うららの記事一覧 | ページ 56 | 今日もだらだら、読書日記。

うらら一覧

ご覧の勇者の提供でお送りします

 

ゼルニア王国に突如として出現するモンスターと戦う勇者たちの活躍を放送する人気TV番組―「勇者テレビ」。騎士団、魔術結社、職人、教会などそれぞれの組織の代表として街を守りながら、組織の宣伝と人気を獲得し、トップ勇者を目指す6人の勇者たちに新たな仲間が加わることに。伝説の勇者の息子で、学生でありながら、勇者に選ばれたフウトは、学園代表として異例のタッグを組んでデビューを飾ることになるのだが…。そのパートナーは―「めんどくさいし、勇者だったら、一人でいいじゃん」やる気のない美少女で!?波乱のニュー勇者ファンタジー! (「BOOK」データベースより)

 どこからか現れるモンスター達を倒す「勇者」達の活躍を中継する「勇者テレビ」。番組に登場する勇者達は様々な団体と契約して支援を受けてその名を背負い、「スキル」と呼ばれる特殊能力を持って戦う。かつて魔王を倒した「伝説の勇者」の息子・フウトは狭き道を突破して通っている学園の「勇者」として活動することになったのだが、彼とコンビを組むことになった生徒会長の少女・フィオーレには全くやる気が見られない。デビュー戦で大失敗をしてしまった彼は、人気を取るために他の勇者達の戦略を学ぼうといいだしたフィオーレにつきあわされ、他の勇者達を訪問することになったのだが!?

 行動の結果の称号としての「勇者」に憧れるフウトが、職業としての「勇者」になってやる気のない相棒に振り回されたり、上手く戦うことが出来ずに葛藤したり、理想と現実の差に思い悩んだりしながら成長していくお話。勇者に憧れながらも能力を上手く発現させられないが故に上手く戦えない少年と強大なスキルを持ってしまったが故に戦うことを忌憚する少女が、お互いの存在や他の勇者達の「勇者」としてのあり方を知りながら少しずつ折り合いを付けていく姿がアツかった。恐らくまったく同じ原風景を胸の中に描きながらも、対称的な道を歩もうとしている2人の姿が印象的でした。

 特殊能力「スキル」を持つ人間達とそれ以外の人間達の微妙な温度差が引き起こすトラブルがあったり、なんか胡散臭い話が裏で渦巻いているようだったりと、世界観そのものはかなり重たいのに、その重たさを感じさせないあったかいお話。勇者達が仲間でありながら一種の「商売敵」としてお互いを切磋琢磨していく関係もなんだか心地良いものがありました。

 バトルメインというよりも人々の絆がメインと言う感じのお話でとても好き。そんな物語を象徴するようなフウトの「スキル」にも思わずにやにやしてしまいました。面白かったー!!しかし、細かい所できっちり差別化してるとはいえ、どうしても基本設定のところで今劇場版やってるあのアニメを彷彿せざるをえないのちょっと損してる気がする……。


艦隊これくしょん -艦これ- 陽炎、抜錨します! 2

 
NOCO

横須賀鎮守府に、陽炎もよく知る同型艦・不知火が転属してくることに。深海棲艦に対し大規模な作戦を実施すべく艦娘を集めているのだ。また一緒に戦えると喜ぶ陽炎だったが、逆に曙たち第十四駆逐隊の面々は、自分たち以上に陽炎を知る不知火に対して微妙な気持ちに…。そんなぎくしゃくした空気を孕む中、横須賀鎮守府の総力を挙げた攻勢作戦が開始されるのだが―。話題沸騰のファミ通文庫版『艦これ』公式ノベライズに、待望の第2巻が登場!! (「BOOK」データベースより)

 陽炎を主人公にしたファミ通文庫版ノベライズの第2巻。今回は、陽炎が横須賀にやってくるまえ、呉鎮守府で相方的ポジションであった不知火が横須賀鎮守府にやってくる、というお話。

