ページ 34 | 今日もだらだら、読書日記。

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やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。14

 

季節はまた春を迎えようとしていた。 同じ日々を繰り返しても、常に今日は新しい。悩み、答えに窮し、間違えを繰り返しても、常に飽きもせず問い直すしかない――新しい答えを知るために。 言葉にしなければ伝わらないのに、言葉では足りなくて。いつだって出した答えはまちがっていて、取り返しがつかないほど歪んでしまった関係は、どうしようもない偽物で。 ――だからせめて、この模造品に、壊れるほどの傷をつけ、たった一つの本物に。故意にまちがう俺の青春を、終わらせるのだ――。 過ぎ去った季節と、これから来る新しい季節。 まちがい続ける物語が終わり……そしてきっとまだ青春は続いていく。シリーズ完結巻。

春の季節に始まった八幡と雪乃の「勝負」は決着を迎えた。どこかお互いに割り切れないまま卒業式が、そして無事開催される運びとなったプロムが開催される。成功したプロムの終わりに、自らの母親に自らの「やりたいこと」を伝える雪乃。陽乃だけが不満げな顔を隠さずにいて……。

この陽乃さんのラスボス感がすごい。
序盤とにかく前巻から続く迷走感がひどくてしんどい。結衣との甘酸っぱいエピソードにはやっぱりニヤニヤしてしまうのだけど、勝負に決着が着いても雪乃との距離感が戻ることはなく、どことなくぎこちないやりとりにハラハラが止まらなかった。雪乃と仕事の話するときだけは会話が進むとか、割とリアルで人間関係でトラブル起こして疎遠になる直前の人とのあるあるすぎて余計なトラウマ刺激されるんですけど!!!いちいち彼らの関係性の終わりを匂わせる演出が多くてふとした事で胸を締め付けられてしまう。

今にも壊れそうな三人の関係性に容赦なく一石を投じてくる陽乃さんがマジラスボスの貫禄なんだけど、同時に彼女自身もまた八幡達の関係性に『本物』を求めずにいられないのだと気づいてしまって、しんどくなる。

八幡が覚悟を決めてからの、カタルシスが最高でした。
陽乃からの叱責や平塚先生の教え、結衣からの支えを受けて不格好でもこれまでの関係を壊してでもなんとか前に進むことを決めた八幡が、覚悟を決めて動き出してからが最高に面白い。その前に進むための「手段」があまりにも傍迷惑で笑ってしまうけど、なんていうかこれこそが比企谷八幡なんだよなあ。宙ぶらりんのままだった雪乃・結衣との関係性の決着、そして独りで去っていこうとしていた平塚先生の離任騒動まで含めて、未消化だった部分を完璧に払拭する展開が最高に楽しかった。

あまりにも八幡らしい不器用で独り善がりな計画に、これまで関わった人たち全てが力を貸してくれる展開が熱すぎてヤバい。少年マンガの最終回かよ……このまま元気玉撃てそうまである。今回はいろいろな意味で周囲の人々の行動にいちいち胸が熱くなってしまったんだけど、特に結衣のことを心配して何かと不器用に声をかけてくれる三浦さんがマジいい人すぎて幸せになってほしさがすごかった……いや三浦さんが良い人なのは知ってたけど本当に良い人すぎる。平塚先生はもうこの人真ヒロインでよくない!?ってレベルの大活躍だし、あとカラオケボックスといいサウナといい卒業式といい、今回葉山さんが八幡と仲良すぎてひっくり返るんですが、あいつらなんなの。サウナで戸部にまで空気を読まれて二人きりにされてしまうの無限に笑うわ。八幡に対してのぞんざいな態度を人前で隠そうともしなくなった葉山さん、最高かよ……。

それよりなにより──夢だけを積み重ねたはずだった偽りの「ダミープロム」が、彼らの手によって現実的な妥協点と折り合いを見つけられて、ほぼ完璧な形で顕現されてしまうの、あまりにも最高すぎない!?あと、ダミープロムの企画やってる間の雪乃がデレデレすぎて可愛さがヤバかった。特に語彙力を喪失するデレのん可愛いすぎる。

