“しろ” の検索結果 | ページ 24 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:しろ (312 件 / 32 ページ)

死神姫の再婚 私の可愛い王子様

[著]小野上 明夜 [絵]岸田 メル

フェイトリン5家の中でも最下位だったはずのロベル家が、アリシアの実家であるフェイトリンのお屋敷を売ってほしいと言い出した。物に執着を持たないアリシアが唯一最後まで手放さなかった屋敷ということもあり、招待を受けてフェイトリンに赴いたカシュヴァーン達だったが、そこでは豪奢な舞踏会とこれまで幾度となくカシュヴァーンを亡きものにしようと画策してきた男・ジスカルドが待ち構えていて!?
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天然ボケでちょっと変わった“死神姫”と暴君…と言われてはいるけど実は領民想いな成り上がり領主様の新婚生活コメディ第四弾。今回はついに宿敵ジスカルド・オーデル公爵との直接対決が描かれます。

…とはいえ、地方伯として権力をもつ完璧男のジスカルドには、流石のカシュヴァーンも大きく出る事が出来ず、ネチネチと続く嫌味攻撃にストレスばかりを貯める羽目に。しかもジスカルドはアリシアに、そしてジスカルドの妻・エルティーナはカシュヴァーンを誘惑し始めて恋模様も大波乱。完全に空気と化しているロベル家当主(ごめん名前忘れた)が可哀そう。

そんなこんなで否応なしに揺れ動くアリシアとカシュヴァーンの関係ですが、ひたすら天然で鈍感な妻と過去のトラウマに囚われて愛することに憶病な旦那ということで、なかなか関係が進展しないのがもどかしいかぎり。正直カシュヴァーンは最後の最後で自発的には関係を進めようとしない予感がするので、そろそろアリシアが自分の気持ちを自覚して動くような展開がほしいなあ…。このもどかしさが美味しいのだ、というのも実際あるのですが。

とはいえ、アリシアがカシュヴァーンとエルティーナを見て嫉妬のような感情を持ち始めたり、いつもの空気読めない発言を躊躇ったり…と、少しずつ二人の関係が変わり始めているのも確か。特にラストの展開はとても美味しかったです。

新キャラ的には、序盤はシィルとアリシアのすれ違いまくりの会話にニヤニヤし、終盤はエルティーナ様のオトコマエっぷりに全部持っていかれた感じ。特にエルティーナ様のキャラが最高すぎます。上流階級にありがちな淫らな大人の女性と思わせておいて実は結構純情乙女キャラ!!た、たまんねー!!!ぜひとも今後とも活躍して頂きたい。

あと、花婿候補乱立でいろいろおもしろすぎることになってるノーラにもさりげなく進展が?ティルナードとノーラのやりとりが正直たまらないのです。ノーラはティルに嫁いで舅(セイグラム)にいびられながら玉の輿すればいいとおもう!


嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 6 嘘の価値は真実

[著]入間 人間 [絵]左

大江家での事件から2ヶ月が過ぎ、僕とまーちゃんは以前通りの自堕落な生活を満喫中。今日も体育の時間をサボった僕達が生徒たちの目につかない所でイチャイチャしていたところ、黒くて長い棒(性的な意味ではない)を持った男が乱入。かくして、体育館には血の花が咲く羽目に。まーちゃんとののどかなランチタイムを満喫するため、仕方なく事件解決のため動き出したけど…
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一度手に取るのをやめた「みーまー」シリーズを再び手に取るきっかけは、各所の6巻感想の不可解っぷりが気になって気になって、そんな気持ちが最後にフラン☆Skinさんの感想を見て頂点に達した…という過程があったわけですが、これは確かに、なんてコメントつけたらいいか分からない。

学校の体育館を占拠した通り魔に対抗するため、いささか不純な動機でみーくん(+むしろ足を引っ張るまーちゃん)が立ちあがる!というお話。まーちゃんさえ無事ならどうでもいい、といいつつさりげなく伏見や長瀬を気に掛けるみーくん可愛いなあ。あと今回でついにみーくんのフルネームが明らかになりましたね。しかし、嘘つきみーくんで「枝瀬(エセ)」って物凄い名字だな……

