うららの記事一覧 | ページ 113 | 今日もだらだら、読書日記。

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キスとDO?JIN! オタク王子のあぶない誘惑!?

[著]小林 来夏 [絵]由良

七海が同人活動を始めてから早10ヶ月。イベントにサークル参加していた七海を訪れた高橋が連れてきたのはなんと“コミックエンペラー”代表の芹沢と、その甥っ子の美少年・日暮克巳。年少ながらも大手同人作家として活動している克巳は、七海に「こんな落ち目のジャンルには見切りをつけて、売れ線作品で稼ごうよ!」と言い出すが…
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毎度色々とギリギリな角度から同人界の実態に迫る(?)このシリーズ。延期しまくって漸く発売されたシリーズ第五弾は「専業」同人作家と、コミケ脅迫事件に迫ります。つか、個人的に今回のは専業というよりもイナゴサークルっていうほうが自分の中では近いかな。関係ない話ですがそろそろ七海は自重を覚えないとマジで若くしてその身を散らす事になる気がしてしょうがない。……若いっていいな……。

正直、萌えが一定の基準値を突破しないと二次創作できない自分にとっては克巳のあれは一種の才能だよなーと思ってしまうわけですが、正直リアルで彼みたいなのが身近に居たら多分キレると思う、私。物語を読んでる最中も、その言動やら態度やらにイライライライラ。っていうか落ち目ジャンルで何が悪い!!ジャンル規模小さいのの何が悪いというんだ!!例え言ってるのが好みドンピシャの子悪魔美少年だとしても、言っていい事と悪い事があります。ど、同人っていうのはなあ…同人っていうのはそういうものじゃないんだよ!!ぎ、技術よりも愛が重要なんだよ!!たぶん!(…以上、弱小ピコサークルの心の叫びでした。)物語の中盤以降、彼が芹沢やら高橋やら蝶子さんやら西南北やらに言葉のフルボッコを喰らう様子を見て、とてもスッキリしたのは内緒です。

たとえ技術が高くても漫画が面白くても、不思議と作品やキャラへの愛が篭ってない作品っていうのは魅力に欠けると思えてしまう不思議。妄想大爆発のトークとか、書いた本人は後で読み直すと死ぬほど恥ずかしかったりするけど読むほうにとってはかなり面白かったりするよね。っていうか、それが二次創作の醍醐味だと思うんだよなあ。やはり愛がない二次創作は、どんなに良いものでも魅力半減なのです。ただ克巳の場合、少なくても「漫画を描く事」を楽しんでいるのは十分に伝わってくるのでその辺は難しいなあと。あと芹沢への愛は痛いほど伝わってきた!っていうかマジで克巳×芹沢本を、誰か出すべき。

そして思わぬ所で蝶子さんと響が変なコンビ結成してて噴いた。いや、何気にいいコンビすぎて噴いたというべきか……絶対ウマが合わない二人だと思っていただけに、今回の意気の合いっぷりには笑いました。

そして恋愛面では……あれ、これは西南北ルートだとおもってたけど高橋ルートに分岐してしまったのか?西南北が凄い勢いでかませ犬臭を発している気がしてしょうがないのですが……次巻は恋愛寄せらしいので、次で三人の関係がどう動くのか、期待です。

それにしても、ラストの短編での執事には久しぶりにしてやられた。
序盤のスーパー変人ぶりは周囲の変人ぶりも相まって薄くなってきちゃった印象が残念ではありますが、なんかもうむしろ「実はさみしんぼ」キャラで売ったらいいと思う。人知れず三十路突入で腹抱えた。


真・運命のタロット4 《審判》はレクイエムを歌う

[著]皆川 ゆか [絵]乱魔 猫吉

『メデューサの首』に、あのラスプーチンの遺骸が利用されていると知った《魔法使い》と《女教皇》は施設を破壊しようと試みる。ところが二人を止めたのは最強のティターンズと言われるタロットの精霊・《力》だった。彼女によって《魔法使い》とは別の場所に飛ばされてしまった《女教皇》は、《力》のパートナーである《審判》に出会い…
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『審判』はレクイエムを歌う—真・運命のタロット〈4〉 (講談社X文庫—ティーンズハート)
前巻から引き続き「カザフ」編。《死神》とのフェーデこそ進んでいないものの新たなタロットの精霊が出てきたり《節制》が再登場したり……と動きの多い、派手な回でした。しかし、セリフはまだしも《節制》コンビの粗筋紹介はかなり(解読的な意味で)厳しいものがある……よみづらいよ!!

