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天下一蹴 今川氏真無用剣

 

第六天魔王・織田信長が桶狭間で討った今川義元。その義元の佩刀、「義元左文字」は「それを持つ者は天下を取る運命にある」という。信長のいる京までその刀を届ける密命を徳川家康より授かったのは、義元の息子―大名としての今川家を滅ぼしたとされる天下御免の無用者、今川氏真であった。「己は駿河彦五郎。飛鳥井流と、新当流を少々」今は彦五郎と名乗っている氏真は、和歌と蹴鞠を愛し、その妻、蔵春とともには京へと向かう。その旅路を阻むは「甲賀金烏衆」。剣風吹きすさぶ京への街道に剣聖直伝の彦五郎の剣が、鍔鳴る!蝸牛くも×伊藤悠が贈る剣戟エンタテインメント小説!(「BOOK」データベースより)

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蹴鞠と剣術を愛し、しかし大名として時代の波に乗れなかった男・駿河彦五郎(今川氏真)とその妻・蔵春(早川姫)が『信長に蹴鞠を披露する』という名目で天下人の刀と名高い今川の宝剣・義元左文字を届けるため京都に向かう。そのふたりの道中には、様々な刺客が立ちふさがり──!? というお話。

『ゴブリンスレイヤー』の作者さんの投稿作の書籍化。以前ゴブリンスレイヤーの大本になったスレッドまとめを読んだ際にこの作品の存在を知り、密かにものすごい気になっていたのですがついに書籍になりました。

章毎に様々な刺客と繰り広げられる剣戟戦が子供の頃の21時台とかにやっていた時代劇のようで、どこか懐かしい。のほほんとしているけれど剣客としての腕は確かな彦五郎が放たれた刺客達と戦いを繰り広げていくのが大変に楽しいんですけど、それとなくもう一つの趣味である「蹴鞠」が生かして戦っていくのにニヤリとしてしまう。

一方、そんな彦五郎に付き従う妻・蔵春も只者ではない。精神的な面でもバトル的な面でもしっかり旦那の背中を守る姿が頼もしいし、どこかおしゃまな印象を受ける発言の数々がめちゃくちゃ可愛い。というかほんと当時のスレッドまとめで作者さんがこの作品について

今川氏真が嫁さんの蔵春院とイチャイチャしつつ浜松から京都まで、信長と蹴鞠しにいくついでに、家康から頼まれて密命を何とかするべく、「甲賀金烏衆」の忍者をバッタバッタと斬り伏せるお話

って説明されてる(ソースはこちら)んだけど本当にそのままそうなんですよね……嫁さんとイチャイチャしながらちゃんばらしながら京都に行く話なんですよ。めちゃくちゃ夫婦がイチャイチャしてるんですよ……。

ただ、決して「無用者」二人のお気楽珍道中〜というだけではなく。のほほんとしている氏真には確かに過去に取り返しのつかない過ちをおかした男の昏い影みたいなのを感じるし、そんなどこか危なっかしい夫を愛し、現世につなぎとめ、最後まで付き従おうとする蔵春のまっすぐな想いがどこか強くて切ない。ただイチャイチャしているだけではない二人のどこか影がありそれでいて強く結ばれた関係性が、とても好きでした。

一方、立ちふさがる敵も彦五郎と同じ『剣』の道に拘泥する者だったり女児の苦しむ顔がみたいだけの好き者であったり、はたまた過去の今川に因縁があったり……と様々で、一時間ドラマの繰り返しのような構成でありながらも、飽きさせない。一気に読まされてしまうような物語でした。というかラスボスの正体これはズルいわ……。

1冊で綺麗に終わってる物語ではあるのですけど本来新人賞投稿作だったわけで、2巻も続けるの可能ですよね!?ぜひとも手を変え品を変え敵を変えで続けていってほしい。

ところで小説も大変に楽しかったのですけど同日発売のコミカライズが物凄く良かったよ!!!!!という話を一緒にしたいんですけど!!彦五郎が昏い眼をするのがたまらん好きだし、あと徳川家康がまあまたものすごい昏い眼をするわけで、このうさんくささがたまらん。わざと刺客を食いつかせようとする徳川家康の狙いを見抜いた上でその密命を受ける彦五郎が小説の方でも最高に好きなんですけど、コミカライズではなんかキャラクターの表情の巧妙さも手伝って物凄く印象的だった。ほんとコミカライズの1話で恋に落ちたと言っても過言ではないです。

騙されたと思ってコミカライズ1話だけでも読んで。

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蝸牛 くも,湯野 由之,伊藤 悠 (著)
スクウェア・エニックス
発行:2019-01-25


ゴブリンスレイヤー

 

その辺境のギルドには、ゴブリン討伐だけで銀等級にまで上り詰めた稀有な存在がいるという…。冒険者になって、はじめて組んだパーティがピンチとなった女神官。それを助けた者こそ、ゴブリンスレイヤーと呼ばれる男だった。彼は手段を選ばず、手間を惜しまずゴブリンだけを退治していく。そんな彼に振り回される女神官、感謝する受付嬢、彼を待つ幼馴染の牛飼娘。そんな中、彼の噂を聞き、森人の少女が依頼に現れた―。圧倒的人気のWeb作品が、ついに書籍化!蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー、開幕! (「BOOK」データベースより)

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 かつてゴブリンの襲撃により家族を失い冒険者になった男、通称『ゴブリンスレイヤー』が、周到な下準備と強い執念を持って、獲物であり家族の仇でもあるゴブリン達をひたすら殺していく話。

 Web小説ではなく、2chの「やる夫スレ」が原作。AAを使って淡々と書かれた内容がどういうふうになっているのか……とおもったら、小説としての肉付けをされつつもどことなく雰囲気はそのままで小説になっているのが面白かった。キャラクターの固有名詞がなく、役職のみで描写されるのでどうしても脳内ではAA元のあのキャラやあのキャラで浮かんでしまうんだけど、その想像を邪魔しないどことなく元のキャラクターたちの空気を漂わせるキャラデザがずるい。

 数々の冒険者達の迎えた悲惨な最期と凄惨な現場が、ゴブリンという生物の恐ろしさとしてじっくりと描写されていて、現実のRPGでも作品世界でも雑魚モンスターとして扱われているゴブリンがこの作品の中だととても恐ろしい存在だと思えてくる。

 熟練の冒険者が相手をするには旨味が少なく、初心者が対処するには持て余しがちなゴブリンを決して侮らず、そして一切の容赦なく殺していく姿には一筋の狂気すら感じる。でも、ゴブリンをひたすら殺す物語でありながら、そのゴブリンの恐ろしさを一番理解しているのはそのゴブリンを殺しまくっているゴブリンスレイヤー自身で。人間に仲間を殺され、群れを渡ったゴブリン達が上位のゴブリンになるなら、それを殺す存在がゴブリンに家族を殺され、生き残った男だというのはなんとも因果を感じてしまって、やるせない。

 そんな彼が擦り切れそうになりながらも、迷ったり悩んだり、幼馴染の牛飼い娘や仲間の女神官に対して不器用ながらに心をひらいていく姿が、どうしようもなく人間らしかった。恐らくWeb版との一番の違いはその辺の心象描写が増えていることではないかと思うんだけど、幼いころの冒険者になりたかったという「夢」を思い出すゴブリンスレイヤーのシーンだけでも、読んでよかったと思える。

 原作スレは確かここまでなので、続編がどうなっていくのかがとても気になります。いつかゴブリンとは関係ない心躍る冒険に旅立つゴブリンスレイヤーさんの姿も見てみたい。