ページ 36 | 今日もだらだら、読書日記。

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ロクでなし魔術講師と禁忌教典14

 

リィエルの一件を乗り込え、ようやく訪れた平穏。女王陛下の尽力により数十年ぶりに開催されることになった魔術祭典に、アルザーノ帝国魔術学院、聖リリィ魔術女学院、クライトス魔術学院―アルザーノ帝国の各地から有力生徒たちが結集する。「世界の大舞台で魔術の腕を競い合ったお祖父様が見たという光景を、この眼で見たいんです!」その中には、もちろんシスティーナの姿もあり―。帝国代表の覇を競う中、因縁の少女・エレン=クライトスと再会することになるのだが…。選抜会に潜む卑劣な陰謀、そして失われゆく自分たちの未来を解放するため、システィーナは天高く飛翔する! (「BOOK」データベースより)

数十年ぶりに開催されることになった魔術祭典。学院の代表候補に選ばれたシスティーナは、最優秀選手を目指してやる気十分。そんなシスティーナや学院の生徒達を微笑ましく見守っていたグレンだったが、システィーナの元婚約者であるレオスの妹・エレンの登場をきっかけに何かが狂い始めて……。

システィーナの魔術師としての「成長」を数値の上でも実戦でもこれでもかというほどにみせつけてくる序盤の魔術祭典が超楽しい。なんというかこれまでは周囲が色んな意味で「規格外」すぎて、システィーナが成長していることは解ってもそれがどれだけ凄いことなのか伝わりづらい部分あったと思うんですよね。同年代の学生だけの中で、実力を出せる状態で競わせるとこんなにぶっちぎりで強いんだな……作中でも言われているけど「努力する天才」の本領発揮、恐ろしすぎでは。

そして今回マジで凄いなと思うのは、システィーナがメインの回ではあるのですがシスティーナは最後まで事件の全容を一切知らないままということなんですよね。一週間の閉じた輪に閉じ込められて誰にも相談出来ずに解決策を見いだせず腐りかけていたグレンと、気の遠くなりそうな年月をループの中で過ごして摩耗していったエレンの二人を、そして危うく取り返しのつかなくなりそうだった世界を、事情を一切知らされないまま完璧なまでに救ってしまうシスティーナがマジでヒーローすぎる。

これまでどんなにしんどい状況でも鮮やかに事態をひっくり返してきたグレンが囚われた絶望の輪廻があまりにも重く、だからこそ決して出しゃばる事なくグレンを支え、力になってくれるシスティーナが頼もしすぎる。だからこそ、これまでどんなに頼りにしても「教え子」でしかなかったシスティーナに、グレンが掛けた「相棒」という言葉があまりにも破壊力高くて、胸が熱くなってしまいました。それまでの閉塞した展開が嘘のようなグレンとシスティーナのコンビ戦闘も最高だった……。

次回への引きもバッチリで、続きが気になる。本っっっっ当にこのシリーズは安定して面白いなもう…!!

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賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求 〜愛弟子サヨナのわくわく冒険ランド〜

 

「ところでコレ、ホントに出版するの?」編集長の鋭い眼光とその言葉に、相当編集の命は風前の灯火であった。本作は『賢者にして勇者である最強の称号“賢勇者”を持つ男が、弟子(おっとり巨乳美少女)とともに社会の裏に隠れた悪を断罪する』という“ザ・今時のライトノベル作品”としてスタートした。だが作家からあがってきた原稿は、全裸のイケメン(賢勇者)をはじめ、筆舌に尽くしがたい変態仲間たちが織りなすナンセンスギャグギガ盛りの―いわば「なぜか堂々としている社会悪」的な何かであったのだ(ついでにヒロインの胸も削られていた)。「だ、出版します!面白いですから!」超言い訳っぽい担当の言葉は真実か!?答えは―今、あなたの手の中にある。 (「BOOK」データベースより)

賢者にして勇者、最強の称号を持つ男。「賢勇者」シコルスキの下に弟子入りしたワケアリ少女・サヨナ。樹海の真ん中にある彼の屋敷には今日も選ばれし悩める強者(と書いて「変態」と読む)達が訪れるのだった。変態たちの更に上をいく師匠とともに、愉快な(?)毎日を送っていたサヨナだが……!?

