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やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。14

 

季節はまた春を迎えようとしていた。 同じ日々を繰り返しても、常に今日は新しい。悩み、答えに窮し、間違えを繰り返しても、常に飽きもせず問い直すしかない――新しい答えを知るために。 言葉にしなければ伝わらないのに、言葉では足りなくて。いつだって出した答えはまちがっていて、取り返しがつかないほど歪んでしまった関係は、どうしようもない偽物で。 ――だからせめて、この模造品に、壊れるほどの傷をつけ、たった一つの本物に。故意にまちがう俺の青春を、終わらせるのだ――。 過ぎ去った季節と、これから来る新しい季節。 まちがい続ける物語が終わり……そしてきっとまだ青春は続いていく。シリーズ完結巻。

春の季節に始まった八幡と雪乃の「勝負」は決着を迎えた。どこかお互いに割り切れないまま卒業式が、そして無事開催される運びとなったプロムが開催される。成功したプロムの終わりに、自らの母親に自らの「やりたいこと」を伝える雪乃。陽乃だけが不満げな顔を隠さずにいて……。

この陽乃さんのラスボス感がすごい。
序盤とにかく前巻から続く迷走感がひどくてしんどい。結衣との甘酸っぱいエピソードにはやっぱりニヤニヤしてしまうのだけど、勝負に決着が着いても雪乃との距離感が戻ることはなく、どことなくぎこちないやりとりにハラハラが止まらなかった。雪乃と仕事の話するときだけは会話が進むとか、割とリアルで人間関係でトラブル起こして疎遠になる直前の人とのあるあるすぎて余計なトラウマ刺激されるんですけど!!!いちいち彼らの関係性の終わりを匂わせる演出が多くてふとした事で胸を締め付けられてしまう。

今にも壊れそうな三人の関係性に容赦なく一石を投じてくる陽乃さんがマジラスボスの貫禄なんだけど、同時に彼女自身もまた八幡達の関係性に『本物』を求めずにいられないのだと気づいてしまって、しんどくなる。

八幡が覚悟を決めてからの、カタルシスが最高でした。
陽乃からの叱責や平塚先生の教え、結衣からの支えを受けて不格好でもこれまでの関係を壊してでもなんとか前に進むことを決めた八幡が、覚悟を決めて動き出してからが最高に面白い。その前に進むための「手段」があまりにも傍迷惑で笑ってしまうけど、なんていうかこれこそが比企谷八幡なんだよなあ。宙ぶらりんのままだった雪乃・結衣との関係性の決着、そして独りで去っていこうとしていた平塚先生の離任騒動まで含めて、未消化だった部分を完璧に払拭する展開が最高に楽しかった。

あまりにも八幡らしい不器用で独り善がりな計画に、これまで関わった人たち全てが力を貸してくれる展開が熱すぎてヤバい。少年マンガの最終回かよ……このまま元気玉撃てそうまである。今回はいろいろな意味で周囲の人々の行動にいちいち胸が熱くなってしまったんだけど、特に結衣のことを心配して何かと不器用に声をかけてくれる三浦さんがマジいい人すぎて幸せになってほしさがすごかった……いや三浦さんが良い人なのは知ってたけど本当に良い人すぎる。平塚先生はもうこの人真ヒロインでよくない!?ってレベルの大活躍だし、あとカラオケボックスといいサウナといい卒業式といい、今回葉山さんが八幡と仲良すぎてひっくり返るんですが、あいつらなんなの。サウナで戸部にまで空気を読まれて二人きりにされてしまうの無限に笑うわ。八幡に対してのぞんざいな態度を人前で隠そうともしなくなった葉山さん、最高かよ……。

それよりなにより──夢だけを積み重ねたはずだった偽りの「ダミープロム」が、彼らの手によって現実的な妥協点と折り合いを見つけられて、ほぼ完璧な形で顕現されてしまうの、あまりにも最高すぎない!?あと、ダミープロムの企画やってる間の雪乃がデレデレすぎて可愛さがヤバかった。特に語彙力を喪失するデレのん可愛いすぎる。

