ゲームを通して乙女ゲームの世界に「声」を届けられるようになった高校生の男女が「実況」と「解説」を駆使して誰も見たことがない完全ハッピーエンドを目指す物語、完結編。いよいよジークとリーゼロッテが両想いになり、破滅フラグも回避──と思ったのもつかの間、ゲームの展開通りに“古の魔女”がリーゼロッテの意識を蝕みはじめ……というお話。
魔女との最終決戦に対抗するため、未登場の「攻略キャラ」達に助力を求める展開〜まではいいんだけど、もともとフィーネが何故かムキムキ状態でそれに引きずられて周囲の面々のレベルも上がっており、更に遠藤のアドバイスによってゲームにはない戦力も加わってきてオーバーキル感が半端ない。ゲームでのフラグを立てていないので助力を求めるのが難しいかと思われていたキャラが思いもよらぬ人物によって懐柔されたり……と、ゲームでは見えなかった人物関係が見えてくるのも楽しい。
本来のゲーム展開では孤立してしまっていたリーゼロッテを救うため、これだけの人たちが力を尽くしてくれることが感慨深かった。遠藤・小林の言葉がすれ違ってしまっていた二人の関係を解きほぐしたからこそ迎えることが出来た結末。ただ萌え語りをしているようで、それがきっかけでイチャイチャしているだけのようで、その「実況」と「解説」こそがリーゼロッテの破滅する運命を打開する鍵としてしっかり働いているのが上手いなあと。それにしてもこんなに戦力がオーバーキルキルで最終決戦の見せ場は大丈夫!?と思っていたら、まさかの土下座系女神登場で腹抱えて笑ってしまった。いやでも、ゲーム世界の本来の流れとか踏まえて、色々とこれまでのことぜんぶが神代から続く壮大な痴話喧嘩だったんだと思うとワロエナイな……。
そして思わぬ展開から最終決戦は現実世界で行われることに。最後の最後ですれ違ってしまい窮地に陥る遠藤・小林の両名を救ったのが「向こうの世界」からの「実況」と「解説」だったもんだからもう…!!恋愛に疎い両名の、指摘されてみれば笑っちゃうようなすれ違いっぷりにニヤニヤし、こちらが恥ずかしくなるくらいの真っ直ぐな告白に胸を熱くしてしまう。ジークとリゼたんのようなイチャイチャとはまたちがった、少しずつ距離を縮めていく遠藤と小林の関係が大変に甘酸っぱかったです。
最後までゲームの画面を隔てたままの語らいが最高に楽しく、そしてだからこそ避けることができない「ゲームクリア」と言う名の別離に涙してしまった。そして、そこからのエピローグが楽しくて……!!2巻で綺麗にまとまってるのも大変にポイント高かったです。楽しかった……。
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ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん
趣味と実益を兼ねてお気に入りの乙女ゲームを実況しながらプレイしていた放送部の遠藤くんと小林さん。ところが、推しの悪役令嬢・リーゼロッテの相手役である王太子・ジークに『神託』としてその声が届くようになってしまい…「実況」と「解説」を駆使して悪役令嬢の本音を暴き、本来のゲームにはなかった完全ハッピーエンドを目指していく物語。
アドバイスとは名ばかり、ほぼオタクの萌え語りマシンガントークそのものな【神の声】が超楽しい。誤解を受けやすいツンデレ令嬢が分かりづらい態度を取る度に、その「本音」を片っ端から解説されてしまって、その声に感化されてどんどんゲーム内の人物関係が良い方に変わっていくのにニヤニヤが止まらなかった。王太子はどんどんリーゼロッテにメロメロになっていくし、それを見た本来のゲームヒロインであるフィーネもなんとなく彼女の真意を理解して仲良くなっていくし、フィーネにはちゃんと別の人との出会いが待っているし……で、優しい世界がすぎて尊い。ジークとリーゼロッテのツンデレ甘々カップルも好きなんですけど、フィーネとバルドゥールの関係性がまた好きだった。
同時に、並行して現実世界で繰り広げられる主人公たちの恋愛模様がまた可愛い。止む終えぬ事情で野球への道を絶たれて落ち込んでいた遠藤が放送部のオタク女子・小林によって救われて恋に落ち、そして気づいたら彼女の「推し」の乙女ゲーム沼に落とされているという二重の流れにニヤニヤが止まらないし、未だ野球部への未練が拭えぬ遠藤をそれとなく支える小林の姿にじんわりしてしまう。ひたすら糖度高で進む乙女ゲーム側の恋愛事情とは打って変わって、青春まっただなかな二人の関係が甘酸っぱい。
大好きな乙女ゲームのキャラクターたちの運命を握ることになってしまったことに重圧を感じながら、それでも本来のゲームでは絶対に幸せになれないリーゼロッテをはじめ、乙女ゲームの登場人物たちが全員幸せになるエンディングを模索していく姿が印象的。本来のゲームでは絶対に避けられないはずのリーゼロッテの破滅エンドをどう回避するのか。やたらとフィジカルお化けなフィーネの設定とか意味ありげな現実世界の設定とか色々まだ明かされていない裏もありそうで、続編が楽しみです。
「好きラノ 2019年下期」投票します。
企画元:ラノベ人気投票『好きラノ』 - 2019年下期
ちょっと前に書いた2019年面白かったラノベと半分くらいタイトルかぶってますが!!!今回も参加させていただきます。2019年はここ数年来だと比較的ラノベを読んでいた年だったなと思うので、2020年も同じくらいは頑張っていきたいです。
Twitterからの投票も受け付けられてますのでお気に入りの作品があるかたは是非ご参加ください。
2019年読んで面白かったラノベ10選
あけましておめでとうございます。
今年もこのブログをよろしくお願いいたします。
10年代ベストを作った際に「やはり1年分のまとめは下半期まとめとは別にほしいな…」とおもったので2019年読んで面白かったラノベのまとめです。ぶっちゃけこの後に投稿するであろう「好きラノ2019下期」とネタがかぶる予感がするのですが(投票は12日までですよ!)、自分がこれから期日までに何冊か読んで顔ぶれ変えてくれることを信じて!!
なお、10件ぴったりだったのでこの記事の内容をほぼそのまま「マニアック・ライトノベル・オブ・ザ・イヤー」にも投票してきました。投票は明日までなので10タイトル思いついた人が居たら投票してくると良いと思います。
2010年代ベストも頑張って書いたのでよんでね!
読んだら元気になる!(かもしれない!)ライトノベル10選
だいぶ前からこの企画をやろうやろうと密かに狙っていたのですが……最近良くツイッターなどでつぶやいてる「このラノベを読むと心が健康になる」というおすすめのラノベをまとめました。
基本的に私は「オタクの推し語りは健康に良い」という文脈で使うんですがそれ以外の方向性のタイトルもいくつか。基本的には過酷な展開にもめげずにポジティブ&ハッピーなキャラクター達にニヤリと出来る作品が集まっているはず……です。
効用には個人差があります。