 予想以上に不知火が陽炎大好きっ娘で、前回しっかりと絆という名のフラグを立てられた第十四駆逐隊の面々と火花(?)を散らす……ってこれなんて百合ハーレム!?完全に不知火をライバル視している曙のツンギレぶりが可愛すぎるんだけど、舞い上がる陽炎の姿を見てなんだかんだで面白くないほかのメンツの行動にもニヤリとしてしまった。

 しかし、そんなピンクの匂いとは裏腹に本編は至極シリアス。イベント海域を舞台に、艦娘達は生きるか死ぬかギリギリの戦いを強いられていきます。「元は普通の少女」であることを一番強調している物語だからこそ、近代化改装や改造もまた違った意味を持ってくる。「艦娘」として強くなりたいというまっすぐな気持ちと、改造を行うことでもうふつうの「少女」には戻れなくなることへの不安・戸惑いの間で揺れる陽炎達の姿が印象的でした。そして、そんな葛藤を乗り越えた彼女たちが行方不明になった不知火の救出に向かう姿がかっこよかった。特にゲームでの彼女達の脆さを知っていると、ル級vs睦月型2人の対決がアツすぎる。

 艦隊としての仲間としての絆、女の子同士の友情、そして同系艦の間で育まれる独特の関係性が濃厚に描かれていて凄くよかった!しかし、次巻からは別の鎮守府での物語と言うことで、これまでのキャラクターなど、どういう事になるのかが気になる。というか横鎮提督好きだったんだけどなー提督も変わっちゃうのかな……。


艦隊これくしょん -艦これ- 鶴翼の絆

 

「どうして私、人間の女の子に…?」激闘の末に轟沈したはずの空母・瑞鶴が目覚めると、彼女は“艦娘”と呼ばれる少女の姿になっていた。かつての戦いの記憶と能力を持つ“艦娘”となった瑞鶴は姉・翔鶴と再会し、“提督”と呼ばれる男から人類の敵・深海棲艦の存在を知らされる。彼女は懐かしの地によく似たこの世界を守るために再び戦うことを決意するが、それは自身の過酷な宿命と向き合うことも意味していた―。“幸運の空母”瑞鶴の視点から大人気ブラウザゲーム『艦これ』の世界を描く超弩級“戦記”小説、ここに抜錨! (「BOOK」データベースより)

 「艦隊これくしょん」のノベライズ、富士見ファンタジア文庫版は瑞鶴を主人公にして、かつての「艦」としての記憶をはっきりと持ちながら『艦娘』としての二度目の生を送る少女達の物語です。

 オリジナル設定と史実・ゲーム要素の絡ませ方が物凄く面白かった!艦これの舞台が「あの戦争」が起こった世界とは似ているようであらざる世界として位置づけられていて、過去の戦いの記憶を持ったまま新たな戦いに臨む彼女たちが、切り離すことはできない過去の因果・宿命を背負いながらも懸命に戦っていく姿がアツい。かつて“幸運の空母”と称された瑞鶴と、彼女とは対照的に“不幸艦”と呼ばれる姉の翔鶴を中心に、ゲームではきわめて不確定なステータスである幸運値を史実であった出来事と絡ませてくるのが興味深かったです。

 そしてある時は軽薄に、そしてある時は冷徹に彼女達の戦いを支援しながら、幸せを願う提督がまた地味に良いキャラしてる。「勝利のため」と時には冷徹に艦娘達を戦場へ駆り立てながらも、その裏には艦娘達を護りたいという強い意志と、艦娘達を「兵器」として扱う軍上層部との間で板ばさみになっているような言動がみられるのにとてもニヤニヤする。あと、あふれ出るイケメンオーラ。

 自らを憎まれ役に貶める事で苦労を背負い込んでしまう不器用さがほんとこの人、生き辛そうな性格しているなあという感じで大変妄想が膨らみました。 軍上層部に弱み握られて掘r


甘城ブリリアントパーク3

 

