死神姫と暴君夫、ついに念願の夜(大事なことなのでもう一度言います)
本編急展開すぎていろいろ大変なシリーズ第10巻ですが、正直前半のシリアス空気を華麗にぶっとばす終盤の破壊力が凄すぎる。アリシアの「差し入れは私」発言がかわいすぎるんですけど、それ以上にその差し入れでうっかり部屋に入れちゃうカシュヴァーンが残念すぎる。1巻では俺様系ツンデレだったのに、もう「残念」という言葉しか出てこない不思議でつまりこんな残念可愛い旦那様に誰がした。
……と、「おなかいたい」がパワーアップして「お腹こわれた」になるレベルの床掃除本領発揮な本巻なのですが、本編では地方伯vs新興領主vs「翼の祈り」教団の対立がついに表面化し、なかなか重い展開。特に教団側の策略で火に包まれたアズベルグの惨状、ディネロの悲痛な言葉には思わず胸が痛くなりました。
しかし、その一方でラストのアレをはじめとして、ティルナードとノーラの結婚お披露目があったり、不仲気味だったバルロイとのあれやこれやもあったりで、必ずしも暗い話ばかりではないのが救いでした。すっかりカシュヴァーンにも負けずとも劣らぬオノロケを発揮しはじめたレイデン夫妻と嫉妬に目覚めたアリシアのやりとりにもニヤニヤが止まらないのですが、バルロイとカシュヴァーンのハイタッチで死ぬかと思った。ハイタッチ……背中あわせ……不肖の師匠……悪友萌えは正義……!!
あちこちから火が上がる一方でまだまだ撒かれたばかりの火種も多く、動きを見せないシルディーン王家に加えてルアークを暗殺者として育て上げた「先生」の不気味な動きもあり。今後がどうなっていくのか良い意味で先が見えません。
「うらら」一覧
生徒会の水際 碧陽学園生徒会黙示録4
本編完結目前にきて新キャラ大量追加!な短編シリーズ4作目。杉崎のライバルな女子が登場したり、おっとり系後輩女子が登場したり、杉崎にちょっとヤバいくらい心酔するクール系後輩男子が満を持して杉崎戦線に加わったりします(多少誇張表現)秋峰君が理想の生意気系年下攻めで困ります。
とりあえず適当にめくって最初の挿絵で噴き出したわけですが、まさか、某他社ラノベ作品の有名二次創作ネタ(涼宮ハル●コの憂鬱←ネタバレ)が普通に出てくるとは思わなかった……。
本編のぐだぐだな面白さもさることながら、杉崎の高校1年時代を描いた短編「すぎさきメモリアル」の破壊力がやばい。入学早々挫折を味わい、どん底まで落ち込んだ杉崎鍵が桜野くりむと出会ってギャルゲーを勧められるところから始まり、少しずつ成長して「優良枠」を得るまでに至るお話なんだけど、生徒会の4人だけでなく、ライバルやクラスメイト達にある時は突き放され、そしてある時は支え、支えられたからこそ現在の「杉崎鍵」があると思うと胸が熱くなりました。前のめりで不安定で危なっかしい姿も、これが現在の杉崎の礎となったのだと思うとなんだか感慨深かったです。
そしてさりげなく深夏と同じクラスになる前の杉崎と宇宙守の関係がヤバいんです。本編の二人の関係は仲は良いけどいがみ合いが基本な「悪友」ポジションだけど、1年時代は割と「親友」的というか、かなりストレートに好意的な感情をのぞかせるのがとてもオイシイ。この辺は真冬ちゃんと小1日話し合いたいです。あとがきが!あとがきが!!真冬ちゃんのカップリング嗜好が自分すぎてほんとこまる……。
あと、「盗聴知弦四変化」の知弦さんがデレすぎでどうしようかわいすぎる。普段ドSでクールな知弦さんが杉崎の挙動挙動にどぎまぎしてワタワタする姿にニヤニヤが止まりませんでした。これはひどいギャップ萌え攻撃!!
「あとがき」で杉崎が生徒会の18禁エロゲ化を希望しながらジンキの名前を挙げてるのに盛大に吹きだした。でもこれ、オリジナル主人公に全ヒロイン持ってかれるんだけど杉崎はそれでいいの…?