そして一つの「青春」が終わり、新しい「青春」が続いていく。
奉仕部という三人で築き上げられた不安定ででも温かかった関係を壊してでも「彼女」と関わり続けることを望んだ八幡の手によって一つの物語が終わり、そして新しい季節が始まる。もうとにかく匂わされる終わりの気配に震えてしまっていたんだけど、彼らはまだ高校「2」年生なんですよね。卒業式を見た八幡が感じた通り、このエピローグですら人生での終わりの予行演習でしかなくて、乗り越えてみれば少しだけ新しくなった人間関係とともに、新しい物語が始まるんだなと。「こいつら重い!!」「面倒くさい!!」といいたくなる中盤の告白シーンもさることながら、新しい物語を感じさせる最後のエピローグが最高に良かったです。

それにしても、最後のピースを後押ししてくれるいろはちゃんと高校生となった小町の小悪魔年下コンビが可愛すぎて死ぬ。あと三年生のクラス分けが最高にヒドいんですけど三年生になった比企谷八幡のクラスでの日常で一本書いて欲しいです。短編集もアンソロジーも楽しみだ。

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世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ) 2

 

平和すぎる日常に逆ギレし、世界の闇と戦う秘密結社・天照を作った佐護杵光。東京を救う自作自演イベントを終えた佐護のもとに異世界からの刺客が現れる。彼女はロナリア・リナリア・ババァニャン(905歳)。魔王が絶滅危惧種になり、手厚い保護を受けるほのぼの世界から、胸躍る巨悪との戦いを求めやってきた。ところが佐護の世界にも巨悪は存在せず、巻き起こる「世界の闇」と秘密結社の戦いは全て自作自演。世界が違っても平和すぎる日常は何一つ変わらなかった。そこでババァニャンは、秘密結社の根本を揺るがす、ある極秘計画を企て…?最強の超能力者が紡ぐ、圧倒的マッチポンプギャグコメディ、第2幕!! (「BOOK」データベースより)

「超水球事件」をきっかけに、東京ににわか超能力ブームが巻き起こっていた頃、秘密結社「天照」の元にひとりのロリババアが現れる。彼女は、血湧き肉躍る戦いを求め、身一つでやってきた異世界の存在だったが、やはりこの世界にもそんな非日常は存在せず……。

「日常」さんの強度が強すぎる。
2巻で早速本物の非日常やってきちゃったじゃん!!と思ったらそんなことはまったくなかった。いや異世界人という時点で非日常といえば非日常なのでは?と思わなくはないんですけど、異世界人がまざろうが警察が嗅ぎ回ろうが気にせずマッチポンプな非日常が続いていくのが面白かった。というか、超能力者、秘密組織、CIA、そして異世界人…とここまでそろった非日常要素をすべてひっくるめて包み込んで無効化しまう「日常」さん、ちょっと強すぎません?そりゃあ涼○ハルヒも内なる世界で暴れるよね(風評被害)

『裏切りイベント』の裏で水面下で進行する──!?
わりとちまちま非日常イベントを演出していた1巻とは打って変わって、前回の「超水球事件」に湧き上がる周囲の目から逃れつつ進行する、ババアニャンを主人公にした『長編・裏切りイベント』ににまにましてしまうんだけど、その裏では仲間になったと思われていたババアニャンが実は…!?という、二重に展開される物語が楽しかった。どこまでが本気か、それとも全てがマッチポンプなのか。先が見えそうで絶妙に先が見えない展開にハラハラしました。それにしても熊野警部はいろいろな意味で「適正」があったとはいえそれでお仕事を辞めてしまわれて大丈夫だったのでしょうか。

安定して面白かった……んですけど!?
2巻打ち切りってマジで!!!!??????(ソースは作者さんの日記

なろう版が今7巻目分くらいまで進んでいるし近いうちに完結予定のようなのでまあそっちで読めばいいんですけど……商業版で読み始めたなろう小説はやっぱり商業版で最後まで読みたいみたいなのあるじゃないですか。とても悲しい。各レーベルさんはもうちょっと拾ったなろう小説を責任持って育てて!!って思うけど、それ以上にWeb原作じゃない小説も責任持って育てて欲しいので難しい……。

ところで同作者の「婚活ダンジョンちゃん、東京に巣食う」が超面白かったです。36話まで読んだんですけど今確認したら完結していたので近いうちに読む。

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悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました6

 

