“秋” の検索結果 | ページ 13 | 今日もだらだら、読書日記。

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塩の街 Wish on my precious

[著]有川 浩 [絵]昭次

突然降って来た隕石により人々が次々に塩の柱と化し、塩で埋め尽くされるという“塩害”に見舞われた世界。社会機能が凍結した世界で偶然であった秋庭と真奈は、隕石が落ちた場所に程近い街で静かに暮していた。二人の前を、様々な人々が通り過ぎていく…
 

今「空の中」「図書館戦争」ですっかり有名になってしまった有川浩さんのデビュー作。

次はいつ自分が死ぬか判らない、世界の終末といっても過言ではない極限状況でも生きようとする人々を描いたストーリー。塩害に立ち向かう人々を描くのではなく、そこで懸命に生きようとする人々の姿をどこか冷静な主人公二人を軸にして描いたストーリーは、良くも悪くも新井さんの「ひとめあなたに…」を思い起こしてしまいました。どちらも終末ものだけど、凄くしっかりとラブストーリーなのです。

一つだけ気になったのが、デビュー作で完結作品だから仕方がないとはいえ最後の締め方は少々展開が強引というか…それまでの淡々としたゆっくりした時間の流れを感じるストーリーとはまるでベツモノに感じた点。あれよあれよという間に燃え展開になっていてびっくりした(笑)クライマックスでは必然的に二人が「世界を救う」という展開になりますが、個人的には序盤のような滅び行く世界で生きる人々の姿を最後まで描いてくれてもよかったんじゃないかなとか思ったり。

入江が真奈を前にして言った台詞がこの物語の真髄を改めて現しているようで、凄く印象的でした。一言で言えば、世界を巻き込むラブストーリー…ではなく、ラブストーリーに世界を救うという事実が便乗しているというか。こういう話はかなり好きなので今更ですが有川さんの本をもっと色々読んでみたい所です。


学校の階段

オンライン書店ビーケーワン:学校の階段学校の階段

発売:2006.2
発行:エンターブレイン
[著]櫂末 高彰 [絵]甘福 あまね
半ばなりゆきで学校の階段を昇ったり降りたりする部活「階段部」に入り、仲間と共に青春するという一風変わったスポ根小説。
タイトルを聞いてホラー(怪談)だと勘違いしてはいけません(笑)

学校の廊下を走る・階段を駆け降りる(昇る)という本当になんでもない行為を一つの「スポーツ」として描いてしまうところが着眼点として、本当に凄いと思う。
「人の流れ」を始めとして不測の事態まで計算に入れないといけないと言う辺りなど、物凄く奥深い。
特に人ごみを避けるって難しいんですよね?…毎日東京駅を寝ぼけ眼で通勤していると5回は前から来た人とぶつかります。
私も「階段部」で人ごみを避ける方法を教えてもらうべきですか?

イラストや基本設定(カラー口絵)などを見るとだいぶ萌え狙い小説っぽいのですが、ところがどっこい中身は激しく熱いスポ根です。
というかだいぶイラストで損してる気がするなあ…作風に対して明らかに萌え系な絵柄が浮き上がってる気がするし、何より全体的にもっと「カッコ良く」描ける絵師さんをつけてほしかった。特に男の子が些か可愛いすぎて個人的にかなり不満。
なんでもショタロリにすればいいってもんじゃないぞ!!

