“双 ” の検索結果 | ページ 13 | 今日もだらだら、読書日記。

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SH@PPLE?しゃっぷる? 3

[著]竹岡 葉月 [絵]よう太

青美女学院の新聞部に正体をすっぱ抜かれそうになり、急遽学校入れ替わりを中断する羽目になった雪国&舞姫。久しぶりに戻った空舟五中で、「人力リバーフェスタ」でのイベント参加を頼まれた雪国は再び青美女学院生徒会との共同イベントを提案するが、舞姫はその提案を拒否し、中部連と組むと言い出して…!?
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双子の姉弟の学校入れ替わりラブコメ第三弾。2巻を読んだときは燃え要素が落ち着き気味でちょっと物足りなさを感じていたのですが…3巻はそんな不安をぶっとばすような胸キュンラブ+燃え展開でした。面白かった…!!

舞姫にかけられた疑惑を払拭する為に一時的に学校入れ替わりを中断して青美女学院に戻ってきたら、雪国には見えていなかった様々な部分で軋みが生じていて、その中でも顕著だったのが雪国がローズロワイヤルとの距離を縮めた事によって相対的に不信感を募らせていた中部連。その歪みを解消する為に舞姫達生徒会は中部連の肩を持つことになり、一方で結託相手を見失った雪国達空舟五中の面々はローズロワイヤルと共同で出し物をやることに。結果として元々仲の悪かったローズロワイヤルと中部連の対立図に淡路姉弟の兄弟喧嘩が重なり、雪国を舞姫と思って恋に悩む蜜、すっかり名誉兄貴こと舞姫にホの字になってしまったSEO研の芝目、すっかり雪国にホレてしまった上に変な勘違いまで起している胡蝶の宮などの恋愛事情まで相乗されてもうしっちゃかめっちゃかに…というお話。楽しそうな弟の姿を見て複雑な感情を抱いた舞姫が自棄で蜜とデートしようとしたり、舞姫の言動や行動に芝目が一喜一憂したりする様子が、見ていて微笑ましい。特に芝目と雪国(※舞姫)の関係を誤解した胡蝶の宮に雪国が振り回される場面では大爆笑してしまいました。胡蝶の宮あんたなんていいキャラだ……。

一方で、今回は熱い展開も目白押し。蜜と舞姫のデートの場面では久しぶりに「女の子の味方」っぷり全開なSEOの面々に思わずニヤリとしてしまったり、蜜に自分の正体を伝えるかどうかで葛藤する雪国にきゅんとしてしまったり。そして何より、「リバーフェスタ」の練習の為に青美に泊り込むハメになった後が熱いですね。中部連の長船が素晴らしい「悪役」ぶりを発揮していて、わりとまったりペースだった雪国たちに発破をかけてくる場面が最高です。

そして何よりも空舟五中の生徒会長・鳥子さんが可愛すぎる。もうロコツに雪国&蜜のかませ犬になりそうな勢いがプンプンするのですが、お堅いガリ勉タイプかと思ったら…な意外性とか、何かと問題をふっかけて雪国に突っかかってくるツンデレっぷりがたまりません!今回の話の決着はこのまま4巻に持ち越しのようなので、4巻でも彼女がガンガン活躍してくれることを切に願ってやみません。


吉永さん家のガーゴイル15

[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二

ケツァルコアトルとの戦いに敗れ、破壊されたガーゴイルはレイジの策略で御色町を破壊した張本人として、"御色町の敵"と認識されてしまう。町中で冷たい目線を浴びながらも、砕けたガーゴイルの破片を集めるため、町中を奔走する双葉。一方で百色や東宮達など真実を知る僅かな人々もまた、反撃の機会を伺っていて……ガーゴイルは御色町を守ることが出来るのか!?
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シリーズ完結編。…くそう、今までの総決算の如く要所要所に泣かせポイントが仕込まれていて、最初から最後までノンストップで胸が熱くなりっぱなしでしたよこんちくしょう!