あらすじがあらすじしてないんですけど、なんていうかだいたいこのあらすじで合ってるから困るというか……9割くらいシモネタメタフィクション内輪ネタで出来てる。「ここに挿絵が入る!」とか「俺はサブキャラだが3話でも出るぞ!」とか時間の単位がなぜか「行」とか、普通に出るのでもう現実とフィクションの境目が曖昧まである。終盤でまさかのシリアス展開かとおもわせてきたけどやっぱり最終的にはやっぱりシモネタとメタフィクションで殺しに来たのでなんの問題もなかった。

女の子がばんばんいじられる系の下ネタだときついなあ…と思ったし実際サヨナの貧乳いじりとか好き嫌い分かれそうなんですけどそれ以上にひたすら男キャラが濃かったので楽しかったです。なんだかんだ良い話に落ち着くし。ところでユージン×アデルだと思うんですがどうか。

正直各章の面白さには波があるというか、元ネタのわからんギャグが続くところはまるで面白くないという問題はあるんですけど、こういう小説はどこか一箇所ツボに入れば推していいと思ってるので……良くも悪くも人を選びすぎる小説だなあと。私としては生きてるだけで8行使う自称マスコットキャラがツボに入りすぎて腹筋辛かったのでもうそれだけで満足です。あと異世界転生主人公送還RTAが最高に好き。

作中で堂々と「単巻完結」と言い切っていたけど、この頭を軽くして読める感じは思い出したように続きを読みたいなぁ。

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悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました5

 

「君と彼は運命じゃない。離婚だ」最初の魔王にしてクロードの父・ルシェル。乙女ゲーム4作目のヒーロー兼ラスボスたる彼の一言で、転生悪役令嬢・アイリーンの嫁舅戦争が始まる!ルシェルに嫁認定させるため、アイリーンがあらゆる手段を駆使する中、ハウゼル女王候補・グレイスが襲来。「私は魔王と結ばれる運命」と言い出して!?悪役令嬢とラスボスは世界の運命に逆らえないのか―。WEB発・運命ではない恋物語! (「BOOK」データベースより)

クロードとアイリーンがなかなか達成できない初夜にもだもだしている中、突然クロードの父・ルシェルが現れる。彼はクロードの“運命の相手”ではないアイリーンと結ばれたことでクロードが魔力のバランスを崩していると指摘し、破局を迫ってくる。ただでさえ舅嫁問題でてんやわんやの中、今度はクロードの愛人候補を名乗る女達が大挙してやってきて……!?

とつぜん他所ん家(エルメイア)を舞台にはじまったハウゼル女王国の女王候補選抜試験。その内容は、クロードとの間に子供を儲けろというとんでもないものだった。叩いても叩いてもどこからか湧いてくる自称愛人候補にクロードのストレスがマッハの中、面倒くさい舅を正面から迎え撃ち、大量の愛人候補はルールの隙をついて追い返すというアイリーンの手並みが鮮やかすぎました。聖剣による力押しだけじゃなく、知能戦でもメンタル面でも折れないのがアイリーンの強いところだよね。序盤の鮮やかな手並みといい、結婚式乱入の件といい、今回も最高にかっこよかったです。

