ページ 118 | 今日もだらだら、読書日記。

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この世をば(上)

 

関白・藤原兼家の三男坊である藤原道長は姉・詮子の助力を得て左大臣の娘・倫子と結婚にこぎつける。平凡な彼は明るくカリスマ溢れる長兄道隆・野心家で策謀家の次兄道兼の影に隠れ、どうにも冴えない出世街道を歩んでいたが…

ついったーで話題にしてるうちに自分で読みたくなったので再読。藤原道長が数奇な運命から時流を掴み、栄華を極めていくというお話。

藤原摂関政治の頂点を極めた人で「この世をばわが世とぞ思ふ望月の?」の歌で知られる人ということで、イメージ的には権謀の人というか結構ずる賢いっぽいイメージが自分の中であったのですが、この作品に登場する主人公の道長は「ああ、何たること、何たること…」が口癖でどこかおっとりした三男坊。感情豊かですぐに顔に出てしまったり、長兄・道隆の息子である伊周に出世で追い抜かれそうになってヤキモキしたり、調子に乗って気の利いた発言をしたつもりが大失敗で後から青くなったり……ととても人間味溢れる性格。というか、今読み直すとものすごいヘタレですよね。

政治の場でもヘタレですが、二人の妻である倫子・明子の間で右往左往する姿はまさしく正しくヘタレ。正妻である倫子が身ごもっている間にうっかり詮子の元に身を寄せていた明子と関係を持ってしまい、倫子にも詮子にも申し訳ない、と頭を抱える姿が本当に微笑ましいです。

しかし、終盤で長兄・次兄が次々に命を落とすあたりの急展開っぷりはなかなか凄かった。特に道隆の死に際のエピソードは、それまでに散々優雅でカリスマ溢れるすがたを見せ付けられてきているだけにインパクトが強かった。

上巻の物語は、まさしく道長が天下を掴むことになる直前までの物語。下巻では遂にライバルであった甥の藤原伊周を追い落として栄華を築く事になるのですが…こちらも近いうちに再読したいところです。

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剣の女王と烙印の仔 1

 
夕仁

周りの人々の命運を喰らうという《獣の烙印》を持って生まれ、《星喰らい》と忌み嫌われながら傭兵として各地を転々としてきた少年・クリス。彼は戦場で、大剣を奮い“死神”と畏れられる少女・ミネルヴァと出会う。未来を予見する能力を持った彼女は、クリスの事を「今日この戦場で、自分を殺す者」だというのだが…

中世風王道ファンタジー。「獣の烙印」を持つクリスと自分の死を予見する能力を持つミネルヴァの二人が、その能力を持つが故に様々な過酷な運命に立ち向かっていくというお話。

新月の度に烙印の力に支配されて自分を見失い、親しい人々を手にかけてしまう為に出来るだけ人々と関わり合いにならないようにと生きてきたクリスが、ミネルヴァや彼女の所属する「銀卵騎士団」の仲間達と出会って少しずつ心を開いていく姿がとてもよかったのですがそれ以上に銀卵騎士団の長・フランチェスカ様がイイ!ちょっと強引で破天荒ながらも騎士団のメンバーを心から思っているような姿が時々顔を覗かせるのがたまりません。終盤で連れて行かれたクリスを助けるかどうかで思い悩む姿が、また素敵でした。あとツンデレ全開の男騎士・ジルベルトさんの活躍(ツンデレ的な意味で)も見逃せません。

クリスやミネルヴァの持つ重い宿命や、血なまぐさい展開は杉井作品の中でもデビュー作である「火目の巫女」に持つ雰囲気に近い。二人が今後どうやってそれぞれの運命を乗り越えていくのか、都築がとても楽しみです。

それにしても最近の杉井光キャラはヘタレだけど妙に美少年率が高いのでいろいろ心ときめきますね。序盤でクリスが傭兵達に喰われそうに(性的な意味で)なったときには本当に何事かと思いました!(どきどきわくわく、的な意味で)

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バカとテストと召喚獣6

 

夏休みに突入、毎日暑い中で地獄の補習を受けるFクラスの面々。ひょんなきっかけから召喚獣を呼び出してみた面々だが、現れたのは何故か古今東西の妖怪達の姿をした召喚獣だった!?学校側との意見の一致により、学習の一環として補習の最終日に召喚獣を使った肝試しやることになるが、それが何故か、2年生VS3年生の肝試し対決に発展して…

やってきたよ!姫路さんのターン!!!(ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ)

3?4巻から耐えに耐えて実に2巻分、神もとい美少女はピンク髪一派を見捨ててなかった!!!ついにやってきたよな姫路さんのターン!!!(大事なことなので2回言いました)すいませんもう終盤の展開がもどかしいわ微笑ましいわ甘甘だわでもう砂糖を噴出しながらゴロゴロ悶え転がれます!!!ああもう姫路さんかわいいよかわいいよかわいいよ!!!!!

