うららの記事一覧 | ページ 115 | 今日もだらだら、読書日記。

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運命のタロット10 《皇帝》はうなずかない

[著]皆川 ゆか [絵]乱魔 猫吉

《月》が起こそうとしている“改変”から河内さんを護ろうとするライコと《魔法使い》。しかし、河内さんにはすっかり誤解されて楽屋に入るのを拒否され、更に片桐先輩と一緒に居るところを追いかけてきた《太陽》から攻撃されてしまう。ライコ、絶体絶命の大ピンチ——!?
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『皇帝』はうなずかない—運命のタロット〈10〉 (講談社X文庫—テイーンズハート)
《魔法使い》vs《月》と《太陽》vs《戦車》、2つのフェーデ決着編。

2つのフェーデだけではなく、遂に《皇帝》が現れたりあの人が《愚者》の協力者になったり……と、序盤巻でのもどかしさのトリを一気に取るかのような盛りだくさん感!!最後まで悪役を貫いた坂崎の最後にも、哀しい想いを抱えた《月》の協力者の真実にも物凄い惹きこまれた。二人とも脇役ながらいいキャラしてる。ただ、《太陽》と坂崎の関係はちょっと見た目通りのものではない力関係を感じたので、ここでご退場されてしまうのは惜しいなあと感じてしまったり…。

《太陽》との戦いの後に起こったジュリエットの事件を巡る攻防は、本当に瀬戸際での戦いになって物凄い緊迫感。むしろ《太陽》と戦ってる間もずっと「本当に大丈夫なのか」「実は今の間に寝首をかかれてるんじゃ…」とヒヤヒヤしっぱなし。誰もが笑って迎えられる結末ではなかったけど、とりあえず“改変”を防げた事にホっとせざるをえません。

そして遂におまちかねの《皇帝》登場!!演劇中のライコとのやりとりにニヤニヤしつつ、「いやでもやっぱりあの人に似てるなあ…」なんて思ってたら、ラストに巨大爆弾投下されて脳内で叫びまくってました。っていうか自分の9巻感想がいろいろな意味で預言者過ぎる。

ところで、後書き読むと次は《女帝》で一部完結、って書いてあるけど実際には次は《神の家》で残り3冊ですよね。おもいっきり延びてる延びてるよ!ああそういえば、真タロのほうは22冊で終われなくて「8上」とか「9下」とかどこかの終わクロみたいな表記になってたなあ…規定冊数で終われなかったんだろうなあ…


運命のタロット9 《太陽》は人々を照らす

[著]皆川 ゆか [絵]乱魔 猫吉

《戦車》と大河兄の助けを借りて《太陽》達から逃れる事が出来たライコと《魔法使い》はその足で「コミックスクエア」という同人誌即売会にやってきていた。唯と伊東さんに売り子とコスプレをする約束になっていたのだ。《魔法使い》も姿を現し、なんだかんだ言いながらも賑やかで楽しい一日を過ごしていたが…
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「太陽」は人々を照らす—運命のタロット〈9〉 (講談社X文庫—ティーンズハート)
同人誌即売会編(違)&《太陽》との小競り合いの続き。

同人誌即売会のシーンから時代の流れを感じすぎて困る。「そのうち何日にもわたって開催されたりして」はリアルタイムにそうなったからのネタなのかそれとも単純な予想なのか。っていうかコミケがたった800サークルしかなかった時代があるということそのものに驚いたわ?。ちょっと気になって現在の参加サークル数を調べてみたらこのような記事を発見したのですが、これによると去年の冬コミで私がスペース取ったジャンル800の「FC(小説)」が単体で1178サークルだそうな。夏まで取ってたジャンル300「ゲーム(その他)」がかなりマイナーなジャンルばかりで825。総サークル数34,927……ううむ、やはり800サークルしかないコミケって想像できないです…。

しかしイベント中の喧騒とか参加者全員から漲る活気とか、現在と規模は違えど同人誌即売会の空気がリアルに伝わってきて、一人ニヤニヤしながら読んでました。《魔法使い》の言葉がまた的確すぎて、にやにやする。ほんと、イベントは楽しいよね!!感想からは盛大に脱線しました感がしてしょうがありませんが。

そんな和気藹々としたイベントシーンから一転、《太陽》と彼らの協力者である坂崎が登場してからの展開が凄すぎる。坂崎は典型的なワルというか、周囲の目や被害を考えずに行動している分、もう場所的な意味でも坂崎が圧倒的に優位か。人の目を気にするあまり反撃に転じる事すら出来ないライコ達の姿がとてももどかしい!!