これまでみーくんとかかわったキャラクターの一人称によるモノローグ的なモノが挿入されたり、なんか色々と思わせぶりの多い今回。いろいろ張りっぱなしの伏線とかあるんでこれで完結編ではないと思いたいですが、ある意味ここで本当に終わったりしたらこれ以上になく「みーまー」らしいよなあ、と思う気持ちもあり。

それで、結局これはどういう結末なんだ?エピローグで真犯人が投げかける問いの答えは、みーくんともまーちゃんとも、はたまた挿入されたモノローグが不審な途切れ方をしたあの人とも受け取れるわけだけど。個人的には最後説が有力かなあ(続きを出す問題的な意味で)と思うのですが、表紙のまーちゃんがとても意味深だったりして、なんかいまいちどれと言い切れない物が……うーむ。

まーちゃんにも些細ながら意味深な変化が見られるし、このまますべてうやむやのまま終わるというのも(いやまあそれはそれでアリですが)落ち着かないので、ぜひとも続きを読みたいです。しかし、少しずつ風呂敷を畳んでる感じを受けるので出たとしても次で完結とかそういう感じになりそうかな。


吉永さん家のガーゴイル14

[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二

百色とガーゴイルに静かな復讐の炎を燃やす男・レイジがやってきた。以前の小物ぶりとは打って変わって余裕の表情で吉永家に現れたレイジに、ガーゴイルと百色・ケルプ・デュラハン・オシリスという最強の面々で立ち向かうが軽くあしらわれてしまう。今までには無い強敵の出現に警戒を強める一同だったが、適確にそれぞれの弱点を突かれ…
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ちょっ……これは……なんという……。

シリーズは遂に完結編に突入したシリーズ第14弾。これまでのほのぼの暖か展開とはうってかわって重く、痛く、シリアスな展開。…というか、今までの13巻、時にシリアスも挟みながら基本的にほのぼの&あったかでやってきたという積み重ねがあったからこその重さと痛さ。ご近所アットホームコメディでこんな痛々しい展開を見ることになろうとは……

13巻で明確になったガーゴイルの弱点をレイジが適確に突いてきた形で、御色町に潜伏している間にご近所さんからの信頼を勝ち取り、「いい人」と認識させた上で攻撃してきたガーゴイル達が悪であるかのように錯覚ていく姿は敵ながらお見事と言わざるを得ない。今まで散々、長所として描かれてきた御色町の人々の人のよさがこんな風に裏目に出るとは…とにかくレイジ、悪趣味にも程がある…。

ガーゴイルや百色の御色町を護ろうとする思いが伝わらず、むしろレイジの手によって正反対の方向にゆがめられていく姿を読者として見る(読む)事しかできない事が、とにかくもどかしかった。そして文章の構成が悪趣味すぎる(※褒め言葉です)。つい数日前まで確かに存在していたはずの暖かい関係と、その関係がみるみる崩壊していく様子を交互に読んでいかなければならないのは正直かなり精神的にきつかった。なんかもう、13巻までずっとガーゴイルと吉永家とご近所さんたちの関係を持ち上げて持ち上げて持ち上げてきたのはここでどん底に突き落とす為だったんじゃないかと考えてしまうほどの、重く痛い展開。そして更に引きが凶悪すぎるっ!!!

泣いても笑っても、次が最終巻。
全員が笑って一発逆転・大団円なラストが見れることを心の底から期待してます。


コードギアス 反逆のルルーシュ 生徒会事件簿

[著]朝香 祥 [絵]AKIRA [カバーイラスト]A'sまりあ

ブリタニアの元皇子・ルルーシュは謎の少女から絶対遵守の力“ギアス”を授けられ、妹のナナリーが幸せに暮らせる世界を求めてブリタニア打倒のため動き出す。…しかし、そんなルルーシュも普段は一人の学生。今日もアッシュフォード学園ではお騒がせの生徒会長・ミレイが無茶なミッションを押し付けてきて…!?
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コードギアスの外伝ノベライズ。アッシュフォード学園を舞台にルルーシュ達生徒会のメンバーたちが繰り広げるドタバタ騒動を描く短編集。