姫路さんと明久の仲に進展が…!?な展開も最大の見所ですが、なんかもう全体的にラブ的にもコメ的にも悶え転がる展開が目白押し。必死に前巻からの誤解を解こうとする美波とか、思わぬ魅力が炸裂の工藤愛子とか、明久に気があるのかないのかわからん秀吉の微妙な態度とか、姫路さんと翔子さんの恋する少女コンビ大健闘とか、ある意味最凶コンビ・清水美春&久保利光、とか。特に清水さんと久保くんのコンビは最凶すぎた……今回は雄二にいいようにこきつかわれた感が否めませんが、この二人が手を組むとかマジ最凶すぎる。そして明久はそろそろ気付かないとマジで貞操がヤバイと思う。

召喚獣のコスチュームチェンジは今回限定?リアル頭身のデュラハン明久(※召喚獣)がオトコマエすぎて正直鼻血でそうです。てか、姫路さんや翔子さんの召喚獣じゃなくて明久や秀吉の召喚獣を挿絵に持ってくるあたり、いろいろと判ってる。そして美波の召喚獣が酷すぎる(褒めこと…ば?)

そして、短編集を除けば2巻以来の本編登場となる常夏コンビは本当に、自身の召喚獣のように「悪役」として最高によい味出してます。今回のお化け屋敷での一幕(二幕?)も最高でしたが(主に挿絵の破壊力的な意味で)、今後もぜひとも積極的に明久達に絡んで行ってほしいキャラ達だー。

クライマックスではその常夏先輩達と雄二・明久コンビのリベンジバトル。「バカテスは2巻が至高の燃え」と言い切ってはばからない私ですが、久しぶりの明久本気モードなガチバトルに激しく燃えた。準備バンタンだった2巻の決勝戦と違い、圧倒的に不利な対決をこうやって持ってきますか!!真面目な召喚バトルシーンはここにしか出てこない分、気合が入っているように感じたり。挿絵も相乗効果で燃えっぷりを盛り上げます。スイッチの入った明久かっこいいよ…!ていうかもう今回、美味しい展開目白押しすぎて語り始めると止まらない勢いだよ……

「バカってのは面白いよなセンパイ。一つのことに夢中になると、それに対してとんでもない集中力を発揮しやがる。空手バカとか剣道バカなんて呼ばれる連中もいるが、そこでいわれるバカってのは『物事に集中するヤツ』っていう褒め言葉だよな」
「まぁ、要するに、だ」
「——姫路を泣かされた時から、コイツはスイッチが入っていたってことだ」


というか、基本的に姫路さん絡みじゃないとスイッチ入らない明久に超萌える。なんだかんだいって明久って姫路さんのことほんと好きだよね!ああもうほんと、くっついてないけど心は間違いなく両想いな、この絶妙なもどかしさがたまらない。

さてさて次は短編集の第二段で木下姉弟とか翔子&雄二の馴れ初め話が収録されるそうです!個人的には3.5巻の「如月ハイランド」の話が大好きだったので翔子雄二のシリアス馴れ初め話が楽しみすぎる。あと表紙が木下優子になるか今度こそアキちゃんになるかも重要なポイントですね。つ、次こそ明久表紙を…明久表紙を!!優子さんのグラフィックも気になるけど…!!

