“しろ” の検索結果 | ページ 22 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:しろ (312 件 / 32 ページ)

この世をば(下)

[著]永井 路子

疫病の流行により政界の上層部が次々と斃れていく中、姉である東三条院詮子の強力な後押しを受けて遂に政界トップである左大臣の座に就いた藤原道長。唯一残ったライバルは長兄・道隆の子である伊周・隆家兄弟だったが両者との対立が深まる中思いもよらぬ事件から二人の名前が浮かび上がって……
再読。下巻は遂に政界トップに躍り出た道長が浮いたり沈んだり(気分的な意味で)を繰り返しつつも平凡児らしい平衡感覚で遂には栄華を極める、というお話。

道長というと天皇の外戚として好き勝手に権力を握り、政界を動かしたようなイメージがありましたが、この物語では最高権力者である左大臣になったあとも甥っ子の伊周に悩まされたり、中宮定子の懐妊の度に男か女かで気をもんだり、一条天皇の死後は折り合いの悪い三条天皇とお互いに神経を削りながら対決を繰り広げたり…とまさに波乱万丈。特に伊周の配流の場面なんかは悲劇が一回転して喜劇になってしまっている状態で、思わず笑いがこみ上げてきてしまう。

ちょっと良いことがあると調子に乗ってつけあがり、思わぬ不意打ちを喰らって凹んでは「もう辞める!」とか言い出す浮き沈みの激しさは健在…というか思わぬかたちで権力を掴んでしまった分、様々な形で負い目を持っていてむしろ上巻よりヒドくなってるかも。でも何かと次兄やら伊周やら中宮定子やらが出てきてしまうのは、わからなくもないような。

「望月の歌」を詠んだ時のエピソードは今の私たちが受ける歌の雰囲気とはうってかわってどこか微笑ましいもので、思わずニヤリとしてしまうけど、その後にこれまでの幸運の元を取るような不幸の連続がやってくるのにはなんだか切ない。こうやって見ると、例の歌の通り「望月の欠けたることもなしと思えば」と言えるような状態がどれだけ短い間の出来事だったのか。最期まで「子供たちに見守られて、幸せに逝きました」とはいかないのがフィクションとは違うところだなあ。


セイバーマリオネットJ 3.乙女の休日、乙女のやすらぎ

[著]あかほりさとる [絵]ことぶきつかさ

敵だった筈のセクサドールズの3人が、小樽の長屋に居候しはじめた。ジャポネスが平和になったのは嬉しいけど…色々とフクザツな心境のセイバーマリオネットたち。ある日、いつもの通り小樽に朝食を作ろうと台所にやってきたチェリーがみたものは、同じく朝食を用意するルクスの姿で…
  個人的お気に入り度数
仲間になったティーゲル・ルクス・パンターの3人を仲間に加えた小樽たちが繰り広げるシリーズ第三弾。それぞれチェリー&ルクス、ブラッドベリー&パンター、ライム&ティーゲルにまとをしぼった短編集。

3編の中では、一番純粋に楽しめたのは最初のチェリー&ルクスの食事当番対決かな。二人とも結局はほぼ同じ妄想をしてるのに、キャラクターの違いでセリフが微妙に対比になってる(チェリーが「マスター、お願い明かりを消して!」でルクスが「マスター、明かりをつけて!私をもっと見て!」になる)あたりが楽しかった。ジャポネス中のじゃがいもを……たり、対抗して自らじゃがいもを収穫しようとしたり、ラストで2人と小樽のやり取りを眺めていた残り5人(含花形)が…という展開がハチャメチャで笑える。

ブラッドベリーとパンターの話は…個人的にはキャラ的にそこまで興味がない2人なのと、私初読時は結局最終巻までブラッドベリーとパンターのキャラの違いがよくわからなかったのでなんともいえない。むしろいっそ、ここでパンターが開き直ってデレなければ良いキャラ付けになった気がしてたなあ。あ、でもこの話のオチが好きです(腐女子的な意味で)。