あと小夏のキャラが薄すぎて、後半でせっかく美味しい見せ場があるのにまず「え?こんなキャラ居たの?」っていうのが先にたってしまった。なんか最初から「3人の従姉と同居」にしておいた方がよかったんじゃないの?小夏と千秋はどちらか1人で十分事足りたかと…。

何はともあれ階段部の各キャラクターについても気になる過去がかなりあるっぽいので続編に期待です。


ガンソード 夢見る頃をすぎても

オンライン書店ビーケーワン:ガンソードガンソード

発売:2006.1
発行:角川書店
[著]倉田 英之 [絵]植田 洋一
2005年秋から放映されていたアニメ「ガンソード」のノベライズ作品。
アニメ本編第一話の前となる話だそうです。

メインキャラクター?の3人を主人公にした短編的な小説が3本。3本とも全く毛色が違い、またアニメ本編前のストーリーとなっているためアニメを見ていないと判らないといったような部分が全く無く、またアニメを全部見た人にも美味しい内容となってます。アニメを見たことが無い人はそのままアニメへ?という形になっており、ノベライズとしてはかなり理想的な形じゃないでしょうか。

2章のカルメンの話もかなり好みな話なのですが、やはりなんといってもラストのヴァンが主役の短編がぶっとびすぎで面白いです。
というか、あれって明らかに天才バカb(強制終了)
版権は大丈夫なのか!?


ブラック・キャットI

4086106302ブラックキャット (1)
[著]新井 素子 [表紙]石関 詠子 [絵]山崎 博海
集英社 1984-01

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某ジャンプの萌え漫画ではないのであしからず(笑)

調べてみたらこのシリーズ、10年ぶりの新刊発行なんですよ。
通常の本も私が高校生時代に出た「チグリスとユーフラテス」が最後で止まってて
新潮とかだと既に概巻が軒並み絶版状態になり・・・
そんな状態で文庫が平積みになっていたので喜び勇んで買ってきてしまいました。

それで、第一巻。表題作「ブラックキャット」と短編が数作収録。
挿絵は今の新潮文庫みたいな感じの絵で、今のライトノベルからは一線画した感じ(3巻で挿絵変わりますが)
それもそのはず。この本って初版20年前なんですよねえ。そりゃ古く感じるはずだ。
ご当人があとがきで「短編は苦手」と書かれていますが確かに長編の方が面白い感じ。
でも、短編は短編でまた長編とは全然違ったテイストで楽しめて、面白かったです。

盗むとき以外は不器用なスリの千秋、運動の出来ない泥棒「キャット」、人が殺せない殺し屋の明拓。このまさに「三重苦」な3人が協力して怪盗ブラックキャットとして宝石を盗み出すという話。三人とも技術としては超一流なんだけど、どこか変わっているというかなんというか。まず「スリなのに不器用」とか「泥棒なのに運動できない」なんて設定からしてかなり好み。あとは、根本的に新井素子さんの書くストーリー、キャラクター、世界観に私が惚れ込んじゃってるんで。悪役が居ても、どこか憎めない。そんな雰囲気とか世界観とか。
更にどうしようもなく文章の語り口が好きなんです。

もうちっとも本の紹介になってませんが、是非ご一読を。本当に面白いから。

話は変わって、短編の方の感想。
これ、まず読んで感じたのが「素子さんの本なのに一人称じゃない!」でした(笑)確かに主人公の一人称じゃない小説も結構あったんですよ。「チグリスとユーフラテス」とか「おしまいの日」なんかもそう。でも、それにしてもなんだか喋り言葉を聞いているような、そんな独特の文の書き方じゃないんですよね。

個人的には「チューリップ」と「でんしゃのあいちゃん」が好きだったかな。
どっちも後味的にはかなり怖い、ホラーっぽい話なのですが・・・
起こった事件自体は非常に残酷なのに、この人が書くと全然誰が悪いって雰囲気じゃなくなってしまうのです。


ブラック・キャットIII キャスリング

ブラック・キャットIII キャスリング
[著]新井 素子 [表紙]四位 広猫 [絵]山崎 博海
 
表紙だけ挿絵交代。確かに2巻までの表紙じゃ今のコバルトの方向性にそぐわないんだろうなあ。

遂にストーリーの核心部分に入ってきて、登場人物の役割も変わってきました。そして個人的にはどんどんヘタレになっていく明拓ちゃんが最高(笑)このままだと千秋はむしろ山崎ひろふみとくっついちゃいそうで怖いですね。しかし、この2人が一緒になったら色々と大変なような気がするよ。

