぽいエイゴがその一方で着実に人間不信気味だった"魔人"の子供たちを手なずけていく手段が実に巧妙で、そのギャップが非常に魅力的。とにかく次の行動が読めないキャラで、エイゴが次に何をやらかすのかとワクワクしながら読み進んでいきました。子供たちに悪戯を仕掛けられたら「悪戯は楽しいものだと教える、でもそれはそれとしてちゃんと叱る」というような、柔軟な姿勢が面白かったです。子供たちだけではなく、"魔人"への偏見や恐怖に縛られてしまっている部下・バズのわだかまりも少しずつ解いていってしまうのだから凄い。天職としか思えないエイゴの先生っぷりから目が離せませんでした。

しかしその一方で、魔人への差別の問題や戦争中という時代背景もあり、エイゴたちにはしょっぱなから残酷な事実ばかりが降りかかっていきます。「ガーゴイル」で言うと9巻・10巻の頃の雰囲気に近いものがあるかも。あれを読んだときにも思いましたが戦争という存在のおぞましさとかその中で必死に生きる人々の描写がとてもリアルで、重い。自然に「戦争って嫌だなあ」と思わせてしまうような何かがあると思う。

ただ、救いの無い展開の中でも根底に流れるどこか優しく暖かい雰囲気があって、それがとても心地よかったです。ガーゴイルやコッペもそうだったけど、敵にも味方にも基本的に「悪い奴」がいないんですよね。魔人たちは好きで魔力を暴走させるわけじゃないし、軍人達にしても妙に人間味溢れていて、憎む気持ちになれない。ああ、でも、子供たちの不幸な境遇に対する怒りをどこにぶつけたらよいのやら…心はぽかぽか暖かいけどとてももどかしい!!責任転嫁できる悪役が居ないのが地味にもどかしい!!

子供たちを守ると決意したエイゴたちの前にはこれからも様々な困難が立ち向かっていきそうですが、どんな奇策でその困難を乗り越えていくのか、とても楽しみです。二限目が楽しみ…!!

ああ、その前にガーゴイルおるたの続きよまなきゃ…(と1月の刊行予定見てちょっと思った)


コラボアンソロジー2 "文学少女"はガーゴイルとバカの階段を昇る

[著]野村 美月、井上堅二、田口 仙年堂、櫂末 高彰
[絵]葉賀 ユイ、竹岡 美穂、日向 悠二、甘福 あまね


文芸部の活動の一環としてやってきた図書館で、姫路瑞希と出会った遠子と心葉。以前から遠子と仲が良いらしい彼女だが、ちょっと元気がない。そんな瑞希を救うため、今"文学少女"が立ち上がる—!?
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「文学少女」シリーズ、バカテス、ガーゴイル、学校の階段の4作品のコラボレーション5編を収録した短編集。
もうなんていうか……冬コミへの燃料投下ありがとうございます(鼻息荒く)

「"文学少女"と乙女に集う召喚獣」(文学少女×バカテス)
以前から噂だけ聞いてずっと気になっていた短編を、遂に読む事が出来たよ…!!姫路さんの話を聞いて何故か雄二と明久がデキていると勘違いした遠子先輩が、雄二達F組の面々と召喚獣勝負をする話。

遠子先輩の文学で鍛えた腐女子フィルターSUGEEEEE!!!!!
雄二と明久のいつものドツキ合いを見てあっさり「デキている」と言い切る彼女が最高すぎます。すげえ、すげえよこの人。かなり序盤から明久総受説を推奨してきた私ですが、遠子先輩の雄二×明久表現に新次元を見た気がする。「情熱的な視線の絡み具合」「甘えるような濡れた声」……想像するとエロい、エロいよ雄二×明久!!もう私、バカテスまともに見られない!!(腐女子的な意味で)

野村美月先生御本人による、華麗なる「遠子壊し」っぷりが壮絶。このコラボの裏タイトルは「本当はエロい"文学少女"」でいいと思います。この人きっと、心葉の居ないところでBLとか官能小説とかガッツリ摂取してるに違いない……

初々しく可愛らしい明久×瑞希とか、分かり合うペッタンココンビとかにもニヤニヤでした。そして葉賀さんの心葉くん可愛いよ心葉くん。心葉くんの召喚獣には是非別の機会にちゃんとバトルして欲しいなあ。あの武器でどうやって戦うのか見て見たい。