ドタバタギャグな2編と比べて、唯一ちょっとシリアス調なのがティーゲルとライムのお話。ティーゲルさんはこの巻で一気にキャラが立ったよなあとか。服のセンスは正直色々とどうかと思いますが、小樽争奪戦に明け暮れる残りの6人(含花形)を余所目に『みんなのお姉さん』的ポジションを確立してて、何はともあれそこがいい。一方で、彼女たちによって少しずつ意識改革されていくジャポネスの人々の姿が印象的だったり。

しかし、今見てもティーゲルさんの●●服姿は衝撃的すぎです……。


「ライトノベルのSF化」の話が、10年以上前のラノベに載ってた。

最近発売された「オタク成金」という本であかほりさとる氏のラノベ論がいろいろなところで話題を読んでいるようなのですが、現在絶賛再読中の「セイバーマリオネットJ」6巻と7巻の後書きに、作家を目指している人への苦言のような形で今回話題になっている部分とほぼ同じようなラノベ論が展開されていたので、需要があるかどうかわかりませんが紹介してみます。

「Half Moon Diary」さんの記事で引用されている部分では「ライトノベルのSF化」の項目にあたる部分なのですが、10年以上前に同じ問題について危惧を声明していた、というのはいろいろな意味で面白いかなあと。自分は「オタク成金」を読んでいないので的外れかもしれませんが、こちらはあかほり氏本人が自らの筆で書いた文章なので、興味のある人は読んでみると良いかもしれませんっていうかむしろ皆に「セイバーマリオネットJ」読めばいいと思う。(←これは単純に私が好きだからという話なので、「挿絵的にハードル高いよ!」とかその辺の話はまあ……確かにそうですねすいません。)

あかほり作品にしては珍しく完結してるし、下半分がメモ帳で読みやすいから12冊あっても安心ですよ!

次に思うのは、その作品がマニアックすぎるということです。彼らの前提にはこういう考え方があります。
「これはファンタジー小説だから」
僕などは登場人物がカタカナならファンタジー小説、などとたわけたことを言っている人間です。ここまでは極端としても、ファンタジーの知識がなくともそういう小説に触れる人間もいるでしょう。それなのに、高度なファンタジーの知識(またはSFの知識)が必要な小説を書いてきて「これなあに?」と僕がたずねると、「そんなことも知らないんですか」というような顔をする。おそらく彼からすればこのぐらいの知識は当然持っていなければならないんでしょう。もし、読者に対してもそういうスタンスだとすれば彼が認められる事はないでしょう。そういうものがやりたければ同人誌をやっていればよろしい。
(中略)
今、述べた事と同じく、もう一つは作品をやたらと小難しくする人が多いのも気になります。精神観念の世界をやたらと持ち出して、そればかりを強調する。わからないという人間は、やっぱり切り捨ててしまう。


そういった小説を否定する理由として

僕らの仕事の対象は子供です。子供にわかってもらえなければどうにもなりません。たとえば知っている人間からすればたるく感じる描写も子供のためには絶対必要なのです。そのことがわからなければ、この世界でプロを名乗ることはできません。
(中略)
エンターテインメント精神がまるでないのです。はっきり言いましょう。ヤングアダルト・ノベルズはエンターテインメントの世界です。サービス精神がなければ読者には喜んでもらえません。そう、“喜んでもらう”のです。決して、“教えてあげる”“わからせてやる”ではないのです。


40人のうち本を読まない35人が読める小説を云々という表現と言ってる事はほぼ同じだと思いますが、個人的にはこちらの表現の方がしっくりくるなあと思いました。まあただ、この辺は現在のラノベ読者層と当時のヤングアダルトノベルズの読者層って結構変わってると思うんで、ほぼ同じ主張をしてること自体はちょっとアレなのかもしれない。