敵である《正義》側が普通にいい人っぽくて、味方側の《力》&《審判》がとてもうさんくさいということもあって、自分のやることは自覚しているものの色々と揺れる《女教皇》。実際、ティターンズのやっていることは“アカシック・レコードの運命に従う”ってことなんだから、マダム・ゴーリキーの言うように「運命に従って死のうとしている誰かを護ろうとするプロメテウスvsそのまま殺させようとするティターンズ」って構図はあってもおかしくないんですよね。というか今回の《死神》と田村のコンビはとにかくとして、プロメテウスが事態を悪くするような改変ばかり起こそうとするのには何らかの理由があるのかなあ。どうせなら何かいいことすればいいのに…とか思ってしまう。

今回一番大きな動きといえば、《女教皇》が遂に自らの象徴の力を思い出した事か。かなり応用範囲の広そうな能力だし、今後この能力をどうやって使いこなしていくのかという辺りも楽しみ。確か《月》の体験で出てきたときでも全能力を使いこなせてなかった気がするので、今後の物語における大きな切り札になっていくんじゃないかなあ、と期待。しかし、そろそろ《女教皇》は記憶を取り戻しませんか…括弧文字で表記するの面倒くさい私がいるよ!

《力》や《審判》の意味深発言の通りに、なんだか嫌な方向に物語が転がっていきそうで漠然とした不安が。というか、あれだけ意味深に言われると《女帝》《皇帝》がプロメテウスに寝返った理由とかも改めて気になってきちゃう。そして重い展開続きの中、中盤の《正義》コンビ+カーシャと《女教皇》《恋人たち》のやりとりが凄い癒しになってるのですが、その分ラストのあの展開がうわああああ痛いいいいい!とにかく続き続き…!!

余談ですが《節制》は能力がえげつない分、出るとかませ犬ポジションだなあ、とか失礼な事を思った私です。


7月の新刊予定がおかしい件

まろんさん絵空さんも日記でぼやかれてますが、7月新刊ヤバイ。

元々、ラノベ系の新刊を買ってる冊数は月平均10冊行くか行かないか、多い月で12?3冊程度の分量なのですが、それを踏まえて7月の購入予定をご覧ください。判りやすいように番号入れてみたよ!!


7/10…電撃文庫
 (01)とある魔術の禁書目録18
 (02)GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン2下
 (03)神様のメモ帳4
 (04)アカイロ/ロマンス4
7/15…GA文庫
 (05)メイド刑事9
 (06)おと×まほ8
7/18…ガガガ文庫
 (07)とある飛空士への恋歌2
7/20…ファンタジア文庫
 (08)生徒会の六花 碧陽学園生徒会議事録6
 (09)本日の騎士ミロク2
 (10)H+P (4) —ひめぱら—
 (11)いつか天魔の黒ウサギ4
7/24…スーパーダッシュ文庫
 (12)ベン・トー4
7/25…MF文庫J
 (13)ラノベ部3
 (14)剣の女王と烙印の仔 II

14冊……だと……
スニーカーとファミ通文庫に購入予定が無いのが不幸中の幸いとしか言いようがないですがこれはおかしい。境界線上のホライゾンはページ数的に平均的なラノベの3冊分強とみなしていいとおもうので、実質17冊くらいの分量ですね!