えーと、これ公式でやっちゃっていいの…?
どのように「公式がヤッチャッター!」なのか、一番判りやすい一行を引用するとこんなかんじだったりする。私は丁度いい具合に属性がぴったり一致したのでウハウハだったのですが……正直、この道の耐性が無い人にはあまりオススメできません。

「スザクくん!ルルーシュくんを助けて!!」
「大変、なの!三年生に、捕まって。私を、助けようとして。縛られて。気を失っていて

…というわけで、3編+αを収録した短編集。全編、ルルーシュがどこまでも受です。
作者さんの本命はスザルルですかわかりません。


初っ端の「学園七不思議」は興味本位からアッシュフォード学園の七不思議を調査しているうちに、幽霊騒ぎが大きくなってしまって…というお話。とある事情からルルーシュが拉致されて先輩たちから緊縛目隠し状態で暴行を受けそうになり、王子様のようなタイミングで乱入したスザクに助けられ、うっかり暫く抱き合ってしまうという物凄い腐女子的にオイシ……もとい腐女子を狙い撃ちな超展開が発生して色々な意味で噴いた。しかも、ルルーシュと先輩達のやり取りが、表現だの発言だのが深読みどんと来いな表現満載すぎて曲解すると801方面にエロくて仕方がありません。なんだこの公式スザルル同人ふざけてるのもっとやれ!!

これ以降もう何を見ても「ルルーシュは受けですね、わかります」って感想しか出なくなりました。
出会い頭のタイミングって重要ですね。

次の「ルルーシュの謎」では、自らの存在をゼロと規定し、黒の騎士団を決起しようとしていたルルの不審な行動を解き明かそうとミレイが全生徒達をけしかける……というお話なのですが、地味にルルーシュのヘタレっぷりが大爆発で大変素敵でした。私、アニメ一期でルルーシュが「ゼロ」の仮面を猫に盗られて学校中追い掛け回す話がとても好きなのですが、あれに近いものがある。妙に家庭的なルルーシュが素敵過ぎます。もう私、これから黒の騎士団見るたびにこの話を思い出して笑いがこみ上げてくるに違いない。

最後の「日本のお正月!?」はともに“日本のお正月”を体験する事になった生徒会一同のドタバタ騒動記。オチは色々と予想とおりでしたがこのオチに挿絵がつかなかった事には全力で抗議したい。女の子達のかしましいやりとりも凄く可愛かったし、是非ここは挿絵を入れてほしかったなあ。正直カラー挿絵でよく状況がわからんスザルルなっかよしーイラストを載せている場合ではないと思う。

なんだかんだとルル受的なネタを大量投下しておいて、ラストの「振袖始末記」でちゃんとルルシーでシメているところはとても好印象でした。素直になれない共犯者同士のツンツンデレデレなやりとりが可愛らしい。この話はルルーシュもC.C.も凄く可愛いくて、思わず顔がにやけてしまいます。良いエピローグでした。

ちょっと腐女子狙い的なモノを多く感じる短編集でしたが、結構おもしろかったです。なにより、R2がクライマックス突入寸前まで進んでしまったこの時期に敢えて一期「コードギアス」の、まだ物語が本格的に動き出す前のドタバタ話をやったのはニクイ演出だと思いました。

ドタバタ系のコメディなのに、時々発作のように物悲しくなるんだ…特にシャーリーとかシャーリーとか。


ウォーターソング

[著]竹岡 葉月 [絵]竹岡 美穂

惑星開発が進み、人々は宇宙に飛び出した。しかし、都市整備に失敗したこの惑星では濃酸の雨が降り、人々はスペーススーツを着込まなければ外に出られない。そんな都市で子供達は男女の微妙なバランスを保ちながら日々を過ごしていたが、地球から転校生がやってきて…!?
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「しゃっぷる」の竹岡葉月さん&「文学少女」の挿絵担当の竹岡美穂さんが姉妹コンビで贈る作品にして竹岡葉月さんのデビュー作。後書きの仲良さそうな姉妹っぷりがとても楽しそうなのですが?…いいなあこのほのぼの具合w 宇宙開発で人類が宇宙に飛び出した世界を舞台に、2つの惑星を舞台に繰り広げられる2つのお話です。