高校生なのに遊園地の支配人代行・可児江西也は悩んでいた。当面の資金難からは脱したものの、集客を伸ばさなければ待っているのはゆるやかな廃園だけ。しょぼいと評判のパークを立て直すにはゲストが夢中になる新要素が必要だ!!そう夢と音楽が詰まったド派手でブリリアントなミュージカルショーが!!「消火班!消火班!どこ行ってるぴー!?消火班―!」…リハーサルをすればボヤ騒ぎ、新入りキャストへの執拗な可愛がりによる人材不足、さらには出席日数不足に伴う支配人代行留年危機問題など、トラブルが次から次へと頻発!やっぱりダメダメな「甘ブリ」を西也は三度救うことができるか!? (「BOOK」データベースより)

 パーク内外でのドタバタ騒ぎをメインにした短編集。

 前巻で採用となったアルバイトの少女・中城椎菜の視点から描かれる「中城椎菜は逃げ出したい」が凄く良かった!引っ込み思案な女の子が軽い気持ちで遊園地のバイトをはじめたら、憧れていたマスコットどもがオヤジ丸出しだったり、とんでもないしごきを受ける羽目になったり、苦手な接客業で涙目になりながらなんとかパークの一員として成長していくお話で、等身大の女の子の視点から描かれる、妙な現実ぶりに夢をぶちこわされつつも、それでもやっぱりちょっと不思議な魔法の世界が凄く楽しい。これまで「甘ブリ」には変わり者しかいなかったからあんまり伝わってこなかった非日常感がビンビンに伝わってくるお話でした。

 あとがきでこの話が本編第一話になる予定だったって言われてますけどそっちのほうが良かったんじゃないでしょうかまじで……本編2巻まででイマイチ伝わってこなくて違和感を感じていた部分を綺麗に拭い去ってくれたお話だったので、もっと早くに読みたかった。

 同じ理由で「もっと早く読みたかった!」と思ったのが出席日数が足りない西也の変わりにパークの面々が彼の身代わりとして学校に通う「出席日数が足りない!」。先ほどの椎菜視点の話と含め、主人公である西也の学校での立ち位置や性格、そして身代わりになったパークの面々のキャラクターがよくわかるお話で、面白かった。モッフルがさりげなく椎菜に対して親バカむき出しにしてるのが凄い微笑ましい。だけどやっぱりナルシスト設定は無理あるとおもう(真顔)

 魔法の国の仕組みやモッフルの過去がちょっとだけ明らかになる「魔法の国へ行ってみよう」。ファンタジーな設定盛り込んできたかとおもえばその途端に現実的なネタぶちこんで台無しにしてくるこのバランス感覚は本当に楽しい。魔法の国の人身事故に爆笑した。色々な意味で次巻以降への期待が高まるお話でした。

 それにしても、妖精たちを人間バージョンで撮影できる「魔法のアプリ」の話は是非ともアニメでやってもらいたいですねっていうか個人的にマスコット3人組に無駄に豪華なボイスつけてくれるのをめっちゃ期待してるんですけど、3人ともオヤジイメージで想像してたのでティラミーとマカロンの人間バージョンで緑茶ふいた。どうしようこの見た目じゃあティラミーに代永ボイスついちゃう……!!!マカロンには小野Dとかきてもおかしくない!!!(ビクンビクン)

 あとこの見た目で確信したけどモッフル受けだわ。ど受けだわ。


東京レイヴンズEX2 seasons in nest

 

クリスマスといえばプレゼント交換にミニスカサンタ、そして―式神のひく橇で夜空を飛翔!?未来の陰陽師を育成する機関―陰陽塾。クリスマスとは無縁そうなこの学び舎だけれど、一年で一番盛大に行われるのは、なんとクリスマス・パーティーだった!ただし、呪術が息づくこの場所で、普通のパーティーで終わるわけがなく…。聖夜をはじめ、節分、新入生との交流、三者面談など、陰陽塾に訪れる、四季折々の騒動を綴った短編集が登場!のちに『三六の三羽烏』と呼ばれることになる大友や木暮たちの陰陽塾生時代を描いた書き下ろしも必読。(「BOOK」データベースより)

