レイルードに帰還したライナはひとり、父・リューラの研究室へ向かう。そこにはシオン・フェリスに内緒で運び込んだルシルが捕縛されていた。一方、ガスタークからの使者と遭遇したフェリスは彼等に毒を盛られてしまい……。
今度こそ隠し事はなしの3人のやりとりにホッとした
シオンにしろライナにしろお互いの状況を言えずに抱え込んでは失敗するというのを繰り返していたので前巻のライナがひとりでリューラの研究室に向かうラストが本当に不安だったのですが、あくまでエリス家の兄妹関係を気遣っての時間差行動でホッとしました。いやでも前巻のラストはわざと不穏に描いてたよね……。でも、これまでだったらライナがひとりで抱え込んでしまいかねない展開だったからこそ、今度こそ彼等の間に遠慮はなしという事が伝わってきて改めて安心することが出来てよかった。あとライナの不在に取り乱すフェリスが大変に可愛い。最近のフェリスは本当に、ライナのことが大好きすぎて可愛いんだよなあ!!ルシルが人間をやめて以来まともに腹を割って話すことができなかったエリス兄妹が今こそ腹を割って会話してるところを見れるのは本当に嬉しかったし、一度は敵となったライナを再び受け入れてくれるミラー一派にもホっとしてしまったし、他のメンバーと同じく《女神》の影響から脱したミルクがライナと久しぶりに会えることにはしゃいでいる姿にはにまにましてしまうし、まだ確定ではないけれど長年の敵であったガスタークとも協調路線を歩む方向性が決まって、「神」や「悪魔」の干渉があったせいで手を取り合うことができなかった人間達がすこしずつまとまっていく。明るい未来はまだまだ見えないけど、彼等が手を取り合うならばどんな窮地だって乗り越えられる気がしてくる。前巻も含めて本当に長らく見ていなかった明るい話、なのですが……。
そう簡単に平穏な展開にはならないんだよなあ……
シオンの元を離れ、中央大陸に留まっていたフロワードは明らかにニンゲンではない存在に声を掛けられる。それは神でも悪魔でもなく、10年後のリセットを受け入れて世界の停滞を望む者の声。そして愛されていることを自覚したライナの成長を危険視する者の声。その存在は自分のことを《世界》そのものだと名乗り……。ローランドにフロワードの姿がないの、前巻のルシルもそうだったしなんか不穏な方向のフラグなんだろうなあとおもってはいたんですがやっぱりフラグだった。神の干渉が届かなくなった世界に予想以上の大物概念が登場してしまった。そして明かされるフロワードの過去、フロワードの先祖である《英雄》の正体、そして彼の持つ指輪を作ったのは「誰」だったのか……フロワードがシオンのこと大好きすぎるのは無印・とり伝の方読めば概ね知ってたからまぁアレです!!
その世界──《メノリス》から現在の世界の状況、彼の成すべきことを聞かされたフロワードは久しぶりにレイルードに帰還する。彼が真っ先に赴いたのは……というところで引き。例によって終わり方が大変エグい!!とかいってたらあとがきで「次もすごいよ!(笑)」とか書かれてしまった。不安しか無いよ!!!