リアル人間の女の子にはもてないが、人外の女の子とギャルゲーのヒロイン達にはモテモテな少年・田中春男が占い師にして町の都市伝説ハンターだった祖母の跡を継ぎ、都市伝説の元となる怪異と対決していくお話。手にとったきっかけはどうやら感想サイトで「ご近所ヒーローもの」「ピンク髪ヒロイン」という属性描写を見たかららしいです。
ちょっとおかしな連中に振り回されながらも、身近な友人達のために必死で立ち上がる主人公の姿には好感が持てるのですが、なんか全体的にむりやり詰め込んだ要素を扱いかねているような印象を受けて、最初の方は全く物語の世界に没入できなかったなあ。特に第一話は、主人公の動機から何から全てが唐突に思えて、設定書きを読まされているような印象を受けて読んでいてキツかったです。“ギャルゲーゴッド”という設定も物語に一切なじんでないように思えたし、主人公の独特の語り口も一つの魅力なんでしょうが、特に高所恐怖症になった理由とか、本当に「目的のための理由」という気がして、全く感情移入できなかった。
ただ、大体の設定が提示された後に満を持して始まった第二話はかなり面白かった。天然ボケなヒロイン・コトリさんと彼女に“お似合い”な美青年・桑島に嫉妬する春男が迷走する姿には凄く共感できたし、ギャルゲー友達である草一の為に身体を張って立ち上がろうとする春男の姿が印象的。特に、いじめられている彼の為に意外な人物が立ち上がる場面では、胸が熱くなりました。
しかし、2話の最後で衝撃の事実が明かされるんですが……それを受けた後、3話での春男の態度があまり好きになれなくて。なんか結局春男の事を本気で心配してくれてるエリアスを傷つけた上に、「コトリさんを巻き込まないため」といって逆に彼女を傷つけてしまって、それでも完全に彼女との関係を断ち切ることができないヘタレっぷりが…そこは彼女との関係を断ち切るにしろ彼女のそばで護る立場にたつにしろ、もっときっぱりかっこよく決めてほしかったなあ。
あとやっぱり、この作品ってなんか設定出しが下手だとおもう…。ラストで明かされた「都市伝説」の内容については思わずニヤリとしてしまう所があったのですが、その前までに展開されていた内容があまりにも重かっただけに、なんか大きく肩すかしをくらったような印象でした。3話は次巻回しにしてでももうちょっとページ数を割いてもよかったのでは。
世界観設定やストーリーやキャラクターには魅力を感じるのですが、なんか全体的にのめりこめない自分が居て、それが残念。正直、どこが笑いどころかわかんなかったし。ただ、第二話は普通に面白かったので、案外2巻以降読んだら普通に楽しめちゃうかもしれず…うーん。
一応続きも買ってあるし、巻を重ねるごとに面白くなるみたいな話も聞いたので、また気が向いたら読みたいと思います。
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今月のまとめと読了記録[2009年7月分]
7月に読んだ本は17冊でした。
凄い少ない!ッって思ったけど先月先々月が多かっただけなのか。
2009年7月のページアクセストップ4
解析を眺めたら、去年書いた今からでも書ける!?読書感想文にお薦めしたい10冊のライトノベルという記事に超アクセスがあって、「そういえば世間はもう夏休みなのだなあ…」としみじみおもった今日この頃でした。余談ですが今年読んだ作品の中で読書感想文書きやすそうなラノベとして、猫耳父さんを推してみたい気がする。挿絵がおかしいだけで、内容は割合読書感想文向けな予感。
紫色のクオリア (⇒感想) | GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン2(上) (⇒感想) | ラノベ部3 (⇒感想) | 生徒会の六花 碧陽学園生徒会議事録6 (⇒感想) |
今月は凄く「紫色のクオリア」のターンでした!自分でも今月読んだ中では回心のクリーンヒットだったと思っているので、予想以上に世間の評判が良くてニヤニヤ。とりあえず2009下半期ラノサイ杯の新規部門は1枠埋まったなって感じですね!!
「境界線上のホライゾン2(上)」は、厚さのせいで注目度は高かったけどあまりにもハードルが高くて前評判を調べる人が多かったんじゃないかと予想。ハードル高すぎて、自分が捕捉している範囲で下巻読了までたどり着いたラノベ感想サイト管理人は未だに数えるほどしかいないような気がしますし…なんだかんだいって面白いんですけど、やはりこの分厚さは業が深すぎる。
そして完結編の「ラノベ部3」とアニメ化を前に盛り上がる「生徒会の六花」。ラノベ部完結編は周囲のラノベサイトを見ても飛びぬけて評価が高いようで、今から下半期ラノサイ杯が楽しみ。生徒会の六花は会長がエロ過ぎますが当然十巻では性的な杉崎が拝めるんですよね?