彼らが例に出すのは必ず『新世紀エヴァンゲリオン』です。
「だってエヴァは……」
僕はそういうとき言ってしまいます。あなたと庵野さん(エヴァンゲリオン監督の庵野英明氏)ではレベルが違うよ、と。(中略)エヴァンゲリオンはちゃんとエンターテインメントをやってます。(中略)作品の中でも予告でちゃんと言ってるじゃありませんか。「サービス、サービス」と。

(以上、『セイバーマリオネットJ 6.乙女の奇跡・in・チャイナ』226P)


エヴァがあたえた影響って本当に大きかったんだろうなあ…と思った部分。
エヴァ前後で主流となる作品の雰囲気が変わった、というのはなんとなく学生時代に感じた記憶があります。欝でぐだぐだ悩む主人公があの頃を境に一気に増えたよね!とか。

このあと、巻を挟んで7巻の後書きでこのラノベ論に対する反応に対して反応。

前回、ボクが「高度なファンタジーの知識がなければ理解できない物語はだめ」と書いたところ、「そういう作品でももの凄く売れているものはある!」という指摘を何通かもらいました。

これに対する答えは“対象”というものを考えてほしいということです。すなわち、対象年齢、その売るべき本の対象となる趣味の持ち主——という意味での“対象”です。
極端な話、作家が一つの世界観、もしくはその作家の持ち味というものを確立し、明らかに自分の読者がそういった高度なファンタジー知識を要求する作品を求めているときはいくらでもそういうものを書いていいのです。それが作家の売りであり、それによって作家は自らの地位を確保するわけですから。ただ、そういった作家になるまでが大変なのです。

(『セイバーマリオネットJ 7.乙女心と秋の日々』207P)


つまり現在のラノベ界でいうと「K上稔さんだからしょうがない」とかそういう話ですか。「AHEAD」シリーズ以降のとっつきにくさはかなり半端ないと思いますが、確かにデビュー作の「パンツァーポリス1935」は結構読みやすかったし、段々ハードルを上げていったんだろうなあと想いをはせてみたり。

1巻の最初ウン十ページに設定資料集がついててニヤリとするのが川上稔ファンのたしなみだよね!(酷いオチ)


女帝・龍凰院麟音の初恋3

[著]風見 周 [絵]水月 悠

悠太と付き合っている事が発覚して以来、麟音の元には交際を求める男子生徒が殺到。そして悠太は嫉妬に燃える男子生徒達から追い掛け回される日々を送っていた。そんなある日、麟音のピンチを颯爽と救ったのは、彼女の執筆している小説の主人公“カケル”にそっくりなイケメン・天王子翔。彼はかつて悠太によって婚約を破棄された麟音のもと許婚で…
   個人的お気に入り度数
世間知らずで”自称・非モテ”貧乳お嬢様・龍凰院麟音と巨乳至上主義の非モテ男子・悠太が恋人ごっこを繰り広げるラブコメ第3弾。今回は麟音の元許婚・翔があらわれて悠太に勝負を挑むというお話。メイドvs執事のマジバトルもあるよ!!一迅社文庫の公式ブログで「カバーめくったカラーページ1P目が凄い」とか書いてあったけど、「これのどこが…?」とか思った私はひめぱらに毒されすぎでしょうか。

今回はいつも以上に2chネタやパロネタ多かったような…男子生徒たちが「女帝は俺の嫁」って言いながら襲ってきたり、ボクシング部の主将が「麟音たんを開放するお!」って言い出したときには思わず噴出した。そして良いシーンで「この長い生徒会坂を…」とか出てきて決壊した!!良い意味でも悪い意味でも「やりすぎ感」を感じて、それがこの作品の魅力といえば魅力なんだろうなあ…西尾維新の「化物語」的、趣味でうっかり突き抜けちゃいました感が結構楽しい。