そして一つの「青春」が終わり、新しい「青春」が続いていく。
奉仕部という三人で築き上げられた不安定ででも温かかった関係を壊してでも「彼女」と関わり続けることを望んだ八幡の手によって一つの物語が終わり、そして新しい季節が始まる。もうとにかく匂わされる終わりの気配に震えてしまっていたんだけど、彼らはまだ高校「2」年生なんですよね。卒業式を見た八幡が感じた通り、このエピローグですら人生での終わりの予行演習でしかなくて、乗り越えてみれば少しだけ新しくなった人間関係とともに、新しい物語が始まるんだなと。「こいつら重い!!」「面倒くさい!!」といいたくなる中盤の告白シーンもさることながら、新しい物語を感じさせる最後のエピローグが最高に良かったです。

それにしても、最後のピースを後押ししてくれるいろはちゃんと高校生となった小町の小悪魔年下コンビが可愛すぎて死ぬ。あと三年生のクラス分けが最高にヒドいんですけど三年生になった比企谷八幡のクラスでの日常で一本書いて欲しいです。短編集もアンソロジーも楽しみだ。


やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。13

 

暦は雪解けの季節を迎えるが、新しい希望の芽吹きはまだ遠く感じられる3月。それぞれの想いを言葉にし、行動しようとする雪乃、結衣、八幡。そして、それは今のままの関係でいることを終わらせることでもあって―。雪ノ下雪乃は、最後まで見届けて欲しいと願った。由比ヶ浜結衣は、このままずっと一緒にいられたらと祈った。美しい夕日に時が止まればと願っても、落日を迎えなければ新しい日はやってこない。前に進むために諦めること、終止符を打つこと。悩む間もなく、巻き戻すことも出来ず、エンドロールは流れ始める…。 (「BOOK」データベースより)

たとえ望まれていなかったとしても。PTAからの要請によって窮地に陥ったプロムを成功に導くため、雪乃とは違う形で動くことを決意した八幡。当て馬目的で別のプロム企画を立ち上げ、わざとPTA側の目に留めさせ危険視させることで本命のプロム中止を食い止めようと画策するが……。

終わりを感じさせる展開に、しんみりしてしまう
様々な意味で懐かしい人達が登場し、そこに終わりを感じさせられてしまうラスト直前の巻。玉縄・折本はもちろんだけど、地文でそれとなく差し込まれる相模や鶴見の名前、腐女子キャラをかぶっていない海老名さんの登場で自然とこれまでのエピソードを思い出させていくのはなんていうか凄く物語の構成が上手いなあと……割と13巻を読むまでにブランクがあったので、自然とエピソードを思い出せることにびっくりしました。

ところで久しぶりに濃厚な葉山と八幡の絡み愛(海老名さん的視点)を目の当たりにした気がしますが、他の人の目のあるところで厭味の応酬する葉山と八幡なんだこれ完全にただイチャついてるだけじゃない???あとわたりんは過去に深い傷を持つ優等生タイプに巨大感情持たせるの好きすぎじゃない???(クオリディアの方を見ながら) 葉山くんの理解度で八幡と張り合っちゃう戸部が可愛い。

それは果たして「成長」か「間違い」か。
危なっかしい部分は感じながらも周囲の「協力」を仰ぎながら展開される八幡の作戦が新鮮。その彼の行動は確かにこの1年で得た「成長」といっていいはずなんだけど、周りがことごとく描いた絵面のようには動いてくれなかったりと不安要素は多く、これを素直に「正解」と捉えてしまって良いのか不安な気持ちにさせられる。ぶっちゃけこれまで通り八幡が一人で抱え込んで突っ走っていたら、周囲に様々な禍根を残しつつもダミープロムの計画は滞りなく目的を完遂していたと思うんですよね。致命的な間違いをどこかで見落としているような、そんな気持ちが消せない。それはそうとダミープロム企画が正直楽しそうすぎて全くそういう状況ではないんだけどワクワクしてしまった。いやもう頓挫するところまで想定内で、好き勝手に夢ドカ盛りした架空の企画作るの絶対楽しいやつじゃないですか!!!巻き込まれた遊戯研が割と文句言いながらもノリノリなのわかりすぎる。