人災による怒りと混乱で不安定な精神状態にある御色町の人々につけ込んだレイジの陰謀を、吉永家とガーゴイルが2年間かけて築き上げたご近所との信頼でひっくり返していくという展開。最初は聞く耳持たずだった人々の意識が少しずつ変わっていって…双葉がガーゴイルの破片集めをしている最中に偶然その破片を持っていた人々が揃って「お守り」という言葉を口にする場面には胸が熱くなった。目撃者が何人もいる以上その信頼を取り戻すには相当な冷却期間が必要なのでは…と思っていたのですが、考えた以上にガーゴイルが2年間で培ってきたものは大きかった。

双葉たちの奮闘、高原親子の絆、怪盗百色と梨々の信頼関係……などなど、魅せ場だらけの1巻でどこを取っても語りつくせないほどなんですが、なんといってもガーゴイルが復活した後のクライマックスが熱すぎる。今まで決まり文句のように「吉永家の門番」という名乗りを上げてきたガーゴイルが和巳や双葉たちに"護られる"ことを是とし、「吉永家のガーゴイル」と言い直す場面では思いっきり泣かされました。考えれば、今までガーゴイルはその名乗りを上げることで最後の最後で吉永家の一員となることに線を引いてきたのではないかと。作中時間で2年・実に15巻分もの長い物語を経て、ガーゴイルはやっと真の意味で吉永家の一員になったのではないかという思いで胸がいっぱいになった。

一方で、レイジとの方はなんか実に中途半端な決着になってしまって…ある意味、ご近所時空に毒されなければ最後まで最凶最悪の悪役であれたのではないかという気がして、案外復活したら仲良くやっていけるんじゃないかという気がしてしょうがない、微妙な終わり方でした。うーん、でも、このお話に人殺しはやっぱり似合わないし、かといって彼らが手と手を取り合って暮らしていける程、並み半端な憎しみでもなかったんだろうなぁ…最後の最後でちょっと「実は手を取り合えたんじゃないか」なんて思わせてしまうところがニクイですね。

15巻ほぼ一気読みでしたが、ほとんど「つまらないなぁ」と思うような展開もなく、時にシリアスもバトルも織り交ぜながら最後まで根っこはどこまでも「ご町内」で「アットホーム」な雰囲気を持ち続けたまま終わってくれたことが本当にうれしかったです。巻数の多さで尻ごみしていたシリーズだったのですが、思い切って手をつけてみて本当に良かった!

…それにしても、13巻以降はおそらく「ガーゴイルおるたなてぃぶ」とのクロスオーバーだろうなあと思われる空白がかなり多く…だいぶ雰囲気が違うと聞いたのでとりあえず本編だけ一気読みしてみたのですが、やはり「おるた」の方にも手をつけてみようかな?。


吉永さん家のガーゴイル13

[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二

古科学者達の組織「ミズチ」の首領となったレイジが吉永家を狙っている。そんな話を怪盗百色から聞かされたその日にガーゴイルは初めて吉永家への侵入者を許してしまう。しかも、偵察のためミズチから送り込まれたその侵入者は双葉とそっくりの姿をしていて…!?ピクシーと名付けられた彼女はすっかり吉永家になじんでしまうが…
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本編残り3冊。7巻で対決したレイジが復活して不気味な動きを見せ始め、巻数的にもラスボスの姿が明確になってきた感じのシリーズ13弾。微妙にほっとかれたまま置いてきぼりな設定(つか、「ミズチ」周りの話)がありますが、このへんは「おるたなてぃぶ」の繋がりなんだろうなあ…

吉永家に不審者の侵入を許してしまった挙句、レイジの生み出した人工精霊・ピクシーが双葉と感覚を共有してしまうという大失態を犯してしまい、ショックを受けたガーゴイルが凹んでる姿が新鮮。実際、2年間も門番をしていたガーゴイルが殆ど感知できないまま吉永家に侵入されてしまったというのは考えてみるとかなりの大事件な気がするんですが、結局そんな侵入者も吉永家の暖かい雰囲気にすっかりなじんでしまう姿が微笑ましかったり。そして生まれたばかりのピクシーに色々と人間の常識を教えようとするガーゴイルを見て、2年間の成長に感慨深くなったり。

いつものように最後で畳み掛けるように感動させられるようなお話ではないんですが、ご近所さんや吉永家の暖かさが少しずつじんわりと効いてくるお話でした。弱点を突かれて攻撃をためらうガーゴイルに吉永家の家族達が鉄拳制裁を持って家族の絆を再認識させるくだりが熱すぎる。相変わらずのママ最強伝説ですね!
ラストで双葉がピクシーにかけた、さりげない歓迎の一言には胸を突かれました。

一難さってまた一難、次回からは遂に最終決戦に突入する訳ですが、なんとしても家族パワーで大円満な展開を勝ち取って欲しいです。っていうかラストは大円満だって信じてる…!!

