“秋” の検索結果 | ページ 11 | 今日もだらだら、読書日記。

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馬鹿は一人でたくさんだ! 魔術士オーフェン無謀編2

[著]秋田 禎信 [絵]草河 遊也

地人の兄弟やマギーに翻弄され、ちっとも身入りのないオーフェン。遂に正真正銘一文無しになってしまった彼は、自らの生活の為、貸し金の取立てに向かうのだったが…!?
  個人的お気に入り度数
金貸し魔術士のオーフェンが周囲の愉快な人々に翻弄されるハチャメチャな日々を描いた短編集シリーズ第二弾。

なんか読んでるうちに、不幸っぷり炸裂なオーフェンの姿が可愛く思えてきた。なんだろうこの典型的な「振り回され属性」。金貸しの仕事が上手く行かず、生活の困窮っぷりも洒落にならないレベルになって来ました。後半になると最早借金の取立てを諦め、街頭で恐喝(本人的には『靴磨き』)を始めてしまったり、プライドも何処吹く風状態。微笑ましすぎる……というか、この人ヘタに頭使って金貸しやるよりも適当に賞金稼ぎか何かやった方が性にあってるんじゃないだろうかと思うんだけど。きっとオーフェン、短編集の後半では主食が塩水になるに違いない。

そして相変わらずキリランシェロが可愛いです。アザリー・テッシの女傑コンビに振り回されるキリランシェロの姿がとてもいとおしく思えました。あー、でも、この頃から彼の「振り回され属性」は確立してたんだなぁ…(しみじみ)


流れに乗って懐かしのラノベを語ってみる。

ついったやら何やらで、懐かしのライトノベルをブログで語る流れが盛んなようなので便乗してみます。一昔前のコバルト・スニーカー・富士見F・ソノラマあたりを中心に。

余談ですがこのエントリのせいで、「ロスユニ」を読み返したくなった私が居る。

コバルト中心少女小説系
408610783X殺人切符はハート色 (集英社文庫—コバルト・シリーズ)山浦 弘靖
集英社 1985-09
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恋多きツンデレ乙女・星子さんが「いい男探し」の一人旅中に毎回事件に巻き込まれるというトラベルミステリー。「ひとり旅」だけで37冊、その後の「星子&宙太ふたり旅」「星子とらぶるファミリー」まで含めるとシリーズ全52冊という超長編ですが、ストーリーは基本的に1巻完結なので読みやすくはある。私は星子と宙太の微妙なすれ違い関係が好きなので「ひとり旅」までをオススメ。

40619036832100年の人魚姫 (講談社X文庫—ティーンズハート)折原 みと
講談社 1989-10 
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ティーンズハートというとこの人の思い出ばかりだ…なんていうか、夢見がちな女の子のハートにどーんと直撃する王道少女漫画系(というか本職は少女漫画家という珍しい経歴を持つ人)。この人の場合特出してお気に入りのシリーズがないから薦め辛かったりするのですが、逆にいえば安心クォリティで1作ツボにハマったらほとんど全部オススメできるかも?1巻モノが多い(除アナトゥール)ので適当に挿絵で選んで読んでたなあ。昔の絵の方が好きだった

4086145685なんて素敵にジャパネスク (コバルト文庫)氷室 冴子
集英社 1999-04 
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やっぱり平安スキーとしては「ジャパネスク」ですよね!!!しかし、中学の図書館で1回通し読みしただけなので内容覚えてません…すいません。面白かったことは覚えているのでいつか読みなおしたいシリーズですが。…今のうちに手元にそろえて置いておくべき?「クララ白書」「アグネス白書」あたりも好き。

4199050779くますけと一緒に (徳間デュアル文庫)新井 素子
徳間書店 2001-10 
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公言する程の新井素子好きなのに、コバルトの新井素子は殆ど読んでません…狂気系新井素子はあまりラノベに落ちてこないんだよな…。とりあえず素子さんに関してはこちらで熱く語ってます。「おしまいの日」は私の未成年時代の読書経験で一番の衝撃だったと断言できる。

スニーカー・富士見ファンタジア全盛期
404414608X闇の運命(さだめ)を背負う者〈エピソード3〉 (角川スニーカー文庫)神坂 一
角川書店 1999-02 
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神坂一の学園異能バトルもの。中二病患者の主人公が邪気眼全開の転生戦士達の戦いに巻き込まれるというお話。2巻までなら普通の邪気眼異能バトルなんですが、3巻が良くも悪くも……スレイヤーズ本編2部の最終話みたいな展開に噴いた。主人公は結局、最後まで中二病罹患したままだったねえ。

4829128712SMガールズ セイバーマリオネットJ〈11〉機械乙女は少年の夢を見るか? (富士見ファンタジア文庫)あかほり さとる
富士見書房 1999-03 
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当時の富士見Fで一番ハマったのは「スレイヤーズ」よりこっちかも。女性のいない世界で感情を持った3人のマリオネット(機械人形)を目覚めさせた少年・小樽が人間の女性の復活を目指して戦っていく話。ドタバタ系ハーレムラブコメかと思わせておいて、後半は機械と人間は愛し合えるのか…などかなり重い話題が中心になってきます。ラストの終わり方は賛否両論ありそうだけど、なんか凄い好きだった…。…ちなみにキャラ的にはティーゲル姉ちゃんイチオシ。

