“Tiv” の検索結果 | ページ 23 | 今日もだらだら、読書日記。

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緋色のルシフェラーゼ1

[著]伊藤 イツキ [絵]KeG

何の変哲も無い女子高生だった来栖いずもは、実は七つの大罪のひとつ・愛欲を司る魔王“アズモデウス”の生まれ変わり。彼女は幼馴染の少年・紺太が持つ《ソロモンの指輪》を巡る魔王同士の争いに巻き込まれる羽目に。4つ年下の紺太に対し、どうしても素直になれないいずもだが…
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年下だけどだ?い好き!
ちょっとモーソー・ショタ入りラブアクションの新シリーズ!!

最近の富士見Fは「ショタ寄せ」中ですか?
昨日読んだ「しゃっぷる」といいこれといい、煽り文句がどうみてもおかしいぞ!?

なんか色々な意味で、ちぐはぐした印象を受ける物語でした。本筋はかなりハードで欝で中二病的(何せ“前世”で“天使”ですから!!)世界観を持つ物語なのですが、あらすじ紹介や煽り文句は完全にモエモエショタ路線を貫いていて、この煽りを真に受けて読んだら痛い目見そう。

主人公格二人の喋り方がムリにツンデレさせようとしている印象を受けて仕方が無い。なんていうかツンデレしすぎてて色々と不自然。“愛欲”の魔王だけに妄想想いの力で強くなれるっていう設定は凄く良いと思うんだけどなー。それなら無理にツンデレキャラにしなくても良かったんじゃないかって思うんだけどな?…。

更に、イラストにもなんか違和感が……全体的にキャラは上手くても作品の雰囲気をイマイチ表現しきれてないというか。いずもはもっと変身前との雰囲気の変化があって欲しかったし、紺太の“年下”成分はもっと強調して欲しかった。ショタっ子との年の差ラブコメを強調してる割に紺太にはイマイチショタ成分が足りないと思うんだ!!他にもルキフェルの喋り方とイラストがてんで合ってない様子とか、ガブリエルのピザの食い方とかは是非絵での表現補強が欲しかったです。敵の“赦免天使”のおどろおどろしいデザインが全くスルーされてるのにも泣けた。どうせ萌え狙いでいくなら触手な赦免天使に追いかけられるシーンは絶対イラストにすべきだろ!!…というのは置いておいてもクライマックスでメインの敵となる「彼女」の赦免天使としてのグラフィックはどうしても欲しかったので、なくて残念。

色々な意味で“ギャップ”や“二面性”がキモになってくる物語なのに、その辺が本文を読むだけではちょっと強引というか、無理に付け足した印象が拭えず、グラフィック面での補強も無くて宙ぶらりんになっちゃってる。これなら二面性的な設定は全部排除して物語を作った方が自然で面白かったかも。最後の味付けで失敗しちゃった感じが拭えません。あと一味あれば物凄いツボに来たと思うのに、良くも悪くも「ありがちな欝展開系中二ファンタジー」で落ち着いちゃってる。

特にガブリエル様のキャラは、あと一味あれば最強だったと思うんで残念。クールな美形キャラなのにピザに目が無くて喰い方が汚いとか最強じゃないですか!!絵に描いたような卑怯キャラっぷりも最高。ピザを汚らしく喰ってるガブリエル様の挿絵があったらおそらくツボってたよ!!


SH@PPLE?しゃっぷる? 1

[著]竹岡 葉月 [絵]よう太

ちょっと引っ込み思案な少年・淡路雪国が一目ぼれしたのは双子の姉・舞姫の通うお嬢様女子中学に通う生徒だった。その事を知った舞姫は自らのガス抜きを兼ねて、雪国と“学校交換”を行う事を持ちかける。女だらけの学校生活に最初は戸惑うばかりの雪国だったが…?!
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タイトル、あらすじからして完全な萌え系百合コメだとおもって周囲の評価待ちかな?と思っていたのですがこんなエントリ書いた後でスルーするのもなんだろうと思い購入。結果、大当たり。露骨な萌え要素は殆どなく、びっくりするほど正統派な入れ替わりラブコメでした。つか公式あらすじに「バラ色の生活を目指す」とか書いてあるのがいかんと思うですよ…。