ところで、個人的に一番ツボったのは実に11巻ぶりの登場となる梨々パパ。
親バカっぷり爆発させて百色をおろおろさせる姿に爆笑。うろたえる百色可愛いよ百色。


吉永さん家のガーゴイル12

[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二

受験本番を控え、和巳とその級友たちはそれぞれの道を歩き始めていた。勉強の合間に、画家志望の級友・範太の卒業制作を手伝っていたのだが兄に代わって演劇部の部長となり、煮詰まっていた桃とちょっとしたことで口論になってしまう。更に桃と範太が仲良くしているシーンを偶然見かけて…!?
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6巻以来半公認カップル状態だった和巳と桃の関係が遂に進展、今回はストレートに青春&恋愛話ですよ!…なシリーズ第12弾。高校3年生な和巳の受験戦争と恋のお話。このシリーズ、本当に毎回色々な顔を見せてくれるのが楽しくてしょうがないですね。

以前の話で双葉がガーゴイルの影響を受けて「門番」になるにはどうしたらいいか悩む一幕がありましたが、今回は和巳が「人を助ける仕事に就きたい」という夢を語ります。それだけガーゴイルの存在が吉永家に与えた影響がでかいということで、互いに良い影響を与え合って少しずつ成長していく姿に、胸が温かくなる思いがする。同時に、それこそ割と「なんとなく」で大学に行った身としてはちゃんとした将来のビジョンを描いてそれに向かって邁進していく和巳や林吾、範太の姿がどうしようもなく眩しく感じました。青春っていいなぁ。

普段温厚な和巳にも色々と譲れないものがあって、今回はそんな部分が一人で抱え込むタイプで完璧主義な桃と衝突してしまった感じ。しかもそこに、恋の鞘当てと受験戦争が加わって……桃と範太の姿を偶然目撃してしまって、センター試験が完全に上の空になってしまう和巳の様子にはあまりの微笑ましさに思わず笑ってしまいました。…いや、他人事だからこそ笑える話なんですが…(自分もセンター試験では盛大に滑った事を思い出した)。桃や範太に対してらしくもない冷たい態度を取ったり、駄々っ子のように喚き散らしてしまうあたり、予想以上に桃が好きなんだなあと思う一方で、やはり受験戦争で精神的な余裕がなくなっていたんだろうなあ、とも思ったり。

ただ、和巳の優柔不断で鈍感な性格ではこのくらいのアクシデントが発生しないと桃との仲は進展しなかっただろうし、ちょうど良かったような感じも。なんだかんだいって本編が終わる前にくっつけて良かったよね。そして何気に二人の恋のキューピットといえなくもない(言いすぎ?)オシリス姐さんが良い味出してました。

前回に引き続き、今回も良い具合にほのぼのとしたお話でしたが事件の陰に「古科学」が居たり、そろそろ物語はクライマックスに向けて動き出すのかなあという感じ。残り3冊、とても楽しみです。卒業式で和巳が女装してくれなかった事に人知れず涙したのは私だけでいいと思う。


それにしても今回、巻末マンガが秀逸すぎる。特に百色の贋作たちには思わず電車の中で決壊したじゃないですかどうしてくれるwww


吉永さん家のガーゴイル11

[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二

病気で長いこと入退院を繰り返しているクラスメイト・吾郎のお見舞いにやってきた双葉と悪ガキ3人組。クリスマスを控え、病院で行われるクリスマスイベントを「つまらない」と断じる吾郎に対して憤った双葉は売り言葉に買い言葉でガーゴイルにイベントを盛り上げさせると約束してしまう。守ることは得意でも“楽しませる”事は初めてのガーゴイルは…
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久しぶりに「ガーゴイル」シリーズならではのアットホームなほのぼのっぷりが光るシリーズ11作。双葉とガーゴイルが半ば喧嘩越しに双葉のクラスメイトが入院する病院のクリスマス会を盛り上げると約束しちゃったら、和巳やクラスメイトの演劇部一同、オシリスデュラハンに百色、更に再登場のゴールデンボーイズまで巻き込んでの大騒ぎに発展!?というお話。

まさかここでゴールデンボーイズが再登場するとは予想外すぎるwイベント屋なら1年でも一番くらいに忙しいだろうに直前にふと思いついて呼べたってことはやはり例の件が尾を引いて客減ったりしてたんだろうか…。今回は5巻ラストのようなトラブルもなく、如何なくプロ根性を魅せ付けていくゴールデンボーイズはやはりかっこよかったです。ドンチャン騒ぎが十八番の彼らと病院の相性は最悪なんじゃないかと思うんだけど、そんな時でも場所に合わせた気配りを忘れない辺りはまさに「プロならでは」。

