ページ 116 | 今日もだらだら、読書日記。

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神のみぞ知るセカイ 神と悪魔と天使

 
 
原作
若木 民喜

「ボクは助けられたのか、あの、天使みたいな女の子に―」落とし神・桂馬が出会ったのは、桂馬が苦手とする属性をもつ不思議な女の子。その少女を攻略することになり、苦戦を強いられる桂馬の前に、もう一人の「駆け魂」の持ち主も現れて…?ギャルゲーの天才、「落とし神」と呼ばれる少年・桂馬と、地獄から派遣された可愛い悪魔・エルシィが現実の女の子を攻略する『神のみぞ知るセカイ』。「週刊少年サンデー」の人気連載コミックをラブコメのスペシャリスト、有沢まみずがオリジナルストーリーでノベライズ。 (「BOOK」データベースより)

少年サンデーで連載されているマンガ「神のみぞ知るセカイ」のノベライズ。桂馬が“苦手”とする「電波系」の少女・天美透を攻略しているうちに、「特徴・普通」の同級生・吉野麻美が現れ、二人を同時攻略しなければいけなくなる、というお話。

原作マンガは1巻しか読んでないのですが、結構雰囲気でてるなあと感じました。『電波系』の分類話とか天美透の出現率の話とか、エロゲ論が確かに「あるある」な感じで面白い。というか桂馬が本当に、良い「変態という名の紳士」なことにニヤニヤ。ゲームを買いに行くシーンでは、全員真剣にバカなことやってるのに噴出しそうになった。

“電波系”だけど、ちょっと底が見えない天美透と、学校での姿と帰宅後に桂馬が出会ったときの印象がまるで違う吉野麻美、ふたりともぱっと見た時の印象だけではキャラクターがつかめなくて、彼女たちのバックグラウンドがちょっとした謎解きになっていて、どんどん物語りに引き込まれていきました。元々桂馬が口先三寸で女の子たちを攻略していくお話なので、小説との相性が良いというのもあるのかもしれませんが、とても面白かったです。有沢まみずさんの小説は「インフィニティ・ゼロ」と「銀色ふわり」しか読んだ事なかったんですが、コメディ系の作品の方もそのうち読んでみようかな。

ただ、前半は天美透がメインっぽく描かれているのに、あとから出てきた吉野麻美の攻略が大きくなってしまって天美透の攻略は駆け足で終わってしまったようなちぐはぐ感がちょっとだけあったかも。個人的には、天美透のほうがキャラ的に好きなタイプだったので、もうちょっとページを割いて攻略してほしかったかもなぁ。

そして落とし神モードの桂馬が普通にかっこいい。
文章で見ていくせいか、桂馬の『美少年設定』自体もかなり強調されていたように思えます。

「空気?なぜ、そんな空気なんか読まなければならないんだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?場の雰囲気?堂々と乱せ、そんなもの!誇り高く孤立すればいいじゃないか!たった一人で!それこそがもっとも自分にとってふさわしいのならば!孤立する勇気を持て!迷うな、吉野麻美!」
「ボクは」
「そうやっているよ、吉野麻美。きちんとそうしている・・・・・・・・・・

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セイバーマリオネットJ 7.乙女心と秋の日々

[著]あかほりさとる [絵]ことぶきつかさ

西安から帰ってきて以来ライムの顔を見ると胸がドキドキしてしまって『自分はレズだったのだろうか』、と思い悩むティーゲル。そんな折、小樽が楽しみにしていた秋祭りがプラズマ台風のせいで中止になるという話を聞いたライム達は、チェリー&ルクスの発案によりプラズマ台風を消滅させる作戦を決行するが…
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シリーズ第7巻は短編集第二弾。

「秋だ、祭りだ、台風だ!?」はライムへの想いに葛藤するティーゲルのお話。普段は他5人のお姉さんポジションな彼女が取り乱す姿には思わずニヤニヤせざるをえません。突拍子もない「プラズマ台風消滅作戦」の顛末も含め、一番素直に笑い転げられたお話かも。しかし、ラストはせっかくの良い場面がティーゲルの体操服のせいで台無しになってる印象が否めなかったり。つか彼女のコスチュームチェンジはいつになるんだっけか…