JINKI EXTEND Re:VISION 初回版ギガ 2010-11-26 by G-Tools |
人類は衰退しました6
シリーズ第6巻。ヤケに薄く見えたけど、個人的にはこのくらいのボリュームで短編いくつか、のほうが好きかもしれない。
前半は「鳥人類コンテスト」の進行をまかされた「わたし」が危険度満点なコンテストを妖精さんの助力でなんとか安全な方向に導こう……とするお話。色々な意味で妖精さん活用しすぎ!と思っていたら予想通りラストで落とし穴が。あまりにも自らの危険を顧みないフリーダムな参加者達と、片っ端からツッコミを入れる「わたし」の姿が面白かったです。
後半は「わたし」の悪友にして隠れ腐女子のYさんがお仕事で過去の漫画のデータを発掘し、「同類志」としてまんが文化を布教しようとするお話。ひとことでいうと“妖精さん版『バクマン。』ただし、打ち切られたら人生終了みたいな!!”っていうお話。全体的にバクマンのアンケート主義のアレを思い出さずに居られないお話でしたが全体的に「バクマン。」以上にブラックな……
それにしても、Yさんはほんといいキャラだなあ。今後もどんどん活躍していただきたいです。
バッカーノ!1933〈上〉THE SLASH クモリノチアメ
禁酒法撤廃目前のアメリカ。多くのマフィアが幅を利かせるきっかけになったこの法律の改正により、彼らは様々な方向転換を迫られていた。ガンドール・ファミリーは自分たちのシマで無許可で様々な事をやっているチンピラ集団に《拷問師》チックと食客のマリアを向かわせる。一方、イブは海に沈められた兄・ダラスをようやく見つけ出したのだが……というお話。
チックとマリアのコンビが可愛いすぎる。両手の鋏と笑顔を絶やさぬ《拷問師》と無邪気な人斬りコンビのちょっとテンポがズレたやりとりがツボには待って仕方ありませんでした。
あと、不死者を『喰らう』ことの意味、そして受け継がれたセラードの記憶に悩み、戸惑うフィーロの姿が印象的。フィーロの活躍は1巻以降あんまりなかった印象だけど、次の巻では本気出した姿が見れるのかなーとおもうと、とても楽しみ。
別々の組織の構成員となったかつての兄弟の因縁やちょっとした行き違いにより再び激突しそうなフィーロとダラスも気なるんだけど、ラストで満を持して登場した「あのひと」の迫力やばい。シャーネが出てきた時点で期待せざるをえなかったけど、あのヒキにはニヤニヤが止まらなかった!!
過去の因縁、現在の因縁が絡み、交わった先に一体何があるのか。下巻が楽しみです。
はたらく魔王さま!
世界征服まであと一歩だった魔王サタンは、勇者に敗れ、異世界『日本』の東京・笹塚にたどり着く。そんな魔王が日本でできること。それはもちろん“世界征服”!!―ではなく、駅前のファーストフード店でアルバイトをしながら生活費を稼ぐ、いわゆるフリーター生活だった!その頃、魔王を追って時空を越えた勇者エミリアもまた、テレホンアポインターとして日本経済と戦っていた。そんな二人が東京で再会することになり―!?六畳一間のアパートを仮の魔王城に、今日も額に汗して働くフリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー。第17回電撃小説大賞“銀賞”受賞作登場。 (「BOOK」データベースより)
勇者との戦いに敗れ、異世界に逃げ込まざるを得なくなった魔王サタン。その世界に潜伏し、元の世界“エンテ・イスラ”に戻り再び世界征服することを狙うが逃げ込んだ異世界“日本”には魔力と呼ばれるものがみつからず……というお話。
異世界では恐怖の魔王として恐れられていたはずなのに、日本ではマクドナルドの店員。六畳一間のマンション(とは名ばかりの安アパート)に参謀のアルシエルと男二人のアパート暮らし。今の目標はA級クルー!!というどこまでも地に足がつきまくりな設定が大変素敵。とりあえず戸籍を作るところから地道に始める魔王の姿が微笑ましいです。実際、魔力である程度人を操れるなら戸籍を作るついでに1万円ちょろまかしてそのお金で……とかじゃなくもっと上手い使い方があったんじゃ…!!と思わなくもないのですが、その辺は気にしたら負けです。
保健に入っていなくて病院で高額な医療費を請求された!とか、職務経歴がないとまともなバイトで雇って貰えない!とか、日雇い派遣の仕事が軌道に乗り始めたと思った途端に派遣会社が会社適用法とか、魔王勇者モノなのにこんなに身近な話題でいいのか……といいたくて仕方が無い様々なネタが身に沁みます。
その一方で、勇者を追いかけてきて今ではテレアポOLしてる勇者とのバトルとか、更に彼らの裏で蠢く陰謀とか……と、ちゃんと「魔王勇者モノ」な展開も用意されているのが面白かった。“魔力”の正体はある意味納得なオチだったけど、異世界に渡った魔王の性格が丸くなってしまった理由とかアパートの管理人さんの正体とか、まだまだ物語に裏はありそうな予感。これは是非続きを読んでみたいです。
ていうか男3人、六畳間暮らしの様子がとっても見たいので是非続編をお願いします!!!