その他感情面におけるガーゴイルの更なる成長やオシリスの奮闘など色々と見所はたくさんあるんですが、今回は逆に各キャラクターの見どころが多すぎてどこに焦点を当てたいのか絞りきれてない部分があったかも。今まで1?2キャラに焦点を絞って描かれてきたせいか、各方面の描写が物足りなく感じてしまう。特に演劇部の人形劇が思いっきりはしょられたのと、吾郎と父母のシーンがカットされてたのは残念でした。綺麗に小さくまとめちゃった印象で突き抜け方が足りないというか…おもしろかったんだけど。うーん。

それにしても、「世界一有名なネズミの友達のアヒルの叔父さん」懐かしすぎるwディズニー系連続アニメでは「わんぱくダック夢冒険」が最強だと思うのですよ。「ミッキーのクリスマス・キャロル」ではそのものズバリの配役を宛てられてましたし…こっちもビデオで何度も見たなあ。

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吉永さん家のガーゴイル10

[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二

戦争に行った喜一郎は某島で行方不明になってしまう。東宮雅臣の元に身を寄せたイヨは雅臣の研究の、そして双葉は身寄りのない子供たちの世話を手伝いながら戦火を逃れていたが、次第に戦争は激しくなっていった。そんな中で雅臣はとある決意をする。一方、現代では死んだはずの高原喜一郎が「錬金術師を滅ぼすため」御色町に現れて…!?
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なんか私最近このシリーズ読むたびに涙腺決壊してる気がするんですが…涙腺緩みすぎ?ガーゴイルの過去に迫るシリーズ第10弾です。

ガーゴイルが倒れる直前に残した言葉や「記憶を封印した」という結果からして、なんとなく悲劇的な結末が待っているんだろうなあ…とある程度の予想はしていたのですが、それでも実際目の当たりにすると、とても哀しかった。しかし、それでもその思い出をかけがえのない、大切な思い出として和巳に語ることができる双葉は本当に強い女の子だと思う。ほんと、今回の双葉はオトコマエでかっこいい女の子だなあ……。そしてあんな結末にはなってしまったけど、最後の最後で双葉の元にかけつけてきたガーゴイルが物凄くかっこよかったです。いつもの、あの決め台詞をこんなにも待ち望んだ事はありませんでした。

一方、物語は全体の2/3を終えたところで少しずつ最終決戦に向けての伏線が張られてきた模様。今までの錬金術に加えて「魔法」「古科学」などという力の存在が明らかになったり、とある人が「あの敵」の再来を予感させるような発言をしたり…と少しずつこの物語に対する「敵」の姿が見えてきた感じ。あと5冊で終わってしまうのは寂しいですがこれからこの伏線がどのように膨らんでいくかも楽しみです。


吉永さん家のガーゴイル9

[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二

南口商店街と北口商店街の野球対決に繰り出され、ついつい本気のバトルに発展してしまったケルプとガーゴイルは、通りがかった人物に怪我を負わせてしまった。しかも茫然自失となったガーゴイルはそのまま全機能を停止。過去の辛い記憶に捕らわれ、目覚めないガーゴイルを追ってイヨとともに再び過去に飛んだ双葉だったが……
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うわあ重い……めちゃくちゃ重い……
急転直下のシリーズ第9弾。過去のトラウマを掘り起こしてしまって機能停止したガーゴイルを復活させるため再び過去に飛んだらそこは昭和20年、終戦直前の日本で…というお話。

すっかり「家族」として大きな位置を占めるようになっていたガーくんがいなくて、沈み込む吉永家の様子も既に十分過ぎるほどに重いのですが、戦時中にタイムスリップした後がひたすら重い。歴史の事なんか殆どわからない双葉が、その時代の人々との考え方の違いに戸惑ったり理不尽に思ったり……じわじわと戦争というものの恐ろしさが肌身に沁みてきます。更に、そんな不安なときにガーゴイルはかつての融通の利かないガーゴイルに戻ってしまっていて……戦争という暗い影の中、不安ばかりが募る展開。

一方で、自分の出来る範囲でやれることをやろうとする双葉が今まで以上に可愛い。というか本当にオトコマエな小学生だ……得意の暴力と悪ガキ的なカリスマ性で子供達をまとめあげる手腕がかっこよすぎます。