「秋祭りの夜に……」は、小樽と自分の関係について思い悩むブラッドベリーが小樽と似た雰囲気を持つ一人の少年に出会うお話。いつものお色気姉ちゃんというだけではないブラッドベリーの女の子らしい等身大の一面が垣間見える話で、とてもよかった。普段の彼女にはあまり魅力を感じなかったんだけど、このお話の中の彼女は本当にかわいい。

「チェリーが子供を産んだ日!?」は、クローンの生産工場の見学に行ったチェリー達が赤ん坊の扱いに憤って…というお話。本編を貫く議題にも触れるシリアスなお話なんだけど、それ以上にクライマックスのテレビ中継シーンがインパクトあって、笑いが止まらなくなってしまう。完全に報道を忘れてオリンピック中継のごとく一人で盛り上がるアナウンサーは、勝手に●舘さんの声(筋肉○付ver)で再生されました。

以前の短編集よりは少しシリアス度が上がった印象だけど、個人的には前のやつよりも楽しめたなあ。各キャラクターの魅力が満載な1冊でした。

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運命のタロット5 《月》が私を惑わせる

[著]皆川 ゆか [絵]乱魔 猫吉

片桐先輩を生き返らせるために《恋人たち》の協力者を探すライコは第二新聞部の島津に疑いの目を向ける。島津と佐倉の予想外な過去が発覚したことから、ますます疑いの目を深めるが、事件は意外な方向に…
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運命のタロット〈5〉「月」が私を惑わせる (講談社X文庫—ティーンズハート) (文庫)
《恋人たち》とのフェーデが決着する、シリーズ第五弾。

ライコが今にも“宣告”を行ってしまいそうになるのにとてもヒヤヒヤ。流石に「この人」が犯人だったらストレートすぎだよなあ…と思ってたらやっぱり違う人だった。でもこの人へのひっかけも結構露骨だったので、更にもう一枚上手で違う人がいやむしろ一周回ってストレートにこの人が…とかいろいろ深読みしてしまった…。

真実が明らかになり始めるたら一気に物語が動いて、とても面白かった!これまでのもどかしさを吹き飛ばされた。でも、≪恋人たち≫の「悪あがき」のせいで多くの犠牲が出る場面は、例え最終的には“なかったことになる”世界の事だと判っていてもやるせないなぁ。しかし、≪魔法使い≫が思い出した新たな事実や≪恋人たち≫の最期の言葉などなど、いろいろ引っかかる点が多いのも確か。

一応ひと段落はついて当面の敵?らしき組織の存在も明らかになったものの、物語にまつわる謎は以前よりも大きくなった印象。なんか後から思いっきり今回の「勝利」をどかんとひっくり返してきそうな、そんな火種が眠っていそうな予感が…

ラストのライコの言葉を受けて、他のタロットたちがどのように動き出すのかも気になるところ。このまま次のフェーデに突入する…のか?

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セイバーマリオネットJ 6.乙女の奇跡・in・チャイナ

[著]あかほりさとる [絵]ことぶきつかさ

悲しい別れを乗り越え、西安に到着した小樽たち。国家首席である王傭平に謁見して「ホスト・ローレライ」の場所を聞く予定だったのだが、王宮で小樽達を待ち受けていたのは大量のセイバー・“朱雀”だった!?ライム達と引き離され、地下に投獄された小樽はセラミックの仮面をかぶった謎の男と出会い…
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シリーズ第6巻は前巻とは打って変わって熱血王道展開。メモリーを消去されて離れ離れになってしまったライム達6人が再び小樽の元に集うというお話。

「たとえ記憶を消しても小樽を思う“心”までは消せはしない」という言葉通りの展開は非常に盛り上がるんだけど、どうせならもうちょっと各キャラが記憶を取り戻すまでに一波乱あってもよかったよなあ、とか思ったり。

