“Tiv” の検索結果 | ページ 24 | 今日もだらだら、読書日記。

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ダブルブリッド3

[著]中村 恵里加 [絵]たけひと

中国で生み出された人型兵器“ナタ零番”が作動テストの為、日本にやってきた。ところが、人間としての生活に適応させる為に行われたはずのテストの目的が、何者かの計略によって「大日本帝国陸軍施設の破壊」に変更されてしまう。暴走した“ナタ零番”は偶然、片倉優樹と出会い……
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面白いには面白いんだけど、他の話と比べると明らかになんか浮いちゃってるシリーズ第3巻。中国ってこの後出てきましたっ……け?なんかこの話だけ話の本線と繋がりがないから浮いて見えるんだろうな…この巻のゲストキャラって全員××ですし。

途中まで日本に上陸した“ナタ零番”こと超蒼と、彼の監視役である玄亮の視点を中心に物語が展開されるのも違和感を感じる原因の一つでした。良くも悪くも「ダブルブリッド番外編」という印象で。個人的には本当に短い、優樹と太一朗が二人で居ることの出来た時間の出来事なんだから、もうちょっと捜査六課側の視点があっても良かったと思ってみたり、みなかったり。

しかし、超蒼&玄亮コンビのトンチンカンなやりとりは何気に最高でした。玄亮が超蒼に表情を教えようとする一幕にはうっかり噴きました。一方、六課側では六課入り浸りになり始めた大田先生や食いしん坊な新キャラ・虎司と太一朗のやりとりがとっても素敵です。太一朗はツンデレ。

八牧氏はとにかく、残る六課メンバーである夏純との絡みは6課出向中にはないんですっけ?この時期に出会っていたら結構面白いコンビになりそうな予感がするので、出向中に出会えなかったのは実に残念だ…。八牧と太一朗はある意味キャラが被ってて同属嫌悪してそうな予感。

うーん、良くも悪くも読み終わってみるとやはり他の巻と比べると薄いというか、感想の出てこない話だ…。個人的には今回の見所はやはり虎司くんの破天荒ぶりでしょうか。読了した翌日に焼肉食べに行った位には素敵でした。

そして、エピローグの優樹と太一朗の場面は9巻までの内容を知ってから読むと、なんていうかほんとホロリとくる。これが二人がすごした、最初で最後(←ネタバレ)の「幸せな時間」の共有だったんだと思うと……もう。


ダブルブリッド2

[著]中村 恵里加 [絵]藤倉 和音

高橋幸治の事件から2週間後、優樹は太一朗と居酒屋に行った帰り道で首筋に血のついた女性が倒れているのを発見する。翌日、内閣府の浦木から吸血鬼がオーストラリアから日本に密入国したという話を聞かされるが、その帰りに噂の吸血鬼—フレドリック・アシュトン・クロフォードに声をかけられ、なぜか彼と勝負をすることになり……
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現在クライマックス手前まで物語が進んだのを見てきた後に2巻・3巻を見ると、優樹と太一朗の間にあった“平和な”ひとときが本当に短かった事を実感して、本当に寂しかったり。後半の鬱々とした展開も大好きなんだけど、出来れば二人の幸せなひと時をもう少し眺めて居たかったという気持ちも感じてしまいます。

冒頭で優樹と太一朗が呑みに行く話が、また凄くいいんだ…この欝でグロいシリーズの中では希少な平和なやりとりの中でも有数に好きな場面かも。酔っ払って優樹に説教かました挙句、前後不正になって優樹におぶわれて帰って、翌朝自分のしでかしたことを勘違いして涙目な太一朗の姿は見ていて実に和みます。

また、大田やクロフォード氏とのやりとりでも素晴らしいヘタレ犬っぷりを発揮してくれて、二人にやり込められる太一くんの姿にニヤニヤが止まらない。今のうちなら言える!!太一くん可愛いよ太一くん!ついでにこのノリなら「クロフォード氏に篭絡される太一くんは、どう考えても受だよね」とか言える!!!(言うな)