っていうかスーパーダッシュ文庫とMF文庫Jとか、現在レーベル全体でこれしか追ってないわけですが、なんでそれが都合よく全部出てくるんですか?(つかなんで「ラノベ部」延びたんだよ!!)「迷宮街クロニクル」と「人類は衰退しました」を加えればGAとガガガも完璧。

特に電撃と富士見の各4冊がやばいです。
数少ない作者買いの「アカイロ」「境ホラ」「神メモ」「ミロク」「ひめぱら」が勢ぞろいでとか「生徒会」の新刊とか全体的に切れないシリーズが多くて、買うだけ買って積みそうな予感が…ギリギリ読まなくてもいいかなあと思うのは灰色表記してますが、これだけあって買わなくても我慢できそうなのがこれだけって。「いつ天」はあらすじ見る限り紅月光回っぽい予感がするし!!

っていうか「境界線上のホライゾン」まじ自重(ページ数的な意味で)。2上は、発売日2日前にゲットして読んでるあいだに富士見新刊出ちゃったわけですが……下は上よりもページ数多いわけですが……どうすんのこれorz

特に運タロ読み始めた5月くらいから、これまで殆ど出してなかった新刊積みが大量発生してしまっているのですよね。現時点で「彩雲国物語」「アクセルワールド」とかが順調に読み切れずに積読に移動しているわけですが……もうこのままだと7月どうなんのこれ…ぜんぶ運タロが面白いのが悪いんだよ!毎回嫌なところで切れるから!!

真タロ、あと8冊か……(遠い目)


ひぐらし。1

[原作] 竜騎士07/07th Expansion [著]御門 智
[絵]南向春風、かたのん、まことじ、松下ゆう、Pマン、春原ロビンソン


誰も自重しなかった結果がこれだよ!ひぐらしであり、ひぐらし『ではないなにか』のパロディ世界がここに。 自信を持ってお送りする問題作です! ちなみにブラッド成分はカバー以外だと富竹の鼻血くらいしかないです。(※公式サイト解説文より引用)
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[これはひどい][なごみ文庫自重][プロの犯行][ゆっくりお持ちかえりしていってね!]
そっちがニコ動ならこっちははてブ風にタグ付けしてやんよ!!!あらすじ紹介部分を自分で考える気力も起きなかったよ!!!良い意味でも悪い意味でも悪ノリしすぎな「ひぐらしのなく頃に」……ではない何か(公式いわく)。「ひぐらし」好きよりもニコニコ動画中毒者にお薦めしたい一冊。

有名動画の中の人を本文挿絵に迎え、レナが「ゆっくりしていってね!!!」だったり、三四がロリでトミーと入江と小此木がロリコンだったり、富竹が流血の惨事だったりデスク●ムゾンだったり■リオだったりスペ▼ンカーだったり、魅音が「あるぇー?」と空気読めなかったり、詩音がサトシ君的な意味で暴走したり、◎ゅるやネタが入ったり、世界名作劇場だったりします。い、意味が判らないと思うがこれがこの本の真実なんだ……信じてくれ…。各話タイトルの所についてるニコニコ動画風のタグコメントがじわじわ笑いを誘う。

ただ、個人的には「リトルバスターズ!SSS」的アンソロジーのようなものを想像していたのでちょっと物足りなかったというか、求めていたものと違ったかも。同人誌なら「これは良い悪ノリwww」って手放し絶賛するけど、あまりにもひぐらし以外に必要な事前知識(特にニコ動や一部同人による改変ひぐらしキャラの知識は必須)が多すぎて、これを商業誌の「半公式」という形でやる事に大きな疑問を感じます。うーん、こういうのは非公式にやるから面白いんじゃないのかなあ。しかもナンバリング打たれてるってことは1冊で終わる気が無いんですよね、多分これ…。

一応メイン?となっている昭和58年を乗り越えた部活メンバーの同窓会話は普通に面白かったので、なんだかもったいない気がする。なごみ文庫は「華蝶仮面」完結以降ご無沙汰してたけど、一体どの方向に迷走してるんだ…。