しかし、対象が6人いる分、これ以上文章をかけるとテンポが悪くなりそう、というのはあるかも。別々の場所で次々に5人が言葉にできない想いに突き動かされて、小樽の元を目指すという展開はこの上もなく燃えるし、最後で満を持してライムが完全に記憶を取り戻す場面では挿絵効果もあって、思わずニヤリとしてしまう。短い分軽い気持ちで読めて、手に汗握って爽快に敵を倒してはいおしまい、という一連の動きはまさに「ライトノベル」らしい爽快感。

しかし軽すぎて特にこれ以上の感想が出てこないのもある意味「ライトノベル」としちゃー正しい形だよね!
バリバリにラノベ的王道展開だったこの巻の後書きが例の「アレ」だっていうのは、いろいろ象徴的だな?。

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セイバーマリオネットJ 5.機械じかけの乙女たち

[著]あかほりさとる [絵]ことぶきつかさ

とある出来事をきっかけに“女性復活”の必要性を切実に感じた小樽はローレライの導きを受けて、西安にある「ホスト・ローレライ」のもとへ。ところが旅の途中でゲルマニアの新兵器『マスケル』の襲撃を受けて仲間とはぐれ、ライムとともに瀕死の重傷を負ってしまう。西安の外れに住む男の手によって一命を取り留めたが…
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ひそかにシリーズ屈指の傑作だと思っているシリーズ第五弾。マリオネットを愛してしまった男・ヤンと彼が愛したマリオネット・鳳々をめぐるお話。

学生時代に読んだときは一重に「マリオネットを愛してしまった男の悲劇」として読んでいたけど、今読むとあとがきのとおり、これが「読む人によっては“悲劇”であり、また“喜劇”である」という言葉の意味を理解してしまって、とてもやるせない。ヤンにとっての最大の悲劇(であり喜劇であるもの)は「マリオネットを愛したこと」じゃなくて「マリオネットも感情を持てるかも、というありもしない希望を抱いてしまったこと」なんじゃないかなあ。

ヤンは自分と鳳々の関係を小樽とライムの関係に見立て、「ただの機械を愛した自分」を正当化してしまうわけですが、感情(乙女回路)を持つライムとそれを持たない鳳々には致命的な隔たりがあるわけで。どんなにヤンが鳳々を愛したとしても、それに“彼女”が応えることは100%ありえない。それを無情にも突きつけてくるクライマックスは間違いなく“悲劇”であり、“喜劇”でもある。

同時に、この巻はこの後ライム達と小樽がシリーズを通して悩み続けなければならない「マリオネットである自分たちと人間である小樽は一緒にはなれないのか?」「小樽が愛しているのは“女”としてのライム達か、それとも“ライム達というマリオネット”なのか?」という命題がはっきりと言葉として与えられるお話でもあります。

…しかし、やはりこうやってこの巻を読み直すと、(少なくてもこの時点で)小樽が愛しているのはマリオネットじゃなくて『人間の女』だよなあ、と思う。実際、乙女回路の付いていないマリオネットであったなら小樽はその気持ちを貫きとおせたかどうか。ライム達はある意味、戦闘能力以外は完全な「人間」として描かれている気がして、彼女たちを普通のマリオネットといっしょくたにするのは微妙な気がして仕方がない…。

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運命のタロット4 《愚者》は風とともに

[著]皆川 ゆか [絵]乱魔 猫吉

≪恋人たち≫とのフェーデに勝ち片桐先輩を生き返らせるため、制限時間内に事件の犯人を捜すライコ。しかしそれには様々な制約がつきまとい、更には犯人を指名するチャンスは一度だけ…そんな中、新たなタロットの精霊が現れて!?
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運命のタロット〈4〉「愚者」は風とともに (講談社X文庫—ティーンズハート) (文庫)
シリーズ第四弾は3巻から引き続き、≪恋人たち≫が引き起こした事件の捜査回。

少女小説特有の表現が減って読みやすくなったけど(というか先輩がいなくてライコのテンションが上がらないからか?)、なかなか真実が見えてこないのがとてもヤキモキします。露骨に疑いかけられてる人はなんかもうもろにひっかけっぽい感じがするし…新キャラが出てきてもう少し事態が動くのを期待したんだけどなあ。(大河兄はもろに今後への伏線っぽい予感がするけど…というかひょっとして≪愚者≫の協力者ってこの人では?)