しかしそろそろ悠太は自分の置かれてる状態に気付くべきというか、ある意味不自然なまでの鈍感さにもどかしいものを感じなくもなかったりします。というか、「気付いてないから」というのを盾に、完璧な麟音と美麗の二股状態に突入してるのがちょっとなぁ……“気付いてない”では済ませることと済ませないことがあるよ!悠太が麟音に惹かれているのをある程度認識した上で麟音を助けようとする悠太に手を貸す美麗の姿なんか、ちょっと切ないものがある。

二人三脚の下りや今回のクライマックスなど、普通にかっこいい姿も見せてくれるだけに、そろそろこの辺で自分の気持ちが本当はどちらに向いてるかを認識してほしいです。でも、悠太かっこいいよ悠太とか思ってたら、オチが色々酷かった。いやどこまでも基準は“おっぱい”かよ!!!という意味で酷かった。いや、良い意味でどこまでも「おっぱい好き」を貫く主人公という意味ではよかったというべきなのか……

それにしても噛みまくりつつテンプレ通りのセリフを量産する麟音、お嬢様らしいプライドの高さが邪魔してなかなか本当のことが言えない美麗、そして天然で本心に気付いてなくて対麟音専用ツンデレ状態の悠太。麟音も悠太も美麗もどんだけツンデレなんだよ!

次の巻からは美麗お嬢様のラブコメ本格参戦+新ヒロインを加えた四角関係なお話?悠太もなんだかんだいって麟音への気持ちが育ち始めている感じなので、次でその気持ちがどのような意味を持ってくるのか、ちょっと楽しみ。そしてそろそろ二股状態からは脱却してほしいなあ……

ところで、創平の女装姿に挿絵がないのはなぜですか。
いやむしろあそこは創平よりも悠太が女装すべk……ゲフンゲフン。


運命のタロット1 《魔法使い》にお願い?

 

憧れの片桐先輩に憧れて…という些か不純な理由で新聞部に入ったライコこと水元頼子は、20年間封鎖されていた資料館に取材として入る事に。そこでタロットカードを1枚だけ発見したのだが、家に帰ってみるとその《魔法使い》のタロットカードの大精霊と名乗る謎の美形が現れる。どうやらタロットカードの封印をといてしまったらしくて…!?

ついったーの少女小説読みの間で何故か「見守る部」が出来るほどの再読ブームな「運命のタロット」シリーズ。実は中学生時代に自分内少女小説全盛期が来てた際にずっと気になってて、結局ご縁がなくて手を出せなかったシリーズだったことを思い出して今更集め始めてみました。…んで、古本屋に行く度にこそこそと運タロを探す日々が続いたのですが、むしろ「ティーンズハート」そのものがめったにないよ!!昔投売りされてた小林深雪とか折原みととか花井愛子すらないよ!!!キャンパス文庫やスーパーファンタジーはちょろちょろあるのに!マジでびっくりしました!!

まあそれはとにかく、ひょんなことから魔法のタロットカード?らしきものの封印を解いてしまった女子高生・ライコのお話。ぶっちゃけ物語は導入というか「さあこれからだぞ!」ってところで終わってしまうので評価不能な感じなのですが……もうちょっと物語の全体像が明かされてもよかったんじゃないかなあ、とか思わなくもなかったり。「その後面白くなる!」って聞いてなかったら色々とキツイものがあったかも……

ていうか何より、ハートマークとか()表現によるセルフツッコミとか状況解説とか、先ほど読んだ「セイバーマリオネットJ」の擬音表現改行連発とは別の意味でいろいろ、なつかしかった。自分がハマった当初の正しい「ライト」少女小説臭がプンプンした。“(しくしく)”とか、昔良く使ったなあ!フォントサイズ弄りはないけど極太ゴシック体による強調表現懐かしいなあ!!とか。