2009年7月に読んで面白かった本
真・運命のタロット9 《世界》。 (⇒感想) | 黒椿姫 雷鳥の暗殺者と公爵令息 (⇒感想) | 魔女っ子サラリーマン (⇒感想) | 嘘つきは姫君のはじまり 恋する後宮 (⇒感想) |
前項で新刊でお気に入りだったヤツ殆ど取り上げてしまって、4枠全部が少年向けラノベ以外で埋まるという結果に…!しかし、運タロ読み終わったのってまだ7月だったんだな…
もうとにかく、今月最初にして最大の衝撃だったのが「真・運命のタロット9 《世界》」。特にエピローグを読んだあとは暫く、放心のあまり半日くらい何も手がつけられなかったという状況に。様々な時間軸が交錯しておりなす様々な予想外な展開は、とても少女小説とは思えない密度と難解さを持っていて、とにかく色々凄かった。少女小説読み以外の人も読めばいいと思うよ!!むしろ第三部が切実に読みたいです…。
中盤のエロい小説強化週間(違)から、「黒椿姫(ティアラ文庫)」「魔女っ子サラリーマン(プラチナ文庫アリス)」。ティアラ文庫は3冊読みましたが、黒椿姫がぶっちぎりだったなあ。腹黒か増せ犬・ヒースコートが良い味出しすぎでした。続編読みたい。魔女っ子サラリーマンは、BL特有のファンタジー感があまり得意でない私でも楽しめる、正統派少女漫画系(?)ボーイズラブ。ネットで続編が連載中らしいので、近いうちに読みたい…!!
「嘘つきは姫君のはじまり 恋する後宮」は一途でまっすぐな次郎君・ツンデレで不器用な優しさを持つ蛍の宮が素敵過ぎてとてもきゅんきゅんします。平安スキーとしては続きを読むのが楽しみでたまりません。しかし、そろそろ真幸にも光を当ててほしい気がする。
2009年7月の読了記録
なんかラノベ以上にマンガが控えめだったなあ…
あ、今月はなんといってもパンドラハーツ最新刊が凄かった!!!
アニメも凄い面白くなってきてるので、皆読めばいいのにと思う。かなりスロースタートなので6巻くらいまで一気読み推奨ですが、お膳立てが出来てストーリーが本格的に動き始めると面白いのなんの。そして読めば読むほど新しい伏線を発見してニヤニヤできる仕様がすばらしい。ラノベラーとも相性が良いであろう中二病全開マンガです。
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【告知】コミックマーケット76参加します。
今回も無事コミケのスペースをいただけましたので、バカテス本出します。
前からずっと出したかった文化祭アキちゃん本だよ!
脳内タイトルは「秀吉が3分でやってくれました」本です。
詳細・本文サンプルは続きを読むからどうぞー。
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本日の騎士ミロク2
[著]田口 仙年堂 [絵]高階 聖人 赤目隊の作戦が功を奏し、なんとかホラキア軍を退けたジルサニア王国。捕虜となったジュジュの幼なじみにしてホラキア国王子・ベンヤミンの口からもたらされたのは、ミロクの生まれ故郷でもあるオウガンの魔導士がホラキアを陰から操っていたという情報だった。講和条約と姫の講演を行うため、急遽ホラキアに向かう赤目隊の面々だが… |
ジルサニアの王女ジュジュ、ホラキアの王子ベンヤミン、オウガンの皇子であるミロクとシェンラン。肩書きは同じでもそれぞれ違う立ち位置にいる4人が様々な思いをもって自らの国を思い、憂い、互いの護りたい者ため相対していく姿が印象的。たとえそれが未熟な想いでも誤った道であっても、誰も彼もが自分の国やそこにいきる人々のために一生懸命で、その姿が清々しく映る。特に、ヘタレヘタレと思っていたベンヤミンの成長っぷりには驚かされました。ラストのベンヤミンの演説はマジかっこよすぎる。
なし崩しに祖国と対立することになってからはじめて祖国とジルサニアのどちらを取るかで葛藤するミロクは残り3人の王子・王女達の姿と比較するとあまりにも考えなしだなあ、と思うわけですが(もちろんオウガンがジルサニアを攻める可能性自体が元々低かったというのもあるんだろうけど)、迷いを振り切って『どちらも救う』という第三の選択を選び、かつての友と相対する姿の凛々しさといったらない。っていうか名乗り合いのシーンがかっこよすぎなんですけど!!!うわあああミロクかっこいいよミロク!!!(ゴロゴロゴロ)
しかし、シェンランはカラー絵からしてふつうに女の子にしか見えないなあ…どうせならもうちょっと性別不詳系美形キャラっぽく描いてほしかった気が……挿し絵だとふつうにかわいい女の子なので、文章から受けるキャライメージとのギャップに時々戸惑いました。むしろふつうにシェンラン男でもいいじゃない……確かに「お兄ちゃん」の破壊力は妹萌え属性ない私ですらグラっとくるほどやばかったですが!いやでも、シェンラン×ミロクでもいいじゃない……(いろいろだいなし)
まだまだいろいろな部分で未熟なミロクと、とにかく肝心な所で言葉の足りないジュジュを暖かく見守る赤目隊とジルサニア王家の人々のアットホームな雰囲気も前巻から引き続き最高です。というかフェリサ最高です。あの外見のクールさと、口の悪さ及び中身のえげつなさが醸し出す壮絶なギャップが最高すぎます!!もっとフェリサ目立てばいい…むしろ彼女主役のスピンオフ短編とか超みたい……フェリサかわいいよフェリサ…!!