キャットの過去とか、暗い部分がどんどん見えてくるのに作品全体にはやたら暢気な空気が漂ってると言うか、なんというか・・・むしろ山崎ひろふみが一人でシリアスな雰囲気をぶち壊していくというか(待て)
千秋も結構そういうタイプなんですが、山崎ひろふみのキャラはやっぱ最高だと思います。あのキャラは本気で主役を食ってしまっている気がする。

一番好きなのはひろふみと千秋が意気投合して呑みに行っちゃうところです。緊張感なさすぎな二人が最高!(笑)

ちなみに後編のレビューは間があきすぎて書けなかったorz


ブラック・キャットIV チェックメイト

ブラック・キャットIV チェックメイト(上)
[著]新井 素子 [表紙]四位 広猫 [絵]山崎 博海
 
ブラック・キャットIV チェックメイト(下)
[著]新井 素子 [表紙]四位 広猫 [絵]山崎 博海
 

相変わらずキャラクターの破天荒っぷりが凄い。山崎ひろふみはもうシリーズ通してありえないということで決着つけるとして今回は千秋もキャットも明拓ちゃんも、キャラクター全部が思いっきり暴走しちゃってる感じでした。

でも、ブラック・キャット3人の行動は結局相手を思いやる行動から出てるって考えると凄いほのぼの、そして和めました。クライマックスのキャットの描写がまたすっごい綺麗で。兎に角、3人(+1人)とも幸せになれてよかったって感じでした。

山崎ひろふみは…最後まで色々と爆笑だったんですが。
ゆくえさん……(笑)

最後に。
この作品、全部通して読んでよかったよ?。
IIとIII、IIIとIVの間にそれぞれ9年ずつって、間空けすぎ…(苦笑)


突撃アンソロジー 小説創るぜ!

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[著]秋田 禎信、神坂 一、榊 一郎、賀東 招二
[絵]金澤 尚子、すまき 俊悟、小笠原 智史、ひろやま ひろし、鶴田 謙二
 
読者のリクエスト葉書を元に小説を書くという企画の単行本化。

執筆陣は「オーフェン」の秋田禎信、「スクラップドプリンセス」の榊一郎、「スレイヤーズ!」の神坂一、「フルメタルパニック!」の賀東招二とライトノベル好きじゃなくても聞いた事はある作品の作者ばかりです。(というか、アマゾンの作者名に賀東さんの名前だけ抜けてるのは何かの虐待行為とかそういう方向ですか)

正直最近じゃすっかり新人さんの作品は富士見より電撃な感じで一時の知名度はどこに?って感じがしなくもない富士見なんですが(というか最近正直富士見ファンタジアの新人で当たり引いたこと無いんで言ってるんですが)こればっかりは、著作の知名度に負けて買ってしまいました(笑)
一応賀東さん以外は一冊以上著作を読んだことあったので、興味あったというのもあり。(ちなみに秋田先生ので読んだことあるのは何故か「オーフェン」じゃなくて最新作の「エンジェル・ハウリング」だったりします…)

全体的に言ってどれも面白いです。流石富士見の人気どころを集めただけはあるなという感じ。葉書に書かれたリクエストのひねりかたも流石ベテラン(?)作家さんだけあるなーと。

賀東さんの話は特に、レビューサイトでは酷評されてましたが、その皮肉り方はうまいと思います。いやまあ自分があのハガキ送った立場だったらちょっと嫌だけど。私はこの作品がきっかけでフルメタルパニックに手を出す事になったので(笑)
秋田さんの話も最初から最後までどシリアスな「エンジェルハウリング」しか読んだこと無い私にはやばいくらいコテコテのギャグしてくれてて、新鮮だったり。

最終的に一番好きなのは神坂さんの「明日の大魔王」かな。
特有の軽快なノリとありえない設定に大爆笑させてもらいました。

個人的には第二段希望なんですがやっぱダメかな?。