泣いても笑ってもあと1冊!!
まちがった関係を正して関係性の決着を望む雪乃とこのままでいたいと願う結衣、思い悩む八幡がそれぞれにすれ違う姿が印象的。今回はほぼずっと一緒に居た八幡と結衣も正直なにか噛み合ってない感じがして、それがまた不安を想起させる。八幡と雪乃の勝負には一応の決着が着いたけどいろいろな意味でこのまま終わるとは思えない。雪乃からバトンを託された結衣がどう動くのか、本当にあと1冊でどう決着をつけるのか、楽しみなような怖いような……。

というか11巻の序盤読んでた頃はこんな終わりの間際になってこんなしんどい話をぶちこまれるとはちょっと思ってなかったですよね!!シリーズ中盤で八幡が一人で突っ走って奉仕部内がギスギスしてた頃はしんどくてもまだ彼らが再び手を取り合う日を信じて読めたんですけど、今回はそこかしこで奉仕部の終わりを見せつけられていくので、別種のしんどさがある。本当に最後これどうなってしまうんだ……。


やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。12

 

バレンタインデーのイベント、水族館での雪の日を経て、自分たちが踏み出すべき一歩を定める八幡たち。そんな奉仕部に、ある大きな依頼が持ち込まれる。その依頼に対して、雪乃が決意と共に出した答えとは…。―たとえ、その選択を悔いるとしても―。時間の流れがいつか自分たちを大人にするのかもしれない、出会いと別れを繰り返して人は成長するのかもしれない。でも、いつだって目の前には「今」しかなくて―。それぞれの想いを胸に抱えながら、八幡、雪乃、結衣が選ぶ「答え」とは。新たなる青春群像小説、物語は最終章へ。 (「BOOK」データベースより)

バレンタインの水族館でのやりとりをきっかけに、雪乃は母と向き合うことを決めた。妹・小町の受験も一段落したころ、一色いろはから奉仕部にとある依頼が持ち込まれて──終わりの始まりの巻。今月いよいよ完結巻が出るとのことで慌てて読みました。

割といろいろな意味で10巻までが激動の連続で、11巻もラストが爆弾で、そこから始まった12巻は小町の受験やらいろはの持ち込んだ卒業パーティ(プロム)の依頼やらと、どこかこれまでと違った空気を感じさせながらも思ったよりも穏やかな日々が続いていて。水族館のあの日に彼らは戻れないところまで進んでしまったはずなのに、少しなかだるみ感すら感じて。でも、最後の最後で奉仕部の関係に致命傷を与えかねない最大級の爆弾が落ちてきたなと言う感じでした。穏やかで停滞したところから急転直下で転がり落ちていく展開が凄まじい。

最後まで読んでから改めて思い起こせば、小町の受験をめぐる比企谷兄妹のやりとりが濃厚に描かれたのも、葉山やいろはとのとの何気ないやりとりも、最後の陽乃さんの一言のためのお膳立てでしかなかったのだろうと。そしてその言葉は比企谷八幡にとっては一番忌憚していた関係のはずで。年度代わりを前に否応なく変わりゆく人間関係の中で、三人それぞれの葛藤が胸に痛かった。どうなるんだこれ。

陽乃さんの言葉はラストのアレもそうなんですけど個人的には酒に関するやりとりが最高にキたといいますか、そうわかる陽乃さんも八幡もそっちのタイプだよな〜〜ガハマさんとか普通にめちゃくちゃ泣き上戸になりそうだけどあなたたちそっちのタイプだよな〜〜〜…………とてもつらい。

「けど、たぶん君もそうだよ。……予言してあげる。君は酔えない」


クオリディア・コード 3

 