一方で、二人が抱える考え方の違いや歪み、すれ違いは既にかなり顕著なものになっていて、改めて読みなおすと一見なんでもない所に火種がこれだけ埋め込まれていたんだなあと思ってしまいました。優樹の無防備な振る舞いにドギマギする太一朗と、その太一朗の赤面の意味がわからなくて「?」となる優樹さんの姿は非常に可愛いのですが…今読み返すとその無防備さが、その決定的なすれ違いの象徴であるようにも思える。優樹と太一朗が自分のトラウマを自覚しながらも、それから逃げ続けようとする姿も印象的でした。

グロい表現もシリーズ内平均を考えるとかなり少ない方だし(無いわけではない)、割と息を抜いて読める貴重な巻。


ダブルブリッド

[著]中村 恵里加 [絵]藤倉 和音

通常の生物とは異なる遺伝子を保有する生物・通称“怪(アヤカシ)”が発見されて数十年。警視庁の怪捕縛専門特殊部隊「EAT」に所属する青年・山崎太一朗は上司の命令で政府公認の怪のみで構成された部署—通称「第六課」—への出向を言い渡される。直情的で怪の捕縛は人間のみが行うべきだと頑なに信じ、怪を毛嫌いする太一朗だったが六課に所属する唯一のアヤカシ・片倉優樹の人柄に触れるうちにその考えを改める事になり…
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祝・最終巻発売決定!!!
…というわけで、既にかなり内容を忘れている予感がするので、再読祭開催。というか9巻が出た時に内容殆ど覚えてなかった記憶が(酷)しかしこれ、発売日8年以上前の作品になるんですね…ほぼリアルタイムで追いかけていたのに。年取るわけだ…(´・ω・)

というわけで、数年ぶりに読み返したわけですが、やっぱり凄く面白い。政治的とか体面的な事情でほぼ飼い殺し状態にされ閑古鳥の鳴く「第六課」で、3年前に去っていった仲間たちの帰りを待ちながら孤独な日々を送っていた優樹と、緊張感の足りない優樹を前に空回りし続ける太一朗という序盤の平穏な日々の、シリーズ全体からしたら本当に僅かな間でしかなかった平和な日常の描写が密かに大好きです。頭が固くてプライドばかり高くて頑固で自己中で……と、どうしようもなく駄目駄目な太一朗が、片倉優樹という一人の少女に惹かれながらも自らの考えを少しずつ改めていくのと同時に、優樹の方も自分を始めて“人間の少女”としてみてくれる興味深い人間・太一朗という人間に出会って変わっていく…というお約束でベタベタな展開が凄く好き。

「君と私が今まで培ってきた友情は、今から死ぬ」

だからこそ、そんな二人の関係を最後の最後で打ち壊す優樹の独白・変貌とラストバトルは本当に衝撃で初めて読んだときはしばらく呆然としてしまったのを今でも覚えています。“友情”が“死ぬ”といった言葉選びが独特で、非常に印象強かった。その後の展開ももう、基本的にハッピーエンドで王道ベタベタな展開しか読んだ事のなかった私にはかなり印象的で…最後に一応ハッピーエンド(??)的なオチになるとは言えど。

また、この作品を語る上で外せないのがやはりグロ描写。……特に、井の頭公園での戦闘とその後の六課での治療描写はあまりに生々しすぎて今読んでもリアルで吐き気が……うぷっ。シリーズ刊行当時密かに「電撃三大欝グロ作家」とかいらない事を考えていたのも今となれば良い思い出です(ちなみに残りの2人は「Missing」の甲田学人、「インフィニティ・ゼロ」の有沢まみず。…有沢さんは「いぬかみっ!」の感想を見る限りその後方向転換したんだろうなあ…あのグロさが好きだっただけにちょっと残念だー。)

というか、1巻で終わっておけばそれなりに幸せそうな未来が垣間見えてたのにどうしてあんなことに……(しみじみ)


えむえむっ!

