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2024年に読んで面白かったラノベ15選

2024年は大変お世話になりました。本年もよろしくお願いいたします。

そしてコミックマーケット105で当スペースに遊びに来てくださったかた、ありがとうございました!長年密かな目標にしてきたラノベ評論(?)の本を出すことが出来て満足です。新刊の方は準備が整い次第自家通販と、あとDL版の頒布を予定しておりますのでもしよかったらチェックしてみてください。(リンク先「入荷お知らせメールを受け取る」ボタンを押しておいていただけると通販開始時にBOOTHから通知が届きます。)

B5/60P/1100円 好きなラノベ100シリーズについて好き勝手無節操に語る本です。 収録作品一覧はサンプル2枚目をご確認ください。 評論・紹介というよりは感想・思い出語りの側面が強いと思います。 ▼ 詳しい説明はこちらから。 誤字脱字など修正したダウンロード版と同時頒布開始予定です。 今暫くお待ちいただけますと...
ラノベの同人誌、次はコミケか文フリかわかりませんがまた作れるなら今度はテーマを決めて2〜30作品紹介するくらいの形にしたいですね……何かやってほしいネタとかあったらこっそり教えてくれたら検討するかもしれません(予定は未定)(このままだとこの男同士のクソデカ感情が凄い2025とかになりそう)

そんなわけで、毎年恒例・年はまたぎましたが2024年に読んで面白かったラノベのまとめになります。今年も10作品くらいで綺麗にまとめようかと思ったんですが思った以上に面白かった新作が多く……最近は新作の生き残りも色々厳しいと聞くので敢えて絞らずに面白かったな〜とおもった作品まとめて紹介する形にしています(そのぶん、長編作品紹介を少し減らしています)