 クリスマス、節分など陰陽塾での季節の話を中心にした短編と、木暮視点から描かれる木暮・大友・早乙女涼の「三羽烏」結成秘話+αを収録した短編集。

 とりあえず春虎・冬児好きとして「バトル・オブ・ビーン」に触れないわけにはいかないんですけど、普段割と落ち着いたイメージの冬児が節分の豆まきを嫌がってブチキレて大暴れする姿にニヤニヤが止まらない。そして一応心配してくれてる(に違いない)大友先生を完全スルーして悪友の春虎と真顔で対峙する姿に腹筋が攣りました。敵味方に分かれてもお互いの呼吸を理解しあっている悪友な2人の対決にニヤニヤせざるをえないんだけどそれ以上に本線のストーリーが酷すぎ(褒めてる)だよ!!あと大友先生のオヤジ術式が酷い(これも褒めてる)

 三羽烏結成秘話を描く「エンカウンター・トライアングル」はまず木暮さんの荒れっぷりにびっくりしたんだけど、東京にやってきて自らの実力を持て余して孤立していた木暮が自分以上にクセモノな大友や涼と出会い、少しずつ自分の考えを改めていく姿がとてもよかった。2人との出会いによって木暮は文字通り人生ごと変えられたんだなあとおもうとじんわりする。あとがきによるとその後の彼らの短編も来る予定との事なので、そちらも楽しみにしていたいです。

 EX1と同じく、本編の時間軸を思い出すと陰陽塾でドタバタしてる短編がイチイチ既に戻らない輝かしい過去という事実を定期的に思い出していちいち辛いんだけど、今回は本編の展開と三羽烏の過去編をふまえてラストの「エピローグ」で追い討ちをかけてくるのがとても酷い(褒めてる)と思いました。大友の言動から浮かんでくる物語の時間軸と、過去を重ね合わせたかのような展開が辛い。それとなく陰陽塾のその後も示唆されていて、否応無しに11巻への期待が高まる1冊でした。

 ところで、BOOK★WALKERで購入すると文庫未収録の小説(7巻の店舗特典だったもの)が特別収録されているんだけど、こちらに収録されていた「なつめ日記」が物凄く意味深で、何故これを特典限定にしてしまったのか!!と問いたい。

 幼い頃の春虎と夏目が京子との約束でリボンを探すお話なんだけど、まだ見ぬ京子に子供らしい独占欲と嫉妬を覗かせる夏目はともかく、春虎の行動が色々な意味で上手く言葉に出来ないけど意味深で……。子供らしい邪気の無い行動といってしまえばそこまでなんだけど、この春虎がここまであっさり夏目のいう事を優先してしまうのは些か違和感を感じて。ただの「幼馴染」や「仲の良い親戚同士」というよりもある意味「土御門家の式神」としての夏目と春虎の関係を示唆するエピソードなのではないかと思ってしまって、上手く言葉に出来ない。ほんとなんでこれ特典限定小説なんだ皆読んでもだもだすればいいのに……。


やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。8

 

後味の悪さを残した修学旅行を終え、日常に戻った奉仕部。そんな折、奉仕部に生徒会長選挙に関わる依頼が持ち込まれる。お互いのやり方を認められないまま、奉仕部の三人はそれぞれが別のやり方で依頼に対することに。分かっていた。この関係はいつまでも続かないことも、自分が変わることができないことも。「君のやり方では、本当に助けたい誰かに出会ったとき、助けることができないよ」その行動は誰のために…。それでも自分のやり方を貫く、もがこうとする“彼”は、大きな失敗を犯してしまう―。 「BOOK」データベースより)

 修学旅行の後ギクシャクしたままの奉仕部の元に持ち込まれた依頼。とある人物の生徒会選挙当選を避けるためにこれまで通り自分をもち下げることで依頼を完遂しようとする八幡に残りの2人は反対し、それぞれ違うやり方で依頼をこなそうとするのだが……。