しかし、同人誌即売会→《太陽》襲来、のコンボで「これで《月》とのフェーデどうなるの?!」と思っていたらラストで急展開!!《太陽》カルテットとの決着も付かないままだし、更に謎のタロットが出てきたり…と、これほんとどうなっちゃうの次回。

例の謎の声は、読書メーターとかのバレによると《皇帝》らしい。喋り方から勝手に、未来の《魔法使い》かなんかだとおもってたよ……なんとなく、喋り方似てないですか?


ギャルゲヱの世界よ、ようこそ! disc2

 

まさかのリアル幼馴染ルートが出現!?
世界改変のシステムエラーのおかげで、愛するヒロインたちとの生活を取り戻した俺こと都筑武紀。「ヒロインたちをみんな幸せにする!」という誓いを胸に激甘なハーレム・ライフを送る俺の学校では近頃妙な噂が流れていた。「公園の大きな木の下に、満月の夜に相手を呼び出して告白をすると必ず恋愛が成就する」……ちょっとまて、そんな設定のゲームがなかったか? 選択肢無限の真世界を奔走する青春ADVノベル、待望の第2弾!

奇跡的に再び「エターナルイノセンス」の世界を投影し、今では掛け替えのない存在となったヒロイン達との生活を送り始めた武紀。そんな彼の周囲では最近、「その下で告白すると両想いになれる不思議な木」の噂が流れていた。明らかにどこかのギャルゲーにありそうな設定に首をかしげるが、今度は街で偶然「リアル幼馴染」と再会して!?自分の好きなギャルゲーの世界とそのヒロイン達が投影されちゃったよラブコメ、シリーズ第二弾。

かなり綺麗に落ちていたのでどう繋げていくのかと思ったのですが、物語面では「主人公以外の人間が“設定者”となり投影された別のゲームのシナリオが現実に影響を与えていく」、恋愛面では「本来リアルの人間ではないヒロイン(というか理恵、咲)の苦悩」という方向に話を転換させていて、1巻とは違った方向で楽しむ事が出来ました。特に主人公以外が投影したギャルゲの内容が終盤まで判明しなくて、ちょっとした謎解き的な方向になっているのが面白い。中盤はひそかに投影されたゲームの内容と配役を妄想しながら読み進めてました。

また、投影されるゲームによってかなり物語の色が変わってくるのが興味深い。「エターナルイノセンス」は典型的な泣きゲーという印象を受けましたが、今回投影された「メモリーロンド」は伝奇っぽい雰囲気のゲームで、同じヒロインがピンチになるにしても現代異能的な展開になってたり。というか、今回の話により1巻の「異能的な要素は投影できない」という仮説が覆されたので、もっとバリバリ超能力とか異能な展開も期待できるのかな?と思ったり。ある意味今後の展開によっては「なんでもあり」な物語になりそうな予感がしてにやにや。終盤で主人公が熱いキャラになるのにも、ニヤニヤが止まりません。

それにしても、ヒロイン達も可愛いけど高橋愛子可愛いよ高橋愛子。1巻での虐めっ子キャラからヒロインの親友ポジションに一気にランクアップした彼女にニヤニヤ。というか、咲が悲しんでるのを見て彼女の分まで武紀に怒ったり、素直に態度には出さないけどこっそり理恵を心配してたり……と、素直になれないけど親友想いな姿に惚れました。というか、エピローグのアレはやはりサブヒロイン昇格フラグなのか!?それはそれで楽しみすぎる。

エピローグがちょっとわかりづらかったのが個人的には気になりましたが、物語を一度読み終えてから改めてプロローグのデバッグシーンを読み返すとエピローグで武紀の立てた仮説の裏づけが取れてなかなか面白かったり。次巻も期待してます!!


