あらすじだけで深刻な胃痛がする。
生徒会選挙の日以来、何かが確実に壊れてしまった事を薄々感じながらも表面上は「これまでとおり」を装う奉仕部の面々。そんな中、八幡の策略で生徒会長となった一色いろはが奉仕部に依頼を持ち込んでくる。責任を感じた八幡はひとりで一色の手伝いをするが、敵は予想以上に強敵で……というお話。
序盤で奉仕部の面々が繰り広げるどこまでも空々しく薄ら寒いやり取りも酷いんだけど、一色の依頼で持ち込まれた難題がさらに酷い。有意義のようにみえてからっぽな会議にスケジュールを圧迫され、状況の修正を図ろうとすれば表面上は否定されないままあらぬ方向に曲解される。どんな正論ものれんに腕押し状態なストレスに、これまで以上に磨きのかかった八幡の自虐思考ネガティブスパイラルが拍車をかけて深刻な胃痛がしてきて胃薬のんだら副作用で頭痛してきたまである(※実話)。キャラクターとしては物凄く好きなんだけど、とりあえず八幡殴りたい!!!
彼らがここまでこじれてしまったのは壊れてしまった何かを失うまいとしたせいだと思うけど、同時に彼らを再び結びつけたのは彼らが失った何かを再び取り戻したいと願う強い意志だったと思う。散々迷いながらも、遂に八幡の口から出た本心からの願いにきゅんとなった。全てが元通りというわけでもないし、三人がほんの一歩だけを踏み出しただけに過ぎないし、きっと彼らの関係も「今までとおり」ではないんだけど、それでも再び同じ紅茶を囲む姿に涙した。本当に、よかった。そして、道に迷う彼らに一筋の道を示した平塚先生かっこよすぎて、なんでこの人誰も貰ってあげないの……世の中って理不尽。
一色の言葉や海老名さんとのやりとりなど、なんだかんだで心配されてる彼らの姿にもほっとした。今まで憎まれ役を買って出ることが多かった奉仕部の面々(特に八幡)だけど、彼らの行動をそれとなく理解して、案じてくれる人たちが居る事は大きな救いだとおもう。
それにしても、これまでの巻での遺恨のいくつかまで清算して、この物語にしてはびっくりするほど綺麗に収まった中、これまでとはどこか違う執着を見せる葉山の存在にそわそわする。っていうか八幡の前だけ素を見せてくる葉山の威圧感も相当ですけど、あの状況で迷うことなく葉山の元に向かう八幡マジ……。