酸の雨が降る惑星を舞台に、子供達の小さな戦いを描く「僕らに降る雨」が凄くお気に入り。まず屋外ではもっさりとした宇宙服を着てもさもさと投稿する風景がなんともおもしろい。しかもそれでは音が聞こえないので内臓マイクによる通信で会話したり、金づちや何かで相手の宇宙服を叩いて呼び止めたり……という設定が妙にシュールで、そしてリアルに想像できるのが楽しい。メインのお話は転校生・アサヒがやってきたことをきっかけにバラバラになったクラスを主人公のナットが再びまとめあげ、大人たちにある形で反抗をするのですが、子供ならではの万能感というか、クラス皆で団結して大人たちに対抗するワクワク感が伝わってきてとても楽しいお話でした。

そして表題作となる「ウォーターソング」は「僕らに降る雨」で台風の目となった転校生・アサヒの両親と過去に纏わる物語。少々序盤で間延びした印象…というか、おもしろくなってくるまでにちょっと時間がかかったなあという印象を受けたのですが、美しくもちょっと哀しいお話でした。狂気要素のない新井素子的というか、天野こずえのSF短編を読んだ時のような読後感というか。

物語から感じる爽やかな透明感というか、そんな感じのイメージが竹岡美穂さんの挿絵ともぴったり合致していて、文章と挿絵の調和も良かったです。突き抜けたおもしろさはないけどほんのりと心が癒される一冊でした。


“文学少女” と神に臨む作家 下

[著]野村 美月 [絵]竹岡 美穂

様々な人に追い詰められる中、ななせの「書かなくてもいい」という言葉に救われた心葉。しかし、それが許せない流人の「琴吹さんのこと、壊しちゃうかもしれませんよ」という言葉が心葉の不安をかきたてる。そして、ななせを大切にしたいと感じる一方で遠子の事を見捨てて置けない自分も自覚して…
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様々な人々の想いが結実する「文学少女」シリーズ完結編。

上巻から引き続き、ひたすら重い展開の連続で、読んでるこちらの心臓的にも気が気じゃなかったのですが、それまでの鬱屈とした展開があっただけに事件が解決に向かい始めてからが凄すぎて、ただただ次々に明かされていく真実に息を呑むばかり。上巻を読んで立てていた予想が殆どひっくり返されるような状態で、本当に凄かった。最強ヤンデレ決定戦も美羽→流人→回りまわって元祖“文学少女”シリーズが誇るヤンデレ・竹田さんが優勝カップを持っていくような状況(それ関係ない)いや、今回の彼女は変な意味で光輝いていたなぁ…そして流人、あれだけかっこよくひっぱっといて後半ヘタレすぎる…(笑)

全然関係ありませんが、丁度これ読んでる最中地元では記録的集中豪雨と酷い雷に見舞われており、この物語の序盤を読むにはあまりにも雰囲気ぴったりすぎる状況に陥ってました。このゴロゴロ言いっぷりはきっとヤンデレカップルの呪いに違いない。

一見無関係だとばかり思っていた1巻からの全てのエピソードが少しずつ小さな役割を果たしてこのラストへと繋がっていくという展開が非常に素晴らしかった。そして全てのエピソードを経て大きく成長した心葉が今まで探偵役を務めてきた“文学少女”に代わって、“文学少女”自身の事件を解決していくシーンでは胸が熱くなりました。

そして遂に迎える遠子先輩の卒業シーン。この作品を読み返す前に「月花に孕く水妖」のエピローグから「神に臨む作家(上)」までを再読したのですが、2回目に読んだ時に「水妖」で語られる“未来”の解釈について物凄く違和感を感じて「あれっ?」と思ったのですが……(具体的に言うとななせを思わせる表現を使っておきながら一度もこの女性に関する人物名が断固として明かされなかった辺り