真・運命のタロット3 《力》よ、と叫ぶ者

[著]皆川 ゆか [絵]乱魔 猫吉

“改変”による全面核戦争を目論む《死神》達によって時間を飛ばされた《女教皇》と《魔法使い》がたどり着いたのは1962年のソ連だった。そこで《正義》とその協力者に遭遇し、戦闘が始まってしまうのだがそこに加勢にやってきたのは新たなるタロットで……
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『力』よ、と叫ぶ者—真・運命のタロット〈3〉 (講談社X文庫—ティーンズハート)
《死神》とのフェーデ開始な「真」シリーズ第三巻。まだまだ説明多め+フェーデ下準備中。色々と混乱しかけてきたところだったので巻末についてる年表がとてもありがたい?。

かつてのフェーデで相対したのとはまるで正反対の《恋人たち》は、ホント何があったんだろうとしか……もともと仲間だったっぽいことは確かに匂わされていましたがそれにしてもこっちの彼はいい人すぎるよね。そしてさりげなく、セーラー服を着た《女教皇》を見たときの《魔法使い》の反応に超ニヤニヤする。

ライコが《月》の体験によって垣間見た「あのフェーデ」と今回のフェーデが《女帝》《魔法使い》という二人を中心に勢力が反転したような状態になりながらも舞台が整いつつあるのがとても気になる。目的が似てるということもあるけど、これって何らかの関係性があって仕組まれてるんじゃないかーみたいな感じが…。しかし、それには最重要ファクターだったあの人の存在が足りないよなあ…とおもっていたら、最後の最後で思いもよらぬところから“彼”の存在が!このフェーデがこの先どう転ぶのか、気になって仕方がありません。

あと、年表では明らかにされていない『結婚式』がどの地点で行われているのかも気になります。《恋人たち》の発言からすると、少なくても《女教皇》が彼女の結婚式に出てたのは確定っぽいので今後のシリーズで出てくるのかな?前シリーズで明らかになった彼女の正体を考えると、その地点がエンディングシーンになっててもおかしくないとおもってたんだけど…

あと、文華が告白してた“碧川先輩”って……年表の記述を見る限り間違いなく……だよなあ。両親が?と書かれているのを見ると、どうしても文華が…とか都合のいい展開を妄想してしまう。ひょっとしてまだ「真」になってから登場していない彼女も、今後物語の渦中にかかわってくるような展開がありうるのかしら。逆に、ここまで身内にタロット関係者だらけで、一人だけ蚊帳の外なんだとしたらほんとうに不憫な子だ…


SH@PPLE?しゃっぷる? 6

 

「舞姫さん。一生のお願いですわ。どうかあたくしのために、雪国さんに変装して!」―もはや自分が誰だかわからなくなってまいりました。淡谷雪国♂です。双子の姉・舞ちゃんと入れ替わって青美女学院へ通っている僕は、とある事情からソロリティのトップ・胡蝶の宮に燃えるようなお願いをされてしまって!?男の格好に戻り、胡蝶の宮とデートすることに…!?一駿河蜜さんをあきらめきれない僕だけど、この機会に何かが変わるのかな?一方、舞ちゃんが男装して通う空舟五中に、エキゾチックな超イケメンが突然現れ、校内は大騒ぎ。彼は誰かを捜していて!?シリーズ新展開。(「BOOK」データベースより)

シリーズ第6弾はずっと胡蝶の宮のターン!!胡蝶の宮が雪国(ニセ舞姫)と蜜を巻き込んで繰り広げる許婚騒動と舞姫と芝目達SECが請け負っていた依頼が絡み合って意外な展開を見せていくお話。

誇り高い“蝶間林家の長女”“ローズ・ロワイヤル盟主”としての胡蝶の宮と、健気で一途な普通の女の子としての蝶間林典子の間で揺れ動く彼女の姿がとても素敵だった。また、思い悩む彼女の心情がビシバシと伝わってくるだけに全てをふっきった終盤の彼女の行動には胸が熱くなるものがある。