運命のタロット8 《戦車》が兄とやってくる

[著]皆川 ゆか [絵]乱魔 猫吉

《月》とのフェーデで狙われたのは河内さんだった。河内さんにその未来の一端を打ち明けてその改変を阻止しようとするライコだが、山根くんとの仲を疑われて逆に拒絶されてしまう。一方、新聞部では例の覆面少女の一件で“ヘルハウス”を再度調べる事になり…
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運命のタロット〈8〉「戦車」が兄とやってくる (講談社X文庫—ティーンズハート)
《月》とのフェーデどうなるの!?とか思ってたら途中から突然新しいタロット登場&物語があらぬ方向に!?いやこっちの話も話で気になるんですが…

河内さんに“改変”の事を打ち明けるシーンは、さすがにその説得法は無茶だろう?と思ったり。せめて新聞1冊全部持っていけば良かったんじゃ…いやそれでも信じて貰える確率半分以下だと思うけど、労力的に捏造の可能性は低くなりそうな気はするような。しかし、やっぱりあのライコの行動は山根との仲を嫉妬されてた事を差し引いても浅はかだった気がするなあ。

会話の中でも更に新しいタロットの名前が出てきたり、意外な人と意外なタロットとの関係が明らかになったり…と物語は結構急展開。っていうかあの人が《愚者》の協力者とは……うーむ。《月》とのフェーデも、ここからどうやって展開するんだろう。とりあえず次が楽しみ。

むしろ次の巻、同人誌即売会ネタに期待せざるを得ない。


運命のタロット7 ≪死神≫の十字路

[著]皆川 ゆか [絵]乱魔 猫吉

頑なに次のフェーデを拒むライコの前に現れた≪女帝≫。同じプロメテウスのタロットである≪節制≫を倒した彼女によると、フェーデに負ければ≪魔法使い≫と一緒にライコも封印されてしまうらしい!?しぶしぶ、≪月≫とのフェーデに協力することにしたライコだが…
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運命のタロット〈7〉「死神」の十字路 (講談社X文庫—ティーンズハート)
≪節制≫の喋りをみるたび、脳裏をなんかのアニメキャラの声がよぎっていくんだけどマジで誰だろう……超気になる。まろんさんの「ルー語に聞こえる」にも全力で同意したいですが。

色々ヒミツがありそうな姐御肌の≪女帝≫可愛いよ≪女帝≫。近い未来フェーデをするってことだけど、12巻のタイトルに名前が入っているのでこのシリーズでのラスボス的立ち位置なのかな。彼女とラブラブらしい旦那様も早く見てみたいものです。

全然本筋と関係ないけど、同人誌の修羅場を手伝うシーンすごかった。修羅場テンションで話がどんどんおかしい方向に転がってくのあるあるすぎる。うちはデジタル仕上げのせいであまりこういう修羅場は経験したことないですが…気がつくと売り子やらコスプレやらゲストやらを否応なしに引き受けさせられてるってよくあるよねww

そしてついに≪月≫とのフェーデ開始。また露骨に犯人(というか協力者)っぽい人出てきたけど、きっとひっかけなんだろうなーとか斜に構えつつ。早くも次で決着がつくらしいので楽しみです。


死神姫の再婚 鏡の檻に棲む王

 

カシュヴァーンの誕生日で盛り上がるライセン屋敷に、国王からの使者が現れる。緊急招集を受け、夫婦そろって王宮に出向いたカシュヴァーンとアリシアだったが、そこでは思わぬ人々との再会が待ち受けていた。しかも、「図書館の幽霊」との異名を持つ王子・ゼオはティルナードと因縁があるらしく…

お腹痛い????っっっ!!!!!(ゴロゴロゴロゴロゴロ)
(只今転がっております、しばらく略)

うわああああもう開始30P程でしょっぱなから転がりまくってしまいました。もどかしいながらも一歩一歩着実に距離を縮めてくる感じがもどかしカップル萌えとしてはたまらない。どんどん妻バカ化してきた旦那様がほんと素晴らしいなあ。

そして前回から引き続きラブラブモードのカシュヴァーン・アリシア夫妻だけならとにかく、なんだかんだと両想いモードに突入したティルナード&ノーラがたまらん!!!カシュヴァーンの時の押せ押せモードとは打って変わってしおらしく、さりげなくティルのことを気遣ったり、そばにいられなくてしょんぼりするノーラがもう可愛いのなんの。更にレネだけには妙に生真面目なバルロイさんとか、野望多きジスカルドへ真摯な想いを抱くエルティーナ様とか、段々見ててニヤニヤできるカップルが増えていくのがもうたまりません。

物語は苛めっ子なゼオ王子一行をはじめとした王室周辺の方々が登場し、「翼の祈り」教団の動きも激しくなってきてますます急展開な印象。各カップルににやにやするだけじゃなく、ライセン夫妻の思惑とは違うところで動き始める物語の行方も気になるところです。