とりあえずラストで敵っぽいキャラクターが現れて、2巻からようやく物語が本格始動しそうな予感なので、続きを楽しみにしたいと思います。


迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの

 
津雪

『ノーモアクリスマス!』 この世で最も生と死を隔てる壁が薄い場所・迷宮街。そんな迷宮街にも、クリスマスはやってくる。 ひとえに探索者は外の住人よりも派手にイベントを楽しむ。ツナギをクリスマスカラーにしてみたり、「ノーモアクリスマス」と書かれたプラカードを持ってデモ行進をしてみたり。ただ、クリスマスの福音は、探索者に等しく届くわけではない。 死亡率14%のゴールドラッシュ。今日も様々な人間が、様々な理由で迷宮街を出ていく。ある者は幸せに、ある者は無言で。それは12月も変わらない。 書き下ろし短編「祭典の前夜祭」も収録した、現代のガリンペイロ達の物語、第二弾。

死亡率14%を誇りこの世で最も生と死を隔てる壁が薄いと言われる迷宮街も12月。そこに暮らす人々は様々な想いを抱きながら、年末のイベントを謳歌していた。そんな中、道具屋の店員をしている小林は、かつての教え子と再会する。彼に対し、とある負い目を感じていた小林だが──Web小説「和風Wizardry純情派」に加筆・修正を加えたもののシリーズ第二弾。分厚ッ!!とおもって調べたらあとがきまでが451PとGA文庫歴代第二位のページ数だったみたいです。

「チーム笠置町」も迷宮探索に慣れてきて、どんどん成長していく姿と迷宮街での仲間達との危険ながらもそれなりに平穏な日々が描かれ……と思ったら、中盤で一気に重い展開になってしばし呆然と!!恩田さんは1巻の頃からかませ犬的な意味で死亡フラグ立ちまくっていたので「ああ、ついに……」という印象だったのですが、それでもシリーズ序盤から主人公たちと親しくしてきた、サブメインキャラのような立ち位置のグループを襲った悲劇は衝撃的でした。

そして小林と今泉の再会のくだりや鈴木さんの幸せ一杯メールを見るたび、着実に誰かの死亡フラグが立ってる気がしてしょうがなかったので、彼らが実際に危機陥った時には何も出来ない自分がもどかしかった。トラップ解除のくだりでは「恩田ー!今泉ー!!逃げて逃げてー!!!」と叫びっぱなしだったり。それにしても、こういう話で恋人が出来るってそれだけで一種の死亡フラグに見えるよね…。

死の淵に居る彼らの必死な姿と、長年の誤解も解けて幸せ一杯な小林の様子が対象的に描かれるのがまた泣ける。その後の、小林が居なくなった後の道具屋の倉庫整理の話でも追い討ちを掛けられます。どうしても誰かが「いなくなった時」を意識してしまう彼女たちの姿にしんみり。というか、今泉は本当に惜しい子であったよ……ああ、このシリーズ唯一の「美少年要員」が!!!(そこかよ)

一方で、前巻よりいつ死ぬかわからない状況の中で「生」を謳歌しようとする彼らの不自然に明るい姿と、それ故に迷宮街の外の世界の人々から乖離していく彼らの姿がとても印象的でした。迷宮街の中で展開される物語ではあまり感じないのだけど、ひとたび彼らが外に出て普通の人々と接触すると途端にその異常性が顕在化するんですよね。常盤と児島の、お葬式でのやりとりや由加里を駅に迎えに来た時に偶然遭遇した鈴木兄との場面とか。

彼らも(恩田や今泉の時のように)死を悼まないわけではないんだけど、自分の「仲間」と「仲間でない人」の区別を明確につけていて仲間以外の人間は完全に切り捨ててしまっていて、仲間に対しては情に厚い分そういう部分が奇異に映るのかもしれない。そしてそれを代表するエピソードが、第二階層で遭難した有名パーティが、誰の救助も受けられずに壊滅したという話しのような。そこはもちろん、「迷宮街」という場所で生き抜くためには捨てなくてはいけない部分ではあるのですが…。