個人的には、中盤の花村さんとのやりとりにちょっとジーンとなりました。実際、「フェーデに勝てば生き返る」という希望を持って動けるライコよりも、衝撃は彼女たちのほうが大きかっただろうしなあ…これまでずっと悪役として描かれてきただけに、不意を突かれる想いでした。彼女の姿を見て、自分自身を省みるライコがまたいい。

そして最後にしてようやく、運タロ読了済の人たちから「うららさんすごい」って言われまくった訳が分かった!!というか、そこくらいしか思い当たる節がないなーとは思ってましたが、予想以上に凄い展開がやってきて噴いた。……すげーなーティーンズハート、フリーダムだなー……ティーンズなのに…(遠い目)

しかし、総合すると今回は「今後にかかわってきそうな新キャラ登場」「某キャラの驚愕の真実が明らかに!」以外はほとんど動きがなくて、残念。そろそろストーリーが解決のほうに向かってほしいです。

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この世をば(下)

[著]永井 路子

疫病の流行により政界の上層部が次々と斃れていく中、姉である東三条院詮子の強力な後押しを受けて遂に政界トップである左大臣の座に就いた藤原道長。唯一残ったライバルは長兄・道隆の子である伊周・隆家兄弟だったが両者との対立が深まる中思いもよらぬ事件から二人の名前が浮かび上がって……
再読。下巻は遂に政界トップに躍り出た道長が浮いたり沈んだり(気分的な意味で)を繰り返しつつも平凡児らしい平衡感覚で遂には栄華を極める、というお話。

道長というと天皇の外戚として好き勝手に権力を握り、政界を動かしたようなイメージがありましたが、この物語では最高権力者である左大臣になったあとも甥っ子の伊周に悩まされたり、中宮定子の懐妊の度に男か女かで気をもんだり、一条天皇の死後は折り合いの悪い三条天皇とお互いに神経を削りながら対決を繰り広げたり…とまさに波乱万丈。特に伊周の配流の場面なんかは悲劇が一回転して喜劇になってしまっている状態で、思わず笑いがこみ上げてきてしまう。

ちょっと良いことがあると調子に乗ってつけあがり、思わぬ不意打ちを喰らって凹んでは「もう辞める!」とか言い出す浮き沈みの激しさは健在…というか思わぬかたちで権力を掴んでしまった分、様々な形で負い目を持っていてむしろ上巻よりヒドくなってるかも。でも何かと次兄やら伊周やら中宮定子やらが出てきてしまうのは、わからなくもないような。

「望月の歌」を詠んだ時のエピソードは今の私たちが受ける歌の雰囲気とはうってかわってどこか微笑ましいもので、思わずニヤリとしてしまうけど、その後にこれまでの幸運の元を取るような不幸の連続がやってくるのにはなんだか切ない。こうやって見ると、例の歌の通り「望月の欠けたることもなしと思えば」と言えるような状態がどれだけ短い間の出来事だったのか。最期まで「子供たちに見守られて、幸せに逝きました」とはいかないのがフィクションとは違うところだなあ。

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セイバーマリオネットJ 4.雪山温泉乙女伝説

[著]あかほりさとる [絵]ことぶきつかさ

本物の“女性”が居たという伝説の調査という名目でジャポネスのはずれにある「ゲロゲロ温泉」にやってきた小樽達。今度こそ小樽と温泉でムフフな関係に…!と燃えあがるマリオネット達(+花形)だが、その温泉はちょっと胡散臭い感じで…!?
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シリーズ第4弾はこの手のラブコメではある種お約束の「温泉」編。前半の温泉でのやりとりがカオスすぎて、色々ヒドい(褒め言葉)。その後の酒呑み話も含めて、実にカオスです。というか3巻でもそうだったけど、ライムとティーゲル以外は露骨にギャグキャラ扱いされてるなあ…。