新作/今年1巻から読んで面白かったシリーズ

羊太郎「これが魔法使いの切り札 1.黎明の剣士」→感想
意味ありげな設定の数々に想像が掻き立てられる最新作
「ロクアカ」羊太郎先生が贈る新作魔法学園物。傭兵から平穏な暮らしを求めて魔法学院に入学したリクスが魔法ではなく物理や対話でトラブルを解決していくのが爽快で、彼らを取り巻く《宵闇の魔王》や《黎明の剣士》にまつわるエピソードが気になりすぎるお話でした。そしてロクアカのオタクとしてはいろんな用語に反応せざるをえなくて(スターシステムかもしれないけど)今後が楽しみ!
零余子「夏目漱石ファンタジア」→感想
TS夏目漱石と野口英世のバディめっちゃ推せる
瀕死の夏目漱石が死んだ許嫁・樋口一葉の身体に脳を移植されて蘇り、正体を隠しながら作家の自由を求めて闘うという文豪SFバトルもの。野口英世との急造バディぶりが大変に楽しく、明治の偉人・文豪要素とSF設定と歴史蘊蓄がカオスに混じり合う物語がめちゃくちゃ面白かったです!!
駄犬「悪の令嬢と十二の瞳 〜最強従者たちと伝説の悪女、人生二度目の華麗なる無双録〜」→感想
精神年齢で変化していく価値観の描写がリアル
処刑されて人生やり直す事になった令嬢が対抗できるだけの武力を整えなきゃ!!とハー◯マン軍曹のごとく孤児達を鍛える物語。やることなすこと微妙に思惑からズレていくセリーナの行動にニヤニヤしつつ、人生やりなおしても変わらなかった彼女の価値観が精神の加齢によって変わっていくのが良い意味でリアルでした。笑って、最後にはちゃんと泣かせてくる物語が最高に面白かった!
東崎惟子「少女星間漂流記」→感想
宇宙を放浪する少女ふたりのSF短編ロードノベル
地球を追われて安寧の地を求めて宇宙を旅する少女ふたりのロードノベル。一筋縄ではいかない各星々の生態が興味深く、タイプの違う二人の少女がトラブルに巻き込まれても上手いことなんとかしながら、でも時折年相応の若さをのぞかせるのが印象的でした。あと女女のクソデカ感情的な意味でも良かったですね。
としぞう「脇役に転生した俺でも、義妹を『攻略』していいですか?」→感想
妹の問題に家族として真摯に向き合っていく展開が超良かった
ギャルゲーのヒロインの義兄に転生した主人公がひとりの家族として彼女の傷を癒やしていく物語。下心でも生前の推し的なやつでもなくあくまで「家族」として真摯に彼女と向き合う主人公がとても好感度高かったし、転生前知識があくまで問題解決のヒント程度になっているのも丁寧で凄く良かったし、幼馴染ラブコメとしても良かった!兄妹物の不謹慎ラブコメに見えるタイトルで損してるな〜と思ったのでもっと読まれてほしい一冊。
せひらあやみ「異世界召喚されたVチューバーですが、皆様コメントで助けてください!」→感想
色々な意味でハードモードな巻き込まれ系異世界召喚ロマンス!
兄がやっていたVtuberのガワで異世界に召喚されてしまった主人公が問題児だらけの兄の動画視聴者達や信頼できない異世界の人々に翻弄されつつスパチャで兄の借金返済を目指すお話。兄の動画ジャンルが男性向けなので、異世界ロマンス始まると低評価の嵐になる展開に笑ってしまったし、誰も信頼できないハードモード異世界召喚展開が楽しかったです!
田口 仙年堂「この先、絆があるぞ」→感想
実在のゲームを題材にした高校生達の青春小説!
ゲーム実況が趣味の陰キャ高校生がクラスの陽キャ男子と「エルデンリング」のマルチプレイをすることに!?というお話。ふたりの関係性が少しずつ変わっていく展開、仲良くなるにつれ起きる変化や葛藤がとにかく心地よくて、原作ゲームは一切わからないんだけど面白かったです!田口先生の長編青春小説読みてえ〜〜〜と言い続けてはや10年(マジで!?)、最高の青春物語が出たので読んでほしい。
犬童灰舎「やさぐれ執事Vtuberとネガティブポンコツ令嬢Vtuberの虚実混在な配信生活」→感想
「芸術家肌Vtuber集団」というありそうでなかったスタイル、面白かった
歌い手、イラストレーター、役者……理由あって道半ばでVtuberに転身した主人公達が新しい場所で夢を追って歩き出す物語。いろいろな意味でこれまでのVtuberものとは違った方向に我が強いVtuberユニット「リバユニ」の在り方が面白く、次に彼らが何をするのかワクワクしながら読みました。2巻では更に外部にも活動の幅を広げてきて、今度どうなっていくのか楽しみだなあ。
わだくちろ「職業、仕立屋。淡々と、VRMMO実況。」→感想
台風の目の中でもマイペースにゲームを楽しむ主人公の姿が強すぎる
クラフトしたくてVRMMOをはじめた主人公が、知らないうちにゲーム内に様々な革命を巻き起こしていく物語。いつのまにやらゲーム内の台風の目と化しているのに、一切気にせず嫌な相手はブロックしてマイペースにゲームを進める主人公が強すぎて好きだし、それにガチ勢の皆がひたすら振り回されていくのが楽しい。本当のスローライフってこういう事言うんだな……。
服部 大河「はじめよう、ヒーロー不在の戦線を。」→感想
「主人公」とは何なのか、と考えさせられる物語
最強の「主人公」であり幼馴染の少女・小日向茜に未来を託された主人公が否応なしに宇宙怪獣との戦いに巻き込まれていく物語。主人公らしい行動を取ることで真価を発揮する人型兵器の設定が面白く、戦いで生命を落とした幼馴染・茜とそれを巡る少年少女達の様々な葛藤が印象的でした。あとこの主人公の親友がウマい2024。
賀東招二「フルメタル・パニック! Family」→感想
加齢の仕方がリアルな、あのキャラたちの「戦後」。
フルメタキャラ達の20年後の姿を描く物語。かっこよく終わったはずの物語が全然綺麗に片付いてないのが良くも悪くもリアルで、いまだ日常に順応できない宗介や加齢による衰えの描写など往年の彼らを知っていると衝撃的な部分も多いけど、それでも「日常」という戦いに前向きに挑み続ける彼ら家族の姿を見られるのは嬉しく感じました。あとアラフォー世代だと衰えの描写がリアルすぎてな……。
諸星悠「空戦魔導士候補生の教官」→感想
一筋縄ではいかない教官と伸びしろは高い問題児達の物語!
今更読んだ!!序盤は誤字脱字の多さやカナタ教官のわかりにくい真意、なかなか実力を認められない状況にもだもだすることが多かったけどその真意が明かされる度に面白さが増していく物語でした。特に終盤は全方向に安心できない要素ばかりで、手に汗握りながらも辿り着いた結末に胸が熱くなる思いでした。面白かった! 同年始まった諸星先生の新作の方も1巻面白かったし2巻は個人的に……だったけど多分また尻上がりに面白くなるやつだと思うので3巻が読みたい……よろしくお願いします。

今年2巻以降が出て特に面白かったシリーズ(こちらは厳選)

