テンションの高い会話劇とコメントの掛け合いが軽妙でとても楽しかった!昔の2chの面白スレまとめを読んだような読後感。今読まないと楽しみきれないであろう、イマドキのオタク作品ネタを大量に含んだ掛け合いの数々をそのまま書籍化してくるの、さすが生徒○の一存を生んだ富士見ファンタジア文庫だな強い。
おまえは今までに飲んだストゼロの本数を覚えているか?
ブラック企業を退職して清楚系Vtuberとしてデビューしたものの、配信数はイマイチ、収益化も出来ない状況で鳴かず飛ばずの毎日を送っていた心音淡雪こと田中雪。ある日、配信を切断し忘れて独りでストゼロで酒盛りして寝落ちする所までをあますことなく配信してしまい……!?清楚あらため「ストゼロ系」Vtuber・心音淡雪の快進撃がここからはじまる!ストーリー的な要素はタイトル部分以上のものはあまり無くて、「清楚系」の皮を脱ぎ捨てて思うがままにテンションの高い配信を繰り返す淡雪と、色々な意味でフリーダムすぎる彼女の配信にツッコミを入れるリスナーたちの掛け合いがとにかく楽しいお話でした。とにかく会話のテンポが良くて何度も笑ってしまった。Vtuber配信の面白いところと優秀なコメントだけまとめてテキスト化したみたいな、ラノベというよりも2chの面白スレまとめを読んだような読後感で懐かしかったです。
個人的にはもう少し波風があっても良かった気が気がしなくもないけど、女ライバー同士の確執とか炎上みたいな展開も特になく、アンチに攻撃されるみたいな話もなく、ひたすらライバー達の仲良しのところを見せてもらえるので安心して読めるのも強み。百合の下ネタにはちょっと引く部分もありましたが、同時に主人公の淡雪がとにかくVtuberという存在が大好きなんだなということが丁寧に描写されていくので憎めない。色々な意味でストゼロの消費量が凄すぎて主人公の肝臓が心配になりますが、途中で休肝日が儲けられて安心したし、周囲もそこまで無理やり飲ませようとするわけじゃない(煽るくらいはする)のでその辺も安心して読めました。
コメント欄はネットスラング全開、既存作品やエロゲーネタもバンバン入ってくるような会話が色々な意味で今じゃないと完全には楽しめない系の作品であって、これをそのまま書籍にしてくるの強いなあ……と思ったけどよく考えたら富士見ファンタジア文庫的には「生徒会の一存」あたりですでに通過した所って気もしました。大筋のストーリーが殆どないところも生存を思い出す。その割に最後はしっかり2巻に続くみたいな終わり方だったけど次巻はどうなってしまうのか。楽しみです。
用語関係はこれまでにいくつかVtuber物を読んでいたおかげでほぼ戸惑わずに読めたんですけど、唯一、カステラの意味が解らなくてしばらく困惑した。思わずtwitterで聞いた。ああそうかマシュマロかぁ…というか原文読みに行ったら普通にマシュマロだったわ。あとがきまで「カステラ」になってたから一瞬なんかそういうサービスが有るのかと思ったわ…。