[著]松野 秋鳴 [絵]QP:flapper

佐渡太郎は先祖代々にその血が流れる由緒正しき(!?)ドM体質。自らの初恋成就のため、ドM体質の克服しようという決意をして『願いを叶えてくれる』という噂を持つ第二ボランティア部に足を踏み入れるが、部員の一人が太郎のドM体質を開花させるきっかけを作った少女で…
   ( 評価不能 )
いやあの、なんていうか、なんとコメントしたら良いのやら……

「主人公がドン引きするくらいのドM体質」というのは読む前から聞いていたんですが、噂に聞くのと実際に読むのでは天と地ほどにも差があるというのはこのことかと生まれて初めて実感した気がします。……体質だと、それがどうにもならない遺伝体質だとわかっていてもやっぱり主人公がキモイ。正直この「ドM体質」はこのラブコメにおけるコメディ部分を受け持つ重要な要素であることは理解できるのですが、人間には、理屈では判っていても我慢できない「生理的嫌悪感」というものがあるのだということを思い知った気分です………コメディで済ませるレベルじゃねえぞ!!!

えーと内容としては、正太郎まで変態になっちゃった「ボンボン坂高校演劇部」という印象でしょうか。あの漫画は正太郎が唯一の常識人だからこそ成り立っていたのに(後半ちょっと壊れてたような記憶があるけど…)、この物語では最初から唯一の良心のはずのポジションがどうしようもなく陥落してしまっています。

なんか全体的に、キャラクターが肌に合わなくてきつかった。主人公のドM体質にもドン引きだったし、ベッドに潜り込んで近親相●を求めてくる母親&姉にもドン引きだったのですが、それ以上に辰吉の女装が……うわああああん!!!ぶっちゃけ「女装少年」という言葉を期待して買ったという裏話があるだけに本気で泣いた。あれはないわ…前半の“シホリ姫”のくだりあたりまでは結構良かったのですが、その後辰吉の才能が開花してしまったところで漢泣きした。……先生、ムリです……アレに萌えるには、女装少年萌えスキルよりもオカマ属性萌えスキルが必要な気がしてしょうがありません……イタイケなオトコノコに女装させて、頬を染めながら嫌がる姿をみて萌える私にはもう……もう……(えぐっえぐっ)

……ただ、もうとにかくキャラクターは駄目だったのですが、主人公の家族以外の女の子キャラがかなり魅力的なのと本筋は結構…いや、文句なしに面白かったのは本当にどうしたらいいのでしょう。ツンデレっつーかむしろサドデレ?な石動先輩が時々見せる、後輩思いの優しさには思わずグっとくるものがありますし、嵐子と太郎が不器用ながら少しずつ二人の距離を詰めていく(文字通りの意味で)姿は素敵でした。過去のトラウマに怯える嵐子の所に太郎が駆けつけるシーンは、ドM体質をそんなところで利用するのか!!!と噴き出してしまいました。そしてラストの殴り合いのシーンが熱過ぎる。それまで駄目人間すぎだった部分を散々見せられてきたからこそ、最後のシーンでは胸が熱くなった。ほんと、あの体質がもうちょっとアレなら、結構好きなタイプのキャラなのに、もったいないなあ…!!

いやもうなんていうか、本当に新しすぎるというか私には完全に評価不能。
どうしても一部キャラへの生理的嫌悪感が……物語の本筋は面白かったんで、あと1?2冊くらいなら読んでもいいかなーと思うんだけど、正直キャラが受け入れられないのが致命的すぎる気がするのでサクっと切ってしまった方が良さそうな気が……ラブコメ強化方向に行ってくれるなら読みたいのですが、これ以上ドM体質とか女装趣味とかに磨きがかかると、挫折しそうな予感でいっぱいです。

4巻に入るという噂のBL展開が気になって手を出したシリーズなのですが、太郎と女装モード辰吉でBLっていう話だったら、正直いらないかなー……


千の剣の舞う空に

[著]岡本 タクヤ [絵]柏餅 よもぎ

交通事故に遭い、空手で最強を目指すという夢を閉ざされてしまった速見真一。諦めざるを得なかった“世界最強”の文字に魅せられるようにして“サウザンドソード”と呼ばれる対戦格闘ネットワークRPGを始め、その世界での最強を目指し始めるが、そこで出会った少女がクラスメイトであると気づいて…
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とあるネットワークRPGで“世界最強”を目指している少年がネットゲーム上でクラスメイトの少女と出会って少しずつ彼女の知られざる内面を知っていく……という物語。設定はそれなりに風変わりなものの物語自体は王道すぎるほど王道な爽やか青春ストーリーでした。他所の感想サイトさんでも言われていましたが、一途にゲームにのめり込む少年がその世界での“最強”を目指しながら、自らの“リアル”での生活との両立を見出していくという方向性は、他所でも言われてましたがあの『連射王』に通じるものがありますね。