「この世界はニセモノだ」―ほたるから託されたメッセージを訝しんでいた霞だが、大國真昼医務官の襲撃を経て自らの目に映る異常な世界の真実を知り、人知れず行動を始める。一方、最大戦力である舞姫・ほたるを欠いた防衛都市に、さらなるアンノウンの大襲来が迫る。霞の留守を守るべく必死に抗戦する明日葉と、カナリアの死を受け入れ今一度戦場に立ち上がった朱雀だが、新たに出現したかつてなく強力な人型アンノウンに追い詰められてしまう。だが、混乱する戦場に消えたはずの少女が姿を現す時、世界は反転する!!激戦の果てにたどり着く世界の真実とは!?大人気アニメの公式ノベライズ、運命の第3巻!(「BOOK」データベースより)

 渡航が描く、TVアニメ「クオリディア・コード」本編のノベライズ。真実が明らかになる最終巻。3巻は千葉というか千種兄妹(+ヨハネスを加えた千種親子)に焦点が当たる分、これまでの巻よりも描写がイキイキしていた気がします。1巻の時にも思ったけど、ほんと渡航先生の描く千種兄妹は何しててもイチャついてるようにしか見えないので困るな……。世界の真実が明らかになってからの物語はアニメでもかなりの急展開(良い意味で)だったので、各キャラクターの視点から改めてじっくりと物語を読めるのがとても楽しかったです。

 個人的にはやはり終盤の壱弥&霞、青生&明日葉の関係性が好きなんですが、千種兄妹のイチャイチャぶりとはまた別枠で、壱弥と霞ってお互いの事好きすぎじゃないですかね……!?アニメで見て展開知ってるのに10回くらい後ろから殴られて悶絶したんですけど。壱弥が霞から「本当のヒーロー」と言われて立ち直っちゃう程度に霞のこと買ってることはアニメの時から知ってましたけど背中を預けるまでの葛藤ぶりまるで主人公の事大好きなのに素直になれないツンデレヒロインかよ……だし、前々から霞が壱弥のことを何かにつけて「ヒーロー」と呼ぶのにはなにか劇的なエピソードがあるのではと興味津々だったわけですがぶっちゃけこれ一目惚れ(違)じゃん……最終決戦中に壱弥ポエムを読み始める千種霞まじ何なんだ……。

 そして「クズ金」読者としてはやはり晴磨さんの安否が気になってしまうのでした。というか最後の霞の意味深発言で色々期待してしまうんですけど、晴磨さん周りの話を含めたクオリディア・アフターとか出ませんか?


やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。10.5

 

冬真っ盛りの総武高校。窓の外は寒空ながら、比較的のどかな雰囲気の奉仕部部室。雪乃、結衣、八幡のいつものメンバーのもとに、訪れる何人かの生徒たち。とある男子からのお願い事にげんなりしたり、いろはのわがままに振り回されたり、強行日程の締め切りに追われながら原稿を書いたり…!?今は遠くに感じる将来のことから、誰かと一緒に過ごす休日のこと、部活のこれからのこと…、悩みも苦労もときめきも不安も満載で現在進行中、日常という名のかけがえのない日々。八幡の短くも慌ただしい冬の数日を描く短編集。 (「BOOK」データベースより)

個人的お気に入り度数

 材木座が相変わらずだったり、生徒会長となった一色いろはデートすることになったり、生徒会で予算の調整をするためにフリーペーパーを作ることになって、八幡が締切に追われたりするお話。

 表紙の通りまさにいろはすに全部持って行かれた感じの短篇集。いろはすあざと可愛い!!すっかり奉仕部に入り浸り状態になってて準レギュラー感はんぱないんだけど、雪乃や結衣と過ごすときとはまた少し違った感じの、遠慮がなく、それなのにどこか甘い感じが漂っているのがとても好きです。総選挙の件も含めて共犯者関係というか、扱いこそぞんざいだけどお互い頼られたら無下にはしないかんじというか。葉山と同じく、いろはにとっても八幡は自分を偽らないで接する事が出来る数少ない相手なのかなという雰囲気を感じる。

 フリーペーパーの締切に八幡が追われる話が割と他人ごとじゃなさすぎて辛い。あとちょっとで終わるはずなのに集中力切れて何も出てこなくなるとか、あるあるすぎて死んだ。材木座の話での意識の高い就活ブログの話とか、「大人になったら結婚できると思ってた」とかなんか全体的に今回ジワジワと抉られますよ!?

