数カ月ぶりに勇者の遺物探索の旅からローランドに帰還した(というか事故で戻ってきてしまった)ライナとフェリス。だが帰国した数日後、ライナが失踪してしまう。フェリスはシオンから貸し出されたローランドのメンバーと共に捜索隊を組織してその行方を追うが、意外な所からその情報がもたらされることに。
同じころ、併合したエスタブールの兵達をまとめ上げるためにエスタブールに向かったクラウは『複写眼』保持者が暴れているという話を聞き、その鎮圧に向かう。相手は、かつて自分の腕を食い千切った因縁の『複写眼』保持者で……。
一度持ち上げてから落とす展開がとてもしんどい
6巻は概ねフェリスの実家・エリス家とその当主ルシルの話。そして今回はルシルとの会話、シオンが裏で出していた命令を知り失踪したライナとそれを追うフェリスのお話。6巻のサブタイ「シオン暗殺計画」とそのあらすじ読み直してそういう話だったっけ?と思ったけどたしかに暗殺計画あったし実際襲撃もされてましたね意味に気づいて笑った。7巻。紆余曲折あって、やっとの思いでフェリスがライナに追いついて、いつものノリになってきて色々引っかかりは残ったけど元サヤに戻れるのか……と一度持ち上げてからティーアの襲撃・シオンの到着で再び突き落とす展開がしんどい。ルシルに刺激された「自分が化物である」というトラウマを、ティーアが的確に(しかも、その言葉をシオンに言わせる形で)抉ってきて。色々と仕方ない部分があったんだけど、シオンはここに来ないほうが良かったと思うんですよね……ローランドの英雄王としての立場に邪魔されて傷ついている親友に望んだ言葉を掛けることも出来ず、フェリスとも隔たれてしまって……傷ついて消えていくライナもしんどかったけど、それ以上に取り残されたシオンの情緒が目に見えて歪んでいくのがしんどかった。「しんどい」しか言ってないなこの文章。
1巻でローランドを離れたキファの視点から敵対する国家ガスタークの情勢やライナ達の持つ「複写眼」の秘密が少しだけ明らかになったり…と、物語の中で謎とされていた部分が少しずつ見えてきて、いよいよ物語が動き出した感じ。レファルとキファの関係、というか敵国の王とそれに一人で立ち向かおうとする女、二人の駆け引きが地味にめちゃくちゃ好きでこの二人の関係もどうなっていくのか楽しみです。