個人的に、せっかくの男二人六畳間暮らしなのにアルシエルとの絡みがイマイチなのが残念だったんだ…!!
SH@PPLE?しゃっぷる? 8
良くも悪くもいつも通りな、舞姫と雪国の本編では描かれなかったちょっとした日常を描いた短編集。7巻のあのヒキで最終巻目前にしての短編集とはまたおにちくな……。
どれも面白かったですが、一番お気に入りなのは舞姫・雪国はじめての入れ替わりを描いた「日曜日のナイチンゲール」でした。風邪を引いた雪国のちょっとしたワガママから“入れ替わり”がはじまって……というお話なんだけど、自由奔放な双子の姉に振り回されながらも、普段の自分の立ち位置からでは気づけない姉の寂しさに気づいていく雪国と、そんな二人を暖かい目で見守る淡谷母の姿が印象的でした。しかし、ハローキティ紳士な一駿河父も大変気になる存在ですが、それ以上に淡谷父が一体どんなお仕事をされているのか、気になる…………
まさかのまいんちゃんネタにふきだしたり、乙女度MAXな鳥子さんの少女小説のポエム具合にニヤニヤしたり、図書委員会の大暴走に圧倒されたり、空舟五中の異能バトルに腹抱えて笑ったり、若かりし日のローズロワイヤルvs生徒会の構図にニヤニヤしたり……とかなり満足な一冊でした。
しかし最終巻直前にこれをもってくるのはやっぱり心が折れるのであります!!最後のヒキから意図的にこのタイミングで入れたのは理解したけど、それでも!!
ベン・トー 5 北海道産炭火焼き秋鮭弁当285円
半額弁当争奪バトルに青春を賭ける佐藤洋たちHP同好会は合宿を終え、地元に戻って日常の争奪戦に精進していた。そんなある日、佐藤のかつての憧れのクラスメイト、現在芸能アイドルとして活躍する広部さんが転校生として現れる。傍若無人の振る舞いをする彼女に、案の定巻き込まれる佐藤は、徐々に弁当争奪戦から遠ざかってしまう。さらに、しばしの沈黙を破り、再び立ちはだかる猟犬群たちの乱入で戦闘は激化していき…!佐藤は「狼」としての誇りを失ってしまうのか!?それとも秋鮭のごとくスーパーに戻ることはできるのか―!?庶民派シリアスギャグアクション、原点回帰の第5弾。 (「BOOK」データベースより)
アイドルとなった「憧れの広部さん」がドラマ撮影の為に一時的に転校してくる。何故か彼女に勉強を教えることになった佐藤だが、広部は自分と付き合う代わりに半額弁当争奪戦から手を引けと言い出した。一方、スーパーでは「ダンドーと猟犬群」が猛威を振るっており……というお話。
1巻で登場した「ダンドーと猟犬群」リベンジ戦+α。オルトロスとの共闘をはじめ、バトル展開も物凄く盛り上がるんだけど、広部さんと佐藤の微妙な関係とそんな二人を見てモヤモヤする先輩が可愛くて可愛くて。
ありのままの自由奔放な美少女・広部さんが好きな佐藤と、「人気アイドル・鬼灯ラン」で佐藤に迫る広部さんとのすれ違いが少し切ない。最後の日の彼女が「鬼灯ラン」ではなく「広部蘭」として佐藤に接していたら、あるいは……と思ってしまう。そんな彼女への想いを断ち切って、夜のスーパーへと向かう佐藤は本当にかっこよかったです。最初のホブヤーとのお話といい、佐藤の『狼』としての成長が見て取れる巻でした。
しかし白粉先生はどんどん腐女子としても間違った方向に道を踏み外しているように思えてならない……なんというクリーチャーっぷり。
青春ラリアット!!