クロードが竜化し魔王として覚醒、破滅ルートが解放された。世界は“正ヒロイン”アメリアの言う、「正しい運命」に向かい動き始める。味方は傷つき絶望的な状況で、それでもアイリーンはクロードを取り戻したかった。悪役令嬢やラスボス、割り当てられた役割とは関係なく、諦められないくらいただ貴方を愛しているから。―だから持てる全てで足掻くしかない。WEB発・運命ではない恋物語、愛で一発逆転の最高潮へ!! (「BOOK」データベースより)

ハウゼル女王国の女王候補の手によって魔物堕ちしてしまったクロード。聖剣の乙女としての力を振るうヒロイン・アメリアに対して聖剣を失ったアイリーンは圧倒的に不利な戦いを迫られる。果たして、無事クロードを取り戻し、ハッピーエンドを迎えることが出来るのか。

オールスター状態の最終決戦が楽しい!!
これまで登場した歴代ゲームのヒーロー・ヒロイン達が勢揃いで繰り広げる、バトル主体の展開がとにかく楽しい!中盤から物語に大きく関わってきたセレナやレイチェルはもちろん、引っ込み思案というか保身第一だったサーラの活躍に思わずニヤリとしてしまう。

リリアが「プレイヤー」から「ヒロイン」になるまで
アイリーンがクロードと愛を貫くための物語であると同時に、「プレイヤー」として物語を一つ上のレイヤーから俯瞰し続けたリリアが愛の力で真のヒロインになるまでの物語だったなと。彼女が少しずつセドリックに心奪われていく様子はそれとなく描かれていましたが、その彼女の想いが「聖剣の強さ」という形で昇華されていくのは胸が熱くなる思いでした。

自らがプレイヤーであると嘯きながら、大切な「ヒロイン」達を──「一番推せるヒロイン」であるアイリーンを守るために彼女が、自らの「愛」を武器に敵に立ち向かう姿は文句なしの「ヒロイン」で、もう本当に涙なしには見られないんですけど!!あと電子書籍版の特典SSずるいんですけど!!!???(めちゃくちゃ泣いた)

個人的にリリア様の株は1巻の空気ヒロインからプレイヤーとして覚醒し、後半に行くにつれ爆上げ状態だったんだけど今回は特に本当に最高すぎてもうね……もう……。

「乙女ゲーム」であることに拘った展開も良かった
「ヒロイン」としてのリリア様の話をした直後に言及するのもアレなんですが、なんというかクライマックスを打開する鍵になるのが「プレイヤー」としてのリリア様の考察厨としての一面だというのがまた最高なんですよね。一連の出来事を紐解き、理論的に解法を導き出すのはまさしく「プレイヤー」である彼女にしかできなかったでしょうし。最後は乙女ゲームの世界らしく「愛」が鍵となり現実を覆していく展開が大変に胸アツでした。

最高に熱いクライマックスから念願の年齢制限フィルタ突破な幸せいっぱいのラストシーンまで、全部盛り感が本当に楽しかったです。本編はここで完結なのかな?なろうの方にそれとなく短編とかもあるようなので、もう一冊くらい短編集が出てもいいのになと思ってみたり。

ところでリリア様の結婚式では新婦の希望通りにアイリーンがリリア様の手をとってあげて欲しい。超みたい。

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やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。13

 

暦は雪解けの季節を迎えるが、新しい希望の芽吹きはまだ遠く感じられる3月。それぞれの想いを言葉にし、行動しようとする雪乃、結衣、八幡。そして、それは今のままの関係でいることを終わらせることでもあって―。雪ノ下雪乃は、最後まで見届けて欲しいと願った。由比ヶ浜結衣は、このままずっと一緒にいられたらと祈った。美しい夕日に時が止まればと願っても、落日を迎えなければ新しい日はやってこない。前に進むために諦めること、終止符を打つこと。悩む間もなく、巻き戻すことも出来ず、エンドロールは流れ始める…。 (「BOOK」データベースより)

たとえ望まれていなかったとしても。PTAからの要請によって窮地に陥ったプロムを成功に導くため、雪乃とは違う形で動くことを決意した八幡。当て馬目的で別のプロム企画を立ち上げ、わざとPTA側の目に留めさせ危険視させることで本命のプロム中止を食い止めようと画策するが……。