一目ぼれした女の子・蜜に一目逢いたいという気持ちのままに姉の提案を受け入れ、女子高に潜り込んだら、姉・舞姫の意外な学校での姿が見えてきてそれに疑問を抱いたり、高嶺の花だと思っていた蜜の意外な一面が見えてきて動揺するわ驚くわ……それでも、今度は“等身大”の彼女を改めて好きになっていく、という過程が非常に素敵でした。天然な雪国がその邪気のない行動でライバルのお嬢様・典子の毒気を抜いてしまうシーンでは思わずニヤリ。勿論、男女入れ替わりならではの着替えシーンも忘れてはなりません。もうとにかくベタベタな展開が心地よかった。

一方、雪国の学校に潜り込んだ舞姫の方も負けてはいません。元々女の子なのにすっかり王子様扱いで、挙句の果てに“兄貴”呼ばわりされてしまうサッパリとした性格は……うん、確かに女の子にウケるわ、この子。可愛い弟の為に人肌脱いじゃう姿は物凄くかっこいい。そして彼女を兄貴と慕うオタク集団SECの面々がまたいいヤツらばっかりで…性別を感じさせない舞姫とのやりとりには思わず噴出してしまいました。

ラストのオチはちょっと強引に感じなくも無かったんですが(通り魔の正体あたり)萌え全開なあらすじとイラストからは想像もできないほど王道で可愛くてアツくて楽しい入れ替わりモノ。女装男子萌え的な展開は殆ど無いので、そっちの耐性無くて遠慮してる人も是非読みましょう。むしろ「女装男子モノ」だと期待して読むとちょっと物足りないかも?

ただ、こういう物語に萌え全開なイラストがついているのはある意味勿体無く感じたりします。
これはぜひとも女の子にも分け隔てなく読んでほしい作品。温泉ネタらしい次巻に期待です!


この作品読んでて、「何かににてるな?」と強烈なデジャヴを感じていたのですが、
昔なかよしでやってた高瀬綾の「せりなリニューアル」って作品に似てるんだなー。
こっちは女の子同士の入れ替わりモノで女装要素はないのですが、
「SH@PPLE」が気に入ったならおそらくツボに来るんじゃないかと。
併せてオススメしてみたり。
せりなリニューアル (講談社コミックスなかよし)


アリアンロッド・リプレイ・ルージュ+1 ノエルと白馬の王子

[著]菊池 たけし / 久保田 悠羅 / F.E.A.R. [絵]佐々木 あかね

ライン王国の事件を解決して一息ついていたノエルは、何故か財政難のダイナストカバルを救うため、トランと一緒にお祭りでヤキソバのテキ屋をやることに。ヤキソバ屋は盛況でかなりの儲けを得たのだが、なにやらヘンな奴が現れて…!?
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アリアンロッドルージュ「+1」っていうのは「ルージュ+」の 1 巻という意味ではなく、「ルージュ」「+1」という意味だったという驚愕の真実。

みっしょん06直前の、ノエル達4人の最後の平和なひと時が描かれる「ノエルと白馬の王子」と雑誌に掲載された4コマに加えてランダムダンジョンで繰り広げられる超サバイバルなリプレイ「魔を貫く者」を収録。帯に書かれた矢野さんのセリフに、うっかりじんわりせずにいられない。

「白馬の王子」はトランとノエルの二人にゲストキャラ・ヴァルを加えて送る、思いっきりギャグなシナリオ。ヴァルの妹の仇で自称“ノエルの婚約者”の白馬の王子様とのトンデモ対決までしっかりダイスで行われて、こんな事までTRPGで出来るんだなあという懐の広さを魅せ付けられるシナリオでした。大食いだの幅跳びだのクイズだの…とオバカな競技が目白押しで大変面白かったのですが、何よりも噴いたのはやはりポージング対決でしょう。これはないwwwwしかも勝負の結果が……もう神すぎるwwww

金に困った「ノエルの父親」と資金繰りに苦労する「ダイナストカバル首領」とか、既に本編を読み終わっているとニヤリと来るネタも非常に多く、とにかく笑いまくりの短編だったのですが、やっぱり“あの悲劇の直前”であるという演出が際立っていて不意を付かれてジーンとさせられることが多かったです。特にエンディングの演出はあざとすぎて不覚にも泣いた。くそう、こんなところでトラン×ノエルを半公式にされたって嬉しいんだか哀しいんだか!!