しかし、今回は本編が気合はいってた分、唯一バカテストが微妙に思えたかも?そろそろネタ切れ…?
第六問にはキュンとなりましたが。

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ソードアート・オンライン 1 アインクラッド

 
abec

ゲーマー達の期待を一身に受けて発売された次世代MMORPG「ソードアート・オンライン」は発売直後に1万のユーザーが接続したまま管理者の手によって現実から切り離された。ゲームオーバーすれば現実の死が訪れ、誰かがゲームクリアするまで脱出不可能。現実世界からの助けもないまま2年の月日が流れたが…

「アクセル・ワールド」でデビューした川原礫さんがWebで連載されていた小説を文庫化した作品。仮想現実のMMORPGに自分の意識ごとログインしたら管理者側からゲームをログアウトできない設定にされてしまって元の世界に戻るためにゲームクリアを目指すことになったプレイヤーたちの中で、「ソロプレイヤー」として一人で狩りを続ける少年・キリトを巡る物語です。

ゲームの舞台となる世界観とか、そこに生きる人々の姿とか、さわやか過ぎるくらいど真ん中ストレートに王道LOVEな主人公&ヒロインとか…とにかくとても面白かった!ちょっと分厚いからどうしようかな…と躊躇して後回しにしていたのですが、読み始めたら本当に一気読みだった。メインは100層に渡る迷宮ダンジョン「アインクラッド」を巡る戦いと、キリト・アスナを巡る人間模様が中心なわけですが、レアな食材を手に入れた主人公がヒロインのアスナに調理して貰うお話とか、戦線を離れた主人公が、人の離れた階層にある湖で老人と釣りにいそしむ場面とか、なんかちゃんと「戦い」だけじゃない一つの「世界」が存在していることが凄いと思った。バトル要素とか「ログアウトできなくて、ゲームオーバーしたら死ぬよ」みたいな設定がなければこんな世界で何日か過ごしてみたい、と思わせてしまう魅力がなんか世界そのものにある。

ただ、作りこまれた世界観やゲーム設定にニヤニヤする一方で、全体的に物語をダイジェストで見せられているような、そんな物足りなさがあったかも。特に、ゲームの世界に閉じ込められてすぐに起きたとある事件がきっかけで深いトラウマを抱えて、その為に仲間を持たずに危険な単独行動を行って来たキリトが割合あっさりと「アスナのためならギルドにはいってもいいや」みたいな展開になるところがちょっと唐突に感じたかも。個人的には、キリトが長らくソロプレイヤーになるきっかけになったあの事件については、もっとストーリー本線に絡ませても良かったと思うんです。なんかあっさりキリトがアスナとくっついてしまうので、あの過去の話が猛烈に浮いてるように感じた…

その他にも殆ど触れられなかった「オレンジ色の」プレイヤーに関することとかラストの展開とか、本来もっと長かったはずの話を無理やり削るだけ削って縮小縮小を繰り返してこの尺に縮めました、みたいな印象が払拭できなかった。本来Web小説として発表したバージョンは、もっともっと長いお話だったんじゃないかというか、物凄く面白かっただけに、この物語の背後に見え隠れする「削られた物語」達に触れることが出来ないのが物凄いもどかしい!!

「1」とナンバリングをされているということは2も出るんでしょうが、個人的には「キリトとアスナのお話」は尺を削られまくってるものの綺麗に終わっているので、続編が出るなら二人の物語の続きではなく、同じゲームを別のキャラクターの角度から見た物語、みたいなのが読みたいです。いえ、キリトとアスナの「その後」のお話だったらそれはそれで楽しみですが(それにしても、キリトの年齢は色々と無茶だと思うんだ……)、ともかく続編楽しみにしてます。

ちなみに、世間の感想を覗いてみると「クリス・クロス」を髣髴してる人が多かったようですが、私は「バトルロワイヤル」を思い出してました。ネトゲーものじゃないですが、主に最初のシステム管理者からの演説部分的な意味で。「はい、今日はちょっと君たちに、殺し合いをしてもらいます」は本当に当時衝撃的なセリフだったよ…。

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本日の騎士ミロク1

 

生来の気の短さからバイトを次々とクビにされたミロクは唯一の特技である剣を振るう事が出来る職場としてジルサニア騎士団を志す。ところが、配属されたのは「赤目隊」と呼ばれる変わり者ばかりが集められた、剣を持たない部隊だった。ところが憧れのお姫様・ジェルメールの意外すぎる素顔を目の辺りにしてイライラが募るばかり…!?