こういう状況で出てくる許婚って悪役が多いというか自分の中ではそんなイメージがあるんだけど、ちょっと手段を選ばない部分はあるものの純粋に一途に胡蝶の宮を思っての結果ちょっと暴走しちゃってるだけの人、というキャラクター設定が個人的にはかなりニクイなぁと思った。スペックは雪国よりも数段上・性格的にも悪くなく、雪国と違って自分のことを愛してくれるという藤ノ原剣と、振り向いてくれるかもわからない雪国を天秤に掛けて、それでも雪国を取るという選択は彼女の中ではどれだけ大きい事か。大きな何かを振り切って、それでも自分の進みたい方向にまっすぐに歩いていく彼女の姿がとてもまぶしかった。

そんな彼女の活躍の裏で、蜜と鳥子が仲良くなったり…とまた新しい関係が生まれてきているのも事実。蜜も恋愛対象として“雪国”を意識し始めた描写が増えてきて、思わずにやりとしてしまいました。そして芝目あんた……そこでコクらなくてどうするんだっ!!!

ラストで不穏な伏線が貼られたことだし、次回はいよいよ雪国と蜜の関係が進展するターン?続きがとても楽しみです。

そしてシリアスムードをぶち壊す後書きのフリーダムっぷりに噴いた。
っていうかそろそろ「新異装戦士SH@PPLE」が文庫化してもいい頃のはず。
「学園キノ」的な何かっぽい感じで、外伝小説出せばいいよ!!


真・運命のタロット2 《正義》は我にあり

[著]皆川 ゆか [絵]乱魔 猫吉

“改変”を起こそうとする《教皇》達と対峙する《女教皇》と《魔法使い》。《教皇》達は“改変”を起こすためにゴーリキー教授を狙うが、ゴーリキー教授は自らの研究成果によって生み出した“虚数強化体”を使って、彼らに立ち向かう。どうやら、彼は『運命のタロット』の誕生に深く関わる事になる人物らしくて……
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「正義」は我にあり—真・運命のタロット〈2〉 (講談社X文庫—ティーンズハート)
1巻から引き続いてた《教皇》とのフェーデが決着。久しぶりに舞台を1983年に戻したと思ったら間髪いれずに次のフェーデへ……と、めまぐるしい「真」シリーズ第二巻。「真タロ」から入った人に考慮しているのか、これまでのおさらいっぽい会話も多かった気がしますが、その中で少しずつ『運命のタロット誕生について』という今後の物語の核心となるであろう話題に迫っていきます。

1983年に戻ってきた《女教皇》と《魔法使い》や《愚者》達との会話を聞いてると、じわじわ来るものがある。彼らへの態度はまだしも、本来の“彼女”の身近な人々であったはずの片桐先輩や佐倉くんやら安西さんやらにも余所余所しい言葉を使う姿に違和感を感じざるを得ないというか、序盤の平和な学園ラブコメっぽかった頃を思い出すと無性に切なくなる。そして、ますます「女教皇」から「教皇」の間で起こったであろう一連の出来事に関心が向いてきます。《女教皇》に転写されるまでの間に、もう一度でもいいからかつての学友たちと会話する機会があったんだろうかとか、そんなあたりが。

しかし、漸く舞台がかつての場所に戻ってきたというのに一難さってまた一難。《死神》とその協力者が二人にフェーデを挑んできて…って飛ばされたのはよりによってあの時代ですか!特に死神の協力者である“彼女”の出番はあそこで終わりだと思っていたのでびっくり…って、よく考えたら時間を自由に遡れる物語である以上未来で退場したくらいで出番がなくなるはずないのか。ある意味運タロで出てきた《太陽》コンビよりもラスボスっぽい二人組みというかなんというか…。