「"文学少女"と殺された莫迦」(バカテス×文学少女)※濃厚腐要素注意な初読感想:前編/後編
先行掲載されていた書きおろしコラボ。明久の国語力に将来の不安を抱いた遠子と心葉が文月学園を訪れたら、何故か殺人事件(!?)が起きて…というお話。この小説の感想については初読時に腐女子日記の方で散々痛々しく語っているので省略。

とりあえずコノハちゃん可愛いよコノハちゃん。コノハには女装が似合うと常々思ってた!!井上先生ありがとうありがとうありがとう大事な事なので3回言いました!!あとがきでの野村先生のはしゃぎっぷりにはごっついシンパシーを覚えます。

「天栗浜のガーゴイル」(ガーゴイル×階段)
旅行先で階段部の面々と遭遇した双葉が階段部の活動に興味を抱き、飛び入りで幸宏と階段レースをすることになるお話。

はっちゃけ率激高いコラボ群の中では割と正統派な短編。双葉をただの小学生だとナメてたら持ち前の運動神経とガーゴイルのサポートもあってかなりいいところまで追い詰められて…階段の爽やかスポ魂青春コメディと吉永さん家?のほのぼの具合が良い具合にマッチして、普通に面白かったです。筋肉部に筋肉を讃えられてドン引きする双葉が可愛い。それにしてもガーゴイルはどんどん妙な部分で器用になっていく…。

個人的にはガーゴイルのコラボはもう1個くらい見たかった気がします。というかガーゴイルに文月学園に乱入してもらって、卑怯な戦術をかますF組の面々に鉄拳制裁しまくる展開が見たかった。次の機会があったら是非そんな感じで……ってガーゴイル完結したからもう無理かな。

「バカと階段と召喚獣」(階段×バカテス)
文月学園が外部向けに行った召喚獣お披露目イベントの話を聞いた階段部が準備中のイベント会場に乗り込んで明久達と召喚獣で階段勝負をするお話。

序盤、かなり雰囲気の違う文月学園一同に違和感感じてもにょもにょしてしまってたのですが、だんだん読んでるうちに話に引き込まれて多少の違いは気にならなくなってしまいました。とりあえず、普段以上にバカ&ドジ5倍増しな明久や、所構わず足を引っ張り合いまくりな悪友コンビにニヤニヤが止まらない。

それより何より秀吉×雄二はじまりすぎた!!!すげえ、櫂末版秀吉最強じゃね!?ただ役になりきっただけとは到底思えない妖艶腹黒オーラに噴いた。雄二がツンデレなのは激しく同意!!「これの秀吉もう全然ちげー!」「でもこれはこれでイイ!!!」と脳内テンションMAXでした。

そしてこの作品の「あとがき」の破壊力は異常。もはや素で漫才の領域。櫂末先生が雄二、井上先生が明久に見えました。そういう幻視をしました。ごめんなさい。すいません。

一つだけ残念だったのは、この短編のみ文中挿絵がなかった事かなあ…甘福さんはこの後の文学少女×階段コラボでも挿絵を担当されているので負担が大きかった事は確かですが、唯一の表紙絵もメインは階段キャラでバカテス側は秀吉の召喚獣だけ。バカテスファンとしてはちょっと物足りなかったです。ううっ、甘福さんのイラスト好きなので楽しみにしてたのになぁ…

「"文学少女"とやってきた走者」(文学少女×階段)
他高校との交換入部で階段部に体験入部した心葉と、文芸部に体験入部した幸宏の一週間のお話。書きおろし。

普通に爽やか熱血青春スポ魂モノになっていて、純粋に楽しめました。なんだかんだと文芸部に馴染んでしまって平和な日々を謳歌するものの、どこか物足りなさを感じる幸宏と、典型的な文化系で階段部にちっとも馴染めず階段レースのタイムも上がらず疎外感を感じるばかりの心葉の姿が対照的。そんな2人の鬱屈を吹き飛ばすような最後の2日間での先輩達の行動に胸が熱くなりました。そして何気にLOVEもあるよ!!


