鼻つまみ者の雛女・慧月との「入れ替わり」生活を全力で満喫していた玲琳だったが、彼女に親しい者達は少しずつ彼女達の様子がおかしいことに気づき始める。大事になる前に入れ替わりを解消しようとする玲琳だが、死の淵から生還した慧月は、玲琳の「病弱」の原因がただの病気ではないこと・自分達を陥れようとした本黒幕の正体に気づいてしまい……。
対称的な女二人のクソデカ感情良かった
両親に見捨てられ、周囲からはドブネズミと下げずまれ、唯一縋っていた朱妃にも頼ることが出来ず心を閉ざしていた慧月が、自分の行動によって苦しめられているはずなのになぜか好意を向けてくる玲琳の言葉によって心を溶かされていく展開がとても良かった。そしてその玲琳もまた、周囲から大切に扱われすぎるがゆえの孤独を抱えていて、また、明日をも知れぬ命であるがゆえに全てを諦めることで悔いを残さぬよう生きていて。入れ替わりに際して自分の身近な人達の知らない顔に接して、そして何より慧月の苛烈な感情に触れて、凍らせていた自分の感情を溶かしていく姿が印象的で、慧月・莉莉と友誼を結ぶ展開には胸が熱くなりました。正反対のようで、どこか似た者同士なんだよなこの二人。しかし、玲琳・慧月の関係性もとても良かったし色々な意味でどこか世間離れした二人にツッコミを入れてくれる莉莉をふまえた三人の関係も大変良いものでしたが、ふたりの育ての親・絹秀と雅媚の関係性がめちゃくちゃ良かった。互いを想い合うが故に傷つけ合い、腹を割って話せなかったばかりに長い年月を懸けて拗らせてしまった行き場のないクソデカ感情が、子供達の成長と共に深い悪意として醸造されていくのほんとうに良い。いやもう本当にその持て余したクソデカ感情のおかげで玲琳と慧月と絹秀は死にかけたワケなのでアレなんですが……。
それにしても今巻は(前巻からその兆候はあったのですけど)玲琳の人たらしっぷりが炸裂しすぎていて、気がつけば立場も性別も問わずみんな玲琳にメロメロになってしまっているの笑ってしまった。特別編が逆ハーレムすぎる。本人無自覚で周囲がすっかり執着こじらせて狩人の目になってるの、色々な意味で「この悪女〜〜!!!」って言ってあげたい(玲琳めっちゃ喜びそうですね!!)。
……からの、特別編ラストが不穏すぎて、どうなるのか続きが気になりすぎます。