有象 利路「組織の宿敵と結婚したらめちゃ甘い2」→感想
現代異能バトルとイチャイチャラブコメの温度差が最高
かつて異能バトルで鎬を削りあう宿敵同士だったふたりが現在はイチャイチャバカップル新婚夫婦に……という物語。元々ギャグとシリアスの温度差で私の中で定評がある作者が章毎にすごい勢いで温度差出してくるのでもう屈服するしかないんですよね……ラブコメの横でちゃんと異能バトルやってるの点数高かったです。個人的に3巻の温度差が特にひどくて笑った。シリアスからシモの話題につなげるのは反則ではーー!!
紫大悟「魔王2099 4.終極防衛都市・ワシントン」
アニメも原作続巻もめちゃくちゃ良かった
『終世魔王ベルトール』によって支配された絶望の未来を変えるためベルトール達が奮闘する第四巻、かつての六魔侯のゆくえを探して悪魔はびこる渋谷に向かう第五巻、どちらも面白かった〜!レギュラーキャラ達の活躍もさることながら、どちらもゲストキャラ(新キャラ?)が良い味出してましたし、毎回舞台を変える度に方向性が変わってくの改めて面白いなこのシリーズ。そしてアニメもよかった……。
衣笠 彰梧「ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編」→感想
いろいろな意味で先が読めなさすぎる2年生編クライマックス
無事に2年生編が完結していよいよ最終学年に突入する「よう実」なんですけどその終盤での出来事が色々と凄すぎてもう…!!元々匂わされていた展開だらけではあったけど、本当にそこまでやるか!?の展開をしっかりやってくるのこのシリーズらしくて強すぎる。クラスポイント争奪戦も綾小路の真ヒロイン争奪戦もあらゆる意味で先が見えなくなってきた3年生編、楽しみです。


少女星間漂流記

 

ふたりぼっち、安住の星を探し求めて宇宙旅行。
 馬車が銀河を駆けている。馬車を模した宇宙船が。  乗っているのは、この風変わりな宇宙船を造った科学者・リドリーと、相棒の内気な少女・ワタリ。  環境汚染で住めなくなった地球を後にして、二人は馬車を走らせる。目指すは、地球に代わる安住の星。  けれど、二人が訪れるのはどれも風変わりな星ばかり! 万物を生き返らせることができる神のいる星、運が良い人間ほど偉いとされる星、無数の図書館ばかりがある星……変わった星々に、二人の少女は翻弄されてしまうことも……。  「次こそ住める星だといいな」二人は今日も、広い宇宙を旅している。

環境汚染により住めなくなった地球を追われ、馬車を模した宇宙船に乗って旅をするふたりの少女・リドリーとワタリ。ふたりが訪れるのは少し変わった星ばかりで……果たしてふたりは、地球に代わる安住の地を見つけることが出来るのか?

安寧の地を捜して宇宙を旅する少女たちのSF短編ロードノベル

科学者であり高い知力を持つリドリーと人見知りだが戦闘能力は高いワタリ。ふたりの少女が互いのできないところを補い合いながら宇宙を放浪するお話。同レーベルの「キノの旅」を彷彿させる形式の、1話完結タイプの短編ロードノベルでした。

ふたり合わせれば知力も戦闘力も大人顔負けのふたりですが、それでもその旅路は安寧のものであるとは言えず……訪れた星の物語を淡々と描写するように見えて、そこに生きる人々(生物)の生き様に心揺さぶられていく姿が印象的でした。そこで起きた出来事に対し「なにもしない」というより自分たちの身を守る以上のことは「なにもできない」なんだよなあ。

個人的に特に印象に残っているのが『闇の星』で、言葉の端々からして明らかに罠っぽいのに相手が同じ地球人だったせいであっさりと騙されかけてしまうふたりがとても危なっかしい。頭脳担当であるはずのリドリーの最後の独白が胸に刺さりました。

ワタリとリドリーの関係性が良き

お互いに出来ないところを補い合う関係というだけでなく、主人公コンビであるワタリとリドリーが時折お互いに対して見せる巨大感情が大変良かったです。女女のクソデカ感情ラノベ、先日まとめを作ったばっかりなのに!!

描き下ろしの『焔の星』のクライマックスで見せたバディ関係の姿がもうめちゃくちゃ好きなんだけど、その一方でラストの『夏の星』でかつての故郷で失われた魂に惹かれるワタリとそれを気遣い敢えて真実を打ち明けた上で彼女に選択させようとするリドリーの姿がめちゃくちゃ刺さって……「私の秘密兵器」なんて所有物のように言う割に時々リドリーがワタリに対して負い目を感じているようにも思えるし、過去のふたりに何があったのかめちゃくちゃ気になりました。

いやでもそういうのはずっと匂わせるだけで続いていきそうな物語ではある。シリアスでミステリアスなふたりの関係性も良いけど、『甘の星』のような、ワタリの誕生日プレゼントを買うためにリドリーがひとりで奮闘するドタバタ劇もめちゃくちゃ可愛かったのでもうずっとこのままの関係性で居ろまである。

あとがきで作者さんが読者が買い支えてくれたら私は物語と共に永遠に生き続ける概念になるので地球が滅んでも続きが出ます(意訳)という話をしてるのがあまりにも強くて笑ってしまったんですが、実際に年1〜2くらいのペースで定期的に摂取したい物語だなと思ったので次巻も買います買いました(今)。

本好きに的確にぶっささりそうな『本の星』がTwitterで丸々公開されているので、気になった人はまずはここから!昨今の電子書籍と紙の本の違いの話とかも盛り込みつつ、本に興味がなかったワタリが本に興味を持つという短編です。オタクは自分の好きなものに興味を持つニンゲンの姿を見るのがめちゃくちゃ好きなんだよなわかる。