自分の世界にのめり込むあまりに友人を作る事も出来ず、同時に自らも友人を作らない事を良しとして生きてきたタカヒロ(真一)と、自分とは正反対の明るくて社交的な性格なアスミ(明日美)がリアルの世界では文化祭、「サウザンドソード」の世界では最強のプレイヤー“闇”を倒すため…とお互いの正体に気づかない(真一はその“フリ”をした)まま行動を共にする事になり、2つの世界を通してお互いの抱える違った一面を垣間見ながらも歪みを克服し、成長していく過程が非常に素敵でした。更に、二人を取り巻くクラスメイト達や「サウザンドソード」で合間見える強敵たちも非常に暖かい人たちばかりで、読んでいて心地いい。「悪者」も「嫌なヤツ」も居る世界だけど、それでもこの世界に登場するキャラクターたちはどこか優しい。エピローグの赤シャツのエピソードがあまりにもこの物語の本質を物語っているように思えて、思わずニヤニヤしてしまいました。とにかく、非常に爽やかな気持ちで本を読み終える事が出来ました。

“世界最強”を目指す物語ながら、誰にでもどこにでもありえる親近感もたまらない。続編になるのか新シリーズになるのかはわかりませんが、作者さんの新作に期待!!


サージャント・グリズリー

[著]彩峰 優 [絵]bomi

上級生から虐められ、クラスの中では空気な少年・玖流玖準のクラスにやってきた転校生“グリズリー・軍曹”。なぜか頭にクマの被りものを着け、軍服姿の軍曹をクラスメイトたちは“クールでかっこいい美少女”などと言う。厄介ごとに関わるのはゴメンだと思っていた準だが、何故か軍曹と友達になることになってしまって…?!
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えーと……なんていうか……久しぶりに地雷を踏んでしまった……。
えーとですね、序盤でグリズリー軍曹が主人公とドタバタな学園生活をおくりはじめた位の頃は、フルメタ短編の男女逆転したようなノリで結構面白くて、結構期待してたんですよ。

しかしこの後、なんで途中から学園はなれてハードなシリアスになるの?!
いらないよ!!後半のシリアスまとめていらないよ!!!
なんか読んでいても全く情景が頭に浮かばない、面白くないバトルシーンの連続に辟易していたら、その場で思いついて付け加えたようないらない設定がバンバン現れて、読者置いてきぼりのまま終了。それまでただのネクラで内気な少年かとおもわれていた主人公が突如としてギャルゲーオタであるらしいことが発覚したり、主人公が突然大財閥の御曹司であることが明らかになったり、伏線らしい設定に心を躍らせるとなんらフォローがないまま話が終わってしまったり……。

これが序盤の「不条理系ギャグ小説」のまま進んでくれたらある程度設定に穴があったり、突然知らない設定が当たり前のように出てきてもその手のギャグなんだとおもって納得がいくのですが、後半は完全にシリアス。しかもなぜか結構欝展開。

後半みたいな裏社会で活躍する荒くれ者たちのバトルを描きたいならヒロインを着ぐるみにする必要はどこにもなかった。後半で軍曹が主人公をヒロイン的な意味で恋する乙女的に心配する描写があるのですが、所詮、グラフィックがハイイログマであることだよとか考えるとなんかイマイチ、グっときません。主人公にも全く見せ場が無く、とりあえず駄目人間であるというところばかりが目に付きます。ラストではちょっとだけかっこいいところを見せてくれますがそれ以前が駄目人間過ぎて相殺しきれてません。というか、未だにあのラストの行動はそれまでの主人公の行動からするとありえなさすぎて、主人公が英霊か何かに精神を乗っ取られて起こした行動かなにかなのではないかと疑ってしまう自分が居ます。

