悪役令嬢レベル99 その4 〜私は裏ボスですが魔王ではありません〜 | 今日もだらだら、読書日記。

悪役令嬢レベル99 その4 〜私は裏ボスですが魔王ではありません〜

 
Tea

裏ボス令嬢、家出ついでに世界を滅亡の危機に追いやる……!?
邪神を倒しレベル上限を突破した私、ユミエラ。準備中のパトリックとの結婚式が大仰になってきて軽くマリッジブルーの真っ最中だ。しかも彼の兄が出席を拒んでいるという。 つい勢いで家出して、うっかり隣国にたどり着いてしまったが……何かこの国、私をナマハゲみたいに恐れているんですけど? 騒ぎになっても困るので、訳ありらしき謎の人に匿われて潜伏していたら、隣国の権力争いが絡む陰謀に巻き込まれて戦場に出かけることになり――え、標的は実は私!?

世界が色々と大変なのに理由も発端もアレすぎてシリアスになればシリアスになるほど面白くなっちゃうのずるいな。未来の義兄・ギルバートとのツッコミ不在なやりとりも大概に面白かったけど、若干微妙なキャラ立ちのままドロップアウトしたゲームヒロインのアリシアが色々な意味でキャラ立ちして帰ってきたのが大変良かった。

(レベルカウンターと)ユミエラ、ついに壊れる

3巻の騒動を経て、ついにレベル99の限界突破を果たしたユミエラ。いそいそと現在のレベルを確認してみたが、そこには予想外の数字が表示されていた。最初は大したこと無いと思っていたその事態が、世界の危機を呼び込むとはその時は誰も思っていなかったのであった…。

「レベルカウンターで3桁目以上の数字が表示されない」というところからはじまるユミエラの大暴走。確かにレベル100以上が実質ありえない設定の世界でレベルカウンターがあったとしたらそりゃ3桁目の表示とかないですよね。当たり前といえば当たり前なんだけど、それにともなうユミエラ(及び周囲)の動揺ぶりが半端じゃない。さらにこの後、このレベルカウンターの不具合のせいで大変な大事故が発生するんだけど、めちゃくちゃ世界が大変なことになっても原因がソレなのでシリアスになればなるほどなんか面白いという状況になってしまうの、笑うしか無かった。そしてこんな時でもあくまで事態を解決するのはパトリックなのが最高なんですけど、もう今回のはやっぱりどんなにパトリックがシリアスにやってくれても原因がソレな時点で面白いのでずるい……。

ユミエラってどこまでも強い自分が好きなんじゃなくて「レベル上げをすることとその課程で得たものが好き」という感じなんですよね。だからレベル99になってしまうと限界突破する道を探し始めるし、自分のレベル上げが無になるような状況・自分のレベルが低いという煽りに耐えられない。色々解決した後、久しぶりにレベル上げをして増えていくレベルカウンターの数字にご満悦な彼女を見て微笑ましくなってしまいました。いや、引き起こされた事態は全然微笑ましくないんだけど、レベルが上がっているということさえわかれば究極的に3桁以上の数字は見れなくても別に困らないというのがユミエラらしいなと。

義理の兄との舅嫁対決(当人無自覚)

パトリックとの痴話喧嘩が原因で単身での月旅行(家出)に挑むユミエラ。流石に大気圏を脱出することは叶わなかったがいわくつきの隣国・レムレスト王国に不時着し、そこで知り合ったギルバートなる人物の家で数日過ごす羽目に。最初は気難しそうだったギルバートと少しずつ打ち解けていくユミエラなのだが、レムレスト王国が再びバルシャイン王国を攻めようと水面下で動きはじめ……。

ギルバートの正体はもうしょっぱなからわざとらしいくらいに匂わされているしユミエラも家出前の状態では「この人とあったら注意しなきゃ…」とか思っているわけですが、全く気づかない(本能で何かを感じ取ってはいる)の、色々な意味でパトリックと両思いになって以来パトリック以外への興味が雑になりすぎでは!?パトリック本人も言ってましたが1巻の頃のユミエラはもう少し色々なことに注意深かった気がするんですが。3巻くらいから着実にアホの子化が進んでいるような気がする。

一方のギルバートも「黒髪で表情筋が死んでてちょっと(いやかなり)変わっていて結婚を前提にお付き合いしている男性とその結婚に良い顔をしない未来の義兄がいる」という情報まで掴んでいるのにどうしてユミエラの正体が見抜けないのか。ふたりがうちとけるたびに会話がシュールになっていくのがたまらなく面白い。似た者同士にもほどがあるというか完全に同族嫌悪なんですよねぇ…。そしてこのツッコミがいない空間にひとりで放り出されたライナスには同情しかできない。厳格な人物と思わせておいて実はただのブラコンだったギルバートさん、ユミエラと永遠にパトリックがいかに魅力的な人物か語り合ってマウント取り合っててほしい。

再登場したアリシアがとても良かった

1巻ラストで表舞台から姿を消した本来のゲームヒロイン・アリシアがここにきて再登場。自分の保身のためなら母国も裏切るし状況が悪いと見るやユミエラに取り入ろうとするわ逆にそのユミエラがピンチとなればすかさずユミエラの敵として立ちはだかるわ……という最高にクズなムーブとってくれたのがめちゃくちゃ良かった。1巻の時点だとまだちょっと「ものすごく臆病な女の子が追い詰められてやらかしてしまった」可能性が残っていたような……いや今1巻よんだら1巻の時点で普通にクズだったわ彼女……でもなんか、あの終わり方ちょっと消化不良感あったんですよね。アリシアの場合なんか色々な意味でユミエラの強烈なキャラに割りを食った被害者みたいな部分がないわけじゃないし、作風的にもこのくらい開き直ったクズのほうがしっくりくる。いやぁ良かった。

ちなみにアリシアってなろう版だと1巻で死んでるので、なろう版どういう展開になってるんだろうと思ったら普通に他のキャラに煽られてた。アリシア、いい感じにクズ女で今後ともへっぽこライバルキャラとして活躍してほしい感じがしたのですが、原作で死んでるとなると難しいのかな。

4巻も結構綺麗におわったけど、ユミエラが月の表面で一瞬見たものとか絶対次巻へのフラグだよね?という感じだし、なろうで確認したらまだまだ続くとのことだったので安心して続きを待ちたいと思います。というかここまできたらユミエラとパトリックが結婚するまではなんとしても続いてほしい。5巻も楽しみにしてます。

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