一応全作品読んだ事があるというのは大きかったですが、どれも良い具合に各作品の雰囲気が融合していてとても面白い短編集でした。こういう企画は他のレーベルではやってないと思うので、今後も是非続けて欲しいです。やはり読んでない作品とのコラボはなかなか手を出し辛いものがあるとおもうので敷居は高そうだけど…


ガーゴイルおるたなてぃぶ

 

普段はガー助って呼ばれてる自動人形、俺の名はガーゴイル。遠くの町を守る最強の門番にあやかって名づけられた。猪崎市のとある雑居ビルが俺と相棒の住処だ。そこで駆け出し錬金術師のひかるとなんでも屋「鳥屋」を開業し、普通じゃ解決できない仕事を引き受けてる。暴走ダチョウの捕獲が済んだら、次の依頼は見たことも聞いたこともない巨大生物の相手だと!?どーすんだ。俺に任せすぎんなよ尻デカ天パー女!新“錬金”コンビが贈るハートフルコメディ。(「BOOK」データベースより)

吉永さん家のガーゴイル」と世界を同じくし、本編でも少しだけ登場した古科学者と新米錬金術師・ヒカルともう一人のガーゴイルの戦いを描く番外編的シリーズ。

バトルメインの展開自体は悪くはないんだけど、無理にバトルシーンを増やそうとして持ち味である人情味とかご近所成分が潰されてしまってる印象で、それがかなりキツイかなぁ…というか、物語の裏にはちゃんと「ご近所成分」がありそうな気配がするのに、それを描いて貰えないというのが凄くもどかしい。ご近所成分不足でとても欲求不満。

キャラ立てが終わる前にバトルに入ってしまっているので、各キャラに感情移入しづらい。特に高原喜一郎という、本編でしっかり描かれているキャラが登場するとどうしてもそっちに目が行ってしまう。ていうか喜一郎可愛いよ喜一郎。

ヒカル達が古科学を憎むようになった理由も中途半端にしか語られず、当事者であった千秋はとにかく、ヒカル達がそこまで彼らを憎む理由がイマイチ伝わってこなかったり。基準がどうしても本家本元の吉永家&ガーゴイルになってしまっているからか、ヒカル達の心が狭いように感じてしまう。うむむ……。バトルもいいけど、もうちょっとその前にキャラ立てをがんばってほしいというか…。

とりあえず、本家「ガーゴイル」とのクロスオーバーが気になるのでもう少し読んでみたいと思いますが、できれば次はもうちょっとバトル置いておいてキャラメインの展開にしてほしい……。


コッペとBB団 その2

[著]田口 仙年堂 [絵]はしもと しん

BB団の支部が美少女ヒーロー・薔薇の騎士に襲撃されて壊滅した!デイストーンを破壊され、絶体絶命の大ピンチに陥った支部を救うため、本部は補給作戦を展開することに。一方、Q三郎達はコッペを幼稚園に行かせる事にしたんだけど、大事なお弁当をなぜか“薔薇の騎士”に狙われて…!?
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良い人ばかりの「悪の組織」BB団と、人工人間のコッペが繰り広げるドタバタコメディ第二弾。

すっかり団を上げてコッペ大好き!なBB団のメンバーが最高。絶体絶命の危機にあるBB団の支部救出作戦をしてたはずなのに、Q三郎のひょんな一言からコッペのお弁当を何にするかで熱い議論が始まってしまう姿に笑いが止まりません。前回意気投合しちゃった2号とライバルにして宿敵であるはずのライトドライバーがすっかりメル友になっていたり、資金集めに移動アイスクリーム屋を開業したり、コッペが心配なあまり幼稚園の周りをうろついてライトドライバーに追い払われたり…「悪の組織」とは思えないアットホームっぷりが微笑ましすぎる。

悪の組織が作った人工人間だという正体は隠し、なぜかライトドライバーの協力を得て幼稚園に通い始めたコッペ。ところがとある事情で彼女の持たされたお弁当を狙って乗り込んできた“薔薇の騎士”がバラしてしまって?…という後の展開がとても熱い。特に幼稚園の先生の言葉には胸を打たれました。ヒーロー達より悪の組織よりも今回一番かっこよかったのは間違いなくこの人。

デイストーンの秘密とか、さりげなく本編の根幹に関わりそうな謎が出てきたけど、これからも是非ほのぼの+ちょっとバトル&泣かせ展開な雰囲気そのままで頑張ってほしいです。