クロードの父・ルシェルにハウゼル女王国次期女王候補のグレイスと、600年前のエルメイアを舞台にした過去編である「4」作目を匂わせるキャラクター達が登場。ゲーム4作目の再現を思わせつつも(当然600年前の話なので)これまで以上にゲーム通りとは行かない展開が面白かった。4の悪役令嬢がグレイスであるならば当然正ヒロインであるアメリアは誰になるのか?という話で。リリアの兼ね役?とも考えたけどそんな単純な話ではない気がするし、そのへんの話はクロードの「運命の相手」次巻に持ち越しでどうなるのかとても気になる。というか、原作での悪役令嬢ポジションのキャラが敵に回るのは初めての展開で、本当にどうなるんだろうか。前後編の前編ということで最大の謎は次巻持ち越しという感じなので、どうなるのかとても楽しみ。

今回はその分、メイン以外のカップリングに日があたっていた印象。オーギュストとセレナ、レイチェルとアイザックのどっちの進展具合も楽しいなあ。女に夢見てるオーギュストと恋愛に全く夢見てないセレナの関係、双方アイリーン最優先すぎて全く進展しないレイチェルとアイザック、クソ男に騙されてクソ男だなーって思いつつ見捨てられないけど時折えらい冷めた目線で物事を見てるサーラと、本当にこの人達乙女ゲーのヒロインやライバルとは思えないほどみんな男に夢見てないな……。

あと、出番は少なかったけど相変わらずリリア様最高でした。もうそろそろ彼女もこの世界を「ゲーム」じゃなくて「現実」だと認識し始めてる感じがかなりあるんですけど、それを自覚した上で敢えて自らを「ゲームプレイヤー」という上位存在として規定している感じが大変好き。そんな彼女が時折アイリーンとクロードの関係に対して向ける憧憬の眼差しにとてもそわそわするし、セドリックとの関係もなんだかんだ悪くないと思うんだけど、色んな意味で今後どうなっていくのかな。気になります。

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後宮天后物語 〜絡まる想いにご決着!〜

 

決死の告白でようやく想いを通わせた雛花と志紅。だが、仮死状態だった兄・黒煉の体に、志紅に宿っていた男神・伏羲が戻ってしまった。このままでは兄の自我が食い潰されると焦る雛花は、瀕死の志紅とともに禁城を脱出。渾沌の魔・丹朱から解決の糸口を探ろうとするが!?「何もかも片付いたら、俺と結婚して欲しい」柵から解き放たれた二人の結末は!?(「BOOK」データベースより)

殴り合い含む紆余曲折の末、やっとのことで想いを通わせた志紅と雛花。ところが、今度は黒煉が自らに伏羲真君を再び降ろしてしまう。ふたりを遠ざけようとする黒煉の手から逃れ、なんとか禁城を脱出したのは良かったが、城下では国家転覆を目論む一派が急速に影響力を強めていた。事態収集の鍵を握るのは、雛花に宿る丹朱のみで……!?

3巻最初の時点でもうこれどうやって決着つけるの!?くらい無茶苦茶に絡まっていた想いを解きほぐしての大団円に思わずにっこり。今巻は最初から両思いなのにすれ違い続けていた志紅と雛花がようやく両思いになれたこともあって、これまでとは一味違う二人の関係も美味しかったです。

志紅・雛花と黒煉の方も良かったけど、伏義と女媧娘々の腹を割った話し合いが微笑ましくて、思わずニヤニヤしてしまう。ただ一緒に居るためだけに桃華源王家の代々を犠牲にしつづけたふたりの行いは犠牲にされた当事者の立場からしたら到底許されることではないんだけど、これも悲しいすれ違いの結果なんだよなあ。しかし、腹を割って喋った二人のやりとりがとても永いことすれ違い続けた人たちのそれとは思えずニヤニヤしてしまう。特に女媧娘々の方は相当腹に溜め込んでたんだなという気持ちが……すごく……。

個人的にはやっと本来の姿を取り戻した黒煉の活躍はもう少し見たかった気がするのですけどというかエピローグの黒煉と志紅のやりとりなんなんですかねプロポーズか!?いや冗談は置いておいても伏義を追い出して志紅と雛花が両思いになった後の確信犯で志紅弄ってくる黒煉様マジ好みのタイプのせm(自主規制)。

大団円後のエピローグといい、これまでお世話になった人たちに弄られまくる主人公カップルが可愛すぎてもう僕は私はで、もっとこの二人とその周囲の人々を見ていたい!という気持ちになる完結編でした。もう一冊、後日談があってもいいとおもうんですけどどうですか…!!