それにしても、ほんと、今回入った「登場人物相関図」はもっと他のラノベも採用すべき。特にキャラ数が鬼多いラノベと刊行間隔が長いラノベ。具体的には禁書とムシウタ。


セイバーマリオネットJ 12.愛・乙女

[著]あかほりさとる [絵]ことぶきつかさ

遂にメソポタミア号にたどり着いた一行。小樽は、ライム達を外に待たせて一人ローレライと対峙する。小さなころから肖像画で見つめてきた彼女の顔には、肖像画とは打って変わった冷たい表情が浮かんでいた…。一方、小樽の帰りを待つライム達の前にはファウストが現れて…
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SMガールズ セイバーマリオネットJ〈12〉愛・乙女 (富士見ファンタジア文庫)
ヘスの謎とかローレライの正体とかファウスト・家安の思惑とかが一気に明らかになる、シリーズ完結編。10巻ころからもうずっとそうだけど、次々と明かされる真実がいちいち重い。ていうか初読時の自分どんだけのんきだったんだ…今思うと「1人の女性を6人で管理する」とか普通に考えて重すぎる…。

セクサドールズvsセイバーマリオネット組再びとか最凶のセイバー・クーリガァIIIとか彼らを見捨てた「母なる地球」の結末とか、小樽の選択とか色々見所はあるけど、今読みなおすとやはりファウスト(=ヘス)とローレライの過去が印象に残る。ただ、ヘスの方に話を取られて結局最終的にはヘスの操り人形状態だった「ファウスト」が不憫に思えなくもない。実際、セクサドールズをどうしてあのファウストが起動させることができたのかとか、凄い気になる(アニメ版みたいな展開があったとも思えないし…)

そして物語のラストシーンはやはり何度見ても、何とも言えない寂寥感と哀しさと小さな満足感が沸き起こる名場面だと思うのですが、それと同じくらいにどこかこの場面を額面通りに受け入れられないものを感じてしまいます。小樽が死んだ後のライムはどうなる?他のセイバーマリオネット達は?……と、どうしても考えてしまう。

原作は特に、ライム達が小樽以外に執着するものがあまりないようにみえて、それが凄く怖い。アニメ版みたいに「小樽だけじゃなくてジャポネスの皆を護るんだ!」って自然になるほど、原作では周囲の人々が描かれていないし、どうも「小樽が好きな皆を守る」という感じで間に一枚フィルターが掛かっているように感じてしまうのです。本物の女性が復活して、「女性の代わり」という意味でのライム達は小樽以外には不要になって、その小樽も寿命で死んでいってしまう。その時、彼女達はどうするのだろう。

小樽ではなくてライム達にこそ、聞きたかった。「あなた達は今、幸せなのか?」と。
…うーん、アニメ版(JtoX)はライム達が人間になる方に話が落ちるらしいので、そちらも見てみたいなあ。


セイバーマリオネットJ 11.機械乙女は少年の夢を見るか?

[著]あかほりさとる [絵]ことぶきつかさ

メソポタミア号の位置情報を手に入れ、ニューテキサスを出発した一行。しかし、気がつくと小樽はなにもわからないまま一人灼熱の砂漠を彷徨っていた。行方の知れないライム達を探そうとする小樽だが、そんな彼の前に次々と現れるセイバーマリオネット達は少し様子がおかしくて…
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SMガールズ セイバーマリオネットJ〈11〉機械乙女は少年の夢を見るか? (富士見ファンタジア文庫)
クライマックス目前のシリーズ第11弾。小樽、試練の回。物語のキモともいえる「小樽が好きなのは“乙女回路を持ったライム達”かそれとも“ライム達という人間の女の子にきわめて近い存在”か」におぼろげな回答が与えられるお話。

彼女達と『人間の女の子』の違いをまざまざと見せつけられ「それでもお前はライム達を選ぶのか」という、小樽本人も無意識に回答を保留していた疑問に対する迷いを突き付けられていく。試練の中で彼女達は紛れもない「人間」であり、その中で繰り返される甘い夢は、すべて彼女達が人間であれば実現できるもので、決して今のままでは手に入らないもの。ローレライが突き付けているのは「これら全てを生涯放棄しても、マリオネット達への愛に殉じる事ができるか」ということ。