しかしその一方で、本物の女性に会えるかもとはしゃぐ小樽の姿を見て「本当に女性が復活したら、自分たちはどうなるんだろう」と不安に思うマリオネット達の姿がちょっと印象的でした。このあたりは今後最終巻までずっと彼女たちに付きまとう命題になってくるわけで、読み直すとこんな頃から伏線が張られてたんだなあ、としみじみ。

後半はライム達のプロトタイプで不完全な乙女回路を持つマリオネット達を巡り、かなりシリアスな展開に。同等の戦闘力を持つ彼女たちを破る方法があれ、というのはかなり切ないものが。プロトライムの最期にもちょっとホロリとしてしまうものがありました。

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セイバーマリオネットJ 3.乙女の休日、乙女のやすらぎ

[著]あかほりさとる [絵]ことぶきつかさ

敵だった筈のセクサドールズの3人が、小樽の長屋に居候しはじめた。ジャポネスが平和になったのは嬉しいけど…色々とフクザツな心境のセイバーマリオネットたち。ある日、いつもの通り小樽に朝食を作ろうと台所にやってきたチェリーがみたものは、同じく朝食を用意するルクスの姿で…
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仲間になったティーゲル・ルクス・パンターの3人を仲間に加えた小樽たちが繰り広げるシリーズ第三弾。それぞれチェリー&ルクス、ブラッドベリー&パンター、ライム&ティーゲルにまとをしぼった短編集。

3編の中では、一番純粋に楽しめたのは最初のチェリー&ルクスの食事当番対決かな。二人とも結局はほぼ同じ妄想をしてるのに、キャラクターの違いでセリフが微妙に対比になってる(チェリーが「マスター、お願い明かりを消して!」でルクスが「マスター、明かりをつけて!私をもっと見て!」になる)あたりが楽しかった。ジャポネス中のじゃがいもを……たり、対抗して自らじゃがいもを収穫しようとしたり、ラストで2人と小樽のやり取りを眺めていた残り5人(含花形)が…という展開がハチャメチャで笑える。

ブラッドベリーとパンターの話は…個人的にはキャラ的にそこまで興味がない2人なのと、私初読時は結局最終巻までブラッドベリーとパンターのキャラの違いがよくわからなかったのでなんともいえない。むしろいっそ、ここでパンターが開き直ってデレなければ良いキャラ付けになった気がしてたなあ。あ、でもこの話のオチが好きです(腐女子的な意味で)。

ドタバタギャグな2編と比べて、唯一ちょっとシリアス調なのがティーゲルとライムのお話。ティーゲルさんはこの巻で一気にキャラが立ったよなあとか。服のセンスは正直色々とどうかと思いますが、小樽争奪戦に明け暮れる残りの6人(含花形)を余所目に『みんなのお姉さん』的ポジションを確立してて、何はともあれそこがいい。一方で、彼女たちによって少しずつ意識改革されていくジャポネスの人々の姿が印象的だったり。

しかし、今見てもティーゲルさんの●●服姿は衝撃的すぎです……。

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「ライトノベルのSF化」の話が、10年以上前のラノベに載ってた。

最近発売された「オタク成金」という本であかほりさとる氏のラノベ論がいろいろなところで話題を読んでいるようなのですが、現在絶賛再読中の「セイバーマリオネットJ」6巻と7巻の後書きに、作家を目指している人への苦言のような形で今回話題になっている部分とほぼ同じようなラノベ論が展開されていたので、需要があるかどうかわかりませんが紹介してみます。

「Half Moon Diary」さんの記事で引用されている部分では「ライトノベルのSF化」の項目にあたる部分なのですが、10年以上前に同じ問題について危惧を声明していた、というのはいろいろな意味で面白いかなあと。自分は「オタク成金」を読んでいないので的外れかもしれませんが、こちらはあかほり氏本人が自らの筆で書いた文章なので、興味のある人は読んでみると良いかもしれませんっていうかむしろ皆に「セイバーマリオネットJ」読めばいいと思う。(←これは単純に私が好きだからという話なので、「挿絵的にハードル高いよ!」とかその辺の話はまあ……確かにそうですねすいません。)

あかほり作品にしては珍しく完結してるし、下半分がメモ帳で読みやすいから12冊あっても安心ですよ!