 葉山グループの瓦解を繋ぎ止めるために行動してしまったが故に壊れかけてしまった「何か」を元の形に戻そうとなんとか頑張ってみたけど、やはりどこか周囲を顧みない八幡の独善的な解決法では綺麗にまとまりはしなかったという話。

 なんだかんだで色んな人に好かれているのに、その事実に気づくことができない八幡がどこか痛々しく、見ていられなく、そういう八幡の言動のたびに自らの好意と存在を否定されて傷つく彼女達のもどかしさにもだもだし、瓦解しようとしているものの大きさに気づいた彼がそれを壊すまいと動きはじめてしかしどこか空転している様が見ていられない。八幡が「自分のため」に動いたのは大きな進歩だと思うのだけど、それだけじゃどうしようもなく足りなかった。

 例えば八幡が動く前に雪乃の本心を聞き出すことができていれば……とも思うのだけど、それが出来ればこの物語なんてそもそも存在すらしていないだろうし、雪乃だって八幡が本意を問いただした所で真意を見せるとは限らない。そしてその真意を見せたところで八幡が素直に信じるとも思えない。八幡のやり方を彼女達が容認できなくなった時点でこの物語は多分詰んでた。「彼」や「彼女」が居心地良いと感じた場所が、そのままであって欲しいと望む気持ちによって致命的に居心地よくない場所へと変えてしまったのがどうしようもない皮肉。

 6巻くらいからずっとこういう重苦しい展開が続いていて、読むたびに角材で殴られたような衝撃を受けるシリーズではあるんだけど、今回のが一番キツかったです。9巻以降で少しでも持ち上がってくれることを期待したいんだけど、ほんとどうなるんだろうなあこれ……。

 しかし、女の子と遊んでても八幡しか見てない感ばりばりの葉山はほんとどこまで八幡のこと好きなんですか。お互いのやりかたを相容れないと感じながらも、双方が意識せずにはいられないというこの複雑な関係性がとても好き。あと、材木座さん地味にかっこいい。基本ハズレクジ引かされる役どころの材木座だけど、それだけ他人を巻き込む事を嫌う八幡が巻き込んでもいいと思う程度には心を開いて貰ってる存在なんだろうなあ。


やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7.5

 

奉仕部に送られてくるようになった「お悩み相談メール」、そして平塚先生から持ち込まれた「結婚がらみ」の相談事…。(八幡的には)不本意にも忙しい奉仕部。その活動はコスプレ&「嫁度対決」からガチ格闘技対決まで、多岐にわたりすぎて大変なことに。日々の些末な出来事にこそ、真実は宿る…!?奉仕部&おなじみのキャラクターたちが生き生きと輝く「いつもの日常」をたっぷりと!アニメも大反響の「俺ガイル」、大ボリューム書き下ろし&単行本未収録エピソードをぎゅっと詰め込んだ珠玉の短編集! (「BOOK」データベースより)

 店舗特典小説などを収録した短編集。後からはまるとこの手の特典小説は追いかけようがないので各レーベルはどんどん積極的に収録していっていただきたいですね。複数の店舗で違う小説つけるのよくない!!思わず複数買いしちゃうから!!!あと、もういいから八幡は平塚先生もらってあげてよ!!

 打ち上げでゲーセン行ったり、登場人物達(主に材木座や平塚先生)からのお悩み相談をメールで解決したり、ヒロイン(?)達が嫁力対決をしたりと、ちょっとした日常を描く短編が多いのですが、ある意味いつも通りだった「未だ、彼らは帰るべき場所を知らない。」が印象的。(部室に居座って要らぬちょっかいを焼きはじめたOBのせいで)減ってしまった部員を再び獲得してほしいと柔道部に頼まれた奉仕部が、季節外れの柔道部員勧誘イベントを主催するというお話なのですが、解決法がとても「いつもの八幡」というかんじで、ちょっと後味の悪い終わり方も含めてなんともいえない気持ちになる。しかし、葉山グループで3人組組むとあぶれるからって言って迷わず八幡に誘いをかける葉山さんはなんなんですか?愛なんですか?(誤解)