結末を知ってから改めて再読すると、小樽はこの時点で次の巻での「あの選択」を決断していたんだなあ、としみじみ。ただ、この決断のさせ方には正直疑問が残ります。夢の中の彼女達はどこか本物よりも利己的で、本来の彼女たちの姿とは少し違うように思えるから。ただ、それは「人間とマリオネット達の違い」として意図的に描かれていているのかもしれない。人間になった彼女達はある意味『違う生き物』になってしまうのだ、という暗喩なのかも。

しかし、この巻はシリーズの中でも最大級に重い。“試練”の中で幾度となく痛めつけられ、悲惨な目に遭う彼女達の姿は、本物ではないとわかっても痛々しいものがある。花形とチェリーが一服の清涼剤すぎて出てくるたびに噴いたけど。花形はともかく、チェリーはどこまで堕ちて行くんだ……


セイバーマリオネットJ 10.機械の乙女、生身の乙女

[著]あかほりさとる [絵]ことぶきつかさ

なんとかニューテキサスに辿り着いた小樽たちは、ニューテキサス大統領ジョイ・ヒューリックにより先導された住民たちに追い掛け回される事に。そんな一行を救ったのは、シーという名の同い年くらいの女の子。どうやらニューテキサスでは女の格好をした男“オカマ”が流行しているようなのだが、彼女(?)には秘密があって…
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風雲急のニューテキサス編。小樽(というか家安)ともファウストとも違う方向で「女性復活」を目指すニューテキサス大統領ジョイ・ヒューリックと小樽達が対決するというお話。

読んだ当初はあまり感じなかったけど、今読み直すと重いなあ……シーの境遇とか、クライマックスでニューテキサスが占領されるシーンとか、凄い重い。とはいえ、10巻以降はずっと重い話が続くのですが。

一見“普通の女の子”であるシーにドキドキする小樽と、二人の姿に「女性が復活した後の将来」を重ねて不安を覚えるマリオネット達。ティーゲルたちのもう一人の想い人であるファウストとの邂逅、ヘスの暗躍。そして、これまで小樽たちを導いてきたコピー・ローレライ達とは打って変わって残酷な行動を取った“オリジナル・ローレライ”。クライマックスに続く伏線は全て出揃ったという感じ。2巻3巻の頃からすると、思いも寄らないほど重い方向に話が動いちゃったよなあ。

一応結末は大体覚えているけど、なにはともあれ残り2冊を読むのが楽しみ。


セイバーマリオネットJ 9.無人島☆乙女大作戦!

[著]あかほりさとる [絵]ことぶきつかさ

ニューテキサスに向けて出発した小樽一行は、プラズマ嵐に遭遇して無人島に漂着する羽目に。海に流されたショックで記憶喪失になってしまった小樽を見て、小樽をモノにするチャンス!!とばかりに妄想暴走をはじめるマリオネット達だが…
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ずっと花形のターン!!!!

無人島で記憶喪失になった小樽を見て、チェリーやブラッドベリーやルクスやパンターが自分に都合のいい記憶を小樽に刷り込もうとするお話。前の人の妄想と齟齬が内容に妄想設定を付け加えていくせいでどんどんストーリーが整合性が取れない、強引なものになっていくのに笑いが止まらない。そして何よりも、どんどん人間離れしていく花形……もう、あそこまで酷い事になるとどう反応したらいいかわからないよ!!久しぶりのギャグ回ということで、本当に今回はイキイキとしている花形が素敵過ぎました。

ギャグ色が強い半面、「今既成事実を作ってしまわなければいつまでも小樽は自分を選んでくれない」「自分の気持ちが定まらないから、決定的にくっついてしまって片方を諦めたい」という彼女たちの内心の焦りが透けて見えるのが印象的でした。その一方で、「どんなに嘘を並び立てても、いつか嘘が露見してしまう」という事実に気付いて自分たちのやってることに空しさを覚えてしまう姿がどこか切ない。小樽とライムが良い雰囲気になるを見ているしかできない彼女たちの葛藤もよかったなあ。

しかし、今回一番すごかったと思うのは、プロローグで語られる「過去の地球」での、初代家安が宇宙を目指す事になったきっかけ話だとおもうのです。あれは初読した当時も衝撃すぎた。貧困に喘ぎ、何もかもに絶望する人々と自分たちの事しか考えていないお偉いさん方の姿が印象強すぎる。そして、なんだかちょっと現在の世界情勢とオーバーラップするところがあるのが少し恐ろしい。