シチュエーションや状況的にはどうしても「神の家」で明かされたあの《魔法使い》の過去話への導線か!?と思ってしまうのですが、あの物語で登場したときの《女教皇》と《魔法使い》に至るには、お互いに様々なピースが欠けている様な気がするし、お互いの勢力も正反対だし…うーん……一体これからどうなるの!?とりあえず続きがとても楽しみです。

《正義》は良いショt(強制終了)


猫耳父さん

 

妻を亡くして反抗期の娘と二人暮しのエロ漫画家・日村賢一郎(38歳)は愛猫・“ネー”が死んだ夜に中途半端な願いをかけてしまったせいで、猫耳・猫尻尾の生えた萌えキャラオヤジ(!?)になってしまった。娘のななこや妹の二葉の手を借りて猫耳を消そうと奮闘するが、そんなとき、家の外で事件が持ち上がって…!?

「週刊アスキー」の連載小説をまとめた表題作に、書き下ろし短編を加えて文庫化した作品。

38歳の猫耳オヤジというインパクト猛烈なミスマッチぶりに惹かれて手に取ったのですが、主人公である賢一郎の猫耳姿というキモさを存分に活かしつつ、それでいて物語本線は父娘の心の交流にペットを絡めたハートフル・ホームコメディという、いろいろな意味で奇跡的なバランスの作品でした…元が非ライトノベル雑誌で連載されていた作品という特色からか、サイズが小さい挿絵が大量に挿入されていて、どんどん挿絵でイメージ補完してくるのが素敵です。そして挿絵の回数が多い分、思う存分猫耳親父のキモイ姿が描かれているところがとても好印象でした。特にラノベだと、こういう萌えを狙えない挿絵は優先的にカットされる傾向がある気がするので…

その一方で、『愛猫の死』と『父親の萌えキャラ化』という“事件”をきっかけに、すれ違っていた父娘の心が少しずつ近づいていく姿が丁寧に描写されていて、家族モノとして普通に良いお話でした。特にネーの火葬前後の父娘のシーンはなんともいえない寂寥感があって、そこに1Pまるまる使った挿絵が非常に良く映える。終盤では燃え展開もあって、そしてさりげなく泣かされました…。

同時収録の「未来の世界の犬型ロボット」は、高名な科学者の父親を持つ娘と、彼女が父親からプレゼントとして貰った犬型ロボット・“宇田川さん”のお話。こちらも形は違いますが不器用な父親と娘の関係に犬(ロボットだけど)を加えた家族モノで、短いながらもきゅんとさせられるお話でした。

家族モノとかが好きならこれは読むべき!そして父親のキモい容姿に惹かれて買っても割と損はしません。オススメ!!


GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン2(上)

[著]川上 稔 [絵]さとやす(TENKEY)

末世救済の鍵となる少女・ホライゾンを奪取した航空都市艦“武蔵”の面々は、次の大罪武装の譲渡を求め、聖譜連合に属していない英国へ向かう。しかし英国は三征西班牙(トレス・エスパニア)と『アルマダの海戦』の歴史再現を行う準備を始めていて……
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中世日本と各国の歴史が入り乱れる“重奏世界”を舞台に一人の全裸王少年が仲間達と共に奪われた一人の「少女」の感情を取り返そうとするGENESISシリーズ第二弾。今回は空に浮かぶ島・英国を舞台に、彼らが本格的にこの世界と対峙する為の姿勢を決めようとしていくお話です。トーリ今回全裸すぎ。

英国と三征西班牙、双方の総長連合や生徒会メンバーが勢ぞろいして、キャラクターの把握だけで手一杯感が……まだ武蔵国内のメンバーの把握も結構ぎりぎりな感じなのに、新キャラが出る度に最初のキャラクター紹介に戻って勢力を確認するという状況が続いてました。うーん、各国2桁ずつキャラが増えていくので、相対するならせめて1国ずつを相手にしてほしいなあと思ったり……キャラクターを把握するのに、1巻上を読んだときよりも手こずったかもしれない。

一方で前巻でイマイチ目立ってなかった武蔵の面々がどんどん個性を露わにしてきて、彼らの突拍子のない行動にとてもニヤニヤしました。っていうか点蔵大躍進すぎる!忍者言葉とかからテンプレ的レギュラーモブかとおもっていたら、今回主役級の活躍でニヤニヤが止まらない。いいなあ、忍者いいなあ!!