そして何気に必見なのが佐々木さんの描く4コマです。ジュライ可愛いよジュライ。

そして残る「魔を貫く者」ですが…申し訳ないけどなんでこれに収録したのかが良くわかりません…ゲストキャラもあっちのリプレイの人だったし、「ハートフル」の方に収録すればよかったんじゃない?最初から最後までルージュキャラのネタかと思っていたので、GMもメンバーも殆ど変えての「プラス」に凄いびっくりしたというのもあるのですが、それ以上に、これまでとは打って変わって露骨に上級者向けのシナリオに戸惑いました。私の中で「ルージュ」というシリーズはとにかく初心者向けにTRPGの楽しさを知ってもらう為のコンセプトで作られてるシリーズっぽい印象があったのですが…。

上級ルールブックどころか初心者用のルールブックも読んだこと無い、単にノエルとその仲間達の行く末を楽しみに読んできた私のようなTRPGも殆どわからないズブの素人には、殆ど理解できないシナリオになっていて、読みながらモニョモニョしてしまった。せめてランダムダンジョンのルールくらいはもうちょっとしっかり説明して欲しかったなぁ…なんかこの本を読んでる人なら上級ルールブックや「ハートフル」読んでて当然だよね!?的な雰囲気が全体的にあって、物凄いキツかったです。キャラクターにもストーリーにもイマイチ感情移入できなくて、ゲーム性優先のシナリオという感じだったのでそちらも併せてつらかった。

そういえば、「白馬の王子」のラストに出てくる魔族の女性はこちらの短編に出てきたショコラって女性という事でいいんでしょうかね。いかにも今後本編に絡んできそうな出方をしていたので色々な意味で期待していたらそのまま正体すら明かされずに終了してしまって拍子抜けでした。

うーん、最初の「白馬の王子」が凄いツボだっただけに、後半で興をそがれてしまったカンジがして凄い残念でした…


モンスターズ・イン・パラダイス3

[著]縞田 理理 [絵]山田 睦月

辞表を提出し、姿をくらませたカートを説得して連れ戻す為、ミリシャと共に彼の実家へやってきたジョエル。しかし、ジョエルの血を吸おうとしてしまったカートは再び同じ事が起こるのを恐れ、二人の説得を頑として聞き入れない。そこに、カートの父親を名乗る男性が現れて…
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シリーズ完結編。オチのつけ方が多少力技のように感じられなくも無いんだけど、それを相殺して余りあるほどにキャラクター達のやりとりが面白かったです。

何よりも、カートの父親・クラウス氏のキャラクターが最強。軽妙なノリでルーシーやジョエルの質問をかわしてみたかと思えばシリアスな表情で実の息子に迫ったり襲ったり(笑)、かと思うとエルモに対しては全く頭が上がらなくて、弱気になって必死になって息子にメッセージを伝えようとしたり……軽妙かと思えばヘタレ、シリアスと思えばギャグ…という具合にどんなキャラでも美味しくこなしてしまうスーパーお父さんに完敗。

彼がヘタレてしまったおかげでラストバトルは一気に軽くなってしまった気がしてなりませんが、あれはあれで面白かったので良し。圧倒的な力を持つ神二人にけちょんけちょんになるまで振り回されるクラウスパパンの姿に、シリアスな話のはずなのに大爆笑してしまいました。登場してからカートやルーシーと和解(?)するまではカッコイイキャラだったのになあ…