4044156085ぶれいくだうん・いのせんす—クロックワーク〈2〉 (角川スニーカー文庫)山本 剛
角川書店 1999-01 
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感情を持ち成長するゼンマイ仕掛けの機械人形・チッタとしがない30代探偵シャフトが繰り広げるSFファンタジー。最終巻は急展開の急展開でちょっと強引にオチをつけたような気がしなくもなかったけど、空の上に段層的に街が広がる世界観とか、ちょっとほのぼのとしたキャラクター達が好きでした。山本剛というとやはり「魔導物語」のノベライズもイチオシなんだけど、これも結構好き。

482912881X闇 終わるとき—ロスト・ユニバース〈5〉 (富士見ファンタジア文庫)神坂 一
富士見書房 1999-04 
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神坂作品もういっちょはいりまーす。宇宙をまたにかけた「なんでも屋」が繰り広げるスペオペ。マントマニアで婆コンでスター●ォーズな主人公・ケインがとてもとても好きでした。代表作である「スレイヤーズ!」と世界設定がつながっているんじゃないかと思わせるようなキーワードもさりげに登場するので、スレイヤーズ好きだと結構ニヤニヤできます。

4257768991倒凶十将伝 巻之拾参 (ソノラマ文庫)庄司 卓
朝日ソノラマ 2006-02-25 
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400年の時を経て転生した光の幽将たちが現世魔王の復活を食い止めるべく戦うというお話。幽将達はかつて一度悲劇的な終末を迎えていて、その辺の過去話が結構衝撃だった記憶が。ウン年ぶりに最終巻が発売されてめでたく完結しましたが間空きすぎてて内容殆ど忘れてしまっていたのがとても残念でした。全巻手元にあるのでいつか読み返したい…。

4257768258ペリペティアの福音〈上〉聖墓編 (ソノラマ文庫)秋山 完
朝日ソノラマ 1998-01 
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宇宙の葬儀屋とライバルの巨大医療法人がとある星でみつかた聖墓を巡って争いを繰り広げるお話。同じ世界設定のシリーズが他にもいくつかあるようなので、読んでみたいと思いつつ爽やかに積んでいる私です。名前忘れたけどラスボスポジの腹黒系ロリ少女がとても良い感じでした。

電撃の「Missing」とかノベライズ話とかいろいろネタはあるけど長くなりすぎたのでこの辺でストップ。


ガーゴイルおるたなてぃぶ

 

普段はガー助って呼ばれてる自動人形、俺の名はガーゴイル。遠くの町を守る最強の門番にあやかって名づけられた。猪崎市のとある雑居ビルが俺と相棒の住処だ。そこで駆け出し錬金術師のひかるとなんでも屋「鳥屋」を開業し、普通じゃ解決できない仕事を引き受けてる。暴走ダチョウの捕獲が済んだら、次の依頼は見たことも聞いたこともない巨大生物の相手だと!?どーすんだ。俺に任せすぎんなよ尻デカ天パー女!新“錬金”コンビが贈るハートフルコメディ。(「BOOK」データベースより)

個人的お気に入り度数

吉永さん家のガーゴイル」と世界を同じくし、本編でも少しだけ登場した古科学者と新米錬金術師・ヒカルともう一人のガーゴイルの戦いを描く番外編的シリーズ。

バトルメインの展開自体は悪くはないんだけど、無理にバトルシーンを増やそうとして持ち味である人情味とかご近所成分が潰されてしまってる印象で、それがかなりキツイかなぁ…というか、物語の裏にはちゃんと「ご近所成分」がありそうな気配がするのに、それを描いて貰えないというのが凄くもどかしい。ご近所成分不足でとても欲求不満。

キャラ立てが終わる前にバトルに入ってしまっているので、各キャラに感情移入しづらい。特に高原喜一郎という、本編でしっかり描かれているキャラが登場するとどうしてもそっちに目が行ってしまう。ていうか喜一郎可愛いよ喜一郎。

ヒカル達が古科学を憎むようになった理由も中途半端にしか語られず、当事者であった千秋はとにかく、ヒカル達がそこまで彼らを憎む理由がイマイチ伝わってこなかったり。基準がどうしても本家本元の吉永家&ガーゴイルになってしまっているからか、ヒカル達の心が狭いように感じてしまう。うむむ……。バトルもいいけど、もうちょっとその前にキャラ立てをがんばってほしいというか…。

とりあえず、本家「ガーゴイル」とのクロスオーバーが気になるのでもう少し読んでみたいと思いますが、できれば次はもうちょっとバトル置いておいてキャラメインの展開にしてほしい……。


今からでも書ける!?読書感想文にお薦めしたい10冊のライトノベル

さてさて、夏休みも残り1週間となりました。
夏休みの宿題に追われる学生さんも多いと存じますが、いかがお過ごしでしょうか。
昨今では読書感想文のコピペが社会問題になったりしているようですが、
当ブログにも「(作品名) 読書感想文」で検索された方が少数ながらおられます。