和巳達の残った現代にも不穏な影が落ち、上下巻構成で10巻に続く。うわあここで切られるのは色々と反則だ…!とりあえず続きが楽しみ。

ところで、後ろの方に「コッペとBB団」の短編が載っていて「くぬーやりやがったな!」という気分になりました。ああ、なんかこういうどっかオマヌケさんな悪役達+天然だけどスゴイ娘という組み合わせはとてもいい……ガーゴイルみたいなほのぼのさせておいて最後でちょっと泣かせに入る展開もよかったです。ガーゴイル読破したらコッペにも手を出してみようかなあと思わせる短編でした。


吉永さん家のガーゴイル8

[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二

夜のお墓で、クラスの3バカと夜の墓場で「運動会」を繰り広げ、住職にこっぴどく叱られた双葉。帰ってきたらガーくんの様子がなんかおかしい。一昨年死んだお隣のジイサンの霊に取りつかれてしまったらしいのだ。慌てて兎轉舎に駆け込んだら、今度は他の幽霊たちまで視認できるようになってしまって…!?
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町内アットホームコメディ第8弾。久しぶりに双葉&ガーゴイルがメインのお話。

佐々尾さんのおばあちゃんが登場する1巻のエピソードは1巻の中で特に好きなエピソードだったりするのですが、佐々尾のジイサンがまたいいキャラすぎる。なんていうかこういう、年輪を重ねてるのにどこかヤンチャな爺さんは良いですね。そしていろいろとターミネーターな住職様との凸凹関係がまた良いんだ。つかジイサンどんだけ素直になれないツンデレっ子なんだよ!!

佐々尾のじいさんがガーゴイルに取り憑いて、彼を成仏させるために御色町の守護霊達が追いかけてきて、しかもなぜか彼ら幽霊が人の目に見えるようになってしまって…!?といつも通りの大騒動。ガーゴイルとは違って搦め手主体の佐々尾のじーさんや、自分とは違う形で町を守り続ける幽霊達に感化されていくガーゴイルの姿が面白かったなぁ。いつの間にやら佐々尾のじいさんに戦い方を伝授してもらってる姿が微笑ましいです。

しかし、住職さんが武器の卒塔婆を自分の寺のお墓から引っこ抜いてるのには爆笑した。聖職者なのにそんなことしちゃってるアンタが一番バチ当たりだよ!!!!墓石ドミノといい卒塔婆を武器に襲ってくる住職と言い、岡田あーみんの「こいつら100%伝説」思い出した。

どこかヤンチャで無鉄砲で、でも一本気溢れるジイサンを暖かく優しく時に厳しく見守るおばあさんとの夫婦関係が素敵。ラストでは思わずホロリとさせられてしまいました。面白かったー。


余談ですが、何気にエンターブレイン公式のあらすじがおかしい件について。

夜は墓場で運動会! 夏休みの晩、寺の境内でムカデ競争や騎馬戦に熱中する双葉と三バカ達は墓石をドミノ倒しにして、あえなく御用。ターミネーター似の住職に大目玉を食らう。「ご先祖様を大切に」と諭されてもピンとこないなどと考えているうち、異変が! 最強の門番の誇りをもつガーくんが倒れ、生霊に憑かれてしまう! 町は幽霊だらけになり、災いの元を探る双葉は思いがけず死んだはずの隣のジーサンに再会する!?  ご町内ハートフルコメディ第8弾。

私の知識が正しければだけど、「生霊」ってまだ生きている人の霊のことじゃないっけ?


吉永さん家のガーゴイル7

[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二

小学校の授業で「百色のような怪盗になりたい」と言い出した梨々。どんな名目でも窃盗は犯罪だと言う双葉はそんな彼女と大喧嘩をしてしまう。どちらも考えを譲ることができずに仲直りのきっかけを見失ってしまう二人だが、そんな折りに妖しげな宗教団体と対立していた百色が行方不明になってしまって……
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ガーくんのライバル・怪盗百色と梨々にスポットが当たるシリーズ第7弾。梨々が大好きな百色のためにけなげに頑張る姿も最高なのですが、それ以上にお互いの保護者達に影響受けまくりな梨々と双葉の姿ににんまり。将来なりたい職業といわれて、“門番”になるにはどうすればいいのか…と人知れず悩む双葉が可愛いのなんの。

