“庭” の検索結果 | ページ 8 | 今日もだらだら、読書日記。

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断章のグリム11 いばら姫(下)

[著]甲田 学人 [絵]三日月 かける

死なない異形と化した母親と共に、「いばら姫」の泡禍が発動する真喜多家に隔離されてしまった蒼衣達。泡禍の正体も掴めないまま、惨劇は彼らの予想を越えて広がっていく。雪乃と蒼衣の指示で、庭に出た田上颯姫は思わぬ人物に出会い…
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「いばら姫」完結編。とりあえず私、そろそろ昼食食べながらこのシリーズ読むの辞めた方がいいと思う……芽のシーンは前巻のほうが衝撃的だったのでまだしも、コーヒー啜ってるときに水槽のアレが出てきたときは、ほんとにコーヒー逆流しそうになったんだぜorz

怪異描写的には前巻ラストが最高潮という感じだったので、前巻ほどの衝撃はなかったのですが、それ以上に今回は正常な人間の異常さが強調されている物語のように思えました。泡禍の影響ではなく、あくまで自分自身の考えで“異常な”結論に至った人間の姿に、背筋が凍る。今までのように、あくまで非日常的な何かが原因で命を落とした…というのではなく、非日常がトリガーを引いたとはいえ、結果としては「正常な人間同士が殺しあった」という形になってしまったのがとても悲しい。特に莉緒にはひとつでもいいので救いのある展開がほしかったなあ…と思います。結局最後まで彼女は、姉や弟の“代用品”としか見てもらえてなかったわけで。

しかし、エピローグでの風乃での態度をはじめとして、なんだかすっきりしない終わり方。いつぞやの千恵のように、莉緒の“騎士”としての再登場もありうるのでしょうか。続きが楽しみです。


EVE TFA—亡き王女のための殺人遊戯

[著]桜庭 一樹 [原作]C's Ware

うだるような真夏の昼下がり、ふとしたきっかけで天城小次郎が知り合った不思議な少女・セシル。本屋と喫茶店、それっきりの邂逅だと思っていたがその晩彼女は小次郎の探偵事務所に依頼を持ってきて…。一方、小次郎の元恋人・桂木弥生の元にはとある少女を探してほしいという依頼が舞い込み…。
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ノベライズとしては最古の「桜庭一樹」名義(※オリジナルの方ではこの前に既に「ロンリネスガーディアン」とかが出てます)。アドベンチャーゲーム「EVE」シリーズを元にした外伝ノベライズ作品。久しぶりに読みたくなって再読。TFAの名を冠してはいますが特にストーリー的なつながりは一切ありません。エルディアをはじめとしたシリーズ独自の設定も出てこないので、メインキャラクターの基本設定さえ知ってれば読める感じ。

小次郎・弥生の両視点から別々の依頼を操作しているうち、“殺人遊戯”と呼ばれる連続殺人の核心部分へとつながっていくという辺りはゲームと基本的に同じ流れ。以前読んだ「EVE ZERO」ノベライズは原作の「マルチサイトシステム」の特性を無理に小説に持ち込んで時系列がわかり辛いという状態になっちゃってましたが、今回は基本的に時系列順に物語が語られるので凄く判り易い。

特に、小次郎と弥生の邂逅が両視点から見れるのは面白いなあ。小次郎が「弥生が追いかけてくるような気がした」と語ったのと同時刻、弥生が本当に小次郎を追いかけようと動き出していたり…と二人のすれ違いやシンパシーがもろに伝わってくるのが面白い。というか桜庭さんは本当に弥生好きだね!小次郎に今も心囚われ続けてもがく彼女の心理が痛いほどに伝わってきます。

今回のゲストキャラで物語の鍵を握る少女・セシルのなんともいえない妖艶な無邪気さみたいなのが物凄い印象に残った。掴み所のない蝶のような少女ってこういう事を言うんだろうなあ。

まりなさんの出番が必要最低限に絞られているため、まりなファンの私としてはそこだけとても残念だったのですが、ラストは彼女が美味しいところをまとめてもっていってくれるのでとてもニヤリとする。エピローグでの小次郎との同性の友人のようなさっぱりした会話も好きだなあ。しかし何度読んでもこれ、オチが色々と酷いwww