うちのブログでの、栄えある読書感想文検索数第1位は「ミミズクと夜の王」です。無難な選択ですね。
そして、第二位は「終わりのクロニクル」でした。本気ですか。
あの分厚いシリーズを読んだことにしようとする根性はある意味立派ですが
先生がうっかり内容を知っていた場合、色々と気まずい思いをすることになりそうです。

というわけで、当サイト的にお勧めな読書感想文にお薦めな10冊のライトノベルをご紹介。
せっかくなので残りの5日弱、素敵な読書体験してみませんか?
(え?宿題忙しくてそんな暇ない?それはごもっともで……)

【ご利用上の注意】
・中学・高校生向けです。小学生にはあまりお勧めできません。
・基本的に1冊完結物を取り上げていますが一部シリーズものがあります。
・感想のコピペはしないで、とりあえず読んでみましょう。どれもすごく面白いよ!
(つかコピペするくらいなら真面目な文学で感想文を書くべきではないかと思う…)
先生から題材について文句を言われても、当方は一切責任を負いません。


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てめぇら、とっとと金返せ! 魔術士オーフェン無謀編1

[著]秋田 禎信 [絵]草河 遊也

金貸しをやりながら一人旅を続ける黒魔術士・オーフェン。ところが、地人の兄弟ボルカン&ドーチンに振り回され、身入りの無い日々を送っていた。しかも彼ら持ち込む依頼はヘンテコなものばっかりで…!?
   個人的お気に入り度数
1年半ほど前に大人買いして、「はぐれ旅」1巻を読んだまま積みっぱなしだったオーフェン。「なかなか積読が減らないの!」と泣きついたら既読の友人から「たぶん無謀編のほうが読みやすいよ!」というありがたいアドバイスを戴きました。というわけで、金貸し魔術士のオーフェンがクリーオウやマジクと出会う前に出会った依頼を描く、短編集です。

………うーん、面白い事は面白いんだけど、こういうのって最初にやったもの勝ちというか、最初に読んだ作品の一人がちというか……ちょっと正確歪んでるけど才能はある天才系キャラが何かおかしい変人達に振り回されて…みたいな展開は、スレイヤーズすぺしゃるやフルメタの「?」シリーズに代表される富士見F系短編集のテンプレート的展開ですよねー、という感じで、1巻なのに全く始めて読んだ気がしないというのはどういうことだろう。

学生時代に「スレイヤーズすぺしゃる」を文字通り飽きるまで読破した(シリーズ30巻中20巻まで頑張ったよ!)身としては、あまりにも目新しさがなかったと言うのが本音だったりする。いや、どっちがどっちの二番煎じというのは論じないとして、単純にこのテの話は読み飽きてるんだ…私にとっては。きっとスレイヤーズとオーフェンをリアルタイムで交互に追いかけていけば、素直にこちらはこちらで楽しんで読めたんだろうなあ。なんで私、スレイヤーズはほぼ全部読んだのにオーフェンは未読なんだろう……(しかも「エンジェル・ハウリング」は途中まで読んでいるという不思議)

今のところ同時代に人気を二分した富士見の「スレイヤーズすぺしゃる」シリーズと違う部分を見出せなかったので、どうしても絶賛は出来ないかなぁ…。1編あたりの分量が少ないので、気分転換に崩していくには良いかもしれませんが。噂によると、無敵属性執事が出てからが本番らしいので、一気に件の執事が出るところまで飛ばすのもありかなあとか思う今日この頃です。

あ、忘れてた。ちっさいキリランシェロかわいいよキリランシェロ。過去編のためだけにシリーズ追いかけてもいいと思うくらいには可愛かったよキリランシェロ!!無感情系生意気天才っ子と逆ツンデレ系お兄さんなコンビは萌えますね!!


今月のまとめとオススメ本[2008年6月分]

2008年も上半期終了ですよ!時の流れは速い……
というわけで今月の読了本は18冊でした。見事に4月以降、月18冊ペースを維持しています。
去年の平均が17冊なので多少増えているのか…。

2008年6月の感想ページアクセストップ4

名誉欠番:「バカとテストと召喚獣1」(今月も元気に第三位とかでした)

花園のエミリー
⇒感想

バカとテストと召喚獣4
⇒感想


ドラマCD バカとテストと召喚獣
⇒感想

とある魔術の禁書目録16⇒感想

毎月、月末の半端な時期に出るファミ通文庫はこういう記事作るときにアクセス数が分散されて1位取れない宿命にあるよなあ……というわけで、今月ぶっちぎり1位を維持していたバカテス4巻、最後の最後で「エミリー」に追い抜かれる。ってスーパーダッシュも月末発売なんですけど!!ネタバレ防止で長らく「続きを読む」仕様にしていたのが原因か、それとも「booklines.net」さんと「Alles ist im Wandel」さんがダブルでうちの記事を取り上げてくれた関係か…でも6月1番のオススメも「花園のエミリー」なので、皆さん是非読みましょう。

2位と3位はもう…何も言うまい。なお、バカテス1巻を名誉欠番にしなければ3.5巻発売直後と同じような顔ぶれになっていたという素敵な罠。余談ですが感想ページを除く今月アクセス数1位はバカテス人気投票支援してましたページで、今月のアクセスベスト6位(禁書16の下)にはバカテス3.5巻が控えていますが何か?

