ココロコネクト ミチランダム | 今日もだらだら、読書日記。

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そして――永瀬伊織は壊れていった。
「太一とは、付き合えません」太一は正式に伊織に告白し――玉砕した。異常な現象が起こっていても関係ないと、決死の覚悟で臨んだ想いは儚く散り、その上、重い足を引きずり向かった部室でフられた事をメンバーに知られてしまう! 部内は騒然となり、稲葉は動揺を隠せない。伊織が場を取りなそうとしたその瞬間、彼女の心と感情が響き渡り……。そして、その日を境に永瀬伊織は変わってしまった――。愛と青春の五角形コメディ、岐路と選択の第4巻!

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それまでどうか、この考えが『感情伝導』しませんように。
いや、違うな。
「『感情伝導』させるんじゃねえぞ<ふうせんかずら>。そっちの方が絶対に面白いものが見られるからよ」

シリーズ第4巻。“文研部員の誰かの考えている事が、ランダムで部員の誰かに筒抜けになってしまう”という『感情伝導』現象の中、太一は伊織に告白するが……というお話。前巻の『時間退行』現象も酷かったけど、今回の『感情伝導』の性質の悪さ半端ない。それでさえ一瞬考えてしまった気まずい思いなんかが伝わってしまったりするのに考えている事が一部しか伝わらないものだから、ますます誤解が広がってしまう。しかも距離は関係なく伝わるものだから、逃げ道もなくて……という性質の悪さ。

文研部の面々がそれぞれ伊織との関係を修復しようとして次々に玉砕し、挙句にクラス内でももめごとを起こしてどんどん孤立して行ってしまう序盤・中盤は本当にもどかしく、心が痛いんだけど最終的に彼女を引き戻したのは親友・稲葉の行動。決して強いわけではないけど、様々な痛みや葛藤、恐怖に立ち向かいながらも親友の為、不敵に事態に立ち向かっていく稲葉の様子が本当にかっこいい。そしてその稲葉が動くきっかけを作ったのは愚直ともいえる太一の行動で。相変わらず「誰かが動けなくなったら他の誰かがその背中を押す」ような5人の関係にニヤニヤします。今回は伊織の話であると同時に、稲葉の話でもあったよなあ。それにしても、「デレばん」可愛いよデレばん。

結局「永瀬伊織は決して強くなんかない、ただのありふれた女の子だ」という事実を本当の意味では伊織自身すらもちゃんと認識できてはいなかったんだなあと。一見不可解なように見えた伊織の態度の変貌も、ひとたび口に出してしまえば彼女の悩みは本当に年頃の少女としてありふれた悩みで。そんな彼女の悩みを笑い飛ばし、吹き飛ばした稲葉の言葉が心地良かったです。そして危機に陥った稲葉を助けようとする太一・唯・青木の3人の『心の声』と、4人に背中を押された伊織の奮闘に凄くニヤニヤする。

相変わらず真っ直ぐすぎるくらいに真っ直ぐな青春模様も今回の一件でひとところに落ち着いた印象。ふうせんかずらの謎の言葉が示すように、そろそろ物語も終盤に差し掛かったという事でしょうか。どのような結末を迎えるのか、本当に楽しみです。

ところで、今回の話がどうしても↓とオーバーラップする。
性格は全然違うけど、長門と伊織の人間性がどこか似てるんだろうなあ。敵ではなく、「彼女ならなんとかできる」「彼女は強い」という味方の思い込みこそが彼女を追い詰めた。そしてそれを自ら溜め込み、静かに内で爆発させて壊れるしかなかった。そんな所が。

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涼宮ハルヒの消失 (角川スニーカー文庫)谷川 流 いとう のいぢ
角川書店 2004-07

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