“文学少女”見習いの、初戀。

[著]野村 美月 [絵]竹岡 美穂

中学を卒業し4月から通う聖条学園にふらりと足を運んだ日坂菜乃。彼女は校庭で一人、誰も居ない正門に向かって寂しそうな声を上げる一人の少年の姿を偶然目にし、恋に落ちる。高校に入学した菜乃はその先輩を追いかけて文芸部に入部するが、その先輩—井上心葉先輩には忘れられない女性が居て…
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自称“文学少女見習い”の文芸部一年・日坂菜乃を中心に、新たなキャラクターと3年生に進級した心葉達が織り成す、もうひとりの“文学少女”の物語。

遠子先輩の文学薀蓄のない“文学少女”シリーズなんて…!!と思ったのですが、巧みに各キャラクター達の立ち位置を入れ替えて、これまでの良い部分を殆ど引き継いだ上で新しい物語が展開されていくのが嬉しかった。ちょっとだけ新しい文芸部の雰囲気や、なんだかんだと変わらないレギュラーメンバーの姿にニヤニヤしました。つたないながらも破天荒な三題話を作ったり、遠子先輩とは一味違う、彼女自身の感覚で読んだ本の“味”を表現しようとする菜乃に対して、すっかりつれない態度の心葉が可愛らしい。最初の短編ではやたらと笑顔が爽やかな先輩になってしまっていてびっくりしましたが、すぐにいつも通りのツンデレコノハちゃんになってくれて安心した!!!

初代“文学少女”から物語の探偵役を引き継いだもののまだまだ未熟な部分も多い心葉の推理を、そこを直感型な菜乃の“想像”が補っていくという構図が、これまでの“文学少女”にはない部分で面白かったです。遠子先輩とはまるで違うのに、どこか彼女と同じ雰囲気を持つ菜乃の姿を見ていると、「頑張れ!」と素直に応援してあげたくなってきます。まあ心葉くんは遠子先輩の嫁だけど!(※違います)

「もうちょっとだけ続きます」という言葉通り、そんなに長く続くことなく終わるのかもしれませんが、新しい立ち位置や新しいキャラクターたちがおりなす物語の数々がとても楽しみ。次巻では今回出てこなかったヤンデレ女王千愛ちゃんや流人くんも出てくれるといいなぁ。

しかし、物語本編も間違いなく、文句なしに面白かったのですが正直、最後の最後で美羽様に全て持っていかれた気がしてならない。いつのまにかななせとメル友になってる美羽様!心葉君の所有欲と嫉妬心丸出しな美羽様!!遠子先輩をめっちゃライバル視してる美羽様!!!芥川君に不意打ちくらう美羽様!!!!(※超重要ポイント)


少年向ラノベで男子ピンな表紙をひたすらならべてみた。

タイトルの通りそのまんまです。
「生徒会の五彩」で杉崎鍵が単独表紙を取ったのがとてもとても嬉しかったので、ためしに世間で希少といわれている男子キャラが一人で表紙を独占した少年向けラノベをレーベルごとにひたすら集めてみました。
本当に集めただけ!(解説など する余裕は ない)

ちなみに、自分の読んだ本+ついったーで情報提供いただいた本+電撃文庫とファミ通文庫の2008年度目録に掲載されている本の中からチェックしたので、電撃文庫に偏り気味なのは仕様です。情報が少なめだった富士見ファンタジア・角川スニーカー等で心当たりのある人は、是非コメント欄かはてなブクマあたりでご指摘お願いします。
ちなみに、少女向けレーベルの男子・女子単品表紙については月季さんがまとめてくださってますのでこちらをどうぞ。

ちなみに画像はamazon、bk1、楽天市場の3箇所が混在。
この3箇所回って書影のない本は基本的に諦めた…
もっと書影を!書影を!古い作品の殆どに書影入ってないのがとても悲しい…

※幾つか挙げてなかった作品の指摘を戴いたので、角川スニーカー文庫の項目を追加しました。

画像が物凄く多いので以下格納↓
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今月のまとめと読了記録[2009年3月分]

