少女には向かない職業 発売:2005.9 発行:東京創元社 [著]桜庭 一樹 |
その前からタイトルに惹かれるものはあったのですが?…。
「中学二年生の一年間で、あたし、大西葵十三歳は、人をふたり殺した。
夏休みにひとり、それと、冬休みにもうひとり。
武器はひとつめのときは悪意で、もうひとつのときはバトルアックスだった。」
という印象的な文章で始まり、主人公こと大西葵がいかにして人を2人殺すに至ったかという顛末を描いています。ミステリー関係のレーベルから出てる割には特に謎解き要素はありませんが富士見ミステリーも似たような感じなのでそんなものなのかな、ミステリーレーベル。
きわめて普通の女の子がちょっと変わった女の子に出会い、変わっていくという過程は同氏の「推定少女」と似たようなイメージですが、「推定少女」よりも格段に救いがありません。また、全編通して描かれる各キャラクターの行動や心情が非常にリアルで、“殺人”という非日常を描いた小説でありながらそんな事件はどこにでも転がっていそうにも思えて別の意味でゾっとするものを感じます。特に女の子内の「グループ行動」の醜さって奴は色々な漫画でも取り上げられるネタではありますが人殺しのシーンよりもゾっとしました。
また「ド田舎」+「ゴスロリ少女」というのも情景を想像すると非常にミスマッチで異常性が引きたってて良いです。ただ最近都会っ子にはゴスロリ少女はちょっと珍しいくらいの存在程度でしかない気がするので田舎とセットでちゃんと想像しないと「なんでゴスロリ?」って感じになりそうな…私は↑の単語の組み合わせで真っ先に「下妻物語」を思い出してしまいました。
どこか稚拙な殺人計画といい、等身大の少女達のリアルな心が感じられて面白いと思います。オススメ!