百色側の視点からの物語ということで、今回は普段味方の側から見ているだけでは実感しきれないガーゴイルの圧倒的な強さが引き立つお話でした。物語が割りとのほほんとしているので、言葉でいくら「ものすごく強い」といわれても実感できない部分が多かったんだなぁ。梨々がおびえるのも判るというか。

百色に憧れて「正義の怪盗になりたい」と言う梨々、ガーゴイルに影響されて「どんなに正義を持っていても窃盗は駄目だ」と言う双葉。そんな彼女を心配しながら見守る大人たち。怪盗になるには梨々が思っている以上に辛い覚悟が必要で……そんな覚悟を背負った百色が敢えて“悪”になる姿がかっこよかった。そして百色を捕らえていた人間達にガーゴイルが言い放ったセリフが物凄く印象的でした。久しぶりの錬金術ネタのバトル話でしたが、今までの中でもクライマックスの盛り上がりは髄一だったかも。本当に何度も胸が震えた。

それにしても、なんか今まで悪役で登場したキャラクターでもなんだかんだとご近所時空に取り込まれていったこのシリーズですが、今回の最後の最後でなんだか嫌な伏線が生まれてしまった予感。これはそのうち再び火種となって戻ってくるんだろうなあ…

それにしても、3巻の双葉、4巻のイヨ&ガーゴイル、5巻のパパママ、6巻の和巳、7巻の梨々…と、毎回スポットの当たるキャラクターが変わっていってその度に少しずつ違った雰囲気の物語が楽しめるのがとても楽しいです。8巻では誰にスポットが当たるんだろう…と期待しながら次巻に手をつけたいと思います。

余談ですが7巻感想をざっと見たらみんな「梨々可愛いよ梨々」みたいなので一人で地味に主張してみる。
デュラハンかわいいよデュラハン!!!


吉永さん家のガーゴイル6

[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二

クラスメイトに巻き込まれ、なぜか演劇部が新入生歓迎会で披露する劇に主演することになってしまった和巳。最初は及び腰だったものの、ヘトヘトになりながらも少しずつ演劇の練習に楽しみを見出すようになる。ところが、演劇部当てに、劇を中止するよう脅迫状が送られてきた。その台本はかつて学園で起こったとある事故をモチーフにしているらしく…?!
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妹・双葉の影に隠れて影が薄かった兄・和巳が大活躍のシリーズ第6弾。和巳が拾った台本に隠された8年前の事件の真相とは、そして台本の作者と脅迫者の正体は…!?という感じの学園ミステリー風仕立ての物語です。

演劇の台本が8年前に起きた事件をモチーフにしていて、作中劇と実際の事件での配役を見立てながら事件を解決する様子はなんとなく同じレーベルの「文学少女」シリーズを髣髴しましたが、ドロドロはしてなくてむしろそのあたりは「ガーゴイル」らしくサッパリ綺麗に終わらせてくれます。台本の作者はなんとなく想像が付いていたんだけど序盤のひっかけにはまんまと騙されてました。

謎の脅迫者から演劇部を護る為にガーゴイルに護衛を依頼するのですが、気がつけば和巳達の良い相談役になっているガーゴイルの、精神的な成長に思わずニヤリとしてしまいます。序盤のとにかく空気読めないガーゴイルを知っているとこの短期間でどれだけ成長したかを思って胸が熱くなる。そして何気にカラーページの漫画がいいんだよなあ…作品を読みながら、ガーゴイルが和巳の学校に行ってる間の御色町を想像するだけでニヤニヤが止まりません。

なよなよしてるけど優しくて生真面目でまっすぐな和巳のキャラクターがよく出ているお話。これは単純な双葉ではこういう展開に出来ないだろうし、主人公が和巳だからこそのお話という感じが素敵です。ただ、個人的にはますます和巳が何故「女と見まごう美少年」設定なのかわからなくなってきたなぁと。これまでは彼自身の影が薄いから死に設定化しててもそこまで気にならなかったけど。彼がメインを張ったお話でここまで完全に死に設定になってるのを見ると、せいぜい普通の美少年くらいにとどめておけばよかったのでは…という気がしてしょうがありません。この作品で「和巳モエー」な展開をやられても多分かなり困りますが、性別不詳キャラスキーとしてはやっぱり設定生かせてない部分が気になるんだよなあ…。

それにしても後書き読んで噴いた。この冊数を1年で出したのかよ!!速筆すぎ。