3月に読んだ本は18冊でした。
「電撃学園RPG Cross of Venus」と「スーパーロボット大戦K」と「スターオーシャン4 The Last Hope」がほぼ同時に我が家にやってきたせいで、割とラノベどころじゃなかった3月。特にDSソフトは主な読書時間である通勤時間を侵食するので、ゲームが我が家にやってくると読書スピードが落ちるという罠。ていうか、発売日が延期したり前倒ししたりして2本同時に我が家に来た時はどうしてくれようかと思いましたおのれバンプレ。

…ちなみに今月末には、「とらドラポータブル!」が我が家にやってくる予定です。

2009年3月のページアクセストップ4


 
とらドラ10!
⇒感想

 
とある魔術の禁書目録17
⇒感想

アクセル・ワールド
黒雪姫の帰還
⇒感想

 
とらドラ9!
⇒感想


アニメも原作も大団円のまま完結した「とらドラ!」と、こちらはアニメ完結直後に早くもスピンオフ作品のアニメ化が決まった「とある魔術の禁書目録」の最新刊がトップ独走。ここ6ヶ月は本当にアニメ化というものの恐ろしさを味わったような気がしてなりません。

でもとらドラ!のアニメは、個人的には本当に幸せなアニメ化だったなーと思います。オリジナル展開になった3?4話除いて、基本的に原作に忠実にやっただけなのにこんなに惹きつけられるとは。アニメの終わり方は賛否両論ありそうな予感がしますが、わざと原作でやってないことをやっていったという意味で原作とアニメで二つで一つみたいな印象を受け、個人的にはかなり良かったと思います。というか原作派でアニメ見てなかった人は、あの最後の2回だけでも見るべき。余談ですが不定期でアニメ感想も書いてたよ!

ちなみに禁書アニメは見たり見なかったりを繰り返してたので特に取り立てて感想なかっ(強制終了)

しかし、とらドラと禁書以外の今月の新刊、アクセス数的に箸にも棒にもかかってない感じなんですがこれいかに。とらドラ9を名誉除外してもその次が「ギャルゲヱ」だったという不思議…

2009年3月に読んで面白かった本


ナイトウィザードThe 2nd Edition リプレイ 愛はさだめ さだめは死(⇒感想

黄昏色の詠使い9
ソフィア、詠と絆と涙を抱いて
⇒感想

 
おと×まほ7
⇒感想

嘘つきは姫君のはじまり
ひみつの乳姉妹
⇒感想


今月、いろいろな意味で予想外だったのが「ナイトウィザードThe 2nd Edition リプレイ 愛はさだめ さだめは死」でした。あまり期待しないで読んだのにもうシリアスだったりバカだったりバカだったりするリプレイに爆笑しっぱなし。というかリンカイザーさん最高ですリンカイザーさん。

クライマックス目前!な「黄昏色の詠使い9」とモエル編クライマックスの「おと×まほ7」も素晴らしい盛り上がりっぷりで凄く良かった!この2シリーズ、良くも悪くも面白いときと全然面白くないときがあるので、今回は両方アタリだったことを素直に喜びたい(笑)

そして感想記事アップしたのは4月回ってたけど、実はギリギリ3月に読んでた「嘘つきは姫君のはじまり」。周囲のサイトさんの感想で以前から気になってたシリーズではあったのですが、買ってみたら予想以上に面白くてうはうはでした!平安モノ大好き…!!


2009年3月の読了記録

やはりまとめはこっちのほうが使い勝手いいなー…メディアマーカーの読書記録から。
つか、メディアマーカーはあとついったー経由でコメントを投稿できたら完璧なのにって何度いったら略
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桐原家の人々 4 特殊恋愛理論

[著]茅田 砂胡 [絵]成瀬 かおり

交通事故で両親を亡くした桐原零は、両親の棺の前で初めて伯父である広美と出会い、彼の家に引き取られることに。両親を亡くしたショックを隠しきれない零だったが、引き取られた先の桐原家では次々ととんでもない事件が勃発して!?
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「桐原家の人々」シリーズ最終巻。零の視点から三つ子が生まれた時の桐原家の大騒動と、その後の大学時代の零の話を描く番外編です。