「吉永さん家のガーゴイル」「魔王城」シリーズの田口さんが富士見ファンタジアでおくる新シリーズなファンタジーもの。

血生臭いシーンも多かったですが、それ以上にやたらとアットホームな王族の皆さんとか移民であるミロク達に偏見のないジルサニア国の人々がまるで国ごと御色町(※吉永さん家のガーゴイル)みたいな心地よいご近所臭をかもしだしていて素敵です。もちろん、メインのお話はミロクと「赤目隊」のメンバー達の繰り広げるお話でそこに登場するキャラクターもそれぞれ魅力的なんですが、バイトをクビにしつつもミロクの転職先を提案してくれる食堂の店長さんとか、何かと話し相手になってくれる“騎士”の入団式でお隣だった公園管理人のお爺ちゃんとか、名もない脇役がいい味出してて、それがとてもツボに入る。

しかし、ストーリーはこのテのファンタジーラノベ的には王道中の王道すぎて先が容易に想像できてしまい、少々物足りないものがあったかも…ミロクに隠された過去とか「実は皆有能なんだよ!」な設定のあたりは明かされても「ですよねー」って感じになってしまってました。

そんなありがち感を一気に吹っ切ってしまうようなクライマックスには胸がスっとした!とっさの機転で武器にしたアレを構えてのシーンでも様々な意味で非常にときめいたのですが、返り血スキーとしては263Pのミロクの挿絵とその周辺でニヤニヤせずにはいられない。普段はヘタレバカだけど戦闘シーンではワイルド系有能(+返り血)って、なんだこの燃えキャラ!!!「ガーゴイル」「コッペ」、それに「魔王城」のイメージを加えても意外なほどに血生臭い展開にもびっくり。赤目隊、容赦ねー!

でも個人的には、展開よりもなによりもフェリサにしてやられた気がしてなりません。
銀髪無口娘=「何、このフェリ」とか思っててすいませんごめんなさい!口を開いた彼女の第一声を聞いた瞬間噴出しましたよ!!意外性的な意味でいいキャラすぎる…ひょっとして終盤まで殆ど口を開かなかったのはこのためだったんだろうかとか。

ミロクの過去やジュジュに隠された力をはじめとして、まだまだ色々な謎が残っているのでその辺が今後どういう形で明かされていくのかも気になります。続きがとても楽しみです。

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H+P(3) —ひめぱら—

[著]風見 周 [絵]ひなた 睦月

姉妹の中で自分だけ魔力が低いことを気に病む第四王女・アルト。姉達や妹や恭太郎達と一緒に赴いたリゾート地で「誘惑の聖杯」を手に入れていた彼女は、とある出来事がきっかけとなり思いあまって聖杯を使ってしまう。ところが、それが原因で後宮を揺るがす大騒動に発展して!?
   個人的お気に入り度数
表紙絵の通り、第三弾は第四王女のターン。引っ込み思案で目立たない王女様の、意外な一面が覗けるお話です。

まったく、今月の富士見ファンタジア文庫はグッジョブすぎるな!!
恭太郎の女装メイド姿の挿絵だけでもおなかいっぱいです本当にありがとうございます。主人公の女装はネタとしてあっても真面目に挿絵入れてくれるラノベ意外に少ないからなあ!恭太郎が羞恥心と決壊しかけの理性を必死にこらえながらピコル師匠にセクハラを強要される姿が本当にたまりません。師匠グッジョブ一生ついていきます!!でも本当は女装だったら胸はない方がいいね!!(聞いてない)

アルトが仕込んだ「誘惑の聖杯」から生成された媚薬を飲んでしまったおかげで、女だらけの後宮はただ一人の男(=恭太郎)を喰らおうとする(性的な意味で)野獣達の檻と化した!というお話。一言で要約すると恭太郎総受け

魔力を持たないアルトが自分の両親に対して抱く不安や、恭太郎や姉姫達に「好きになってほしい」と願う気持ちにはきゅんとなったのですが、1巻2巻と比べると微妙だったかなぁ。序盤で媚薬を飲んでしまった王女様達が次々に羞恥心を捨て去って(いろいろな意味で)迫ってくる場面が様々な意味でインパクトありすぎて、他あんまり印象に残ってないというか…こんなに、文章内で「はーとまーく」を使いまくってるラノベって久しぶりに読んだ…。

後書きによると、まだまだ序の口だよ!巻を重ねるごとにエロくなるよ!ということなのですが、個人的には2巻くらいのエロさで止めておいてほしいなぁ。2巻のレイシア様のカラーページのアレとか、エリス様のツンデレ具合とか、エロくて素晴らしかったと思うんです。何が違うんだ、といわれると説明できないんですけど。

しかし、次の巻ってこの調子で行くと第五王女のターン?いろいろな意味で犯罪スレスレなりそうだねそれ!