あああああこういう結末か……。

再読時に一瞬だけ脳裏をよぎった展開が割りと冗談になってなかったという…個人的には、私は元々こっちの展開支持派だったんで嬉しいことは嬉しいんだけど、どんでん返しすぎて素直に喜べないというか……とりあえずななせのけなげな一途っぷりに涙が止まらない……。心葉と付き合いだしてからはヒロイン的な守られポジションに立っていた彼女ですが、精神的に一番強かったのは彼女だったんじゃないかしら。エピローグでの言葉が胸に刺さる。

というか、唯一不満点を挙げるとすればこの卒業の部分だったりします。叶子にあんな言葉を突きつけた以上、心葉と遠子はどんな形であっても「狭き門」を通ってはいけないんじゃないかと思ったんです。お互いに暖かい時間を築きながら、お互いを支えあいながら作家として再生してほしかった…。(以上ネタバレ)それが心葉のために必要な行動だったとはいえ、なんかそこだけは少しだけ残念でした。

とはいえ、最後の最後まで予想を裏切られる展開の連続でありながらも、物語のおもしろさという点では最後まで期待を裏切られない名シリーズでした。素晴らしいエンディングを、本当にありがとうございます。




コラボアンソロ、竹岡さんのコノハちゃん楽しみですハァハァ
(意訳:あとがきが色々と台無し!)


ラッシュ・くらっしゅ・トレスパス!

[著]風見 周 [絵]おときたたかお

“侵入屋”とはお金持ちの家に実際に侵入し、警備のアドバイスをするという職業。マナ達の営む“侵入屋”・トレスパスでは侵入に成功しない限りお代は頂かないという方針を持っている。ところがここ何回か、侵入の仕事は失敗続き。食事も切り詰めるほどの経営難を打開するため、伝説の怪物・ヴァンパイアを甦らせることを思いつくが…!?
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風見周さんのデビュー作。買ったあとしばらく積んでいたのですがちょうど今月風見さんの新シリーズラッシュだったので手を出してみました。魔法と科学(蒸気機関)が共存する世界を舞台とした、かなり正統派なファンタジー作品です。

うーん、なんというかキャラクターや設定をいっぺんに出しすぎてもてあましている感じが物凄い気になる……本線のストーリーは悪くないんだけど、とにかく空気なキャラ・設定が多すぎて「え?それなんだっけ?」と気を取られてしまうのが物凄く残念。敵勢力は2つとも物凄く中途半端な印象だったし、仲間内ではジャックスの空気っぷりとか酷かった。「マナに好意を抱いているトレスパスメンバー」以外の設定が何も見えない……いっそのこと、レイヴァを巡って完全にマナとは反対立場を取ってくれたら良かったのになあ。読んでる間中「いっそレースのライバルもヴァイスにしちゃえば良かったのに」とか「ファンあたりにその設定を任せてジャックスは削ってしまっても良かったのでは…」とかひたすらお節介な事ばかり考えてました。

でも、メインとなるマナとレイヴァの関係は物凄く良かったです。マナの真っ直ぐな信頼が少しずつ堅く閉ざしたレイヴァの感情を開いていって…という一連のやりとりがベタベタなんですけど王道だからこその良さみたいなものが。そしてこの人は本当に世間慣れしてない天然ツンデレっ子を描くのがとても上手いですね!!自分が目覚める前には無かった蒸気機関に興味シンシンで、気がついたらマナに上手い事餌付けされちゃってるレイヴァの姿には思わずニヤニヤしてしまう。サクヤや龍凰院麟音の可愛さと同じものを持ってるんですよ、このツンデレ吸血鬼は。

そんなわけで読み終わったらそれなりにおもしろかったですが、続編を読みたいとは思わないかなあ…というのが本音だったり。「龍凰院麟音」と「ひめぱら」の続きが読めればいいかなあ。