あと、なんで主人公はエピローグで両親に勘当されるんだ?
なんとなく想像つかなくもないけど、一応助けてあげたのに随分冷たい両親だよね?母親の方は結構まともな親っぽい描写があるのに……いや、もういい……何もかもがどうでもいい……。

前半のパートがそれなりに面白かっただけに、ガッカリも大きかったです。前半のノリのままバトル分なしのドタバタラブコメにしてしまえばまだそれなりに面白かっただろうに。(それでも1?2月にまとめて発売となったギャグコメ系ラノベのレベルが全面的に高すぎたので評価されるかどうかは微妙だと思いますが…)

なんか物語の構成自体、狙ってこういうシュールな作風にしたというよりは、作者がその場の勢いのまま、思うが侭に自分の書きたいものを書きたいまま後のことなど何も考えずに書いて、駆け抜けていったという印象を受けます。きっと作者は一瞬の風になって、天高く吹き上がっていったのではないでしょうか。

……ごめん、もうむり。


ゴッデス!2  美少年のお世話って大変なの!!

[著]ひかわ 玲子 [絵]近衛 乙嗣

イグドラシルの力を借り、元の世界に戻ったアキラと桜羅子。しかし、二人を待ち受けていたのは誰も居ない、瓦礫ばかりの廃墟と化し滅亡した街の姿だった…。仕方なく神々の世界へと舞い戻った二人は未だ“神”の力を持たず、戦力的に役立たずの宙良のパワーアップを図る——!?
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神々の世界で神殺しによって“神”になった少年少女達が百合百合したり血なまぐさいドロドロを繰り広げるシリーズ第二段。少しずつ世界の謎が見えてきた一方で謎が深まったり新たな謎が生まれたり………むしろそれは総合的には余計謎が増えたというようなっ!?

今回は、1巻では割合空気だった美少年従兄弟・宙良が大活躍(?)します。大活躍……というよりはむしろ完全に2巻でヒロインのポジションを確立した感がありますが。ヘタレで駄目な子に目が無い私としては大変喜ばしい事です。絽貴くんと張り合うのに、今更明らかに無関係な得意科目の話を出す辺りが最高にヘタレwしかし、カラー挿絵で月を背にする宙良くんが非常にかっこよかったので、密かに彼の成長と大活躍と虐げられっぷりを楽しみにしている私なのでした。というか、目次のところを見た限り、「キャラの!」本誌掲載時にはひょっとして、囚われのお姫様モードで鎖に繋がれてる宙良のカラー挿絵とかあったんじゃまいか……本当にあったんだとしたらすげえ見たかった。

そんなヘタレもといいらない子もとい宙良くんですが、予想通り重大な秘密が…。後半で宙良が謎の狼と遭遇して以降の展開はとにかく重くて、欝で、ドロドロ。宙良がヴァーリー神に取り込まれた恋人の璃李と再会するシーンは素晴らしい悪趣味っぷり(←褒め言葉です。)。

さてさて、今回この“神々の世界”が北欧神話を下敷きにした世界であることが明らかとなるわけですが、そうなると名前的に明らかに何かの関係ありそうなキャラクターがいらっしゃるわけで…ぶっちゃけお名前を聞いたときから「ひょっとして北欧神話とかラグナロクとか関係あるのかな?…?」と思っていたので思わずニヤリとしてしまいました。また、更に悪趣味な方向になりそうだ…。このシリーズの悪趣味さはかの「バイトでウィザード」や「Missing」、「ダブルブリッド」にも通じる程のものがあるので、是非ともこのまま悪趣味全開で頑張って行ってほしいです

……しかし、連載ペースでこれだけかかるってことは、次の新刊は来年か…?あと、やはりこの悪趣味な本編に、超ハイテンションなあの後書きはあんまりだよ…悪くも悪くも雰囲気壊しまくりだよ…!!この後書きは、ある意味本編以上に悪趣味だ……。