今回は全体的にちょっと重めの雰囲気。桐原家の、特に女性陣の語り口だと全く深刻さを感じられなかった「過去の大騒動」ですが、当事者で桐原家の中では割合常識人(?)である零の視点から語られるとまた全然重みが違ってきます。零の両親の遭遇した交通事故はかなり悲惨だし、女性陣が軽いノリで語った「祖父の死」「父が出張先でクーデターに巻き込まれる」「麻亜子の婚約解消」のあたりも、当時の当事者達にとってはかなり重い話だったんだなあ…特に既刊である程度出てきていたとは言え、眞己と猛と都を「三つ子」として届け出た時の麻亜子の反応はかなり意外だったかも。

しかし、重い物語をあんなにあっさりと語ってしまう桐原家の人々はやはり豪胆だなあ、と改めて思う。その他にも駆け落ちした零の両親を追い掛けてきた零の母親の家庭の人を銀次郎・締の老夫婦がそれぞれ包丁・薙刀を持ち出して追い払ったエピソードなど、思わずニヤリとしてしまうような展開が合間合間に入ってきます。

後半は零と4巻でちょっとだけ出てきた零の親友・城段輪とのエピソード。最初はお互いに良い感情を持っていたわけではなかった2人が大学で再会し、様々なトラブルを経て徐々に掛け替えのない親友になっていく姿がとても良かったです。輪が過去に持つエピソードもなかなか重たいものがあるのですが、どこか最後の最後で湿っぽくならないというか、弟・環くんのに関するエピソードなんかは一種桐原家に通じるものを感じました。っていうかオチ(=環の結婚相手)に噴いたw

あ、あと零の女装シーンがとても良いですね!!麻亜子が自作した女装用ブラにドン引きする零の姿に思わずニヤリとします。その後も早く脱ぎたいのに三つ子達と写真を撮る羽目になったり、家庭内記念撮影会が開催されて周囲の注目集めまくりだったり…といろいろな意味でツボをついたエピソードでした。いろいろな意味ですばらしい女装でした!

色々な意味で、全4巻フルに楽しませて貰ったシリーズで、このシリーズがここで終わってしまうのは残念でなりません。もう1?2冊、桐原家の巻き起こすドタバタ騒ぎを読んでみたかったかも…。またいつか、余裕があればこの人の他の作品にも手を出してみたいなあ、と思った次第です。


コードギアス反逆のルルーシュR2 ナイトオブラウンズ

[著]岩佐 まもる
[原案]大河内 一楼/谷口 悟朗 [絵]玲衣


皇帝直属の騎士「ナイトオブラウンズ」に所属し、日々の任務をこなしているジノ。そんな彼の元に、新しくナイトオブセブンとなった騎士・枢木スザクとの御前試合の話が舞い込む。興味を持ったジノは、スザクに本気の真剣勝負を挑んで…!?
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「スニーカー」に掲載されていた、ギアスR2の短編集。ジノやアーニャに焦点を当てた、ラウンズ達の日常を描く短編や本編最終回後の後日談、ルルーシュ&ナナリーの母である閃光のマリアンヌがラウンズだった頃の前日談を収録しています。

サブタイはこうなってますが、実質スザク・ジノ・アーニャトリオがメインで彼らとマリアンヌ以外の他のラウンズの出番は一切ありません。実際彼らとはほとんどつながりなかったんだろうけど、ある程度その他のラウンズとの絡みを期待したのでちょっとがっかり。というかキャラクター紹介はラウンズ全員の立ち絵いらなかった気が…そんな出てこない人よりもベアトリスさんの立ち絵をお願いします(こんな人いたっけ?とか真面目に思った)。

ジノとアーニャの短編はどちらも「この二人が好きならどうぞ」という感じで、特に可もなく不可もなく…むしろ、あたりさわりなさすぎて物足りないなあと思う部分も。ただ個人的には、ジノ好きにはかなりオススメかもしれません。一応まともなバトルシーンも魅せ場もあるし、何より後日談で語られるラウンズを辞したジノのその後のフリーダムっぷりには噴いた。