というわけで名誉欠番により、順当にアニメ化決定の「とある魔術の禁書目録16」が繰り上がり。今回も良い熱い展開でした。検索ワードの方に、何気にアックアさん関係が多かったのが印象的。今までの禁書シリーズの中でも有数に良い敵キャラだったと思いますアックアさん。

2008年6月に読んで面白かった本



紫電一閃!華蝶仮面3(上)
⇒感想

ベン・トー2
⇒感想

死神姫の再婚
⇒感想

SH@PPLE?しゃっぷる?2
⇒感想

花園エミリーがアクセス数の方でTOP4入りしてるので、繰上げで曹操様可愛いよ曹操様な「紫電一閃!華蝶仮面」が一人勝ち。とりあえず百合かツンデレが好きならなんとしても読むべき1冊。ちなみに私、曹操×董卓じゃなくて董卓×曹操だと思うんだがいかがなものか。「ベン・トー2」は持ち前のアツさもさることながら、どんどん受キャラ化として本領を発揮する主人公に100万票!「死神姫の再婚」はツンデレ鬼畜×天然娘な夫婦にキュンキュンしっぱなしで、もっと早くに読めばよかった?と大後悔しましたです…はい。

しゃっぷる2」は、1巻でツボだった燃え展開が少なくて★評価は低めなのですが、安定して楽しめる少女漫画的ラブコメで、今年始まった新シリーズの中では屈指のオススメ作品です。女の子には特にオススメしたい1作!

2008年6月の面白検索キーワード

先月、数ヶ月ぶりに検索語句総合ランクTOP1から滑り落ちたバカテスですが、今月はアニメ化確定の「とある魔術の?」を破って華麗に1位に返り咲き。新刊発売効果でパワーアップして帰ってきました。


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えむえむっ!

[著]松野 秋鳴 [絵]QP:flapper

佐渡太郎は先祖代々にその血が流れる由緒正しき(!?)ドM体質。自らの初恋成就のため、ドM体質の克服しようという決意をして『願いを叶えてくれる』という噂を持つ第二ボランティア部に足を踏み入れるが、部員の一人が太郎のドM体質を開花させるきっかけを作った少女で…
   ( 評価不能 )
いやあの、なんていうか、なんとコメントしたら良いのやら……

「主人公がドン引きするくらいのドM体質」というのは読む前から聞いていたんですが、噂に聞くのと実際に読むのでは天と地ほどにも差があるというのはこのことかと生まれて初めて実感した気がします。……体質だと、それがどうにもならない遺伝体質だとわかっていてもやっぱり主人公がキモイ。正直この「ドM体質」はこのラブコメにおけるコメディ部分を受け持つ重要な要素であることは理解できるのですが、人間には、理屈では判っていても我慢できない「生理的嫌悪感」というものがあるのだということを思い知った気分です………コメディで済ませるレベルじゃねえぞ!!!

えーと内容としては、正太郎まで変態になっちゃった「ボンボン坂高校演劇部」という印象でしょうか。あの漫画は正太郎が唯一の常識人だからこそ成り立っていたのに(後半ちょっと壊れてたような記憶があるけど…)、この物語では最初から唯一の良心のはずのポジションがどうしようもなく陥落してしまっています。

なんか全体的に、キャラクターが肌に合わなくてきつかった。主人公のドM体質にもドン引きだったし、ベッドに潜り込んで近親相●を求めてくる母親&姉にもドン引きだったのですが、それ以上に辰吉の女装が……うわああああん!!!ぶっちゃけ「女装少年」という言葉を期待して買ったという裏話があるだけに本気で泣いた。あれはないわ…前半の“シホリ姫”のくだりあたりまでは結構良かったのですが、その後辰吉の才能が開花してしまったところで漢泣きした。……先生、ムリです……アレに萌えるには、女装少年萌えスキルよりもオカマ属性萌えスキルが必要な気がしてしょうがありません……イタイケなオトコノコに女装させて、頬を染めながら嫌がる姿をみて萌える私にはもう……もう……(えぐっえぐっ)

……ただ、もうとにかくキャラクターは駄目だったのですが、主人公の家族以外の女の子キャラがかなり魅力的なのと本筋は結構…いや、文句なしに面白かったのは本当にどうしたらいいのでしょう。ツンデレっつーかむしろサドデレ?な石動先輩が時々見せる、後輩思いの優しさには思わずグっとくるものがありますし、嵐子と太郎が不器用ながら少しずつ二人の距離を詰めていく(文字通りの意味で)姿は素敵でした。過去のトラウマに怯える嵐子の所に太郎が駆けつけるシーンは、ドM体質をそんなところで利用するのか!!!と噴き出してしまいました。そしてラストの殴り合いのシーンが熱過ぎる。それまで駄目人間すぎだった部分を散々見せられてきたからこそ、最後のシーンでは胸が熱くなった。ほんと、あの体質がもうちょっとアレなら、結構好きなタイプのキャラなのに、もったいないなあ…!!

