シオンからの命令で、高級レストランに行くことになったライナとフェリス。とある貴族の黒い噂の証拠を掴めということらしいのだが、まず貴族特有のテーブルマナーやしきたりの数々にライナは一苦労で……!?
全体的な平穏さに、フィオルの加護を感じる
ライナとフェリスが任務で貴族の高級レストランに行って食事をする「のーぶる・まなー」がメッチャ好き。フェリスの提唱する謎マナーの数々にライナが振り回される序盤からはじまり、調査対象である貴族のすぐ横の席に陣取ったまでは良かったけれど、そのうち普通に任務なんかほっぽりだして食事を堪能してしまう二人の姿ににやにやしてしまった。バトルやシリアスに邪魔されず二人のテンポ良い掛け合いが楽しめるお話で、最近は本当に本編も短編もシリアスな話ばかりだったからこういう話ほんとうに癒やされるなあ……。今巻は突然現れたシルとエステラの恋のお悩み相談(!?)を聞くことになる「ぶらいと・ふぁみりー・ぷらん」とか幽霊が苦手なフェリスの幽霊嫌いを治そうとイリスが奮闘(?)する「ごーすと・ぱにっく」とか平和な日常ぶりがすごい。前巻の不穏さが嘘のようで、今回の書き下ろしだったフィオルの加護を思わず感じてしまった。本当に平和だ……。
フェリスが風邪を引いて大暴れ→さらにライナ・シオンにうつして大惨事……な「てりぶる・ふぃーばー」とかは色々な意味で大惨事すぎるんですけど、本編の展開を知っているともう三人が仲良くワイワイやってるだけで「平和で幸せな短編だ……」という気持ちになってしまうのでいけない。
フィオル、惜しい人を亡くした……
書き下ろしは在りし日のフィオルとシオンの出会い、そして別れを描く「ディア・マイ・シスター」と過労で倒れたシオンが夢の中で誰かの声を聞く「不眠不休の王様」。どちらも実質フィオルの話。不眠不休〜の最初でライナが居眠りしてる時にこっそりと一人でボヤいてるシオンが印象的で、やっぱライナや他の臣下の誰にも背負えない部分をフィオルが背負っていたんだよな……という気持ちになってしまった。本当に惜しい人を亡くしたと思うし、彼が生きてさえいればシオンだって極端な行動に出るのをもう少し躊躇ってくれたかもしれないし、と思えてしまってやるせないな……。