「どうせ止めたって聞かないだろ?だったら最前列で見ててやろうと思ってさ。ユカイツーカイなおまえのピエロっぷりを」
月島は一瞬驚いた顔をするが、すぐに口元を歪めて笑った。
「……へっ、俺のステージは高ぇぞ」
高校生男子の友情はどうしてこんなにも美味しいのか
バカ代表・月島、月島の親友・宮本、月島に恋する暴走少女・長瀬の3人のバカどもが繰り広げる青春の暴走のお話。もう暴走するバカとそんなバカをほっとけない親友、という構図だけでもおいしいのに、恋愛面で悩みを抱える宮本が自分の恋に一直線な月島に対してちょくちょく憧憬を示すところが美味しくてたまらない。そして宮本の前では御無体な態度ばかり取るのに月島の前では取り乱してしまう長瀬が可愛い。
そして、月島と宮本も大変おいしいんだけど長瀬と宮本の関係がとても好き。ある意味「共闘関係」というか、どこかカラっとした男女の友情具合が素敵でした。ラストの背中あわせではニヤニヤが止まらなかった。
バカ3人がひたすらバカやってる話ではあるんだけど、月島も長瀬もまぶしすぎる位に自分の好きな人の為に一生懸命で、まっすぐな青春模様がたまらない。そしてそんなまっすぐな2人に感化されて、少しずつ迷いを断ち切っていく宮本の姿が熱かったです。長瀬の言うとおり「姑息」で「チキン」で二人ほど強くはないけど、チキンはチキンなりの戦い方で頑張る姿が感慨深い。
宮本の彼女の都子ちゃんは結局登場しないままだったけど、個人的には続きがあっても彼女の存在は電話越しのままだったりすると面白いのになあとおもったりするのですが、どうなんでしょう。個人的にはこの3人の話がもっと読んでみたいです。
「まどか☆マギカ」にかこつけてオススメする、魔法ラノベ5選+α
「魔法少女まどか☆マギカ」を見ている人に魔術師・魔女っ子繋がりでラノベを布教してみます。おもいっきり二番煎じだけどネタも2つしかかぶってないので気にしないことにした。あとだんだん性別が歪んでいくのは気のせいです。反省はしているけど謝らない!!
独断と偏見が大量に含まれているのであまり深く突っ込まないでください。選出基準はその場のノリです。
一個ラノベじゃないのまざってますが気のせいです。幻覚です。
併せて読みたい:「まどか☆マギカと魔法少女ラノベ」(koto-pinionさん)
第1話「その名前を見た、ような……」
同人版1巻のあとがきを読むと、今後まどかマギカがどんな欝い展開になっても「虚淵さんだから仕方ない」という気分になれるので超オススメ。
第2話「続きが読めたらとっても嬉しいなって」
第3話「もう犯罪なんて怖くない」
第4話「女装も、TSも、あるんだよ」
第5話「女装少年萌えなんて、あるわけない」
第6話「こんなの絶対おかしいよ」
デュラララ!!×9
シリーズ第9巻。池袋の影で起こったある事件と、それと共に語られる中学時代の臨也と新羅が出会ったときのお話。
「人間全てに興味がある」臨也と「人間全てに興味がない」新羅。似ているようで全く違う二人の奇妙な関わりが凄く面白かった!行動の全てが「セルティの為」な新羅をうっとおしいと思いながら、次第に興味を持っていく臨也の心の動きが面白い。ラストで語られる、臨也が新羅に対して抱いたどこか憧憬にも似たような感情が正直クリィティカルヒットなのですが。なにこの二人美味しい!!小学校時代の新羅と静雄のかかわりも気になるところ。
一方、池袋で起こった事件の方も最後までなかなか真相が見えてこなくて、面白かった。麻袋を被せられた人の正体はあれかなこれかな、と色々想像していたんですがなんだかんだでしっかり裏をかかれましたし。意外な人の繋がりや、意外な人の再登場にもびっくり。ていうかちゃんと臨也が憎たらかっこいいの久しぶりじゃないですk(強制終了)(8巻の「鍋」の残念さが忘れられないよ!!)
大人たちが物語の「裏」で引き起こした事件が、「表面」といえる帝人達の物語にどういう波紋を投げかけるのか、とても楽しみです。