いやもうなんていうか、本当に新しすぎるというか私には完全に評価不能。
どうしても一部キャラへの生理的嫌悪感が……物語の本筋は面白かったんで、あと1?2冊くらいなら読んでもいいかなーと思うんだけど、正直キャラが受け入れられないのが致命的すぎる気がするのでサクっと切ってしまった方が良さそうな気が……ラブコメ強化方向に行ってくれるなら読みたいのですが、これ以上ドM体質とか女装趣味とかに磨きがかかると、挫折しそうな予感でいっぱいです。

4巻に入るという噂のBL展開が気になって手を出したシリーズなのですが、太郎と女装モード辰吉でBLっていう話だったら、正直いらないかなー……


イヴ・ザ・ロストワン

[著]山田 桜丸 [原作]C's Ware

内調の新人・桐野杏子は着任早々ワールドトレードビルセンターで爆発事故に巻き込まれる。その時、一緒に事故にあった女性が殺害され、彼女はその事件を追う事になるのだが…。一方、ワールドトレードセンターを爆破した男は“アドニス”となる人物から脅迫を受け、“SNAKE”として動くことを余儀なくされる…。
  個人的お気に入り度数
桜庭一樹先生、直木賞受賞おめでとうございます!!

というわけで、急遽今月は「積んでいる桜庭作品を読もう月間」と決定してみたわけですが(といってもたった3冊しかつんでないんですけどね!)1冊目は桜庭さんがファミ通文庫からデビューする前、「山田桜丸」名義でゲームシナリオを担当された作品“イヴ・ザ・ロストワン”のノベライズ作品です。実は「EVEシリーズ」は一通りプレイ済、桜庭さんのノベライズ版もこの1冊以外すべて読んでいる私なのですが、「ロストワン」のノベライズだけは絶版になっていた関係で長らく手元になく、こうして漸く手に取ることが出来た、のです、が……これは正直ノベライズと呼んでいいのか……あまりにも出来が酷い。前半は特に「小説版」とは、とても呼べない。

まず、姿無き爆弾魔“SNAKE”の正体が明かされ、エルディアに舞台が移るまでの過程が、ダイジェストで必要最低限にしか語られていません。その為、この作品は絶対に原作ゲームをプレイした人以外にはオススメすることが出来ません。多分、前知識を全く持たずに読んだら何が何だかわからない上、“SNAKE”の正体だけ明かされてしまうという状態に陥るでしょう。この状態では原作ゲームをやってもちっとも楽しめやしない……本当にこれは、ゲームを既にクリアした人のための副読本扱いしてしまってよさそうです。

ただし、登場人物達がエルディアに舞台を移した後の展開は中々面白いです。ゲームをクリアしていればという前提条件が必要となりますが…。特に杏子とSNAKEの視点でのみ語られてきたストーリーに第三の人物である「プリシア編」を追加したのは上手かったと思います。というか、原作ゲームで「???」だった部分がかなりプリシア編で明かされたりするので、原作ゲームの展開が意味不明だったという人は読むと良いのではないかと。結構面白い事実が浮かび上がって来るし、<EVE>の眠りを護りながら、彼女の目覚めを待ち続けるプリシアの心理描写は流石という感じ。

また、SNAKEの行動の理由が明かされたのも良かったですね。結局原作のゲームだと正体が明かされるまでの杏子編ではあまりにも存在感がアレだし、最後の行動の理由も意味不明だし……とある意味謎に包まれていたSNAKEの心理描写が結構あったのは嬉しかったです。ただ、杏子がSNAKEの中の人に惚れてるっぽい描写は素で引いた。それはさすがに強引過ぎるよ!!!

ただ、残念だったのはなんでこれ、ゲーム内で補完してくれなかったんだ!ってことなんですが……プリシア編がED後でもいいので追加シナリオとして追加されたら、ここまでロストワンが糞ゲー扱いされることも無かったんじゃないかと言う予感が。

ロストワンというゲームは、「EVE burst error」という名作PCゲームの続編として作られ、大変に評判がよろしくなかったアドベンチャーゲームです。むしろ糞ゲーとして名前が知れ渡っているゲーム。実際改めてプレイするといろいろトンデモ設定があって、確かに「ミステリー」や「サスペンス」としては全く成立していないような気がします。ただ、その辺が気にならなければそれなりに面白いゲームだと思います。パソコンを通して語りかけてくる脅迫者「アドニス」の薄気味の悪さはかなり衝撃的ですし、プリシア&真弥子の一瞬の邂逅も好き。そしてエルディア編で訪れる終末的な描写はかなり圧巻のものがありました。その辺は凄くツッコミどころ満載な設定をさて置いても楽しんでプレイできたと思います。

実は私、EVEシリーズの中では一番この作品をやりこんでいたりするのですが。
今から考えると、新人賞をとった作家さんが書いてくる設定はめちゃくちゃだけど魅力はある、「B級ライトノベル的」なアドベンチャーだったかと。