次巻はいよいよオウガンとジルサニアとの対立が本格化しそうな感じ。というか●●…だと…。物語がどの方向に転がっていくのか、とても楽しみです。
黒椿姫 雷鳥の暗殺者と公爵令息
[著]魚住 ユキコ [絵]カワハラ 恋 グロンヴァール王国の第一王位継承者として、幼い頃から側近の者達の裏切りや死別を繰り返してきた王女・エルダ。人間不信に陥った彼女は自分の命を狙いに来た暗殺者・レイフェンを敢えて従者として雇う事に。暗殺者と暗殺対象である二人の奇妙な生活が続く中、野心家の公爵令息・ヒースコートが彼女に求婚を申し入れ… |
個人的に「幼い頃から暗殺組織で育てられた暗殺者が暗殺失敗して暗殺対象と同居生活送る内に情が移り、暗殺組織に連れ戻された暗殺者を暗殺対象が無茶を承知で助けに行く」というシチュエーション(長)が大好きすぎて困る私としては、好みドンピシャ。人間不信のエルダがいろいろな事いいながらレイフェンに少しずつデレていく様子にもニヤニヤで、暗殺者モノとしても主従モノとしても文句なしにドツボ。最後にレイフェンの素性が意外なところに通じていくのも面白いんだよね。彼の正体が明らかになった時は思わず唸りました。「どう上手くやっても身分的に結婚は無理だろ…身分的に」という二人なので最後の設定は上手いなあって思いました。
そしてメインの2人もいいんだけど、公爵令息・ヒースコートの腹黒っぷりが良い!!笑顔で本心隠して酷い事を考えてるかませ犬キャラって正直最高じゃないですか!!人間不信で警戒しまくりなエルダとのやり取りには、本当にニヤニヤした。あと、彼の忠実な騎士であるアナベルが良いキャラすぎたので、ぜひともイラストで彼女の雄姿を拝みたかったです。個人的にはヒースコートがラスボスくらいの展開でもいいんじゃないかと思っていたのですが、ラストのエルダとのやりとりが最高すぎたのでむしろこのオチはありあり。
そんなこんなで、最後までとにかく楽しく読めました。買ってきた3冊の中では一番お気に入りかも。続きは…さすがに期待できないのかな。こっそりとシリーズ化に期待してみます。
キスとDO?JIN! オタク王子のあぶない誘惑!?