次に思うのは、その作品がマニアックすぎるということです。彼らの前提にはこういう考え方があります。
「これはファンタジー小説だから」
僕などは登場人物がカタカナならファンタジー小説、などとたわけたことを言っている人間です。ここまでは極端としても、ファンタジーの知識がなくともそういう小説に触れる人間もいるでしょう。それなのに、高度なファンタジーの知識(またはSFの知識)が必要な小説を書いてきて「これなあに?」と僕がたずねると、「そんなことも知らないんですか」というような顔をする。おそらく彼からすればこのぐらいの知識は当然持っていなければならないんでしょう。もし、読者に対してもそういうスタンスだとすれば彼が認められる事はないでしょう。そういうものがやりたければ同人誌をやっていればよろしい。
(中略)
今、述べた事と同じく、もう一つは作品をやたらと小難しくする人が多いのも気になります。精神観念の世界をやたらと持ち出して、そればかりを強調する。わからないという人間は、やっぱり切り捨ててしまう。


そういった小説を否定する理由として

僕らの仕事の対象は子供です。子供にわかってもらえなければどうにもなりません。たとえば知っている人間からすればたるく感じる描写も子供のためには絶対必要なのです。そのことがわからなければ、この世界でプロを名乗ることはできません。
(中略)
エンターテインメント精神がまるでないのです。はっきり言いましょう。ヤングアダルト・ノベルズはエンターテインメントの世界です。サービス精神がなければ読者には喜んでもらえません。そう、“喜んでもらう”のです。決して、“教えてあげる”“わからせてやる”ではないのです。


40人のうち本を読まない35人が読める小説を云々という表現と言ってる事はほぼ同じだと思いますが、個人的にはこちらの表現の方がしっくりくるなあと思いました。まあただ、この辺は現在のラノベ読者層と当時のヤングアダルトノベルズの読者層って結構変わってると思うんで、ほぼ同じ主張をしてること自体はちょっとアレなのかもしれない。

彼らが例に出すのは必ず『新世紀エヴァンゲリオン』です。
「だってエヴァは……」
僕はそういうとき言ってしまいます。あなたと庵野さん(エヴァンゲリオン監督の庵野英明氏)ではレベルが違うよ、と。(中略)エヴァンゲリオンはちゃんとエンターテインメントをやってます。(中略)作品の中でも予告でちゃんと言ってるじゃありませんか。「サービス、サービス」と。

(以上、『セイバーマリオネットJ 6.乙女の奇跡・in・チャイナ』226P)


エヴァがあたえた影響って本当に大きかったんだろうなあ…と思った部分。
エヴァ前後で主流となる作品の雰囲気が変わった、というのはなんとなく学生時代に感じた記憶があります。欝でぐだぐだ悩む主人公があの頃を境に一気に増えたよね!とか。

このあと、巻を挟んで7巻の後書きでこのラノベ論に対する反応に対して反応。

前回、ボクが「高度なファンタジーの知識がなければ理解できない物語はだめ」と書いたところ、「そういう作品でももの凄く売れているものはある!」という指摘を何通かもらいました。

これに対する答えは“対象”というものを考えてほしいということです。すなわち、対象年齢、その売るべき本の対象となる趣味の持ち主——という意味での“対象”です。
極端な話、作家が一つの世界観、もしくはその作家の持ち味というものを確立し、明らかに自分の読者がそういった高度なファンタジー知識を要求する作品を求めているときはいくらでもそういうものを書いていいのです。それが作家の売りであり、それによって作家は自らの地位を確保するわけですから。ただ、そういった作家になるまでが大変なのです。

(『セイバーマリオネットJ 7.乙女心と秋の日々』207P)


つまり現在のラノベ界でいうと「K上稔さんだからしょうがない」とかそういう話ですか。「AHEAD」シリーズ以降のとっつきにくさはかなり半端ないと思いますが、確かにデビュー作の「パンツァーポリス1935」は結構読みやすかったし、段々ハードルを上げていったんだろうなあと想いをはせてみたり。

1巻の最初ウン十ページに設定資料集がついててニヤリとするのが川上稔ファンのたしなみだよね!(酷いオチ)

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