ネクラ少女は黒魔法で恋をする5

[著]熊谷 雅人 [絵]えれっと

ネクラだった自分を克服し、演劇部にもクラスにも自らの居場所を少しずつ作っていた真帆。ところが、憧れの先輩・一之瀬とは犬猿の仲と言う生徒会長に黒魔法少女である事を指摘され、彼の『死んだ人を生き返らせる』という願いに協力するよう持ちかけられる。それを拒否したところ、翌日から心なしか周囲とギクシャクしはじめて…
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「ネクラ少女?」シリーズ完結編。生徒会長の策略により再びネガティブ思考の罠にハマってしまった真帆が、上手くいかない周囲との自らの後ろ向き思考との齟齬に苦しみながらも奮闘します。ラブコメとしても青春物語としても綺麗にソツなく終わった印象。

とにかく疑心暗疑に陥りながらも必死に自分の思考に負けないように頑張る真帆の姿が印象的。一度こういうのに陥ると自分から立ち直る事ってなかなか難しいし、1巻の頃の“ネクラ少女”の姿から考えると信じられないほど精神的成長を果たした真帆の姿をみて、こちらまでとっても暖かい気持ちになりました。「ネクラ少女」としての彼女の姿が見られなくなったのは残念だったけど、その不満を打ち消して余りあるほどの成長振りに嬉しくなりながら、エピローグで●●の記憶が無い事を一之瀬先輩に確認しちゃうチャッカリした姿に思わずにんまりしてしまったり。

でも何より、そんな彼女を時には厳しく、時には暖かく迎え入れてくれる演劇部の面々や、裏表なく元気いっぱいに受け止めてくれる大河内、普段は情けないけどやる時はやる永音先生、ツンデレだけど実は姉想いな妹の夏樹、そして今回遂に正体を明らかにしたオジ様・伊丹氏などの周囲の暖かさが胸にしみます。とにかく最初から最後まで、仲間や友人の暖かさを教えてくれる素敵なシリーズでした。本当に真帆は良い仲間を持ったなあ…。

個人的には一つだけ、やはりシリーズ通して神門との三角関係が全く描けてないのが残念だったけども。4巻では一之瀬先輩が空気だっていったけど、5巻は一之瀬と真帆が接近した所為で神門が完全に空気に……やはり神門は2巻でのゲストキャラ止まりにしておくべきだったと思うんですよ。おそらく神門が出張ってくる3?4巻をすっとばして1、2、5巻を読むだけでも十分物語としては成立してしまう気がして、まるで3・4巻だけまるで別シリーズを挟み込んだかのように浮き上がっているように感じるんだよなあ。単純に誤解させるだけじゃなくて、神門が“恋敵”として一之瀬先輩につっかかっていくような展開があるだけでもここまでの違和感は生じなかったと思うので、そういう描写が全く無かったのは本当に残念でした。

でも無理に二人をくっつけず、彼氏彼女以前の関係のまま含みを持たせたエピローグには大満足。
面白い物語を本当にありがとうございました。


黄昏色の詠使い5 全ての歌を夢見る子供たち

[著]細音 啓 [絵]竹岡 美穂

意識を取り戻さないクルーエルの容態は日増しに悪化していった。ティンカは少しでも彼女を救う可能性を求め、サリナルヴァが副局長を務めるケルベルク研究所へ彼女を移す事を決める。治療のためなら仕方ないと周囲が思っていた中、唯一クルーエルを移す事に反対したネイトは一人で研究所を目指そうと学園を飛び出すが…?
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灰色名詠を使うミシュダルとの対決やクルーエルとアマリリスのに決着がつく、第一部(というかEpisode1)の完結編となるシリーズ第5巻。

クルーエルを心配するネイトやミオ、そしてクラスメイト達の姿に思わず心が暖かくなりました。1巻を読んだときに感じた独特の「綺麗さ」や「暖かさ」が全開のお話になってて、大満足でした。特にクルーエルとネイトが二人で詠を唄い合うシーンは本っ当に最高。

ちょっと中盤辺りで詰め込みすぎというか少々わかりづらい印象を受けたのですが、エピソード2への波乱をちょっと含みながらも最終的には誰もが哀しい想いをしていない、素敵な決着のつけ方はなんともこのシリーズらしいというカンジで大好きでした。

……なんて感想もあるにはあるんですが、もうその辺は正直建前で。今回はとにかくネイトとクルーエルの二人に悶えた…ッ!!クルーエルを心配するネイトの姿がもうとにかく可愛いのなんの。本文でも挿絵でも、散々悶えさせてもらいました。もうとにかく今回はかなりオープンにラブラブな二人を見られます。

?——おやすみのキス、して?

