最推しにしてかつての人生での婚約者・フィニスを死の運命から救いたい一心で、フィニス率いる黒狼騎士団に「騎士」として入団したセレーナ。フィニスを守りたいという気持ちに嘘はないけれど、フィニスに自分ではない婚約者がいるという事実には心が揺れる。ところが、彼の「現婚約者」であるフローリンデ、一度目の生の頃に知っていた彼女とは全く変わってしまっていて…!?
本音が漏れはじめてるフィニス様めちゃくちゃ面白い……。
相変わらず聞いてると健康になるセレーナ(+α)の「推し語り」が楽しいシリーズなんですけど、今回フィニス様の方もだいぶ本音が漏れてない!? 1巻では時折フィニス視点のパートで予想外にテンションの高い地の文が拝める程度だったんですけど、だんだんセレーナ達のノリに染まっているというか普通にぼろぼろ地が出てきてるの笑うしか無い。いや、セレーナは最初からそういう芸風(?)だからいいんだけどクールなイケメンの顔したフィニス様が時々物凄い早口で頭おかしいこといいだしたり、セレーナの可愛さのあまり語彙力が溶けたりしてるの面白すぎる。もう一刻も早くこの作品をドラマCDにして豪華声優さん達を起用しとんでもないイケメンボイスや可憐なボイスでド早口でこの推し語り部分を喋らせて欲しい。早くしろどうなっても知らんぞ!!!
ラストが とても 不穏!!!
フローリンデとの婚約破棄騒動などもあり、フィニスをただ「推しの人」としてだけではなく、少しずつ「恋愛」の対象として意識してしまうセレーナ。セレーナ達の「推し」のノリに毒されつつもじわじわと彼女への想いを強めていくフィニス。ドタバタ楽しい推しコメをやってるその裏で使命や立場に縛られた二人のもどかしい恋愛模様が進行していくのが印象的でした。一周目でなにもわからずに萌えていたフィニスの憂いを含む横顔に、彼の事情を知ってしまったが故に萌えられなくなるセレーナの姿が切ない。そして更にその恋愛模様の裏で、1巻から見え隠れしていた政治情勢がますます影を落としていく。というかラストの一行不穏すぎませんか!?どうかんがえても乱痴気上等だった収穫祭のドタバタ騒ぎの話の直後に持ってくる文章じゃない。セレーナのやり直しに関する「二周目じゃないかも?」疑惑なんかもどうなっていくのか気になるし、本当コメディの横でちゃくちゃくと重い話の伏線はられていく感じが溜まらない。謎の存在感を持つフィニスの父親、そして突然現れたフィニスの弟……と、フィニスの実家の話も相当きな臭そうなんだよなあ。
ところでセレーナとフローリンデが夜なべして作った厚い本はどこで読めますか?絶対に好みの気配がする。