個人的には、「変わってしまった」真壁が迷宮街の外に戻り由加里とくっつくのか、外を捨てて翠とくっつくのかがとても気になるところ(いろいろな意味で、この2つはセットになっていると思う)。物語の途中で真壁が自分の将来について思いをめぐらせる場面がありますが、次巻で彼がどういう未来を選択するのか、続きがとても楽しみです。

……いやでも、ラストで主人公パーティ全滅エンド、という可能性もあるわけだけど。
最後まで気が抜けないのがこのシリーズの恐ろしさだ…

そういえば、前巻発売時と同じく、レビューを書くとサインが貰えるよ!企画があるようです。前回は申込そこねたので、今回は参加させて戴きたいなあ…と思いつつ、むしろ「特典」に興味シンシンの私が居ます。友人賞の特典とか凄い心ときめく。「乱戦の中で颯爽と登場(して死ぬかも)。」とか。さっそうと参戦したい!(そして死にたい!)


少年向ラノベで男子ピンな表紙をひたすらならべてみた。

タイトルの通りそのまんまです。
「生徒会の五彩」で杉崎鍵が単独表紙を取ったのがとてもとても嬉しかったので、ためしに世間で希少といわれている男子キャラが一人で表紙を独占した少年向けラノベをレーベルごとにひたすら集めてみました。
本当に集めただけ!(解説など する余裕は ない)

ちなみに、自分の読んだ本+ついったーで情報提供いただいた本+電撃文庫とファミ通文庫の2008年度目録に掲載されている本の中からチェックしたので、電撃文庫に偏り気味なのは仕様です。情報が少なめだった富士見ファンタジア・角川スニーカー等で心当たりのある人は、是非コメント欄かはてなブクマあたりでご指摘お願いします。
ちなみに、少女向けレーベルの男子・女子単品表紙については月季さんがまとめてくださってますのでこちらをどうぞ。

ちなみに画像はamazon、bk1、楽天市場の3箇所が混在。
この3箇所回って書影のない本は基本的に諦めた…
もっと書影を!書影を!古い作品の殆どに書影入ってないのがとても悲しい…

※幾つか挙げてなかった作品の指摘を戴いたので、角川スニーカー文庫の項目を追加しました。

画像が物凄く多いので以下格納↓
続きを読む


断章のグリム10 いばら姫(上)

[著]甲田 学人 [絵]三日月 かける

両親から死んだ姉と同じ名前をつけられた少女・莉緒。彼女は常々、両親が自分を「姉の代わり」として見ていることに悩み、葛藤していた。そんな彼女が1人目の子供を両親が池に落として殺し、2人目の子供が同じ場所で「今度は落とさないでね」と語りかけるという怪談を聞いて…。一方、夏休みを出来るだけ雪乃と共にすごそうと神狩屋を訪れた蒼衣の元に、他のロッジの泡禍解決に赴いていた雪乃と颯姫が戻ってこないという連絡が届いて…!?
   個人的お気に入り度数
芽が、芽がぁああああ、うわあああああ!(Cv.●スカ大佐)
なんていうか、久しぶりに色々な部分でクリーンヒットした。針も黒こげゾンビも怖いけど、芽こわい怖すぎる……しばらく植物はノーサンキューだぜ……。

タイトルは「いばら姫」だけどむしろ10巻を読み終わった時点では最初に出てきた学校の怪談との符号性の方が強い感じで、ここから「いばら姫」にどうやって結びついていくのかが気になります。というか都市伝説とか民俗学とか学校の怪談とかが出てきたからか、今回は全体的に前作「Missing」の雰囲気に近いものを感じました。現時点では襲い来る「異端」に対して、蒼衣達側が何の切り札も持っていない辺りもその雰囲気を倍加させているのかも。

一方、「騎士」として悪夢を祓う事に存在意義を見出している雪乃が着実に自らへの無力感とか、悪夢への切り札として扱われている蒼衣への苛立ちを募らせているのがとても不安な感じ。この不協和音が、今後の彼らの関係に着々と影を落としてしまいそうな気がして、ハラハラする。