終わりを感じさせる展開に、しんみりしてしまう
様々な意味で懐かしい人達が登場し、そこに終わりを感じさせられてしまうラスト直前の巻。玉縄・折本はもちろんだけど、地文でそれとなく差し込まれる相模や鶴見の名前、腐女子キャラをかぶっていない海老名さんの登場で自然とこれまでのエピソードを思い出させていくのはなんていうか凄く物語の構成が上手いなあと……割と13巻を読むまでにブランクがあったので、自然とエピソードを思い出せることにびっくりしました。

ところで久しぶりに濃厚な葉山と八幡の絡み愛(海老名さん的視点)を目の当たりにした気がしますが、他の人の目のあるところで厭味の応酬する葉山と八幡なんだこれ完全にただイチャついてるだけじゃない???あとわたりんは過去に深い傷を持つ優等生タイプに巨大感情持たせるの好きすぎじゃない???(クオリディアの方を見ながら) 葉山くんの理解度で八幡と張り合っちゃう戸部が可愛い。

それは果たして「成長」か「間違い」か。
危なっかしい部分は感じながらも周囲の「協力」を仰ぎながら展開される八幡の作戦が新鮮。その彼の行動は確かにこの1年で得た「成長」といっていいはずなんだけど、周りがことごとく描いた絵面のようには動いてくれなかったりと不安要素は多く、これを素直に「正解」と捉えてしまって良いのか不安な気持ちにさせられる。ぶっちゃけこれまで通り八幡が一人で抱え込んで突っ走っていたら、周囲に様々な禍根を残しつつもダミープロムの計画は滞りなく目的を完遂していたと思うんですよね。致命的な間違いをどこかで見落としているような、そんな気持ちが消せない。それはそうとダミープロム企画が正直楽しそうすぎて全くそういう状況ではないんだけどワクワクしてしまった。いやもう頓挫するところまで想定内で、好き勝手に夢ドカ盛りした架空の企画作るの絶対楽しいやつじゃないですか!!!巻き込まれた遊戯研が割と文句言いながらもノリノリなのわかりすぎる。

泣いても笑ってもあと1冊!!
まちがった関係を正して関係性の決着を望む雪乃とこのままでいたいと願う結衣、思い悩む八幡がそれぞれにすれ違う姿が印象的。今回はほぼずっと一緒に居た八幡と結衣も正直なにか噛み合ってない感じがして、それがまた不安を想起させる。八幡と雪乃の勝負には一応の決着が着いたけどいろいろな意味でこのまま終わるとは思えない。雪乃からバトンを託された結衣がどう動くのか、本当にあと1冊でどう決着をつけるのか、楽しみなような怖いような……。

というか11巻の序盤読んでた頃はこんな終わりの間際になってこんなしんどい話をぶちこまれるとはちょっと思ってなかったですよね!!シリーズ中盤で八幡が一人で突っ走って奉仕部内がギスギスしてた頃はしんどくてもまだ彼らが再び手を取り合う日を信じて読めたんですけど、今回はそこかしこで奉仕部の終わりを見せつけられていくので、別種のしんどさがある。本当に最後これどうなってしまうんだ……。

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ファイフステル・サーガ4 再臨の魔王と女神の巫女

 

灰エルフの軍勢を退け、一時の休戦状態へ持ち込んだカレルに、息つく暇もなく“狂嗤の団”切り込み隊長コルネリウスへの婚約話という難題が降りかかる。コルネリウスとともに内乱中のヴィエレヒト司教領を訪れたカレルは婚約者の少女ヘンリエッテと出会う。「当面は婚約者としてお力をお貸しいただきたいのです」わずか十一歳という年齢ながら、殺された父の無念を晴らすべく国を統べる大司教になりたいという彼女の力になるため、カレルたちは内乱鎮圧へと動き出すことに…。英雄は少女を王国の救い手として導けるのか! (「BOOK」データベースより)

ヴィエレヒト司教領で勃発した次期大司教の座を掛けた争い。殺された元大司教の娘・ヘンリエッテは父の無念を晴らすため次期大司教を目指す事を決意する。だが、その道には多くの困難が待ち構えていた。カレルは、彼女との縁談を持ちかけられたコルネリウスを伴い内乱を鎮圧するためヴィエレヒト司教領に向かう。