 ところで本当にちょっとしか出番がないうえに全然メインの話じゃないんですけど、フリーペーパーのインタビューの際の八幡と葉山のやりとりが好きすぎて私は。雨降って地固まるというか、マラソン大会の出来事を経てなんかお互い本音で接することができる関係にステップアップしたよねこの2人。本当に短いやりとりなんですが、正直とても動揺しました……。


やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。10

 

冬休み。のんびりとした年の瀬、そして年明け。合格祈願の初詣や買い物など、予定外の外出が重なる八幡が新年の街で出会ったのは、雪ノ下陽乃と葉山隼人、そして…。共に過ごしてきた時間で、お互いのことを少しは知ったように思えた。でも知らないことの方がたくさんあるのだろう。今も、そしてこれからも―。二年生という学年ももうあとわずか。今を大切にしたいと思えば思うほど臆病になって、考えているのに答えは見つからないし、走っているのにゴールが見えない。彼ら彼女らの、新たなる季節、新たなる関係。 (「BOOK」データベースより)

個人的お気に入り度数

 新学期。奉仕部の部室にやってきた三浦からの依頼は葉山の進路についての事だった。なぜか頑なに進路を教えてくれない葉山の進路を調べるため、八幡達は彼の周辺から調査を開始するが……。

 こんな告白みたいに甘い「俺はお前が嫌いだ」見たこと無い

 あーしさんの乙女ぶりが可愛すぎて悶えるけどそれはそれとしてものすごく葉山回だったしマラソン大会がもうなにがなんだかわからないほど葉山と八幡が対話しすぎてるし二人はお互いのこといろいろな意味で本当に嫌いだし憧れあってるし信頼しあっててお互いに「嫌いだ」って言い合っちゃうくらいの仲で読み終わった直後ツイッターで日本語が行方不明になるほどでしたが今も思い出すと日本語がお留守になるのほんとうになんとかしてほしい。これまでも葉山と八幡の関係性にはさんざん手の上で転がされてきた感じが否めないのですが今度ばかりは本当に意味がわからない。

 なんかこう、お互いにお互いのすることを理解できないと理解した上で、相手がその自分には理解できない信念に基づいて行動していく事を微塵も疑わないし、自分には理解できないその道を征くお互いに対してどこか憧れずには居られないみたいな奇妙な関係が本当に凄かったです。あと、「万人に愛される」役割を背負った葉山にとって、面と向かって「お前が嫌いだ」言ってくれる八幡の存在はどこか特別な立ち位置なんだろうなあと思う。いえBL的な意味じゃなくて。BL的な意味じゃなくて。(ものすごい萌えるけど)

 そして依頼を解決するにあたって材木座と戸塚を「頼る」ことをためらわなくなった八幡に、これまでの物語を受けての成長や関係性の変化を感じる。あと、戸塚かわいい。本当に今回の戸塚は出番少ないのにめちゃくちゃかわいい。「進級」と「進路」という解りやすく関係の変化を自覚させるイベントを前にして、それぞれのキャラクターの立ち位置や考え方が見えてくるのが面白かったです。

 いろいろな意味で個人的にはクライマックスすぎる回だったのですが物語全体からいくとむしろこれはクライマックスへの序曲に過ぎない所のはずで、いよいよここから雪ノ下姉妹との物語に突入していくのかなあと。まったく先が見えないけど、これからの物語が楽しみでなりません。


やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。9

 