[著]小林 来夏 [絵]由良 七海が同人活動を始めてから早10ヶ月。イベントにサークル参加していた七海を訪れた高橋が連れてきたのはなんと“コミックエンペラー”代表の芹沢と、その甥っ子の美少年・日暮克巳。年少ながらも大手同人作家として活動している克巳は、七海に「こんな落ち目のジャンルには見切りをつけて、売れ線作品で稼ごうよ!」と言い出すが… |
正直、萌えが一定の基準値を突破しないと二次創作できない自分にとっては克巳のあれは一種の才能だよなーと思ってしまうわけですが、正直リアルで彼みたいなのが身近に居たら多分キレると思う、私。物語を読んでる最中も、その言動やら態度やらにイライライライラ。っていうか落ち目ジャンルで何が悪い!!ジャンル規模小さいのの何が悪いというんだ!!例え言ってるのが好みドンピシャの子悪魔美少年だとしても、言っていい事と悪い事があります。ど、同人っていうのはなあ…同人っていうのはそういうものじゃないんだよ!!ぎ、技術よりも愛が重要なんだよ!!たぶん!(…以上、弱小ピコサークルの心の叫びでした。)物語の中盤以降、彼が芹沢やら高橋やら蝶子さんやら西南北やらに言葉のフルボッコを喰らう様子を見て、とてもスッキリしたのは内緒です。
たとえ技術が高くても漫画が面白くても、不思議と作品やキャラへの愛が篭ってない作品っていうのは魅力に欠けると思えてしまう不思議。妄想大爆発のトークとか、書いた本人は後で読み直すと死ぬほど恥ずかしかったりするけど読むほうにとってはかなり面白かったりするよね。っていうか、それが二次創作の醍醐味だと思うんだよなあ。やはり愛がない二次創作は、どんなに良いものでも魅力半減なのです。ただ克巳の場合、少なくても「漫画を描く事」を楽しんでいるのは十分に伝わってくるのでその辺は難しいなあと。あと芹沢への愛は痛いほど伝わってきた!っていうかマジで克巳×芹沢本を、誰か出すべき。
そして思わぬ所で蝶子さんと響が変なコンビ結成してて噴いた。いや、何気にいいコンビすぎて噴いたというべきか……絶対ウマが合わない二人だと思っていただけに、今回の意気の合いっぷりには笑いました。
そして恋愛面では……あれ、これは西南北ルートだとおもってたけど高橋ルートに分岐してしまったのか?西南北が凄い勢いでかませ犬臭を発している気がしてしょうがないのですが……次巻は恋愛寄せらしいので、次で三人の関係がどう動くのか、期待です。
それにしても、ラストの短編での執事には久しぶりにしてやられた。
序盤のスーパー変人ぶりは周囲の変人ぶりも相まって薄くなってきちゃった印象が残念ではありますが、なんかもうむしろ「実はさみしんぼ」キャラで売ったらいいと思う。人知れず三十路突入で腹抱えた。
サクラダリセット CAT, GHOST and REVOLUTION SUNDAY
スニーカー文庫の新人さんの作品。煽り文句で衝動買い余裕でした。この煽りはずるい!!3日前に時間を戻すことができるけど、リセットした分の記憶を持つことができない少女・春埼とリセットされた間の記憶を含めた記憶を保持できる少年・ケイのコンビが、猫探しをきっかけに大きな事件に巻き込まれていく…というお話。
物語も面白かったけど、それ以上に透き通るような爽やかな透明感と、独特なテンポで語られる綺麗な文章がとても良かった!椎名優さんのイラストがまた物語の持つ透明感を引き立てていて、作者・絵師・この組み合わせを選んだ編集併せての良いお仕事だなあという印象。個人的には、序盤はこのちょっと独特な物語のテンポと主人公&ヒロイン双方の視点から語られる地文に戸惑ってなかなか読み進められなかったのですが、文章に慣れてからはむしろこの感覚が心地よかったりも。
「3日前までで“セーブ”を取った任意の時間に時を巻き戻す」という、春埼の能力・『リセット』。使い方によっては死者すら生き返らせてしまう可能性を持つ万能能力なのですが、これには様々な制約があって、そこをうまく使いながら事件を紐解いていく。リセット前の世界で起きた事との些細な違いが徐々に大きな波紋となって、「前回」とは全く違った思わぬ展開に発展していくというのがなかなか面白かったです。ちょっと不思議な能力と心の傷を抱えた少年少女たちが思い悩みながら自分の思いを遂げる為に動いていく姿も印象的。
上手く言葉に表現できないのがもどかしいけど、ちょっと綺麗で爽やかで、残酷だけど優しい物語でした。無理やり例えるなら「ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート」を読んだ時の感覚に近いかも。そして「中二系異能要素と暗黒成分抜いて硝子と晶が人助けするレジンキャストミルク」みたいな(意味不明)。
とりあえず、表紙やアオリにキュンとなれる人は、買って損はしないとおもうよ!!
2巻の刊行がすでに決まっているようなので、続きが読めるのがとても楽しみです。お勧め!