女帝・龍凰院麟音の初恋

[著]風見 周 [絵]水月 悠

巨乳をこよなく愛し、学園でも“変態”と親しまれるエロ少年・月見里悠太。ひと夏の出会いに胸を躍らせて夏休みに突入……した筈が、目を醒ますと“学園の女帝”と呼ばれる貧乳風紀委員長・龍凰院麟音の屋敷に居た。二人はこの夏休みの間に出会い、恋に落ち、そしてその記憶を亡くしてしまったと言う。半ば強引に1ヶ月間の記憶を取り戻すことを強要されるが麟音には秘密があって…
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「ジョルジュ長岡」って何者かと思ったら2chのAAキャラかよ!!!
というわけで、「殺×愛?きるらぶ?」の風見周さんの新シリーズその1。序盤で「ジョルジュ長岡」だの「おっぱい!おっぱい!」だの「非モテ」だの「プギャー」だの「ただの○○に興味はありません」だの「中二病」だのと、2chニコニコ中心にメタネタ乱発状態で「これは、最近やたら流行しているオタク系メタ小説の類かーーっ!」と思ったら後半は普通に王道ラブコメでした。

巨乳をこよなく愛しジョルジュ長岡を心の師と仰ぎ、女の価値は胸のサイズにあると言って憚らない変態少年・悠太と傾国の美少女だけど胸はなく、何かと長刀を振り回すキツイ性格から“学園の女帝”と怖れられる恋愛嫌いのお嬢様なんだけど、その実態は少女小説家希望(小説はひたすら邪気眼中二病風味)で恋に恋する自称“非モテ”の女の子・麟音がお互いの喪われた1ヶ月間の記憶を求めていくというお話。

カタブツのお嬢様で、恋を恋愛小説でしか知らない麟音の初心な反応がとても可愛い。普段の態度と日記に描かれる浮かれ具合のギャップにもニヤニヤしてしまうし、恋に…というよりもこの場合、記憶を失っていた間の自分に恋い焦がれて一生懸命その記憶を取り戻そうとする姿が微笑ましいじゃないですか。興奮すると噛み噛み言葉になっちゃうのは正直狙いすぎで勘弁してほしかったんですが…。あと何度読み直しても「きるらぶ」の有栖川咲夜に見え(強制終了)

そして、どうしようもないおっぱいバカで変態の悠太が時々見せる“バカかっこよさ”にきゅんきゅん。また、「貧乳好きはアウトオブ眼中」といいながらも少しずつ麟音本人の可愛らしさに惹かれていく様子が描かれていて、その心の動きが凄く良い。ジョルジュ長岡の使い方が特にうまかったなあ。終盤の展開はある意味王道中の王道なのでむしろそこでそう来なかったらダメだろう!という感じなのですが、『再現デート』の顛末があまりにも反則だと思うの……正直ものすごいときめいた。

シリアス鬱グロなバトル展開がなくなってしまったのは個人的にはちょっと寂しいのですが、ハイテンションなラブコメとしてとても面白かったです。正直「きるらぶ」のラブコメパートはあまりツボにこなかったのですが、こちらはものすごく面白かった。もろにシリーズ化という感じの終わり方だったので次巻を楽しみにしたいです。

ところで、あとがきでラノベ作家さん達との合同職場を持つに至るきっかけが語られてますが、これは来月発売される杉井光さんのライトノベル作家擬美少女化コメディ(勝手に命名)「ばけらの!」を受けての内容なんでしょうか。各先生方のブログを拝見する限りいろいろな意味で楽しそうな1冊なのですごく楽しみだったりします。ていうか新ジャンル「ラノベ作家801」を作家自ら推奨しようとしているようにしか思えない。(勘違いです)

鈴木大輔×風見周ですよね?わかります。(ひどいオチ)
479735061Xばけらの!杉井光 / 赤人
ソフトバンククリエイティブ 2008-09-11

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電撃コラボレーション  まい・いまじね?しょん

[著]電撃文庫記念企画
(うえお久光、時雨沢恵一、上月司、有川浩、中村恵里加、五十嵐雄策、有沢まみず、柴村仁、古橋秀之、岩田洋季、成田良悟)
[絵]西E田、むにゅう、京極しん、田上俊介、さそりがため、三日月かける、山本ケイジ
   
西E田さんの書かれたイラストを元に電撃文庫の作家・イラストレーターがストーリーを作っていくというコラボアンソロジー。15周年企画の一環?で今月から毎月こういったコラボ小説が発売されるようです。男女の学生、手紙、UFOというキーワードの縛りがあるのに王道ラブコメあり、SFありホラーありで各作家さんの味が出まくってる辺りがおもしろかったです。