…いや、なんていうか、凄く、「burst error」という名作の続編として作られたことで物凄く損した作品だと思うんですよね、これ。面白くないわけじゃないんだけど「burst error」と面白さのツボが全く違うので、前作ファンが怒り狂うのも理解は出来るんです。出来が悪いことを否定する気も毛頭無いし。

ただ、いっそ全くの別のシリーズとして作られてれば、あるいは…とか思ってしまう、今日この頃。



ところで、他に感想書いてる人がいないのかーと思って検索したら、「雲上四季」の秋山さんが感想書かれてるじゃないですか。

……と、とりあえず「ZERO」「TFA」「バーストエラープラス」のノベライズは面白いんですよっ!?3作品とも原作の前後を描いた番外編なので過度な原作知識は必要とされませんし、それぞれ女性キャラの心理描写に焦点を当てる事で「桜庭一樹」さんらしい作品になっていたかと思います。「ZERO」は1年ほど前に読み返してるんだけど、時間軸の関係で「主人公二人が直接出会わない」のを前提に、間接的に二人を協力させて1つの事件を解決させるっていう手法が絶妙で面白かった。

できればロストワンのノベライズは見なかったことに!



【2月27日 追記】
後天性無気力症候群さんの記事を見たらやらずにはいられなかった。
反省などしていない。(カバーのサイズがまるで合ってないけど)


最初期の傑作…間違っては居ない…よね?(黒歴史的な意味で)


「エニックス」のノベライズ作品を忘れないであげてください

GAMECITY文庫の陰で忘れられつつあるスクエニとコナミ (StarChartLogさん)
こんなエントリを見てしまうと、1990年代後半は少年ガンガンと共にあった私としては熱く昔のエニックスについて語らなくてはいけないような衝動にかられてしまうのですが!いつぞやの「ライトノベル読もうぜ!」さん発のレーベルレビューみたいな感じで語ろうかと思ったのですが、知識が足りない上に長文になってしまうので、自分の心に残ったスクエニ小説作品を熱く語ってみます。

現在のEXノベルズの全身となる「エニックス文庫」の創刊が1989年。DQ4コママンガ劇場の刊行が1990年、少年ガンガンの創刊が1991年だそうなので、実は出版事業的にはマンガよりも小説への参入の方が早かったようですよ。これは個人的にはちょっと驚きでした。

ちなみに当時は「ゲーム・アニメ作品のノベライズ」「ゲーム作品(後期は一部のガンガン作品)のゲームブック」「オリジナル作品」の3本柱での刊行が行われてました。特にゲームブックは他の出版社では見られないメディアミックスだったので新鮮だった記憶が。

小説版・ドラゴンクエスト
小説 ドラゴンクエスト4—導かれし者たち〈1〉 (ドラゴンクエストノベルズ)小説ドラゴンクエスト5—天空の花嫁〈1〉 (ドラゴンクエストノベルズ)

(※リンク先は復刊版のものです。)

ドラクエ未体験者の私が偶然読んだ、久美沙織さんのノベライズ。元々、小学生時代に廃品回収に出されていたものをコッソリ拾って帰ってきて読んだという懐かしい思い出があったり。
久美さんというと「丘の上のミッキー」「ここは魔法少年育成センター」あたりがあるので、ライトノベル作家として現在もお馴染みの作家さんですが、その一方でオリジナル設定付け加えまくりの大暴走なノベライズをする人として一部では有名な作家さん。

ノベライズを手がけた小説版MOTHER2が、何故かネスとポーキーの友情物語になり、
後書きで「MOTHERがBROTHERになっちゃいました。」という
歴史的な名言を残した作家さんとしても(私の中で)有名です。

そんなこんなでこの作品、ドラクエのノベライズなのですが原作ゲームと同じ話をやっているのに違う展開になったり、ストーリーによっては結末そのものが変わったり……とかなり面白いことになっている……らしいです。すいません、ドラクエは久美版ノベライズしか知らないのでどう違うのか判りません。ただ、Wikipediaを参照した限り小説版独自のオリジナル設定はDQ1?3を担当された高屋敷さんの時代から存在するので、エニックス的にもそういう原作改編に積極的だった可能性は高いのではないかという気もしますが。

とりあえず、ゲームを知らない人間でもまったく無理なく楽しめる良作でだったと記憶しております。
大学に入ってからサークルでこの話をすると外伝→正史扱いになった「精霊ルビス伝説」を好きだったという人が結構多く久美さんのノベライズ話題で盛り上がったりも。

ゲーム作品各種のノベライズ
小説スターオーシャンセカンドストーリー〈下巻〉エナジーネーデ解体ゲーム作品ノベライズの全盛期、殆どゲームをやらない学生だったのでこちらは殆ど記憶にないのですが、忘れられないのがやはり梅村崇版「スターオーシャンセカンドストーリー」です。