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迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの

 
津雪

『ノーモアクリスマス!』 この世で最も生と死を隔てる壁が薄い場所・迷宮街。そんな迷宮街にも、クリスマスはやってくる。 ひとえに探索者は外の住人よりも派手にイベントを楽しむ。ツナギをクリスマスカラーにしてみたり、「ノーモアクリスマス」と書かれたプラカードを持ってデモ行進をしてみたり。ただ、クリスマスの福音は、探索者に等しく届くわけではない。 死亡率14%のゴールドラッシュ。今日も様々な人間が、様々な理由で迷宮街を出ていく。ある者は幸せに、ある者は無言で。それは12月も変わらない。 書き下ろし短編「祭典の前夜祭」も収録した、現代のガリンペイロ達の物語、第二弾。

死亡率14%を誇りこの世で最も生と死を隔てる壁が薄いと言われる迷宮街も12月。そこに暮らす人々は様々な想いを抱きながら、年末のイベントを謳歌していた。そんな中、道具屋の店員をしている小林は、かつての教え子と再会する。彼に対し、とある負い目を感じていた小林だが──Web小説「和風Wizardry純情派」に加筆・修正を加えたもののシリーズ第二弾。分厚ッ!!とおもって調べたらあとがきまでが451PとGA文庫歴代第二位のページ数だったみたいです。

「チーム笠置町」も迷宮探索に慣れてきて、どんどん成長していく姿と迷宮街での仲間達との危険ながらもそれなりに平穏な日々が描かれ……と思ったら、中盤で一気に重い展開になってしばし呆然と!!恩田さんは1巻の頃からかませ犬的な意味で死亡フラグ立ちまくっていたので「ああ、ついに……」という印象だったのですが、それでもシリーズ序盤から主人公たちと親しくしてきた、サブメインキャラのような立ち位置のグループを襲った悲劇は衝撃的でした。

そして小林と今泉の再会のくだりや鈴木さんの幸せ一杯メールを見るたび、着実に誰かの死亡フラグが立ってる気がしてしょうがなかったので、彼らが実際に危機陥った時には何も出来ない自分がもどかしかった。トラップ解除のくだりでは「恩田ー!今泉ー!!逃げて逃げてー!!!」と叫びっぱなしだったり。それにしても、こういう話で恋人が出来るってそれだけで一種の死亡フラグに見えるよね…。

死の淵に居る彼らの必死な姿と、長年の誤解も解けて幸せ一杯な小林の様子が対象的に描かれるのがまた泣ける。その後の、小林が居なくなった後の道具屋の倉庫整理の話でも追い討ちを掛けられます。どうしても誰かが「いなくなった時」を意識してしまう彼女たちの姿にしんみり。というか、今泉は本当に惜しい子であったよ……ああ、このシリーズ唯一の「美少年要員」が!!!(そこかよ)

一方で、前巻よりいつ死ぬかわからない状況の中で「生」を謳歌しようとする彼らの不自然に明るい姿と、それ故に迷宮街の外の世界の人々から乖離していく彼らの姿がとても印象的でした。迷宮街の中で展開される物語ではあまり感じないのだけど、ひとたび彼らが外に出て普通の人々と接触すると途端にその異常性が顕在化するんですよね。常盤と児島の、お葬式でのやりとりや由加里を駅に迎えに来た時に偶然遭遇した鈴木兄との場面とか。

彼らも(恩田や今泉の時のように)死を悼まないわけではないんだけど、自分の「仲間」と「仲間でない人」の区別を明確につけていて仲間以外の人間は完全に切り捨ててしまっていて、仲間に対しては情に厚い分そういう部分が奇異に映るのかもしれない。そしてそれを代表するエピソードが、第二階層で遭難した有名パーティが、誰の救助も受けられずに壊滅したという話しのような。そこはもちろん、「迷宮街」という場所で生き抜くためには捨てなくてはいけない部分ではあるのですが…。

個人的には、「変わってしまった」真壁が迷宮街の外に戻り由加里とくっつくのか、外を捨てて翠とくっつくのかがとても気になるところ(いろいろな意味で、この2つはセットになっていると思う)。物語の途中で真壁が自分の将来について思いをめぐらせる場面がありますが、次巻で彼がどういう未来を選択するのか、続きがとても楽しみです。

……いやでも、ラストで主人公パーティ全滅エンド、という可能性もあるわけだけど。
最後まで気が抜けないのがこのシリーズの恐ろしさだ…

そういえば、前巻発売時と同じく、レビューを書くとサインが貰えるよ!企画があるようです。前回は申込そこねたので、今回は参加させて戴きたいなあ…と思いつつ、むしろ「特典」に興味シンシンの私が居ます。友人賞の特典とか凄い心ときめく。「乱戦の中で颯爽と登場(して死ぬかも)。」とか。さっそうと参戦したい!(そして死にたい!)