そういえば、最初の“怪談”で出てきた「子供を池に投げ捨てたお母さん」って、ひょっとして今回登場したロッジのリーダーの“リカ”さんじゃないのかしら。怪談と同じ状況で今回のと似たような泡禍に遭遇していて、下巻で泡禍解決のカギになる……とか。良い形か悪い形かは分からないけど、今回の物語の根幹に関わってきそう。ラストで登場したあの人も気になるし、この事件がどうやって解決するのか、下巻が楽しみです。


遊び心溢れるラノベの装丁をまとめてみた。

という訳で漫画でやっててラノベが未到達or定着してないデザイン上の遊び心を幾つか挙げてみます。


じゃあその「未到達」なラノベにはどんな遊び心あふれる装丁があるのか!ということで、カっとなってまとめてみました。
いえ、単純に、「マンガの面白い装丁」を「ラノベの面白い装丁」と比較するなら、どうせなら記事を読む側の人も両方ともの情報をもった上で比較してほしいなあ、と思っただけなんです。もちろん記事を書いた人は「ラノベの面白い装丁」についての知識はあるんだろうけど、そういうのを知らない人にラノベにも面白い装丁はあるよ!って言いたかっただけなんです…。さすがに他社を跨いで連結表紙とかないけど!(いやでもこれは単に他社を跨いで同じ作者×イラストレーターのコンビが活躍するという事例が殆ど無いからじゃね…?って思うんですけど…少なくても、私はそんな事例知らない。)

自分が読んだ範囲でのまとめなので、大量に抜けはあると思いますが、その辺はご容赦ください。
※書影をクリックするとamazonのページに、その他の画像をクリックすると拡大されます。
続きを読む


ナイトウィザードThe 2nd Edition リプレイ 愛はさだめ さだめは死

 

魔王モッガディートに挑み、命を落としたウィザードの少年・夜見トオルは敵であるはずの“侵魔”と契約し、“落とし子”として現世へ舞い戻る。ところが、現世では1年の月日が流れており、かつての自分の姿をも失ってしまう。そして、幼馴染である少女の元には、かつての自分と瓜二つの外見をした少年の姿が…

友人に「TRPGだったら学園異能スキーとしてはナイトウィザードが気になる!」と呟いたら貸してくれた、ナイトウィザード2ndのリプレイ。現代を舞台にした学園異能バトルもの。

完全に既に「ナイトウィザード」というシステムにある程度慣れ親しんだ人向けの本なのでほとんど全く基本ルールの説明とかはないのですが、プレイヤーさんたちのロールがいちいち細かくて趣味はしってて、その言葉の意味はわからなくてもやってることはだいたい判るのがうれしかったです。いつもはTRPGリプレイについては高確率で戦闘でシーンで躓くんですけど、今回はびっくりするほどそれがなかった。

1話はモッガディートと夜見トオルの関係を中心にかなりシリアスに物語が進行するのですが、さらなる事実と巨大な敵が立ちふさがる2話のテンションの高さが凄い。ていうか、明らかにあれは「ビッグ・ザ・陳老師」のネーミングセンスがいけないんだと思う!!やってることはシリアスなはずなのに、もう笑いが止まりませんでした。

そして物語以上にツボにハマったのがキャラでした。
うわあああリンカイザー超かっこいい!!正義の変身系熱血ヒーロー!乗り物バイク!!そして特徴「脳みそスライム」。攻撃を捨ててすべてを防御につぎ込む、ある種仲間がいるの前提じゃないと戦えない系の素敵ステータス。そしてバカで正義のヒーローという設定だけでももう十分に限界突破の萌え属性なのに、リプレイ中でも美味しい所を持っていきまくりの大活躍に超惚れた。夜見トオル→リンカイザーの「先輩」呼びにも激しく萌える。

めちゃくちゃ面白かったです。個人的には、シリーズ化じゃないっぽいのが残念。
むしろリンカイザーが再登場するならマジで他のシリーズでも買うのに。