基本的に原作に沿った内容ながら、さりげなくオリジナル設定入れてくるドラクエノベライズから続く伝統は変わらず。下巻のフィーナルでの十賢者との戦いではどこぞのアニメ版無印セーラー●ーンよろしく仲間が次々に十賢者と相打っていくという展開に。当時人気のあった某キャラクターが干からびて骨と皮だけの死体(←思い出したら状況勘違いしてたので修正)になる姿が生々しく描写され、うっかり読んでしまったファンの間で阿鼻叫喚の叫びが木霊したのも懐かしい思い出です。今思うと、キャラクターありきのノベライズ作品で物語を盛り上げるためにここまでガンガンメインキャラクターを惨殺してしまうノベライズというのも稀有なのではないかと。

最愛のキャラクターがエクスペルごと死亡した設定になっていて良かったなあと、ここまでしみじみ思った事もありませんでしたが。

少年ガンガン作品のノベライズ
当時「グルグル」「ハーメルン」「ツインシグナル」「守護月天」などの数々の有力作品を抱え、全盛期にあった少年ガンガンはEXノベルズとは別に「コミックノベルズ」という、自社コミック作品のノベライズを専門とするレーベルを作っていました。
基本的には外伝作品という位置づけの作品で、こういったノベライズ作品にしては珍しく2桁以上の巻数を記録したシリーズも僅かながらありました。

小説 ツインシグナル〈Vol.8〉電子の陽炎(下)小説 まもって守護月天!〈11〉いつまでも君のそばに

その稀有な2作品。「小説ツインシグナル」が全10巻完結、「小説まもって守護月天!」が全11巻完結の長編シリーズ。後者に至っては途中連載中止になった本編より刊行巻数が多くなってしまったという伝説持ち。

「小説ツインシグナル」は自分の中では正直かなりノベライズ作品のバイブルだったりします。同人作家出身らしい一部キャラ及び組み合わせへの過剰表現は多少(…いや結構)ありましたが、原作とはまた違った形で面白い作品でした。特に後半で本編の舞台になっていったシンガポールに関する描写が秀逸で、読んでる途中で何度も「行ってみたいなあ?…」と思ったものでした。一部キャラへのひいきはめだったものの、さりげなくちゃんと本編で影が薄くなりがちのキャラクターが出てくるのも嬉しい限りでしたね。あと2巻「仮想の未来」はAIツンデレ娘が好きなら是非読んで欲しいかも。

なお、ノベライズ版の作者さんであるお二人はその後、別レーベルからも何冊か本を出されてます。「まもって守護月天!」の藤咲さんは他作品のノベライズでも活躍されている模様。北条さんは……どこいっちゃったんでしょうね。ビーンズで1冊出されたっきり、消息が判りません。EXノベルズあたりで出した「奇跡の知性」が神だったので、SFジャンルで本だしてくれたら今でも作者買いする気満々なんですけども。某同人誌ショップで小説版コンビそのまんまの18禁小説本を発見して驚愕したのは私の胸のうちに秘めておきます…(秘められてない)

その宿命は星に訊け—岐伯春秋紫の末裔 学園王子の秘密 (ビーズログ文庫 ふ 1-2)


その他、巻数の少ない作品でも覚えてるだけで「東京アンダーグラウンド」「浪漫倶楽部」「刻の大地」「最遊記」……と、ある程度人気のあった作品はかなりの確率でノベライズされていたと思います。

そういえば巻数の少ないノベライズ系では「原作者当人によるノベライズ」なんてものもありました。

小説スパイラル 推理の絆〈2〉鋼鉄番長の密室 (COMIC NOVELS)コメント欄等で話題に上ってたので追加。ミステリ作家であり「推理マンガのはずがいつのまにやら頭脳バトル漫画になって最終的に話がSFで世界規模な話に!」「吸血鬼バトルモノだったはずなのにいつのまにか宇宙に飛び出しちゃった!?」を初めとする読者の斜め45度上を突き抜けていく奇抜なストーリー展開で(ガンガン読者的には)お馴染みの原作者・城平京先生本人による「スパイラル?推理の絆?」の小説版で、4巻まで刊行されてます。推理マンガの原作者が担当する小説版といえば「金田一少年の事件簿」の小説版が頭に浮かびますが、スパイラルの方は連載初期から少年ガンガンWebサイト上で、現在の「スパイラル・アライヴ」に登場するキャラクター・小日向くるみが登場する「小日向くるみの挑戦」という外伝的ノベライズを連載していて、小説版と漫画版の同時進行が結構新鮮だった記憶があります。特に2巻「鋼鉄番長の密室」はミステリ的にも評価が高いらしいです。
ところで城平先生といえば「ヴァンパイア十字界」のノベライズは出ないのでしょうか。


こちらはソノラマ文庫の「倒凶十将伝」や「ペリペティアの福音」、最近の作品では富士見ファンタジアの「サイレント・ラヴァーズ」の挿絵を手がけられ、ライトノベル挿絵作家としても人気の高いの結賀さとるさん原作の「E’s」小説版。たぶん全2巻。なんと漫画原作者本人によるノベライズ。普通に手元にあったのですが1巻の後書きを漫画で描いてる所にいっぱいいっぱいさが伺えて実になんというか……いえ、別に出来が悪いというわけではないのですが。特に原作者本人の強い要望によるものではないようなので、エニックス側の実験的な試みだったのかもしれません。