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少年向ラノベで男子ピンな表紙をひたすらならべてみた。

タイトルの通りそのまんまです。
「生徒会の五彩」で杉崎鍵が単独表紙を取ったのがとてもとても嬉しかったので、ためしに世間で希少といわれている男子キャラが一人で表紙を独占した少年向けラノベをレーベルごとにひたすら集めてみました。
本当に集めただけ!(解説など する余裕は ない)

ちなみに、自分の読んだ本+ついったーで情報提供いただいた本+電撃文庫とファミ通文庫の2008年度目録に掲載されている本の中からチェックしたので、電撃文庫に偏り気味なのは仕様です。情報が少なめだった富士見ファンタジア・角川スニーカー等で心当たりのある人は、是非コメント欄かはてなブクマあたりでご指摘お願いします。
ちなみに、少女向けレーベルの男子・女子単品表紙については月季さんがまとめてくださってますのでこちらをどうぞ。

ちなみに画像はamazon、bk1、楽天市場の3箇所が混在。
この3箇所回って書影のない本は基本的に諦めた…
もっと書影を!書影を!古い作品の殆どに書影入ってないのがとても悲しい…

※幾つか挙げてなかった作品の指摘を戴いたので、角川スニーカー文庫の項目を追加しました。

画像が物凄く多いので以下格納↓
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生徒会の五彩 碧陽学園生徒会議事録5

 

文化祭の前日の夜、幕の下りた体育館のステージの上で杉崎鍵と<企業>の枯野恭一郎は対峙する。自身の退学と自らの敵を目の前にして、碧陽学園生徒会での日々を思い出す鍵。その半年は彼にとって何物にも替え難い物であった……その掛け替えのない場所を護るため、一つの決意をした鍵だったが!?「生徒会の一存」シリーズ、<企業>編クライマックス! (※中身はいつも通りの「生徒会」シリーズです

表紙が素晴らしすぎてとりあえずサイドバーに表示せざるをえない件について。
ま、まさかの主人公単独表紙、っていうか男単独表紙!!!富士見ファンタジア英断すぎるよくやった感動で涙が止まらないありがとうございますご馳走様でした鍵かっこいいよ鍵!!!!!この調子でどっかの続きが出ない誰かの憂鬱とか、どっかのテストとか召喚獣なラノベも見習うといいと思う!これからの時代は主人公が表紙を飾る時代です!!!!

そういえば、ゲーマーズで買うと先着で中目黒の掛け替えカバーがもらえるらしいですね。
鍵の上に中目黒を覆い被せろという天からの啓示ですか、わかりません><

プロローグ・エピローグの「隠蔽された」「存在しえない」シリーズで少しずつ語られてきた<企業>絡みの話がクライマックスだったりして、一応ストーリー的には「第一部・完」的なお話ではありますが、9割はいつも通りの『生徒会』。なんかこれまで一切裏設定が出てこなかったくりむ会長に色々な伏線が張られ始めた気配を感じますが、基本的にはいつも通りなのでギャグ目当てでこのシリーズを読んでいる人も、私のように「ええっよもやアニメ化を前にしてここで終わり!?」とか思った人も一安心。

本編はいつも通り面白い。もう感想とか書く事が思い浮かばないくらいに安定して面白い。相変わらずテンションの高い会話と小ネタの数々で間断なく笑わせてくれます。個人的には間章?の「副会長男」が好きです。「四散」プロローグで語られた“出会い”のお話のうちの1つになってるんですが、顔もわからない相手に散々振り回される鍵と、彼の“勘違い”を正した彼女の一言にじーんとした。

そして地味に好きなのが会長と富士見書房が作り上げたインチキカードゲームで会長と鍵が決闘する、「決闘する生徒会」。あまりにも理不尽すぎるゲーム展開に爆笑しつつ、ラストはさりげなく熱い展開になってるのにニヤリとしました。いかにも何も考えずに「攻撃力が強ければ強い!」なアカちゃんと、搦め手が得意な鍵らしいデュエルになってるのが面白いなあ。

