『魔物』によって故郷を喪い自らも魔物の呪いを受けた青年・カナギは故郷を救う為、自らの命の為に呪いの特効薬を作る為万病に効く「命の花」を求めて旅をしていた。その途中で、うさんくさい詩人と出会って行動を共にする羽目になるのだが、暗殺者の少女・ミリアンから命を狙われて……というお話。ビーンズ文庫というよりは古きよき全盛期時代のスニーカー文庫という印象を受けました。うーん、恋愛要素が薄いからかな。あえて言うならヒロインはカナギだと思うんです。え?ミリアン?彼女はヒーローですよね?
剣の腕が立ち、頭も良く、だがしかし直情気味で……と、かなり主人公らしい主人公なのに、魔物の呪いのせいでしょっちゅう血を吐くわ「病弱」といわれると怒るわ……というカナギの設定にとてもニヤニヤした。うさんくさくて真意を見せない詩人・ソラとのコンビ具合も美味しいし、カナギを殺そうと付けねらうミリアンとのやりとりも楽しい。
魔物の脅威から世界を護る「王」と「鳥の神」、そして彼らに仕える「不死者」によって護られた世界で魔物の呪いを解く方法を求める旅。大きな物語の序章といった感じの第一巻でしたが面白かったです。メイン3人以外のキャラクター以外も今後も物語りに絡んでくるのかなあという感じがするし、ちょっとだけ明かされたソラの正体も気になる……ということで、続きがとても楽しみ。
……しかし、ビーンズ文庫の、この巻数表記を書かない姿勢は本当になんとかならないのか。シリーズがある程度揃ってから手を出すとまずどれから読めばいいのかわからなくて手に取るハードルが無駄に上がっちゃうんだよ…!