ミレイとセシルが在りし日を振り返る「円卓の肖像」は、正直原作のクライマックス展開が神すぎたので、もうあの二人の「その後」を描かれるだけで涙が出てくるので、色々反則です。在りし日の彼らを知るミレイにとっては、例えどのような汚名を着せられたとしてもルルーシュとスザクは「弄りがいのある、可愛かった後輩」でしかないんだよ、というお話。また、生き残ったキャラクター達のその後が垣間見えるのも美味しい感じです。

しかし様々な意味で必見なのは、在りし日のマリアンヌとシャルルの過去を描く「マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア」。皇妃マリアンヌとナイトオブワン・ビスマルクがシャルル皇帝の為に戦っていこうと決意するお話。いや、とりあえず、ヘタレっぽい笑みを浮かべる若き日のわかも…シャルル皇帝が衝撃すぎる。マリアンヌ様の腹黒っぷりも併せて考えると、こんなご家庭に生まれなかったらシャルル皇帝はマリアンヌさまの尻に敷かれまくりだったんじゃないだろうか。甘えん坊で純情無垢まっしぐらな感じの子ルルーシュと、小さいながらも他人の悪意に敏感な子ナナリーの様子を見ていても、どう考えてもこのご家庭は何事もなければ物凄い女性優位な御家族だったに違いない。

しかし、ラストのマリアンヌ様の発言が凄い。アニメ版でもそういう部分をちょっと覗かせてはいましたが、本気で子供のことなんか何とも思ってなかったんだな。

ページ数が少ないからある程度覚悟していたとはいえ、ちょっと物足りなかったです。前シリーズの際に出た「紅の軌跡」の方が面白かった気がします。ていうかバリバリアニメ版を最後まで見たの前提で書かれてる話が、なんで小説版完結前に出るんだろうなー。まあたしかにあの小説版のつくりでは、小説版だけでこの物語を追い掛けている人はいないだろうけど…

全体通して個人的に印象的だったのは「後の歴史家達の間で、シャルル皇帝は“暴君”との認識はされていない」「むしろ“暴君”と呼ばれたのは次の…」という言葉だったりしました。結果的にルルーシュは、結果的にあれだけ嫌っていた両親の汚名まで最小限まで雪いでしまったんだなあ。なんか本当に不器用すぎる。


ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート

 

同級生の神野真国から突然電話で告白を受けた明海。その内容は「自分はかつて女の子を殺したことがある」というものだった…。“イケニエビト”と名乗り、神野と出会い、殺され、都市伝説の通りに神野以外のすべての人間に忘れられた少女。しかし、明海もかつて彼と同じ経験をしたことがあって…

“タマシイビト”と呼ばれる存在に殺されるために存在し、自分を殺した本人以外の人間にはその存在を記憶してもらうこともできないまま数年で生き返り、繰り返し人生を送り続けるという悲しい存在である“イケニエビト”と、彼女に出会った二人の高校生が「歌」を通して彼女の存在を刻みつけようとする物語。

なんともいえない読後感。妙に目を引く表紙と、淡々とつづられる文章と、ホラーサスペンスっぽい設定と、イマドキの高校生らしい青臭さみたいなものと、物悲しさと、ロックな青春が核融合を起こした結果よくわかんないけど爽やかになってる!みたいな。桜庭一樹の「砂糖菓子の弾丸は?」に不思議要素足したようなイメージに近いんだけど、もっとなんともいえない独特な雰囲気がある。

タマシイビトに喰われてしまう為に数か月しか生きられない“イケニエビト”である実祈。復活した彼女との限られた短い時間の中で精一杯思い出を作ろうとする神野と明海の姿がなんだか切ない。やけにあっけない結末は色々消化不良のところもあるのだけど、じつにこの物語らしい終わり方という気もする。なんていうか、気になる部分は多々あるんだけど作品の雰囲気がなんだか心地よくて、そんな小さな事はどうでもよくなってしまうような魅力がある。