運命のタロット10 《皇帝》はうなずかない
[著]皆川 ゆか [絵]乱魔 猫吉 《月》が起こそうとしている“改変”から河内さんを護ろうとするライコと《魔法使い》。しかし、河内さんにはすっかり誤解されて楽屋に入るのを拒否され、更に片桐先輩と一緒に居るところを追いかけてきた《太陽》から攻撃されてしまう。ライコ、絶体絶命の大ピンチ——!? |
2つのフェーデだけではなく、遂に《皇帝》が現れたりあの人が《愚者》の協力者になったり……と、序盤巻でのもどかしさのトリを一気に取るかのような盛りだくさん感!!最後まで悪役を貫いた坂崎の最後にも、哀しい想いを抱えた《月》の協力者の真実にも物凄い惹きこまれた。二人とも脇役ながらいいキャラしてる。ただ、《太陽》と坂崎の関係はちょっと見た目通りのものではない力関係を感じたので、ここでご退場されてしまうのは惜しいなあと感じてしまったり…。
《太陽》との戦いの後に起こったジュリエットの事件を巡る攻防は、本当に瀬戸際での戦いになって物凄い緊迫感。むしろ《太陽》と戦ってる間もずっと「本当に大丈夫なのか」「実は今の間に寝首をかかれてるんじゃ…」とヒヤヒヤしっぱなし。誰もが笑って迎えられる結末ではなかったけど、とりあえず“改変”を防げた事にホっとせざるをえません。
そして遂におまちかねの《皇帝》登場!!演劇中のライコとのやりとりにニヤニヤしつつ、「いやでもやっぱりあの人に似てるなあ…」なんて思ってたら、ラストに巨大爆弾投下されて脳内で叫びまくってました。っていうか自分の9巻感想がいろいろな意味で預言者過ぎる。
ところで、後書き読むと次は《女帝》で一部完結、って書いてあるけど実際には次は《神の家》で残り3冊ですよね。おもいっきり延びてる延びてるよ!ああそういえば、真タロのほうは22冊で終われなくて「8上」とか「9下」とかどこかの終わクロみたいな表記になってたなあ…規定冊数で終われなかったんだろうなあ…
運命のタロット8 《戦車》が兄とやってくる
[著]皆川 ゆか [絵]乱魔 猫吉 《月》とのフェーデで狙われたのは河内さんだった。河内さんにその未来の一端を打ち明けてその改変を阻止しようとするライコだが、山根くんとの仲を疑われて逆に拒絶されてしまう。一方、新聞部では例の覆面少女の一件で“ヘルハウス”を再度調べる事になり… |
河内さんに“改変”の事を打ち明けるシーンは、さすがにその説得法は無茶だろう?と思ったり。せめて新聞1冊全部持っていけば良かったんじゃ…いやそれでも信じて貰える確率半分以下だと思うけど、労力的に捏造の可能性は低くなりそうな気はするような。しかし、やっぱりあのライコの行動は山根との仲を嫉妬されてた事を差し引いても浅はかだった気がするなあ。
会話の中でも更に新しいタロットの名前が出てきたり、意外な人と意外なタロットとの関係が明らかになったり…と物語は結構急展開。っていうかあの人が《愚者》の協力者とは……うーむ。《月》とのフェーデも、ここからどうやって展開するんだろう。とりあえず次が楽しみ。
むしろ次の巻、同人誌即売会ネタに期待せざるを得ない。
運命のタロット5 《月》が私を惑わせる
[著]皆川 ゆか [絵]乱魔 猫吉 片桐先輩を生き返らせるために《恋人たち》の協力者を探すライコは第二新聞部の島津に疑いの目を向ける。島津と佐倉の予想外な過去が発覚したことから、ますます疑いの目を深めるが、事件は意外な方向に… |
ライコが今にも“宣告”を行ってしまいそうになるのにとてもヒヤヒヤ。流石に「この人」が犯人だったらストレートすぎだよなあ…と思ってたらやっぱり違う人だった。でもこの人へのひっかけも結構露骨だったので、更にもう一枚上手で違う人がいやむしろ一周回ってストレートにこの人が…とかいろいろ深読みしてしまった…。
真実が明らかになり始めるたら一気に物語が動いて、とても面白かった!これまでのもどかしさを吹き飛ばされた。でも、≪恋人たち≫の「悪あがき」のせいで多くの犠牲が出る場面は、例え最終的には“なかったことになる”世界の事だと判っていてもやるせないなぁ。しかし、≪魔法使い≫が思い出した新たな事実や≪恋人たち≫の最期の言葉などなど、いろいろ引っかかる点が多いのも確か。
一応ひと段落はついて当面の敵?らしき組織の存在も明らかになったものの、物語にまつわる謎は以前よりも大きくなった印象。なんか後から思いっきり今回の「勝利」をどかんとひっくり返してきそうな、そんな火種が眠っていそうな予感が…
ラストのライコの言葉を受けて、他のタロットたちがどのように動き出すのかも気になるところ。このまま次のフェーデに突入する…のか?