もうすぐクリスマス。小さい頃はプレゼントがもらえる日だったが、今はもう違う。何より、願うことも、欲しいものもなくなってしまった―。生徒会長選挙の日以来、何かが決定的に終わってしまった関係を引きずりながら、逃げ出さないため、ただそれだけのために部室に集まる八幡たち。そんな折、新たな依頼を持ち込んだのは、先の選挙で生徒会長となった一色いろは。他校との合同クリスマスイベントを手伝って欲しいという依頼に対し、一人で行動しようとする八幡だが、一筋縄ではいかない依頼に事態は次第に悪化していく…。 (「BOOK」データベースより)

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あらすじだけで深刻な胃痛がする。

 生徒会選挙の日以来、何かが確実に壊れてしまった事を薄々感じながらも表面上は「これまでとおり」を装う奉仕部の面々。そんな中、八幡の策略で生徒会長となった一色いろはが奉仕部に依頼を持ち込んでくる。責任を感じた八幡はひとりで一色の手伝いをするが、敵は予想以上に強敵で……というお話。

 序盤で奉仕部の面々が繰り広げるどこまでも空々しく薄ら寒いやり取りも酷いんだけど、一色の依頼で持ち込まれた難題がさらに酷い。有意義のようにみえてからっぽな会議にスケジュールを圧迫され、状況の修正を図ろうとすれば表面上は否定されないままあらぬ方向に曲解される。どんな正論ものれんに腕押し状態なストレスに、これまで以上に磨きのかかった八幡の自虐思考ネガティブスパイラルが拍車をかけて深刻な胃痛がしてきて胃薬のんだら副作用で頭痛してきたまである(※実話)。キャラクターとしては物凄く好きなんだけど、とりあえず八幡殴りたい!!!

 彼らがここまでこじれてしまったのは壊れてしまった何かを失うまいとしたせいだと思うけど、同時に彼らを再び結びつけたのは彼らが失った何かを再び取り戻したいと願う強い意志だったと思う。散々迷いながらも、遂に八幡の口から出た本心からの願いにきゅんとなった。全てが元通りというわけでもないし、三人がほんの一歩だけを踏み出しただけに過ぎないし、きっと彼らの関係も「今までとおり」ではないんだけど、それでも再び同じ紅茶を囲む姿に涙した。本当に、よかった。そして、道に迷う彼らに一筋の道を示した平塚先生かっこよすぎて、なんでこの人誰も貰ってあげないの……世の中って理不尽。

 一色の言葉や海老名さんとのやりとりなど、なんだかんだで心配されてる彼らの姿にもほっとした。今まで憎まれ役を買って出ることが多かった奉仕部の面々(特に八幡)だけど、彼らの行動をそれとなく理解して、案じてくれる人たちが居る事は大きな救いだとおもう。

 それにしても、これまでの巻での遺恨のいくつかまで清算して、この物語にしてはびっくりするほど綺麗に収まった中、これまでとはどこか違う執着を見せる葉山の存在にそわそわする。っていうか八幡の前だけ素を見せてくる葉山の威圧感も相当ですけど、あの状況で迷うことなく葉山の元に向かう八幡マジ……。


やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。8

 

後味の悪さを残した修学旅行を終え、日常に戻った奉仕部。そんな折、奉仕部に生徒会長選挙に関わる依頼が持ち込まれる。お互いのやり方を認められないまま、奉仕部の三人はそれぞれが別のやり方で依頼に対することに。分かっていた。この関係はいつまでも続かないことも、自分が変わることができないことも。「君のやり方では、本当に助けたい誰かに出会ったとき、助けることができないよ」その行動は誰のために…。それでも自分のやり方を貫く、もがこうとする“彼”は、大きな失敗を犯してしまう―。 「BOOK」データベースより)

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 修学旅行の後ギクシャクしたままの奉仕部の元に持ち込まれた依頼。とある人物の生徒会選挙当選を避けるためにこれまで通り自分をもち下げることで依頼を完遂しようとする八幡に残りの2人は反対し、それぞれ違うやり方で依頼をこなそうとするのだが……。