ただ、逆に言うとこの辺の雰囲気にうまく流されないと全くツボにハマらないんだろうなー。「そもそもなぜ神野が明海に電話をかけたの?」とか、作品全体を流れる強烈な中二…というよりも高二病臭さとか。良くも悪くも「雰囲気を楽しむ」物語であることは間違いないと思う。

“タマシイビト”との因縁も完全に断ち切れたわけではなく、実祈は自らの望みをかなえることができるのかとか、明海の恋の行方とか、爽やかな終わりと同時に続きが気になる終わり方。既に2巻が発売されているので3人の関係がどのように続いていくのか、とても楽しみです。

あと、やっぱり表紙のデザインが物凄い良いですよね。「白背景+女の子の立ち絵」というライトノベルでは王道すぎるくらいありがちなデザインのはずなのに、妙に目を惹かれてしまいます。帯の「せつなさはロック」というアオリ文句もこの作品にぴったりだし、2巻の帯デザインもすごく心惹かれるものがあって、凄くツボでした。普段あまり感じた事がないんだけど、編集やデザインの人のパワーに、どうしようもなく惹かれた一冊でありました。


バカとテストと召喚獣5

[著]井上 堅ニ [絵]葉賀 ユイ

のどかな日曜の昼、必死にゲームに興じていた明久の元に母親から放たれた刺客がやってきた!?次の期末試験で良い点を取らなかったらのどかな一人暮らしも終了してしまう。しかも怠惰な生活も"不純異性交遊"(※同性は可)も減点対象!?様々な意味で追い詰められた明久は期末試験に向け、いつもの面々に助力を請うのだが……!?
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3.5巻から約一年、密かに(私の脳内で)その正体が活発に議論されてきた明久の姉・玲が登場なシリーズ5巻。FBオンラインに掲載されている「試し読み」の明久の爆弾発言で、一日仕事が手につかなかったのですが謝罪と賠償を略。

シリアスラブコメ展開になって、文句なしに面白かったもののギャグ方面ではイマイチはっちゃけきれなかった印象を受けた前回の反動か、今回はしょっぱなから全開です。来襲する天然姉の愛情攻撃、加速する雄二×明久同性愛疑惑、調子に乗りまくりなムッツリ商会、アキちゃん可愛いよアキちゃん、カミングアウトして以来変態度が加速しまくっている久保利光などなど。1個違うの混ざってる気がするけど気のせいです。…ていうか久保くんはもういっそ、明久を一度誰も居ない教室に連れ込んで押し倒してしまえばいいと思うんだ。抱き枕よりはよほどその方が健全だと思うのは私だけか……。

明久と玲の微妙な姉弟関係をはじめとして、各家庭のバックグラウンドが透けて見えるという点が興味深かった。明久が自身のことに対して過剰なまでに卑屈になった理由とか家庭環境とか、以前から気になっていた部分が少しずつ見えてきて、どんどんバカテスという世界が広がっているなあと。ラストの姉弟仲良し会話が本気でたまらんです。あと、明久が料理上手というのは興味深い設定でした。これで姫路さんの家にお嫁に行っても食べるものには困らないね!!!(え

トップギアで繰り出されるギャグも文句なしに面白いのですが、同時にラブコメ部分も丁度良い感じに含まれていて、コレまでに無くラブとギャグのバランス感覚が素晴らしいと思いました。とにかく4巻以降、両ヒロインが可愛すぎて困ります。挿絵と合わせて殺傷能力高すぎる。あと今回は二人平等に見せ場があったので、姫路派としてはとても安心でした(…しかし、姫路さんが一歩引き気味なのがとても気になる…)。玲がどういう具合にラブコメに絡んでくるのかが非常に気になっていたのですが、あくまで姫路・島田両名に対する奮起剤という形になっていたのが個人的には良かったかな。あと姫路さんと明久の小学生時代が気になる!!気になるよ!!!FBオンラインでも本編でもいいから是非とも小学生時代の短編を切望します!!ものすごく…ものすごく……見たいです!!!