そして彼らの10年後が語られる短編「サークル・サウスの昼と夜」は、このシリーズのラストを〆るのにまさに相応しいカンジのほのぼの話。どこかシリーズ開始当初のジョエルを思わせる青年・ボブの姿が見ていてほほえましかったりするのですが、それ以上に各キャラクターのその後がしっかり描かれているのが好印象でした。特にミリシャの10年後は様々な意味で必見。いつかジョエルとミリシャが晴れて相思相愛になった暁には彼女が素晴らしい姑っぷりを発揮する予感がして、今から実に楽しみです。ところどころにさりげないBL臭男臭さを漂わせる本編ですが、ちゃんとミリシャとジョエルの関係も描いてくれていたのが凄く好印象でした。

個人的には申し分の無い終わり方で、3巻が一番ツボだったかも。すっかり「伝説のペア」として有名になってしまった10年後のジョエル&カートコンビの雰囲気が素敵すぎで、また何かの形で外伝が読めれば良いのにな?、と思ってしまいました。


おと×まほ4

[著]白瀬 修 [絵]ヤス

「ちょっ!?のぞきはまずいと思いますの!」
漸く戻ってきた母親・此方の提案で、魔法少女達全員で慰安旅行と称し温泉に行くことになった。温泉に入ってゆっくり疲れを癒す彼方だったが、実は女湯の方ではとんでもない計画が進行していた!?
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もうこのシリーズって、「女装」モノっつーより「百合」モノだよね。
彼方が男の子である意義や必要性が感じられない時点で、「女装」モノとしてはちょっと駄目だよなー。一発ネタとして読むには面白かったと思うのですがシリーズとして長期化するとシリーズが進むごとにそういう部分が薄れていってるように感じます。どちらかというと、彼方を男にすることで魔法少女たちとの百合な絡みシーンを不自然にさせない意図を感じるというか……。

明日野丈や古伊万里みさらの彼方と出会うきっかけ話が語られる「甘いお菓子が食べたいわ♪」がすごく良かったです。単なる変態セクハラ男だと思っていた明日野丈のさりげない心遣いに惚れました。普段のどつき合いの裏で隠された、二人の深い信頼関係がすごく良かったです。同時に、彼と出会う前の“笑わない”彼方に興味が湧きましたね。自分の容姿について今ほど割り切っていない彼方が丈やいいんちょと出会うことにより少しずつ自分自身と折り合いをつけていく様子が描かれたら面白いんじゃないかと思いました。勿論、丈の告白という大きな節目はあったんでしょうが、それをきっかけに「少しずつ変わっていく」彼方の姿が見たいです。

あと、アニメイト限定版と通常版表紙と、本編とのリンクに噴いた!!!w
いっそアニメイト限定ではなくて普通に両方の表紙で2バージョン出して、どっちの売り上げが良いか調べればよかったと思うw
ちなみに私は明日野丈派です。タキシードこなたんモエー。

しかし、残りの2編は悪い意味で「いつも通り」でうーん…悪い方向で中途半端。温泉ネタは他のラノベ作品であったようなな、もっと激しい応酬を期待してしまったこっちが悪かったんですが…。百合ギャグに走りたいのかシリアスに走りたいのか中途半端な印象を受けました。

そして彼方が女の子になってしまった一週間の話「少女な彼方の一週間」は、元々あまり好きではない性転換ネタであるということを置いておいても微妙。どうせ少女になった彼方の話を描くならもっと盛大にはっちゃけるべきだった!!体育の時間の話といいグレ子にバレそうになる話といいどちらも全く「バレてしまうかも!」という緊張感がなさ過ぎる。もっとドッキリハプニングが欲しかったです。特に後者は押しの弱いグレ子だけじゃなく依お姉さんもその場に居て、胸の真偽を確かめるという名目で追い掛け回されるくらいの勢いが欲しかった。

3巻ラストで彼方が男に戻ったのは既に確定している事項なので、戻れるか戻れないかの緊張感も足りないのも致命的でした。こういうのを入れるのならば彼方の性別が戻ったかどうかはこの短編の最後まで伏せておいたほうが良かったと思うんですよね。なんかあらゆる意味で「ぬるい」短編でした。