アニメの予告編を作ろうという話は、頻繁にハルヒとからき☆すたとか出てきて、日常雑談4コマ系といったら京アニの得意分野だよね!生徒会も京アニだったらいいなー☆とか思ってた私はいろいろな意味で涙が止まりません!!よりによってディーンとか……ディーンとか……あそこの会社には、以前スターオーシャn色々と巨大なトラウマがね!(全否定はできないけど、とりあえず自分の好きな作品には関わってほしくない程度にはトラウマが。Fateアニメとかは割と嫌いじゃなかったけど。)

とりあえず<企業>編クライマックスでの鍵がかっこよかったからなんでもいいです!完結はしないまでも主人公交代くらいはありうるんじゃないかとビクビクしてたので、こういう形でひと段落ついてくれて素直に嬉しい。次巻からはプロローグ・エピローグは新展開で「卒業」編が開始…ということで、何はともあれこれからもこの物語が読めるのがとてもうれしい今日この頃です。

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スレイヤーズ 2 リナと怪しい魔道士たち

[原作]神坂 一 [著]南房 秀久 [絵]日向 悠二

前回の冒険で出会ったガウリイとシルフィールと共に、アトラスシティにやってきたリナ。ゆっくり羽を伸ばそうとしていたっていうのに、ついた途端に怪しい男が現れて魔道士協会の副評議長・タリムの護衛をしてほしいなんていい始めた。嫌々ながら依頼を受けてはみたものの、なんだかキナ臭い雰囲気で!?
 
児童文学用にリライトされたスレイヤーズ!の第二弾。今回は原作2巻「アトラスの魔道士」を元にした内容になってます。タリムを見た瞬間に、あらいずみるい絵のお茶目なホルマリン漬け生首が脳裏をよぎりましたが、この作品は子供向けなのでそういうシーンは一切ありません(笑)

原作ではポイント登場の準レギュラーだったシルフィールが、すっかりサブヒロイン(?)としてパーティに加わってくるのが面白い。ガウリイを巡る恋のライバルというよりも破天荒だけどまだまだお子様(※本シリーズでは12歳設定)なリナをたしなめる、生真面目な保護者役という感じのキャラになっててなかなか可愛いです。そしてさりげなくナーガを見捨てる発言かましたりして、さりげなく黒い……

1巻と同じく、大元の展開は同じところを辿ってはいるものの死者が基本的に出ない設定になっているということもあり、本編のノリというよりは「すぺしゃる」の方のノリに近くなってます。「魔道士協会」「タリム」「デイミア」「ハルシフォム」などの組織名・人名が覚えられないガウリイの場面を問わないマジボケにリナが涙目でツッコミ入れてるのには思わず噴いた。…ガウリイは本当に凄腕剣士という設定がどうでもいい状態のボケキャラになってるのがちょっと可哀想です…そしてナーガが居るだけでこんなに作品がギャグ化するとは!ナーガ恐ろしい子!

そのほかロッドが主人思いの忠実な護衛になってたり、ハルシフォムとルビアがらぶらぶだったり。ハルシフォムは前回のレゾに続き、挿絵も相まって凄いいい人っぽく…ていうかヒッシャムを思い出s……挿絵って大事ですね。

しかし、このまま進むとコピーレゾの一件とか、アメリアの話とかはどうやって処理するつもりだろう?ゼルガディスは1巻終了時点で死ななかった自分の部下たちと旅をしてるはずなので、そっちをなんとかしないとパーティに加わるのは難しいだろうし、アメリアは設定的にナーガと同時登場できるのかが気がかり(ここまできたら、敢えて絡ませてほしい気もしますが…)。シルフィールを「神官」ではなくて「巫女」と描写しているあたり、セイルーンの話ではアメリアの変わりにナーガを押し出して、PTの回復ポジション的にはシルフィールを…という考え方も出来るんだけど、ゼルガディスとアメリアはシリーズ屈指の人気キャラのはずなので出さないというのも微妙のような……

何より「角川つばさ文庫」がどこまで存続するのかが最大の疑問なのですが。かなり大きな本屋で探しても発売日直後に平台展開すらされてなかったのでそんなに売れてないように思えてしょうがない……スレイヤーズシリーズは結構楽しんで読んでるので、ぜひとも一部ラストくらいまでは頑張ってほしい気がするんですが。(このシリーズの雰囲気的に、二部は無理だろうなあ)

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