コルネリウスとヘンリエッテの関係性がめちゃくちゃ好き!!子供らしからぬ態度で大司教の座を望む彼女と、そんな彼女を不器用ながらも年相応の少女として扱い、護ろうとするコルネリウスが不器用ながら少しずつ距離を縮めていくさまが最高に良かった。幼くして大人の世界に足を踏み入れなければならないヘンリエッテにとって、コルネリウスが唯一本音を見せられる存在になっていくのがとても良い。

今回はカレルとヴェッセル、二人の立場の微妙な違いが透けて見えるのも楽しかったです。味方同士でありながらもどこか腹の探り合いをしているというか、今はただ「思惑が一致しているから共闘している」にすぎないんだよなあと。ひたむきに魔王が襲来するという未来に備えて五芒国の平定に突き進もうとするカレルと、ちょっと引いた立場で魔王を倒した「その後」の各国のパワーバランスまで計算しているヴェッセルの動きが印象的でした。それにしてもラストのヴェッセル挿絵のこの会心のドヤ顔最高かな?

それにしても、無事に4巻が出てよかった。明らかに妊娠フラグを感じるセシリアや側室フラグ立ってるミーリエルやら女性陣の今後の動きも気になる所。というわけで、富士見書房様におかれましては5巻もよろしくお願いします……。

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この素晴らしい世界に祝福を! あぁ、駄女神さま

 

ゲームを愛する引き籠もり少年・佐藤和真の人生は、あっけなく幕を閉じた…はずだったが、目を覚ますと目の前に女神と名乗る美少女が。「異世界に行かない?一つだけ好きな物を持っていっていいわよ」「じゃあ、あんたで」ここから異世界に転生したカズマの大冒険が始まる…と思いきや、衣食住を得るための労働が始まる!平穏に暮らしたいカズマだが、女神が次々に問題を起こし、ついには魔王軍に目をつけられ!? (「BOOK」データベースより)

若くして命を落とした引きこもりの少年・佐藤和真。死後の世界で女神アクアから特典つきで異世界転生させてもらえると言われたが、その女神があまりに煽ってくるのでキレてしまい、彼女自身を特典として異世界転生することにしてしまう。ところがこの女神、スキルは強いのになかなかのポンコツ。PTメンバーを募集してみても、やってくるのは1日1回しか撃てない大魔法しか使えない魔法使いやら攻撃の出来ないタンク職やら、変な奴ばかりで…!?

スキルは高いのにどこかポンコツなPTメンバー達と人並み以下のスキルでどったんばったんしながら冒険を繰り広げていく異世界冒険譚。使い所が難しすぎる仲間達のチート能力と微妙な運とちょっとした機転で切り抜けていく展開が軽快で楽しかった!俺TUEEするには微妙すぎて、頭脳バトルをするには浅はかで、運ゲーというほど運に頼れなくて…どの要素にも偏りすぎず、それでいてどの要素の美味しいところも総取りしていく展開に、ものすごいバランスの良さを感じる。

個人的にめっちゃ好きなのは最下級職である「冒険者」にしかなれなかったカズマがどんな職のスキルも極められないけれど取れることを利用して様々なスキルを習得し、それを小器用に使っていく所。転生特典を(アクアを引きずり込んだせいで)受けられていない彼が創意工夫でステータス上でのハンデを乗り越えていくのにすごくワクワクした。一応転職も可能とのことだけど、転職しないでこのまま微妙な器用貧乏キャラでいてほしいなこれ。

ギャグと言うほど軽くはないんだけどクスっと笑えて、キメるところではしっかり熱く締めてくれる物語に、テンポよくサクサク読める文章がバッチリ合っていて、とにかく読んでて気持ちよく読めるお話でした。楽しかった!これは人気出るのもわかるわ……。

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やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。12

 

バレンタインデーのイベント、水族館での雪の日を経て、自分たちが踏み出すべき一歩を定める八幡たち。そんな奉仕部に、ある大きな依頼が持ち込まれる。その依頼に対して、雪乃が決意と共に出した答えとは…。―たとえ、その選択を悔いるとしても―。時間の流れがいつか自分たちを大人にするのかもしれない、出会いと別れを繰り返して人は成長するのかもしれない。でも、いつだって目の前には「今」しかなくて―。それぞれの想いを胸に抱えながら、八幡、雪乃、結衣が選ぶ「答え」とは。新たなる青春群像小説、物語は最終章へ。 (「BOOK」データベースより)

