オタク同僚と偽装結婚した結果、毎日がメッチャ楽しいんだけど! | 今日もだらだら、読書日記。

オタク同僚と偽装結婚した結果、毎日がメッチャ楽しいんだけど!

 
雪子

同人女子とドルオタ男子の、偽装結婚から始まる楽しすぎる結婚生活。
同人作家という秘密以外は普通のOL・相沢咲月は、ある日イベント会場で突然プロポーズされた。相手はメガネ姿のドルオタ……じゃなくて、イケメン同僚の滝本さんで!? 偽装結婚から始まる幸せ結婚生活物語。

金銭面に余裕のあるオタク男女が偽装結婚をして、広い家でシェアハウス的な共同生活を送る話。適度な距離感の保たれた楽しそうな「上質な暮らし」が、読んでて心地よかった。オタク要素はあらすじから想像したものと比較してやや薄めという印象を受けましたが、旦那のハマっている「地下アイドル」話が奇抜な設定で面白かったです。ただ、ちょっと起承転結の転のまっただなかで切れちゃってる感じなのが少し残念で、出来ればもう少し先まで読みたかったなあ。

隠れオタクの男女が織りなす、“上質な暮らし”。

会社には内緒で同人作家をやっているOL・相沢咲月。イベント会場で「結婚しろ」と口うるさい母親の愚痴を言っていたら、なぜかその場に居合わせた会社の同僚・滝本(※隠れアイドルオタク)から「それなら僕と偽装結婚しませんか?」とプロポーズをされてしまい!? 話を聞いてみると向こうにも結婚を急ぎたい家庭の事情があるようで……お互いの利害が一致して偽装夫婦になったふたりが“夫婦生活”と言う名のシェアハウス生活を送るお話。

親戚から管理を任されている一軒家の2階に滝本を住まわせ、基本的には別個の生活を送りつつも時折なにかあれば「同居人」としてお付き合いをする。社会の中でそれなりにうまくやっているふたりが首都圏郊外にある広い家の一階と二階で一定の距離感を保ちながら趣味や生活にお金をかけていくという生活、なんというかすごく生活に潤いがあって読んでいて心地良い。そしてお互いの趣味に没頭しながらも「ふたりぐらし」という新しい生活をエンジョイしている様子がとにかく楽しそう。一時期BLで「上質な暮らし」という概念が流行ったけど、まさにこういう話のようなもののことをいうんだろうなあと思った。もうとにかく暮らしの質が高いんですよね……。

滝本のハマってる「地下アイドル」の話が濃い

出会いの場が同人イベントの会場ということもあってどうしてもあらすじを読んだ時点ではオタク男女のラブコメ的な要素を想像してしまっていたんですが、同人オタク的な要素はかなり薄くてどちらかというと滝本がハマっている地下アイドル・デザートローズの話の比重が多め。宇宙からやってきたアイドルユニットという設定に対してアイドルもプロデューサーもファンもその世界観に即した活動をしている…というのがかなり奇抜で面白いし、メジャーなアイドルではないからこそのファンと公式の距離の近さが印象的。書籍版書き下ろしで描かれる、「デザートローズ」の結成秘話も濃厚な女の子同士の巨大感情案件で楽しかったです。

滝本側の趣味の話がめちゃくちゃおもしろい分相沢の同人活動の話が薄めなのが若干気になってしまうんだけど、正直同人オタクの話は今かなりメジャーな題材になってきているので無理に深堀りしなくてもいいのかもとも。それにしても毎日定時で仕事を済ませて原稿をコツコツ仕上げるて二次創作では壁サー+一次創作では商業を少々…いう姿勢がデキるオタクにもほどがあって、締切前にまとめて原稿するタイプのオタクは震えた。こんなところまで生活の質が高い。

ラブコメとしてはまだ、はじまったばかり

実は結婚を申し入れる前から相沢に好意を持っていた滝本。営業マンとして、そして地下アイドルのオタク活動で磨いたリサーチ力を駆使して彼女の好きなことや嫌いなことをリサーチし、着実に相沢の好感度を上げていくのが良かった。下心があるにはあるんですけどどちらかというと純粋に「好かれたい」という感情が主な感じで、いやらしさが感じられないというか彼の行動が純粋に二人の生活の暮らしやすさに繋がっている感じなのが良かった。相沢の一挙挙動に内心で「かわいい!」と転がっている姿も微笑ましい。

ただ、恋愛ものとしては始まったばかりというかまだ滝本の独り相撲感が拭えない。特に相沢の方には毒親問題が立ちふさがっているのでそっちを解決させないと恋愛的なアレコレは考えられないんだろうな。逆に相沢の実家問題さえどうにかなればあっさり両思いになってしまいそうな雰囲気を感じるんだけど……1巻そこで切るのか〜!!原作のカクヨムの方を見ると今回くらいの分量×3巻でピッタリ終わるくらいの内容っぽいので、たしかにこれはここで切って残りは2巻回しになるのかな〜って感じなんですけど、正直ちょっと本が厚めになってもいいから相沢の実家の件が解決するところまでは入れてほしかったな。良くも悪くもなろう小説の書籍化1冊目にありがちな、中途半端な終わり方してるのが残念。

相沢とのふたりぐらしの暮らしやすさを支えていたのは滝本の営業マンとしてのリサーチ力だったと思うので、今度はそれが相沢の実家に対してどう働くのか、母親の攻略には自信ありそうだけど相沢の話を聞いてると癌は兄貴っぽいけどそのへんもどうなのか。いろいろな意味で2巻が楽しみです。

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