ああしかし、挿絵で一番殺傷能力高かったのはネクタイなしワイシャツボタン2個空けの明久だと思います。男子キャラのサービスカットには何も期待していなかったのでインパクト高かった!!しかもワイシャツボタン上2個開けとか、わかりすぎてて困る。明久可愛いよ明久ああああああ!!!!

というか、今回の展開を見てつくづく思ったんですが……明久が総受け過ぎる件について。そ、そのシーンは普通男女逆だろー!!明久が無防備すぎる!!最近「明久×雄二もアリだよね!」とか思ってましたが、今回の件で明久はやはり天然誘い受け体質の総受であると再確認しました。雄二に送ったメールの文面といい、後半の姫路さんとのアレといい、素晴らしい誘い受っぷりに鼻血でる!!!井上先生は次のお話までに是非とも 誘 い 受 け という言葉を学習されるべきだと思います。マジで今の明久のためにあるような単語だと思います。

……総受けって言葉を学習したのはうちの感想及び腐日記が原因じゃないよね!?誰か違うといって!

【追記】
なんか名指しされてたっ!

いや、「総受けボルト」に関しては無機物カップリング萌えが出来るほど腐脳が発達してないのでなんともかんともです。精進します。どっちかっていうと「総受けボルト」とか言っちゃって、それを年配のお偉方にインプットさせちゃってわたわたする井上先生に萌えました。



最後にアニメイト特典のドラマCD「スペシャルぷちドラマCD —DO THE ADVENTURE!—」について軽く。

内容としては新刊及びドラマCD2巻の紹介で、値段が値段だけにということもありますが私のように既刊新刊読破済、ドラマCD購入済、2巻購入確定済の私にはちょっと物足りない内容だったかもしれません。一方、ドラマCDの購入を悩んでいる人は、わいわいがやがやした雰囲気がつかめると思うので是非入手すべきだと思います。あと、ドラマCD2巻のオリジナル話の予告はまだ公式に載ってない情報だったかな。

ただ、ラストのオチが本気で笑えません。
アニメ化したら全員声優代わっちゃったりしてー♪」はマジ笑えないよ下野さん!!!


桐原家の人々 3 恋愛統計総論

[著]茅田 砂胡 [絵]羽崎 安実(※Cノベルズファンタジア版:成瀬かおり)

明かされた色々な真実のショックからようやく立ち直ってきた桐原家の三兄弟。ところが些細な事がきっかけとなって、女子生徒たちが眞己と都にホモ疑惑を立て始めて!?噂を聞いて心中穏やかじゃない都と猛だが、そこに更なる事件が…
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1巻で三つ子の出生、2巻で彼らの父親…でもう明かされてない事実なんてあったっけ?とおもっていたら、3巻は彼らの“兄”である零の出生その他もろもろに関するお話。ちゃっかり麻亜子さんの親友として親ばかぶりを発揮する崇史さんが人知れず輝いてます。

いきなり零の生んだ親の実家から使いが来て、なぜか「復縁してやるからこちらの言う相手とお見合いをするように」と伝えてくるというお話。彼の母親の実家は由緒正しい上流家庭で、様々な思惑もあって零に見合い話をもちかけたらしい。…というわけで、ひたすらかみあわない事ばかり言う祖父からの使いを一家総出でやり込め、お見合いを破談にした後やはり一家総出でやりこめる桐原家の人々の姿がとても爽快。豊・麻亜子コンビのオトコマエっぷりが全力で発揮されます。その後の結婚式のお話もさっぱりした行動派な麻亜子さんの本領発揮ぷりが半端ではなく、ニヤニヤしながら読みました。

…とまあそれはそれとして、最後の都&眞己さいこーーーー!!!本気とも冗談とも取れない都の発言と行動に翻弄される真面目兄萌えーーーーっ!!!そしてき、貴様ら……ついにやってしまったのか!やらかしてしまったのか!!教室での墓穴掘り発言には思わず大爆笑してしまいました。

とりあえずここで次は番外編?ということで本編は一区切り。女の子達はかっこいいし、都と眞己のビミョーな関係は美味しいし…と、最後までニヤニヤのとまらない美味しいシリーズでした。次の本では三つ子は出てこないようですが、どんな物語になるのか楽しみ。