声優ラジオのウラオモテ #10 夕陽とやすみは認められたい? | 今日もだらだら、読書日記。

声優ラジオのウラオモテ #10 夕陽とやすみは認められたい?

 

2024年TVアニメ放送!渡辺千佳が本心に向き合う、第10弾!
――佐藤。泊めて。  母に一人暮らしを反対され、我慢ならず家出してきた千佳。母は自分が声優として独り立ちすることをどう思っているのか。怒りと不安に苛まれる彼女のもとへ、同じく母親と不和を抱える双葉ミントが現れる。 「声優なんて、俳優になれない人がやる仕事でしょう……?」  そう言い切るのは、世界的大女優であるミントの母親・双葉スミレ。  親に声優活動を否定されるミントと自分を重ねた千佳は、どうすれば声優のすごさを見せつけられるか頭を悩ませる。だが由美子は勝負では解決しない、歪な親子関係の『真実』に気づいていて――。  2024年TVアニメ化も決定の声優青春ストーリー、第10弾!!

高校卒業後の一人暮らしを母親から反対され、喧嘩して由美子の家に逃げ込んできた千佳。そこにさらに、将来の話で母親と衝突した現役女子小学生先輩声優・双葉ミントが逃げ込んでくる。ミントを迎えに来た彼女の母親である大女優・双葉スミレの「声優は俳優になれなかった人がなる職業」という言葉に激昂した千佳はスミレに声優の凄さを見せつけようするが、由美子はその行動に違和感を覚えて……。

似てないようでやっぱり似ている2つの親子関係が印象的だった

双葉ミントの家庭の事情に切り込みつつ、序盤に出てきたきりなぁなぁになってた渡辺家の母子関係にも改めて切り込むお話。前巻に引き続き由美子の活動休止中の出来事で、由美子の方の事情が色々と片付いた分今回は千佳側からの視点が多く入っているんですが……渡辺千佳というか夕暮夕陽さん、マジで「歌種やすみ」の評価がメチャクチャ高くて震えた。声優の凄い演技の代表として、そして自分の目指すべき高みとして──当たり前のように大御所声優の名前と歌種やすみの名前を並べて大絶賛してくるじゃん……。

今回はなによりもミントの母である大女優・双葉スミレのキャラクターが強かったです。有名人オーラを完全にコントロールしている超絶演技力、大御所俳優として千佳達と対峙した時の威圧感についてはもう紙面を通じてこちらにまで伝わってくるようなヤバさだったし、そんな圧倒的な演技力で形成された強固な心の壁をコミュ強ギャルの佐藤由美子が少しずつ崩していくまでの駆け引き、何枚もの強固な防壁の裏に隠された「母親」としてミントを気遣う彼女の不器用な本心には圧倒されるばかりでした。いやしかし、将来への迷いを振り切って心の余裕が出てきた由美子のコミュ力・フォロー力とカリスマ性が無ければ乗り切れなかったであろう局面が多すぎて……特に初手からギクシャクしてた渡辺母と双葉母を左右に並べて真ん中で相対するのとかマジで由美子にしかできないよね……これは千佳もクソデカ評価しますわ……。

そんな双葉スミレの娘である双葉ミント──オフでは小学生としての年相応な顔を見せながらも、時に同じ業界の「先輩」として大人びた一面を覗かせるというギャップが印象的でした。ミント先輩というとどうしてもライブ前の過剰レッスンで無理して倒れかけたエピソードの印象が強かったんだけど、親の七光りが届かない場所で体力面や時間面で大きなハンデを抱えながらこの業界で生き抜いてきたのは伊達じゃなかった。半ば彼女のために用意されたイベント舞台で、桜並木乙女や夕暮夕陽といった実力派若手声優の中にあっても全く臆せず、かつて目指して挫折した俳優ではなく「声優として」圧倒的な演技力を見せつけるクライマックス、母親に認められるために演技の道を選んでスミレの言う通りそこから逃げ出して声優の道を選んだ双葉ミント……母親の存在に縛られ続けてきた彼女が自らの意志で「声優」として歩む道を改めて選ぶ……という展開がめちゃくちゃアツかったです。

そして、1巻でとりあえず決着は付いたもののギクシャクしたままだった渡辺母子の改めての話し合いも凄く良かったなあ……相変わらず声優としての仕事の不安定さを不安視しつつも同じ母親として大女優である双葉ミントにすら物怖じせずに自分の意見を言う渡辺母の株がマジで上がりすぎだった。喧嘩するたびに由美子の家に駆け込む千佳に頭を抱える姿が微笑ましいし、なんだかんだで母親のことを意識すると緊張してしまう千佳にニヨニヨしてしまう。

そんなわけでふたりの将来に関する悩みも概ね振り切ったところで次巻、いよいよ「卒業」な展開でどうなる!?

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