バレンタインの水族館でのやりとりをきっかけに、雪乃は母と向き合うことを決めた。妹・小町の受験も一段落したころ、一色いろはから奉仕部にとある依頼が持ち込まれて──終わりの始まりの巻。今月いよいよ完結巻が出るとのことで慌てて読みました。

割といろいろな意味で10巻までが激動の連続で、11巻もラストが爆弾で、そこから始まった12巻は小町の受験やらいろはの持ち込んだ卒業パーティ(プロム)の依頼やらと、どこかこれまでと違った空気を感じさせながらも思ったよりも穏やかな日々が続いていて。水族館のあの日に彼らは戻れないところまで進んでしまったはずなのに、少しなかだるみ感すら感じて。でも、最後の最後で奉仕部の関係に致命傷を与えかねない最大級の爆弾が落ちてきたなと言う感じでした。穏やかで停滞したところから急転直下で転がり落ちていく展開が凄まじい。

最後まで読んでから改めて思い起こせば、小町の受験をめぐる比企谷兄妹のやりとりが濃厚に描かれたのも、葉山やいろはとのとの何気ないやりとりも、最後の陽乃さんの一言のためのお膳立てでしかなかったのだろうと。そしてその言葉は比企谷八幡にとっては一番忌憚していた関係のはずで。年度代わりを前に否応なく変わりゆく人間関係の中で、三人それぞれの葛藤が胸に痛かった。どうなるんだこれ。

陽乃さんの言葉はラストのアレもそうなんですけど個人的には酒に関するやりとりが最高にキたといいますか、そうわかる陽乃さんも八幡もそっちのタイプだよな〜〜ガハマさんとか普通にめちゃくちゃ泣き上戸になりそうだけどあなたたちそっちのタイプだよな〜〜〜…………とてもつらい。

「けど、たぶん君もそうだよ。……予言してあげる。君は酔えない」

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スレイヤーズ17 遥かなる帰路

 

「―え。」ひょんな出来事から一転、気がつくと見知らぬ町にいたリナとガウリイ。あたりを見渡せば、見たことがない文字、使ったこともない通貨、あきらかに自分たちとは違う文化様式―。動揺しつつも、経験と推理から導き出した結論は、「…ここ、魔族の結界の『外』の世界よ…」衝撃の事実!?だがしかし、立ち止まっていても意味は無し!ふたりは故郷に帰る道を探しはじめる。その先には、新たな出会いとやっぱりやっかいな脅威が待ち受けているわけで―リナとガウリイの、新たな、長い冒険の旅が始まる! (「BOOK」データベースより)

故郷ゼフィーリアへの帰還を目前にして、ひょんなことから魔族に遭遇して、どこか知らない街に飛ばされてしまったリナとガウリイ。周囲の人に話を聞いてもすれ違うばかりで、しかも教えられた街や国の名前も知らないものばかり。どうやら、魔族の結界の『外』の世界に飛ばされてしまったらしくて…!?

『外』の世界はリナ達がこれまで暮らしていた世界とは何もかもが違っていて、ほぼ『異世界』といって良い状態。細かい作法や生活様式も違っていて勝手の違いに戸惑うし、何より魔法が浸透していなくて、ちょっとした呪文を使えば悪目立ちしてしまう。世界の違いに興味が湧く反面、そんな中で回り回ってお尋ね者になってしまって……正体の解らない謎の刺客にも追われることに……良くも悪くも常に自信満々でマイペースだったリナの見せる少しだけ弱気な姿が印象的でした。思った以上に、彼女の中で『故郷』の存在は大きかったのだなと。

本編完結後の人気キャラ総出のオールスター劇場版のようだった16巻に対して、今巻は舞台を『外』の世界に移しての新展開。去年出た16巻の時も思ったけど、本編完結からあんなに時間が空いているし結構これまでとは毛色の変わったストーリーが展開されているんだけど、読んだら「これでこそスレイヤーズ」と思わせてしまう安定感のある展開が読んでて心地良かったです。色んな意味で新展開の幕開けの巻であり、後先考えずに全部ネタをぶっ放した感のある前巻と比べるとどうしてもパワー不足を感じてしまうお話でもあったんだけど、その分今後の展開が楽しみになる一冊でもありました。