「だめですクルーエルさん。僕、おやすみのキスなんて絶対しません」
「ねえ、クルーエルさん」
「もし僕が……おやすみなさいじゃなくて、おはようございますってキスしたら……クルーエルさんは目を覚ましてくれますか?」

ぶっちゃけこのやりとりを見たときは電車の中なのにも関わらず転げまわりたい衝動にかられました。
お、おおおおおおおお持ち帰りィィィィッ…!!!(落ち着け)

今後は4月に短編集、そして完結編となるエピソード2へ続いていくとのことで、個人的にはもうひとりの美少年キャラ(と勝手に脳内で認定しました)シャオ君とネイトの対決がとっても楽しみです。


ベン・トー サバの味噌煮290円

[著]アサウラ [絵]柴乃 櫂人

烏田高等学校の学生寮では『自立した生徒を育てる』という教育方針の下、昼食・夕食が出ない。少ない仕送りを少しでも有効に利用しようと閉店間際のスーパーの半額弁当を手に取ろうとした佐藤洋は、嵐のような『何か』に巻き込まれ吹き飛ばされてしまう。数日連続で弁当争奪戦に敗北した洋は、『氷結の魔女』と呼ばれ怖れられる少女・槍水仙に教えを請うのだが…
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いや?ネットでの評判は聞いていたけど、予想以上に面白かった!閉店間際のスーパーの半額弁当を狙って繰り広げられる命知らずのバトルロワイヤルに、何も知らないオバカな主人公が巻き込まれて少しずつ成長していくという物語。面白そうだとかネットでの評判とか「ある種バカテスに通じる」なんて自分的後押し発言もあったわけですが、購入を決意した元凶がこの発言であったことは紛れも無い現実です。責任とってくだs(強制終了)

内容を一言で言うとやってることは半額弁当版『学校の階段』、ただしキャラクターは『バカテス』風味、みたいな。バカテス風味というか、洋のキャラがどこかバカテスの明久っぽいのか…性格はとにかく、貧乏でヘタレでバカで趣味最優先の金の使いっぷりら辺。個人的にはやはりメイン4人のキャラクターが凄くツボでした。ヘタレでバカな洋と孤高の強者なのに寂しがり屋な槍水先輩のほのかなラブ描写にニヤニヤしつつ、最初はクールなクラス委員というイメージだった白梅梅が後半に行くにつれガンガン壊れていく姿に爆笑しつつ、やはり一人の腐女子として一人何か間違った方向に暴走する白粉花を応援せずに居られません。ていうかとりあえず『筋肉刑事』シリーズ読ませろ。話はそれからだ。なんかもう素晴らしく阿呆らしそうで実に気になる。彼女にはスーパーダッシュに咲く一輪の腐った花として頑張っていただきたいです。

キャラクターも魅力的ですが、『半額弁当』に賭ける漢達の(無駄に)熱い生き様には思わず胸を震わされる。ブツはただの半額弁当だが、幾つかの暗黙の了解と共に在る闘いは妙に気高い。半額弁当を手に入れることが出来なくても、認め合った宿敵同士でお互いを恨んだりせずに声を掛け合う様子は恐ろしく清清しい。個人的には顎鬚の「ワン公」って呼び方が、まるで鍛え概ある後輩に対する態度のようなカンジで凄い好きだったりします。そしてそんな強敵たちを乗り越えて半額弁当を漸く手にしたときの喜び、弁当の美味しさの描写といったらもう……最高です。本当にありがとうございました。

考えると金の無い学生時代、中学時代から人一倍食べるようになった私はどれだけ安いお金で腹を満たせるか色々手を巡らせたものです。なんとなく、そんな学生時代の自分を思い出して懐かしくなりました。いつから自分は食を“浪費”するようになってしまったんだろう…。いや、今コンビニ弁当派なのは単純に職場の近くにスーパーがないからなんですけど、ね…orz
ともかく、明日から腹が減ったからと調子に乗って暴食するのはやめようと思いました。

「なんで半額弁当?」とか言っちゃ駄目。考えるな、感じるんだ!!!