 葉山グループの瓦解を繋ぎ止めるために行動してしまったが故に壊れかけてしまった「何か」を元の形に戻そうとなんとか頑張ってみたけど、やはりどこか周囲を顧みない八幡の独善的な解決法では綺麗にまとまりはしなかったという話。

 なんだかんだで色んな人に好かれているのに、その事実に気づくことができない八幡がどこか痛々しく、見ていられなく、そういう八幡の言動のたびに自らの好意と存在を否定されて傷つく彼女達のもどかしさにもだもだし、瓦解しようとしているものの大きさに気づいた彼がそれを壊すまいと動きはじめてしかしどこか空転している様が見ていられない。八幡が「自分のため」に動いたのは大きな進歩だと思うのだけど、それだけじゃどうしようもなく足りなかった。

 例えば八幡が動く前に雪乃の本心を聞き出すことができていれば……とも思うのだけど、それが出来ればこの物語なんてそもそも存在すらしていないだろうし、雪乃だって八幡が本意を問いただした所で真意を見せるとは限らない。そしてその真意を見せたところで八幡が素直に信じるとも思えない。八幡のやり方を彼女達が容認できなくなった時点でこの物語は多分詰んでた。「彼」や「彼女」が居心地良いと感じた場所が、そのままであって欲しいと望む気持ちによって致命的に居心地よくない場所へと変えてしまったのがどうしようもない皮肉。

 6巻くらいからずっとこういう重苦しい展開が続いていて、読むたびに角材で殴られたような衝撃を受けるシリーズではあるんだけど、今回のが一番キツかったです。9巻以降で少しでも持ち上がってくれることを期待したいんだけど、ほんとどうなるんだろうなあこれ……。

 しかし、女の子と遊んでても八幡しか見てない感ばりばりの葉山はほんとどこまで八幡のこと好きなんですか。お互いのやりかたを相容れないと感じながらも、双方が意識せずにはいられないというこの複雑な関係性がとても好き。あと、材木座さん地味にかっこいい。基本ハズレクジ引かされる役どころの材木座だけど、それだけ他人を巻き込む事を嫌う八幡が巻き込んでもいいと思う程度には心を開いて貰ってる存在なんだろうなあ。


やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7.5

 

奉仕部に送られてくるようになった「お悩み相談メール」、そして平塚先生から持ち込まれた「結婚がらみ」の相談事…。(八幡的には)不本意にも忙しい奉仕部。その活動はコスプレ&「嫁度対決」からガチ格闘技対決まで、多岐にわたりすぎて大変なことに。日々の些末な出来事にこそ、真実は宿る…!?奉仕部&おなじみのキャラクターたちが生き生きと輝く「いつもの日常」をたっぷりと!アニメも大反響の「俺ガイル」、大ボリューム書き下ろし&単行本未収録エピソードをぎゅっと詰め込んだ珠玉の短編集! (「BOOK」データベースより)

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 店舗特典小説などを収録した短編集。後からはまるとこの手の特典小説は追いかけようがないので各レーベルはどんどん積極的に収録していっていただきたいですね。複数の店舗で違う小説つけるのよくない!!思わず複数買いしちゃうから!!!あと、もういいから八幡は平塚先生もらってあげてよ!!

 打ち上げでゲーセン行ったり、登場人物達(主に材木座や平塚先生)からのお悩み相談をメールで解決したり、ヒロイン(?)達が嫁力対決をしたりと、ちょっとした日常を描く短編が多いのですが、ある意味いつも通りだった「未だ、彼らは帰るべき場所を知らない。」が印象的。(部室に居座って要らぬちょっかいを焼きはじめたOBのせいで)減ってしまった部員を再び獲得してほしいと柔道部に頼まれた奉仕部が、季節外れの柔道部員勧誘イベントを主催するというお話なのですが、解決法がとても「いつもの八幡」というかんじで、ちょっと後味の悪い終わり方も含めてなんともいえない気持ちになる。しかし、葉山グループで3人組組むとあぶれるからって言って迷わず八幡に誘いをかける葉山さんはなんなんですか?愛なんですか?(誤解)