というか、読んだのがだいぶ前なのでうろ覚えなんですけど、いつかのあとがきに『フィブリゾ達が完全消滅した時点で結界が消えてて神の力を借りる魔法も使えるようになってるけどみんなが気づいてないだけ』みたいな裏設定ありましたよね…?今回それとなく魔族ではなく《神》の力を借りる魔法回りの話も出てきたし、それをそのまま『中』の世界に持ち込めたりもするのかな。スレイヤーズの魔法うんちくめちゃくちゃ好きなので楽しみすぎる。魔法バトル的にも、リナも以前と比べたら本調子ではないわけで、そのへんを新しい魔法体系で埋めていくような展開を期待しちゃう。

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ようこそ実力至上主義の教室へ11.5

 

学校側の介入というアクシデントがあったものの、1学年の最終試験を退学者なしで乗り越えたCクラス。最後の行事、卒業式を迎える。兄との最後の接触に踏ん切りのつかない堀北にアドバイスを与えつつ、綾小路は月城理事長代行対策に動き出す。システムにはシステムで対抗、坂柳理事長に連絡を取り、1年Aクラス担任の真嶋、茶柱と秘密裏に接触、交渉を試みる。一方で綾小路の偽の姿について疑念を持つクラスメイトも現れていた。好奇心と願望の下、1年Cクラス松下千秋が綾小路の追跡を始める。そして1年という月日は生徒同士の関係を大きく進展させるには十分な期間で――。新たな学園黙示録、1年生編完結!

卒業式から春休みの間を描く、1年生編完結編。もともとこのシリーズの小数点巻は「短編」であっても「番外編」ではないんだよなという印象があったんですけど今回は堀北兄vs南雲の対決の行方とかホワイトルームの秘密とか、今後の展開(2年生編)への補足説明も踏まえたまぎれもない濃厚な「本編の続き」でした。いやまあ小数点がついてるだけで確かにあらすじにも番外編とか短編なんて1ミリも書いてないんだけどさぁ!!

綾小路の周囲に居る人々の変化や成長が印象的でした。もともと人間関係の動きが顕著なシリーズではあるんだけど、1年の節目を迎えてまた一つ大きな変化があったり、想いを新たにしたり。最初の頃はお互いいけ好かない相手でしかなかった誰かと普通に会話していたり、仲良くしていた相手と少し疎遠になったり…その変化に改めて感慨深くなる。1年前と同じグループのままで居られないところ、なんというかリアルですよね。

特に今回中心になるのはやはり掘北兄妹の関係の変化なんだけど、堀北兄が妹に対して抱き続けてきた本当の想いと、その兄が願ったとおりに兄の呪縛から解放され「自分」のための戦いに身を投じようとする堀北の新たな姿が頼もしい。割と1年生終盤ではやや迷走してる感があった堀北だけど、綾小路の予想を超える大きな成長を果たした彼女が今後の2年生編でどんな役割を果たすのか、楽しみで仕方がない。

そしてもうひとりやはり印象的だったのは復活を感じさせる龍園の存在なんですけど、いやなんていうか腐った意味ではなくて綾小路は龍園のこと好きすぎじゃないですかね??退学に追い込まれることだけを唯一忌憚して動いているはずの綾小路に真意かどうかはわからないとはいえ「お前になら退学にされてもいい」っていわせるのって相当好感度高くないですか?だって綾小路にとってはそれって実質「お前になら殺されてもいい」ってことと同義では??現状一番好感度高いまであるのでは??あと綾小路以外の唯一の男の挿絵が連れションってどういうことなの??(最高)

龍園だけでなく普通に喋れるようになった石崎、同じ本好きとして同好の友となったひより、腐れ縁感が強くなってきた伊吹とDクラス(旧Cクラス)の面々とは本当に良きライバルといった関係性になってきてるんですよねえ。今後はBクラスではなくて彼らとの共闘とかもありうるのかも。