 7巻の内容があまりにも重たかったので、その分ほっと一息つける巻であったことは確か。続きの巻でてるからこそ一息つけた感じがあるのも否めないけど。っていうか柔道部の話、雪乃や結衣の反応が割とニュートラルなことにとても複雑な気持ちになってしまった……。


「好きなライトノベルを投票しよう!!2013下期」に投票します

企画元:好きなライトノベルを投票しよう!! 2013年下期

 2013下半期は本当に本読めなかったんですが年変わってから無理矢理追い上げたりして8作品選んでみました。ラストスパートした俺ガイルと東京レイヴンズが本当に面白かったので読んでください。バカテスが面白かったのは最早自明の理なのでやっぱり読んでください。ハイキューとKのロスモワ的に壁井ユカコせんせいのバレーボール小説「2.43」とかも全力でオススメしたいので読んでください。

既存部門

amazon.co.jp:バカとテストと召喚獣12
井上堅二「バカとテストと召喚獣12」(⇒感想
 最後までアツい男子の友情を魅せつけられましたありがとうございました。
 あとこのラスト悪友エンドってことでいいんですよね?(迫真)

「お待たせ、雄二。準備は出来てる?」
「おせぇぞ、明久。誰に向かって言っていやがる」

【13下期ラノベ投票/9784047292932】
amazon.co.jp:ノーゲーム・ノーライフ5 ゲーマー兄妹は強くてニューゲームがお嫌いなようです
榎宮祐「ノーゲーム・ノーライフ5 ゲーマー兄妹は強くてニューゲームがお嫌いなようです(⇒感想
 複数の種族を一手に相手取る展開がアツかった!「最弱」の人類が他種族達をあの手この手でねじ伏せていく下克上っぷりがとてもたのしい。アニメも期待してます。

「一回、俺YOEEEからスタートし直せ。それでもまだクソゲと思うなら──」
「……何度、でも……遊ん、で……あげる」

【13下期ラノベ投票/9784040660806】
amazon.co.jp:はたらく魔王さま!10
和ヶ原 聡司「はたらく魔王さま!10」(⇒感想
 異世界を舞台に熱いバトルを繰り広げつつ、根底に根ざしすぎてる生活臭が最高。美味しい所を持って行く魔王のヒーローっぷりやばい。この挿絵がヒドい2013年下半期(P261)。

「この『ヒヤヤッコ』と『ミョウガ』を使えば、悪魔大元帥アルシエルは、
悪魔大元帥ルシフェルや、魔王サタンですら凌駕する力を手に入れられるのよ」

【13下期ラノベ投票/9784048661614】
amazon.co.jp:東京レイヴンズ10 BEGINS/TEMPLE
あざの耕平「東京レイヴンズ10 BEGINS/TEMPLE」(⇒感想
 第二部開始。色々わからないことだらけだけど、これからの展開に期待せざるをえないお話でした。新キャラクターの秋乃がどういう形で鍵を握るのか。とても続きが楽しみです。

その光線を受けて──東の空の彼方に、巨大な闇鴉が飛翔している。
黒衣の陰陽師が、東を目指し空を行く。
また、置いていかれた。

【13下期ラノベ投票/9784047129115】
amazon.co.jp:やはり俺の青春ラブコメは間違っている。8
渡航「やはり俺の青春ラブコメは間違っている。8」
 不器用な登場人物たちが、ある人は正面から向かい合い、またある人は背を向けることで心地良い居場所を維持しようとしてすれ違ったり傷つけあったり空回りしたりする姿が本当に辛い。あと葉山が八幡好き過ぎてこれは海老名さんでなくても辛い(別の意味で)