 7巻の内容があまりにも重たかったので、その分ほっと一息つける巻であったことは確か。続きの巻でてるからこそ一息つけた感じがあるのも否めないけど。っていうか柔道部の話、雪乃や結衣の反応が割とニュートラルなことにとても複雑な気持ちになってしまった……。


やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7

 

京都への修学旅行を前に、どこか浮き足立つクラスの雰囲気。文化祭以来、教室内でさらに微妙な立ち位置になった八幡だったが、最初から地位なんてないようなもんだしな、と我関せず。ところが、奉仕部に持ちかけられた意外な人物からの「恋の相談」。そこにはまた別の人物の思惑も重なって…。旅行は一気に波乱の予感。複雑な気持ちが渦巻き、答えを出せないまま八幡たちは京都へ。まちがっている青春模様は、まちがっているラゴフメ=恋愛模様を生み出すのか。TVアニメ化を直前にさらに盛り上がりを見せるシリーズ第7弾。 (「BOOK」データベースより)

個人的お気に入り度数

 京都の修学旅行を前に学年全体が浮き足立つ季節。奉仕部を訪れた戸部が同じグループの腐女子・海老名さんとの仲を取り持って欲しいという依頼を持ってきた。依頼を受ける事にした奉仕部だが、八幡は葉山の様子がどこかおかしい事に気づき…。

 文化祭に引き続きの修学旅行編。さりげない男子組の友情が美味しかったり麻雀大会の戸塚が凄い可愛かったり平塚先生なんでこんないいオンナなのに嫁の貰い手ないのかわかんなくて八幡もらってあげてよすぎるしまさかの川崎さん三浦グループ入りで波乱ぶりにニヤニヤしたりしましたが正直今回一番によによしたのは三浦さんだった気がします。6巻から引き続き、高慢で奔放な女王様と思わせておいて意外にグループの「中」を見ててそれとなく調整してくれる役というか、彼女の立ち位置って面白いなあ。

 葉山・三浦を中心にした八幡のクラスのトップカーストグループの意外な素顔が明らかになるお話。修学旅行をきっかけにして距離を縮めさせようとして、2人を上手く楽しませるように苦心したり、その横でさりげなく由比ヶ浜や雪乃との距離が進展したり……と、お約束のシチュエーションがとても楽しい……ハズなんだけど、もう序盤から不穏な雰囲気が漂ってくるのは何故なんだ。形の知れない不安が少しずつ形をなしていく展開にぞわぞわする。特に終盤の海老名さんの怖さがマジぱない。

 彼らの誰もが現在の関係を好ましく思っていて、だからこそ次のステップに進みたいと思う戸部と、これまでの関係を崩したくない海老名さんや葉山。無自覚のうちにグループが瓦解寸前のところまで追いやられてしまっていて、それを理解してしまった八幡が取った行動と、それがもたらした思わぬ結果が胸に痛い。面白かったけど、吐き気がするほど抉られた。八幡ならこうするだろうと思ったしそれ以外の解決法はなかったと思うけど……なんというか。

 6巻以上に後味の悪い終わり方でいろいろな意味で次の巻どうなってしまうのかが気になる。楽しみだけどなんかもうそろそろ読むのに心の準備が必要なレベルになってきたぞ!!

 しかし、間逆の立場にありながら、その行動を心底許せないのにお互いの行動の結果だけを頑なに信頼している葉山と八幡の関係性がやっぱり好き。互いに本気で嫌い合ってるってもうツンデレとかそういうレベルじゃなくて本当に嫌い合ってるのに八幡は「心配ない、葉山がどうにかするっていってたからな」とか言うし、葉山は八幡がこれからやることを恐らくおぼろげに理解した上で「君にだけは、頼りたくなかった」だよなんなんだよもう萌える。