周囲の人々が、変わらない存在のように思っていた堀北学すらもこの1年で大きな成長を見せる中、綾小路だけが変わらないように見えて。彼自身も自問自答してますが、綾小路自身の精神的な「成長」は今後のひとつの課題になっていくのかなあと。ただ、自分自身の心の成長を疑ったりすること自体や、龍園や堀北への態度の変化なんかはその「兆し」なのではないかと思うのですが。思えば、やたらと途中退学を匂わせてきたり、急に軽井沢との関係性を進めようとしてきたりと行動にどこか今までと違った焦りを感じるようにも見える(ただ、それすらもフェイクかもしれないといえなくもないのが怖いところ…)

綾小路の内心での思いを知ってか知らずか(いやこれ絶対わざとなんだけどさ!)で挿入されるラストの挿絵があまりにも強烈で人の心がない。口角上がるどころか下がってるんだけど!!??軽井沢さんは本当に幸せになってほしい……綾小路は卒業式までに笑えるようになるといいな(この能面のままで卒業するところは卒業するところで見たいんだが)

いろいろな意味で、今後の展開に期待せざるを得ない1年生の最終エピソードでした。というか2年生編も割と早めに開始されそうな感じ!?いろいろな意味で楽しみです。

ところで全員に掘り下げがあったわけではないとはいえ、綾小路と堀北の会話上でしか登場しなかった櫛田さんはマジでどうなってしまうんだ。途中脱落すらありそうで怖いんですが。あと平田まさかのソッチなの!?綾小路に全然真意が伝わってないのに直感でとめきかせてるあたり、この話で一番ラブコメしてた気がする(混乱)

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錆喰いビスコ4 業花の帝冠、花束の剣

 

濃密な死の香りに包まれる王の子を寒椿が生かす。煮え滾る鮮血の海から抜け出した子供・シシを救ったのは―、疾風無頼の兄上―赤星ビスコだった。九州が誇る巨大監獄『六道囚獄』。そこには花を操る人造人間・紅菱の一族が収監されていた。人間に逆らえない宿命を背負い、監獄の中で虐げられる紅菱たち。しかし彼らを捕らえているのもまた、桜を操る紅菱で―。キノコの生命力を奪い咲き誇る花々。進化のキノコ『ナナイロ』の胞子により生じた未知なる花力が日本を動かす!

各地で消えたキノコ守りの消息を追い、九州が誇る大監獄『六道囚獄』を訪れたビスコとミロとパゥー。そこで待っていたのはビスコを「兄」と慕う少女・シシとキノコを喰らい、キノコ守りの意思をも喰らわんとする監獄の主・サタハバキだった。それぞれに罪を問われて収監されてしまった彼らの運命は……。

ビスコの「キノコ」という本領が発揮出来ない場所を舞台に繰り広げられるそれぞれの戦いが楽しい。表立って動けなくて水面下で動くのを余儀なくされる姿は普段の彼らを知っていると大変にもだもだするんだけど、いろいろな意味で脱獄までは「頭脳派」ミロの独壇場。そんな抑圧された展開だからこそ、彼らが本来の力を取り戻して全力で戦うクライマックスが最高に爽快なのですが。あと、出番こそちょっとしかないけどパゥーさんが相変わらずイケメン。旦那であるビスコに対する若干のヤンデレ感というか余裕のなさは、なんというかミロの姉だな……という気持ちになりますが……。

そんなビスコ達の脱獄劇の裏で繰り広げられる人造人間「紅菱」の王子・シシの葛藤と成長が熱かった。人造人間から自己の意志を得たばかりの彼(彼女)がひとりの生命体として、そしてやがて「王」になる者としてどういう人生を歩んでいくべきなのか。悩み、葛藤し、そして立ちふさがるなにかを乗り越えようと足掻く姿が印象的でした。

兄と慕うビスコ、最初はどこかギスギスしていたところから少しずつ信を置いていくミロとの関係も大変良いのですが例によってパゥー以外の女がビスコに近づくと面白くないミロさんがシシに対して余裕なくてニヤニヤする。そして「ビスコにふさわしくない」といわれてブチきれるミロさん最高!!!

ビスコ達と別れ、憧れであり肉親であり乗り越えるべき存在でもあった父王ホウセンと違う「王」の道を歩み始めたシシがどこへ向かうのか。新たな物語の始まりを感じさせるエピローグが衝撃的で、続巻への期待が止まらない。

というか次回予告の圧が高すぎるんですよなんなんですか北海道の中には赤ちゃんがいますって!!

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