後書きで3巻の際に賛否両論で色々悩んだみたいな記述がありますが、ここいらで女装少年モノとしての当初の路線を貫くのか、女装もアリのセクハラTS物として本格的に百合方向に進んでしまうのかをはっきりとさせたほうが良いと思う。「色々な方向をやっていきたい」とのことですが、今回の短編集はあまりにもどっちつかずで、中途半端です。女装派とTS派どちらも手放すまいとしてすっ転んでしまった印象が拭えません。

ぶっちゃけ、気に入らなかったらファンは切るだけなんですから、一部のファンの意見なんか気にしないで自分の好きな方向に行けばいいと思うんですよ。彼方にはそれだけの魅力があるんだし。ある程度、方向が合わないファンを切り捨てる覚悟も必要だと思うのですが。(まあ私は今後もTS展開が頻発するようなら切ると思います)

【オマケ】なんとなく脳内に浮かんだ、「おと×まほ」派閥表。

かなたん可愛いよ派
  │
  ├─ かなたんは男だからこそいいんだよ派(女装派)
  ├─ 今後TS変身ヒロインとして活躍すればいいよ派(TS上等派)
  ├─ むしろ3巻最後で女の子になっちゃえば良かったんだよ派(女の子派)
  ├─ こなたんや魔法少女の誰かとくっつけばいいよ派(百合派)
  └─ かなたんの性別は「かなたん」だよ派(性別:かなたん派)


ダブルブリッド6

[著]中村 恵里加 [絵]たけひと

緊急捕縛部隊と米軍の合同演習が行われることになり、舞台となる無人島に旧捜査六課のメンバーが集う。久しぶりの再会を喜ぶ面々だが、その影では米軍による恐るべき陰謀が動いていた。更に、“特高”に所属するアヤカシ・鵺のネジが捕縛部隊のとある人物に復讐するため、合同訓練中の島に現れて…!?
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物語が決定的に残酷な方向へ動き出すシリーズ第六弾。

改めてこの話読むと痛い、痛いよ……痛すぎるよ…。久しぶりに六課メンバー揃い踏みで鍋を囲んだり、優樹との一件を引きずりつつも捕縛部隊で先輩達とワイワイやってる太一朗の姿が今までになく和気藹々と描かれているだけに、ラストの展開が痛すぎる。

「……おかしいんですよ、私」
「そうだね、君はおかしくなった。その原因全てが君にあるとは言わないが、僕はとても悲しいよ」

右目の「侵食」により今までとは明確に違う、今までになく攻撃的な考えを覗かせはじめる優樹。共同演習では、今回は仮想標的としては御役御免となったものの、米軍の陰謀で虎司が重傷を追って動くことを余儀なくされ、再び彼女の中で“主”と呼ばれる鬼が目を醒ますことに。シリーズ通して痛々しい描写がとにかく多かった優樹ですが、今回はなんだか和気藹々と平和な雰囲気……とか思ってるとラストで激しくカウンターパンチ。ラストの痛々しさは、戦闘相手を考慮しても今までの中で格別です。

「……君は、本当におかしくなってしまったんだね。僕は少し悲しいよ」

一方、捕縛演習のため森林の中に居た太一朗は赤川や木島と自らの考え方の違いや捕縛対象として現れた虎司に対して自分がとってしまった行動に若干の違和感を覚えながらも復讐のため島に乱入したネジと交戦し、最後の決定的な“何か”を明け渡してしまう事に。優樹が彼を評して「誰かに似ている」と言うシーンがありますが、ラストの様子なんかもろに4巻ラストの高橋幸児的で、多分それのことを言いたかったんじゃないかなあと思ってみたり。しかし彼のことを一番嫌っていた太一朗がそうなってしまうというのはなんとも皮肉です。

彼に宿った“モノ”がいつを境に根を張り出したのかが物凄く気になるところですが、太一朗の思考が決定的にその方向に傾いてしまった時といえばやはり4巻のアレかなあ…5巻で登場した彼女との相違点を考えると、“それ”が人間の手に委ねられる条件というのがなんとなく見えてきそうな気がしますが…うーん。

好きだった。
色々あったが、嫌な記憶ばかりでは決してない。彼らを殺したいなどと、決して思わない。
それなのに、心に浮かんでくるのは、殺意ばかり。
理由も何もない、彼自身の殺意ではない殺意。

