大人気のスローライフゲーム『あつまれ! あにまるの森』を買いそこねて、そのゲームの世界にそっくりな「あにまるワールド」に連れてこられてしまったおじさん達は、「おじさん島」と名付けた無人島で二足歩行の喋る動物たちと共に楽しいスローライフを送っていた。目下の悩みは嵐で吹き飛ばされた家を立て直すことと、嵐の日にやってきたパンダのこと。そんななか、「おじ森」のアップデートが発表されて……!?
アップデートにより「遊び方」の幅が広がって楽しい!
2巻ではおじさん島を舞台にした無人島サバイバルゲーム「はたらけ!おじさんの森」にアップデートが導入。新しいスタンプミッション・交換先の追加や新システムの導入によって「遊び方」が広がっていったのが面白かったです。運営側が予想しなかったプレイングによってリアルタイムにルールが追加されるの、ネトゲーやソシャゲのようなライブ感があって良いなあ。前巻から引き続き、異世界での無人島サバイバルが運営側によってある程度管理されることによってリアルながらも厳しさの少ないスローライフ体験に落とし込まれているのすごく良いですよね。更に前巻ラストで仲間に加わった(2巻の時点では島民カウントではないけど)パンダによって異世界の知識が持たらされ、更に出来ることが広がっていく。4人と4匹でやれることが増えて「限界」が見えはじめた所に満を持して導入される「島同士の同盟」という要素、それによって島同士の提携・分業の可能性が生まれ、更にゲームとしての可能性が広がる。いやこれ本当に運営側のさじ加減が上手いよな……。
前巻ラストで敵として「わかもの」の存在が示唆されたわけだけど、かといって彼らとの直接対決を見据えるのではなくて世界の理解を少しずつ深めていく展開がかなり良かった。むしろ1巻の路線よりも「スローライフゲーム」感を足す方向に振ってきた。ただ、ライバル島の存在がさりげなく示唆される終わり方がそこはかとなく不穏で次巻どうなる。
こ、ここにラノベ主人公がいるぞーーー!?
今回のもうひとつの肝は、初期から謎の存在感を放っていたキバヤシこと木林裕之の掘り下げ話。テンプレートなオタクの見た目、自称引きこもりのリモートワーカーという言葉とは裏腹にやたらとハイスペックな人物であることは序盤から示唆されてきましたが、ハイスペックというかこれは…………ラブコメラノベの主人公(しかも一昔前に流行った鈍感系)では!?次から次へと明かされるキバヤシの武勇譚(本人無自覚)に笑ってしまったし、彼の正体を知ってテンション上がるカンナと進にも笑ってしまった(ていうか進さん、確かにやたらとこの世界のゲーム要素にテンション上げてるような節があったけど、予想以上にガチのゲーマーの気配を匂わせてきましたね……)。しかしチュンリーの信頼度カンストがやたらと早かったのもこの過去話を聞けば納得だし、何気に島の外からガチ勢の気配を感じたりもして、女子がほとんど居ないこの世界でもラブコメ主人公の片鱗を匂わせてくるのズルいわ……。