色々な意味で「いつも通り」で学園キノ系はっちゃけギャグの時雨沢恵一、ベタ甘ラブコメな有川浩とかもおもしろかったですが、ダブルブリッドやソウルアンダーテイカーから一転・コテコテの脱力系メタメタギャグをやらかしてくれた中村恵里加とギャグ系エロコメ・シリアス泣きゲー系のどちらでもなく何故か超ダークでホラーな展開の有沢まみずが最大の衝撃だったかも。中村さんはまだ著者近影や初期の後書きのゲーム語りからなんとなくこういう芸風もアリかなあと思ったんですが(ていうかいつかギャグコメ書けばいいと思います)、有沢まみず×ホラーラノベは想像したこともなかったぜよ…確かにインフィニティ・ゼロはちょっと欝グロも入ってましたが!半分くらい未読の作家さんでしたが、やはり既読の人の方が普段と比較できる分二重の楽しみがありますね。

そのほか、ある意味王道といえなくもないような、古橋さんのお話と最後という事を最大限に利用した他の短編ネタが炸裂の成田さんの短編がお気に入り。未読の作家さんの中では上月司さんのスレ違いラブコメに1票。男の子と女の子で同じ行動に対する見解がどんどんズレていくのが素敵過ぎる。こういうギャグコメディは大好きだ…!

…ところで岩田さんの「シンデレラ」、大筋は切ない恋愛モノで結構好きなんだけど、男の子の方の行動の理由があまりにもしょぼすぎると思ってしまう私は駄目なんでしょうか。本当に好きな相手ならそんなの愛で乗り越えられるだろ。女を断る理由がほしくてそういうこと言った、とまでは思わないけどもうちょっとまともな理由がほしかったです。


吉永さん家のガーゴイル11

[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二

病気で長いこと入退院を繰り返しているクラスメイト・吾郎のお見舞いにやってきた双葉と悪ガキ3人組。クリスマスを控え、病院で行われるクリスマスイベントを「つまらない」と断じる吾郎に対して憤った双葉は売り言葉に買い言葉でガーゴイルにイベントを盛り上げさせると約束してしまう。守ることは得意でも“楽しませる”事は初めてのガーゴイルは…
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久しぶりに「ガーゴイル」シリーズならではのアットホームなほのぼのっぷりが光るシリーズ11作。双葉とガーゴイルが半ば喧嘩越しに双葉のクラスメイトが入院する病院のクリスマス会を盛り上げると約束しちゃったら、和巳やクラスメイトの演劇部一同、オシリスデュラハンに百色、更に再登場のゴールデンボーイズまで巻き込んでの大騒ぎに発展!?というお話。

まさかここでゴールデンボーイズが再登場するとは予想外すぎるwイベント屋なら1年でも一番くらいに忙しいだろうに直前にふと思いついて呼べたってことはやはり例の件が尾を引いて客減ったりしてたんだろうか…。今回は5巻ラストのようなトラブルもなく、如何なくプロ根性を魅せ付けていくゴールデンボーイズはやはりかっこよかったです。ドンチャン騒ぎが十八番の彼らと病院の相性は最悪なんじゃないかと思うんだけど、そんな時でも場所に合わせた気配りを忘れない辺りはまさに「プロならでは」。

その他感情面におけるガーゴイルの更なる成長やオシリスの奮闘など色々と見所はたくさんあるんですが、今回は逆に各キャラクターの見どころが多すぎてどこに焦点を当てたいのか絞りきれてない部分があったかも。今まで1?2キャラに焦点を絞って描かれてきたせいか、各方面の描写が物足りなく感じてしまう。特に演劇部の人形劇が思いっきりはしょられたのと、吾郎と父母のシーンがカットされてたのは残念でした。綺麗に小さくまとめちゃった印象で突き抜け方が足りないというか…おもしろかったんだけど。うーん。

それにしても、「世界一有名なネズミの友達のアヒルの叔父さん」懐かしすぎるwディズニー系連続アニメでは「わんぱくダック夢冒険」が最強だと思うのですよ。「ミッキーのクリスマス・キャロル」ではそのものズバリの配役を宛てられてましたし…こっちもビデオで何度も見たなあ。

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