「さようならだ、山崎太一朗くん。僕は決して君のことが嫌いじゃなかった。できれば君の死を見届けたかったが、もうそれすらも不可能だ。僕は君の助言者になることはできない」

全てが終わったあと、船上での大田と太一朗の会話が地味に涙を誘うっていうか……思わず緩みかける涙腺と戦った。ていうか、こんなことになるまでそんな事すら気付けなかった太一朗のツンデレっぷりがなんか凄い哀れで、なんかもう……


ダブルブリッド5

[著]中村 恵里加 [絵]たけひと

殺されたアヤカシの事件を調査する為、浦木の依頼で元同僚のアヤカシ・帆村夏純とともに事件のあった京都にやってきた片倉優樹。捜査を続けるうち、犯人とおぼしきとある人物にたどり着くのだが…。一方EATの先輩から休暇を勧められ、実家のある神奈川に戻った山崎太一朗はかつて交際していた女性と出会って…
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他所の感想で「この巻以降、表紙は全部優樹一人」というのを見て改めて寂しくなった今日この頃。しかし、個人的にイラストレーター変わって以降だと、この巻の表紙が一番ツボだったりします。優樹さん可愛いよ優樹さん。

今後、この物語の鍵となってくる“鬼斬り”が本格的に登場(いえ、ブツ自体は4巻から出てましたが…)する一方、優樹と太一朗は違うところでお互いの関係を見つめなおす事に。太一朗と同じ“アヤカシを愛してしまった”女性と出会いその愛の形に恐怖する優樹と、実家でかつての恋人と出会い、現在の自分の優樹に対する気持ちを再確認する太一朗。二人とも「いつかまた、以前のように接する事が出来ればいい」という望みは持ちながらも、やはりその気持ちはすれ違ったまま。

太一朗にされるという状況を考えたとき、“抵抗する自分の姿が思い浮かばない自分”が恐ろしかったという優樹はやはりなんだかんだいってこの時点では太一朗にかなり惹かれていたんだと思うんだけどなあ…。そもそも、“彼女”と太一朗を重ね合わせてしまうのはさすがに太一朗が可哀想に思えてしょうがなかったりするのですが……でも4巻の時点でも相当アレか。5巻の時点ではまだしも、後半の太一朗は最凶の男ヤンデレだからな!(言っちゃったー!)

個人的には、来栖と夏純のギクシャクしたやりとりが物語唯一の清涼剤でした。夏純に対してかなりツンデレデレな「くるさん」が超可愛い。さりげなく理由をつけて夏純に取って貰ったぬいぐるみを身に着けてるくるさんがマジ可愛い。ほんと、彼は5巻のみの登場となってしまったのがとっても残念です。

それにしても、ラストの戦闘シーンは最初読んだときかなりインパクトあった印象があるんだけど、今回読んだときにはイマイチたいしたことないように思えてしまったのはその後のもっと凄い展開に慣らされてしまったということなのか……


少年伯爵は月下に奏でる

[著]流 星香 [絵]おおきぼん太

レオニールと血の契約を結び、“二人で一つ”の吸血鬼となったベルナルド伯爵。一行は化け物達の襲撃を避けながら街の外にある修道院に身を寄せていた。一方、ベルナルドのいなくなった伯爵邸では彼の双子の弟がベルナルドの身代わりとして据えられる。影武者として育てられた彼の立ち振る舞いは完璧だった筈なのに、なぜか王子に正体を見抜かれて!?
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うーーーん、なんかシリーズが進むにつれ、ますますJUNEラノベ化が進んでいるご様子。1巻でそこはかとなく漂っていたホモ臭がかなり露骨になりつつあり、本編そのものよりもそっちが鼻について物語り自体が素直に楽しめなくなってきました。二次専腐女子の私としては、ここまで狙った展開に突っ走られるのはちょっと…。