1巻がアシュラムキャラ中心の過去話・2巻が本編の物語を繋ぐ外伝…という位置づけになっていますが、後書きを読む限り話を作りやすくするために一部原作との設定に差異がある模様。色々な意味で野心的な一作であったことに間違いはないと思います。



小説・鋼の錬金術師—砂礫の大地 (Comic novels)実はこの「コミックノベルズ」、細々とながら最近まで刊行されていて、鋼の錬金術師のノベライズが出てたりします。第1巻の「砂礫の大地」は小説からドラマCDに、そしてアニメ化の際にもエピソードの1つとして収録されました。こっちも現時点で6巻まで出ている、結構な長寿シリーズになってます。

オマケ。独自色の強い小説大賞について
実はEXノベルズのオリジナル作品は榊一郎の作品と「夢見が丘」しか読んだ事ないのですが、当時少年ガンガンWING(→合併後はガンガン本誌)で募集された小説大賞では予めデザインの決まっているキャラクターを出題し、そのキャラクターを使って小説を書くという独特の方法を取ってました。

1回目は箱田真紀さんの描いたキャラクターのみで、第二回以降は複数のキャラクタービジュアルより選択。最近の大賞募集はキャラクター縛りがなくなってしまったそうで、ちょっと残念。母体が漫画雑誌らしい試みと言うカンジで結構好きだったのですが…。

スクエニ発新人の1作目となる「夢見が丘」はスクエニお家騒動に巻き込まれて結構かわいそうな感じになってしまっていたようですが。割と好きな作風だったので、ちょっともったいなく感じます。

くさる前に抱きしめて (スクウェア・エニックス・ノベルズ)スタンプ・デッド (Square Enix novels)

「スタンプ・デッド」は今月5巻が出るみたい。
あと、「戦鬼」の川口士さんが同時受賞でスクエニでも作品を発表してたりしますね。

そんなこんなで
スクエニも地味に色々良い作品があったりするので、皆さん忘れないであげてください。特にノベライズ。
久美好き・ドラクエ好きならDQのノベライズは一読の価値あると思うし、全盛期に刊行されたノベライズは全体的に当たりが多かったように感じます。ほんと、「外れた!」と思った記憶が殆どない……。オリジナル要素が強い作品が多いので、面白いと感じるかはひとそれぞれだと思いますが。全盛期の作品で思い入れのある作品があるなら是非小説版も探してみてください。

個人的にはノベライズ全盛期のライトノベルレーベルとしてのエニックスは大好きだったのですが、最近はノベライズを買いたいと思うほど魅力的な作品が少ないのが切ない感じだなあ……。

※12/14 一部誤字脱字があったのを修正、ついでにコメント欄を元にある程度文章を追加してみましたー。色々反響ありがとうございます!「奇跡の知性」はマジで神作品。


ある日、爆弾がおちてきて

[著]古橋 秀之 [絵]緋賀 ゆかり

ある日、空から少女が落ちてきた。以前好きだった少女にそっくりな彼女は自分のことを「最新型の爆弾」だと主張し、爆発するためには胸のドキドキが必要だと僕をデートに誘う。どうやら胸に付いている時計が12時を指すと、爆発を起こしてしまうらしいのだが…
   個人的お気に入り度数
ちょっと不思議な女の子とのボーイーミーツガールストーリーを7編収録した短編集。「古橋秀之・秋山瑞人講演会」に参加するために急遽手をつけたのですが、これが予想以上に面白かった。ちょっとSFの入った世界設定がかなりツボ。お気に入りは「おおきくなあれ」と「トトカミじゃ」、「恋する死者の夜」あたり。

「おおきくなあれ」はクシャミなど、刺激を受けるたびに記憶が退行してしまうカゼにかかった幼馴染を家まで送り届けることになった主人公のお話。噛み合わない会話にニヤニヤしながら読んでいったら、最後そう落としますか!この後何が起こったのかとか考えると、もう最高です。

「トトカミじゃ」はラストの微妙に微笑ましいオチもさることながら、トトカミ様の設定が素敵すぎます。トトカミ様の好物=●●小説という素晴らしい罠。しかも、主人公が普通に「トトカミ様はこのへんの作者が好みだよ」とか言っちゃってる件。個人的には、出来れば主人公が"おそなえモノ"に手を出した際の反応が見たかったです。ええものすごく。

「恋する死者の夜」は死者が生き返り、日常を繰り返すようになった世界の話。死者が生き返り、生者は着実に減り、生活も死者に掛かりきりになり始めて…と、基本は一応ラブコメなんですが、全体的にものすごくブラック。だがそのブラックぶりが好き。

全体的に、結構ほのぼのとした作風なんだけど、何気にそれだけじゃない終わり方が良かったです。「恋する?」なんかはもう、完全にラストで冷や水ぶっかけられますね。設定を良く見直すとかなり欝な展開が多いのに、悲壮感が殆ど無いというか、そういうものを感じさせない作風という感じで、ちょっと独特な味でしたが凄く面白かったです。雰囲気的には新井素子の短編「週に一度のお食事を」あたりに近いかな。

全体的にものすごく好みな作風でした。積読が落ち着いたら、他の古橋作品にも手をつけてみたいなあ。