「……すべての人があなたを気に掛けて、嫌っているなんて自意識過剰だわ」
【13下期ラノベ投票/9784094514513】



新規部門

amazon.co.jp:2.43 清陰高校男子バレー部
壁井ユカコ「2.43 清陰高校男子バレー部」(⇒感想
 ラノベ枠に入れていいのか判断が分かれるけど。バレーバカの灰島と灰島につられてバレーを始めた黒羽が、様々な紆余曲折を持ちながら高校バレーの頂点を目指すお話。バレーで青春で男の友情で重い過去です。よもう。
「証明する。秋季大会で。おまえにあげるトスは全部、最高にいいやつにする。
……取り返したかったのは、おれだから……」
【13下期ラノベ投票/9784087715231】
amazon.co.jp:クレイとフィンと夢見た手紙
友野 詳「クレイとフィンと夢見た手紙」(⇒感想
 MF文庫Jで男二人の相棒物な連作短編!!頭脳労働担当なちっさい系先輩・フィンと肉体労働担当なおっきい系後輩・クレイが「届く筈の無い手紙」を届けに行くお話。ちょっとふしぎなお話も楽しいんだけど、主人公コンビの軽妙なやりとりに始終ニヤリとさせられてしまう。
「おい、助けてやっただろうが。礼のひとつもなしか?」
「後輩くんのおしごとは、先輩であるぼくのサポートでしょう?」

【13下期ラノベ投票/9784840154109】
amazon.co.jp:魔王と姫と叡智(えっち)の書
霜野おつかい「魔王と姫と叡智(えっち)の書」(⇒感想
 魔王(ピュアな貞操観念をお持ちの常識人)がファンタジー世界でエロ同人作家(男性向)のお姫様や執事や勇者やらに振り回されるお話。タイトルと表紙じゃ内容つたわらなさすぎるのマジ遺憾の意。あとツイッターネタがリアル同人女子すぎてわろえない。まじあの1Pの衝撃といったらない。
没姫(@botsu_p):あーあーあー…………。
没姫(@botsu_p):やってしまいました…………うわぁ…………ない…………あれはない…………。

【13下期ラノベ投票/9784797375275】



艦隊これくしょん ‐艦これ‐ 一航戦、出ます!

 
GUNP

「一航戦、赤城、出ます!」「加賀、続く!」本日も鎮守府の艦娘たちは出撃、演習、遠征に明け暮れていた。しかしある日を境に、遠征先の海域に、通常よりも精強なエリート級の深海棲艦が出現する現象が発生!事態を重くみた提督は、南方海域にある深海棲艦の泊地に原因があると考える。そして鎮守府すべての艦娘を動員する総力戦を決意するのだが!?「人々が自由に海を行き来できる未来を―」艦娘たちの熱き艦隊バトルが開幕! (「BOOK」データベースより)

 「艦隊これくしょん」のノベライズ攻勢第二段。角川スニーカー文庫版はとある1人の提督が様々な艦娘達を擁してサーモン諸島に居を構える「泊地棲姫」と戦うというお話。2013年春の期間限定イベント『敵艦隊前線泊地 殴り込み』を元にしたストーリーになっています。

 「艦隊これくしょん」というゲームをそのまま肉付けしたらこういうストーリーになるんだろうなという、とても「手堅い」ノベライズ。ストーリー性の薄い原作ゲームに史実設定・ゲーム内の設定・オリジナル設定という3つの方向からの肉付けが上手く溶け合って違和感のないストーリーとなっていて、とても面白かった。特に兵器面の解説はよくわからないまま使っている物も多くあったのでなるほどと思いながら読んでいました。期間限定イベントは秋の奴しか経験ないのでなんとなくしかイメージ沸かないんだけど、ある程度このゲームを知っているとニヤニヤできるお話が多かったです。

 まだまだ未熟だけど、艦娘想いでいつだって一生懸命な「提督」が艦娘達に支えられ、愛されながら司令官として成長していく姿が心地良い。また、提督の対極的な存在として「泊地棲姫」が位置づけられているのが面白かった。勿論深海棲艦側との言葉のやりとりはないんだけど、限られた資源の中、双方がギリギリのところで凌ぎを削る様子がアツかったです。