対の吸血鬼となることを余儀なくされたベルナルド&レオニールがのっけから全開です。本文中に「小動物を可愛がるような?」というフォローはありますが、それにしたって一応男性を姫抱きにするのがデフォな男って色々とどうかと思います。そして今回登場する双子の弟・ルディの可愛さはまさにBL世界からやってきたものとしか思えません。あきらかに総受け。女の子まできゅんきゅんさせちゃう美少年とか、もう発想がBLだよね。いっそ本番ありのBL小説としてルビー文庫から出してくれた方が、余程割り切って読めるのに。

あと本編の物語自体は悪くないと思うんだけど、全体的に展開が駆け足過ぎるかな?という印象が。今まで会った事もなく、今後も会うことはないと思っていたであろう弟をいきなりあだ名呼びする兄伯爵(一体いつそのあだ名を考えたんだっ!?)とか、それまであんなに渋っていたのに突然実家に戻ってしまう辺り(ていうかお祖父さんは何も言わなかったのか!?)とか、弟伯爵のピアノの話とか、無茶な展開に猛烈な違和感を感じた部分がいくつかあり、全体的にキャラクター・物語の動き方が唐突に感じる。文章もイマイチテンポがよくないというか、同じ語尾を使って畳み掛けるように事実だけを描写していくようなカンジで、なんか物足りない印象。

特にルディのピアノの件は強引にまとめすぎ。そんな気の持ちようの違いくらいで動物呼べるようになったら世の中は天才ピアニストだらけだと思うっ!!!

うーん、とにかく、悪くは無いけどちょっと自分には楽しめない作品になってしまったかな?。
近いうちに続巻が出るようだけど、2巻で切りで。

そういえば、今回表紙のベルナルドの髪の色がちゃんと金髪になってますね。
白髪のときは某エクソシストにしか見えなかったんですが、金髪になったらレオニールとあわせて某ガンガンの焔の大佐×豆錬金術師にしか見えません。本当にありがとうございました。


【オマケ。】 この本の説明文が、なんかすごかった。

人気急上昇!!ツンデレ伯爵とオレサマ軍人の最強コンビが放つヴァンパイア・ファンタジー!!
「討ちもらすな」大切な人たちを守るため、求血鬼となった美少年伯爵・ベルナルド。「我が主の命とあらば」正義を貫くため、ベルナルドの〈対〉なる給血鬼となった凄腕の軍人レオニール。怪物を殲滅する彼らをよそに、都ではベルナルドの代わりをしていた双子の弟が、兄の存在を知り、暗殺を企てていた!!月明かりの導きのもと、ここに『血の契約を』——!!ツンデレ伯爵とオレサマ軍人が贈る主従ファンジー第2弾!

(角川書店公式サイト説明文より)

これがビーンズの豆寄せかっ!!!

ていうかベルナルドは貴族として誇高い少年ではあっても「ツンデレ」ではないよ…ね……?なんでもかんでもツンデレツンデレ言うのはよくないと思うんですけども。


ダブルブリッド4

[著]中村 恵里加 [絵]たけひと

出向期間が残り1週間と差し迫った頃、山崎太一朗はとある決意の元、普段は出勤しない日曜日の捜査六課を訪れた。「今日は特別な日にしたい」そう思って、片倉優樹に自らの気持ちを伝える為に。ところが二人の前に死んだ筈の高橋幸児が現れ、優樹は彼を匿うと言い出してしまう。太一朗の苛立ちは収まらず、二人のすれ違いは大きくなるばかりで……
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優樹と太一朗のどこか奇妙な関係に一旦の終止符が打たれる、シリーズ第4巻。5巻以降はある程度の浮上はあるものの、優樹と太一朗の関係に関してだけはもうひたすら転げ落ちていくのみという感じなので、再読しててもここに差し掛かると何度でも「ああ、4巻が終わってしまったなあ……」と感慨を覚えてしまいます。願わくばもう少しだけ、この二人の生暖かい関係を眺めて居たかった。