そしてナルゼさんとお友達になりたいです。黒魔女同人作家!!
ナルゼと同じ所でネシンバラ×トーリという電波を受信した

1巻からのメインキャラでも、「滑りキャラ」としてどんどんかわいそうな扱いになっていくセージュンとか、クールで激しいツッコミ(※対トーリ専用)が愛らしいホライゾンさんとか、マジボケキャラとして着実に成長する二代さんとか、そしてなぜか地の文で固有代名詞が「全裸」になるくらいに変態的な方向で個性を獲得した主人公など、素敵に変態的(褒めてる)なキャラクター達がたまりません。つか、全裸も酷かったけど紙芝居の破壊力半端ねえ。

英国との本格的な対峙は下巻に持ち越しですが、過去に何かありそうなシェイクピアとネシンバラの因縁の対決がとても気になる。トーリとホライゾンのデートの行方がどう転ぶかも楽しみです。……しかし、下巻は1250円って、あの「終わりのクロニクル7」と同じ値段か……。

それにしても普段はギャグ担当な葵姉弟が、いいところになると美味しい所を片っ端から浚っていくからほんと困る。
特に終盤での喜美姉の言葉にはシビれすぎた。


マテリアルゴースト

 

「死にてえ」が口癖の高校生・式見蛍は交通事故に遭って2ヶ月間入院して以来、霊が見える&半径2m以内の幽霊を物質化してしまうという能力を得てしまう。退院当日に駅のホームでかわいい女の子(の幽霊)に出会うが、ひょんなことから彼女につきまとわれることに!?

「生徒会の一存」シリーズの葵せきなさんのデビュー作。死にたがりだけど実際にその勇気は持ち合わせていない、“自殺志願”の主人公が美少女幽霊やら幼馴染の巫女娘やらちょっと変人な先輩やらに囲まれてラブコメったり自殺しようとしたり悪霊にモテたりするお話(違)です。

個人的には、回りくどい文章がイマイチ性に合わなかった。「戯言」のいーちゃんや「みーまー」みーくんも同じ理由でとても苦手なんだけど、思考そのまま垂れ流しというか余計な情報が地文に多すぎて、それが少々うざったく感じる事が…まあこの辺は好き嫌いの問題なんですが。

一時ラノベ感想サイトで話題になった主人公の性格については、ちょっと精神的に病んでる部分はあれど、根っこは基本的に中二病作品によく存在する「周囲の迷惑省みず自己犠牲になろうとして終盤で仲間に説教されるタイプの主人公」という範疇にギリギリおさまっているように思えました。ただ、このタイプが得てして抱え持つ病的な部分が悪い意味で強調されているので、ものすごく好き嫌い別れるかも。あと、この後の展開をある程度ネタバレで聞いているので許せるという部分はあるかな。前半のだるだる空気から一転、やたらと熱血王道な後半の展開+蛍が後でそんな自分を思い返して悶絶するエピローグは結構好き。

戦闘描写では「霊体を物質化する」という蛍の特殊能力ゆえの強み・弱みが存分に生きてくるのが興味深い。「霊体を強制物質化=霊体(魂)を自分の攻撃として使うために外に出したら外で勝手に物質になっちゃうから、使った後戻せない」とか良く考えてるなあ、と思った。しかし、この調子で霊力使いまくってると、そのうちどっかのバイトで魔術師やってるラノベの主人公みたく自滅しそうだな…。

それにしても、つくづく思った。
葵せきなのラノベで一番「非日常」なのは女子高生の制服のデザイン。
こんな美少女じゃなかったら全力で似合わないような洋服を学校の制服に指定されたら、発狂するわ!!!