 ただ、サブタイトルに「一航戦」の文字が入っている割に各キャラクターの書き込みは薄く広くという感じなので、特定キャラクターを目当てに買うと辛いかも。加賀さんのさりげないデレっぷりとか凄い可愛かったし、もうちょっと色々見たかったなぁ……。あとバトルメインのノベライズなので挿絵はもうちょっと戦闘してるところを見せてほしかったです。絵自体は可愛いのですが割と悪い意味で「顔見世」的な挿絵が多くて、しょんぼり。

 キャラクター同士で絡みがあるのも「赤城・加賀」「天龍・龍田(+第六駆逐隊)」「長門・陸奥」「島風(+連装砲ちゃん)」という感じで、割と人気どころを押えておけば…的な印象を強く感じてしまいました。でも、そんな中でやたらと活躍が光っていた扶桑姉さんはきっと作者さんのお気に入りキャラだったんじゃないかと勝手に邪推したい。ゲーム作中で特に絡みとかなかったはずの島風と扶桑姉さんのやりとりが一番美味しかったのです!こういうのもっと見たかったなぁ。


リーガル・ファンタジー 1 勇者弾劾裁判

 

勇者の功績により聖魔戦争が終結して三百年。正義の弁護士を目指す少女フィオナは名門法律事務所の門を叩くも、守銭奴である所長への反感から、事務所を鞍替えすることに。だが、法廷デビュー戦で対するはかつての師スミオ・マリアヘル、その人だった!彼女は敗れ、結局はスミオの元でこき使われることに。そんなある日、事務所に持ち込まれた依頼は―あの勇者の弁護!?駆け出し弁護士と最強の『法廷の魔女』が挑む裁判ファンタジー、ここに開廷!!第15回えんため大賞優秀賞受賞作品。 (「BOOK」データベースより)

 ファンタジー世界、というより「ドラクエRPGゲームの世界」を舞台にしたファンタジー法廷劇。勇者が世界を救ってから300年後、当時勇者がやらかしたさまざまな事例を巡り弾劾裁判が起きて…!?というお話。

 「FF」世界で「逆転裁判」かなと思って読むと「ドラクエ(しかもSFC時代)」世界で「リーガル・ハイ!」やってる感じなのでタイトルから前者を想像するとちょっとイメージ違うかも。勇者は不法侵入し放題、家に入られたらタンスの中を漁られる!とか、仲間にしたキャラを身包み剥がして装備奪って本人のステは低いので放置プレイとか、僧侶は回復薬代わりとか、ゆうべはおたのしみでしたねとか、確かにRPGでお約束な行動の数々を現実世界でやっちゃったら普通に犯罪だし、それを「超法規的措置」として特別扱いしたら嫌がられるし叩かれるよなあ。しかも女好きで不老不死の勇者様には大量の子供がおり、お世辞にも人間が出来ているとはいえない勇者様はその子孫達にほぼ例外なく恨まれているもんだからさあ大変。雨後の筍のように「勇者の子供」が出てきては事態をひっくり返していくもんだから……楽勝だとおもっていた裁判が、逆転に逆転を繰り返した挙句、崖っぷちまで追い込まれてしまう破天荒な展開が楽しかった。

 主人公のフィオナと師匠となる弁護士・スミオの関係性もただ「正義感が強い駆け出し弁護士と強欲で勝利のためなら手段を選ばない敏腕弁護士」になってないところが良かった。フィオナは世界が正義だけでも正論だけでもどうにもならないことも知っていて自分のしようとすることに対して葛藤するし、スミオにはフィオナをこっそり目にかけるだけの理由がある。そんな二人が反目しあい、喧嘩しながらも勝利を掴もうとする姿が心地よかったです。まあ個人的にスミオはもうちょっとドSに徹してくれても良かったんですけどね!!

 若干1巻の中で詰め込み感あったり、露骨に拾えてない伏線があったりするのが気になったり少し読みづらい部分もあったんですが、そういう荒削りな部分を差し引いても引き込まれてしまう作品でした。2巻があるなら冒頭ででてきた女の子2人がライバルとして再登場する展開を全力でお待ちしてます(個人的にあれだけいかにもメインキャラ臭漂わせておいてあれしか登場しないのは割りと詐欺だとおもうので…おもうので!)