それまでなんとなく絶妙なバランスで成り立っていた二人の“友情”が太一朗が関係を踏み出した事、そしてそれ以上に再び現れた高橋幸児の存在によって最早修復不可能な所まで完膚なく破壊されていく姿が、ほんと見てられない。一途になればなるほど空回りして、自ら築いた関係をぶち壊して行ってしまう太一朗の、半ば結末を予想しながらも起さずにいられなかった最後の行動も。どんなに憎もうとしても、自分の写し身のような彼を憎みきれずに奇妙な感情を持ってしまった優樹にも、そして本当は分かり合えたかもしれないのに、こんな終わりを迎えるしかなかった“もう一人のダブルブリッド”にも、なんでもっと上手くやれなかったんだよ、と言いたくて仕方がない。一つ歯車を間違えなければ最良の未来を迎えられた筈なのに、不器用な彼らが辿り着くのは思いつくだけの選択肢の中でも、おそらく最悪の結末。

ここで終わってしまったらある意味綺麗に終われたかもしれない物語は、“主”や浦木達が率いる『特高』や奇妙な少年・片倉晃達の『クロスブリード』を交え、新たな局面を見せつつもまだまだ続きます。9巻まで読むと、何度も「ああ、こんなことなら4巻で終わってくれた方が良かったんじゃ…」と思う場面があるのですが、この後も最悪の選択を選び続けるこのシリーズで、それでも最後の最後の1巻に意地汚く「ハッピーエンド」の奇跡を期待してしまうのは、優樹と太一朗の関係がそれだけ気に入っていたからに他ならないと実感。

終わらないのは、今より僅かでも希望の見える終わり方をするためだ、と今でも信じてる。
本当に、あと1度だけ、笑い合う優樹と太一朗が見たいなぁ…。

(ていうかここで明らかにまとめに入ってる自分ってどうなんですか!!
 落ち着いて!概刊だけでもあと5冊あるのよ!!!


モーフィアスの教室2 楽園の扉

[著]三上 延 [絵]椎名 優

教頭から注意を受けた綾乃が保健室に入り浸れなくなり、彼女が傍にいないと熟睡できない直人は困ってしまった。一方、綾乃は保健室に居られないならば…と直人の家に居候し始める。当然、彼女をよく思っていない妹の水穂が良い顔をする筈はないのだが、そこに新たな<夢神>が現れて…
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しょっぱなから綾乃との同居にスネて、嫉妬しまくりで「最低」だの「ケダモノ」だのと暴言を吐きまくる妹・水穂ちゃんグッジョブ!!ツンデレ全開の態度も素敵ですがそのボギャブラリーにはとにかく感服せざるをえません。「 淫 獣 」なんて単語、普通の女子学生は中々出てこないと思います。

なんかなんだかんだ言いながらもあっさりと綾乃が周囲に<夢神>の事をばらしちゃったのはちょっぴり意外でした。個人的にはもうちょっと引っ張ってもよかったし、棗に対して綾乃の正体を偽ったのはその後の話で真実が発覚したときへの伏線だと勘違いしていたので拍子抜け。しかし、1巻であれだけ強気な一面を見せた綾乃の脆い一面を垣間見た気がして新鮮でした。

<夢神>の正体は序盤でなんとなく予想がついたように思わせておいて、最後でどんでん返されました。なんでもないあのエピソードが、ラストのそこに繋がるとは思わなかったなぁ…。何気にこのシリーズ、<夢神>の潜有者を推理するのが面白いです。上手い事裏切られて斜め横45度上を行かれる展開に、ニヤリとしてしまいます。

しかし、1巻がこれまでになく派手な印象だっただけに、2巻はその辺が安定しちゃったというかいつも通りよく言えば堅実・悪く言えば地味なイメージが……。いえ、安定して面白いのは良いことなのですが。今回は綾乃・水穂・棗の3人の関係に主眼が置かれていたから仕方ないのかな?とは思うものの謎解きの後はバトルもあっさり目だったのはほんと残念。個人的には  が最後で本性出して抵抗するみたいな展開になってもよかったと思うんだけどなあ?…。

キャラクター的にも綾乃の弱い一面が見れたのはよかったのですが、同時に1巻で強烈なインパクトを残したあの個性が緩和されちゃった気がしてなりません。その辺は今回露骨にヤンデレ化フラグ立てまくられてた棗さんが今後どうなっていくのかで相殺というカンジがしなくもないですが。

ここはひとつ、ラスボスが棗くらいの勢いで頑張っていただきたいです(何をだ)