本編と関係ないんですけど、あとがきの古代中国詩人萌え語りが個人的に大変美味しかったです……良い萌え語りを読んだ。

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リベリオ・マキナ -《白檀式》水無月の再起動-

 

対吸血鬼戦闘用絡繰騎士“白檀式”―ヘルヴァイツ公国が誇る天才技師・白檀博士の“五姉弟”は、欧州を吸血鬼軍の侵略から救う英雄となる…はずだった。十年ぶりに目覚めた“失敗作”、第陸号・水無月は想定外の戦後を前に愕然とする。起こるはずのない暴走事故により、“虐殺オートマタ”として歴史に名を刻んだ五体の姉兄たち。さらに大公と吸血鬼王による突然の和平を経て、公国は人間と吸血鬼が平等に暮らす世界で唯一の共和国へと変貌を遂げていた。亡き博士の娘・カノン、吸血鬼王女・リタとの出会いを通じ、新たな“日常”を受け入れていく水無月だったが―。第25回電撃小説大賞・銀賞受賞・オートマタの少年と二人の姫が織りなす、正義と反抗のバトル・ファンタジー起動!!(「BOOK」データベースより)

吸血鬼と戦うために作られ、しかし戦うことのないまま“不適合”と判断され休眠させられた絡繰騎士の《白檀式》第陸号・水無月。次に彼が目を覚ました時、5人の『兄姉』たちは暴走によって人間や吸血鬼を虐殺した虐殺人形として名を馳せていた。ままならぬ想いを抱えたまま製作者の白檀博士の娘・カノンと共に人間として学校に通うことになった水無月は、そこで吸血鬼の王女・リタと出会い……。

人間と吸血鬼が手を取り合い、平和になってしまった世界の中で「吸血鬼を殺す」という自らの存在意義を持て余していた水無月。再起動させられたことをよく思っていないまであった水無月がカノンの真摯な想いに触れたことをきっかけに、少しずつ彼女をかけがえのない存在としていく。自分を人間と同じように扱うカノンの真意を理解し、次第に受け入れようとする。好感度最悪の状態から少しずつ距離を縮めていく二人の関係が楽しい。

そして、すれ違っていた二人の関係を正す鍵となるのがもうひとりのヒロイン・リタ。白檀博士の血縁として学校でも肩身の狭い思いをしていたカノンと、吸血鬼を『敵』として認識してしまう水無月の2人きりの世界が、吸血鬼でありながら《白檀式》に対しても偏見を持たない彼女の登場で少しだけ変化する。1巻はカノンと水無月の関係がメインでリタの方はあまりクローズアップされないんだけど、彼女の存在をきっかけに二人の世界が少しずつ広がっていきそうな予感を感じて、わくわくする。

リタに執着し、水無月の同型機である《白檀式》を利用して平和な世界を壊そうとする敵。自分よりもスペックの高い《敵》との戦いでボロボロになりながらも、プログラムの条件付を乗り越えて自らの意志で立ち向かう水無月の姿が最高にかっこよかった!とにかくド直球で王道なボーイ・ミーツ・ガール展開がアツく、楽しかったです。

カノンもリタも割と周囲を振り回す系ヒロインであるのですが、オートマタだからこその純粋無垢さで時折二人の行動を超えていく水無月にふたりが逆に振り回される展開が大変楽しいのですよね。「はじめてのお使い」の展開とか、笑いが止まらなかった。水無月が休眠していた間の白檀式の暴走事故の真実などまだまだ様々な秘密が隠れていそうで、続きを読むのが楽しみ。

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異世界転生アンチテーゼ 転生魔王はチート転生者をチートで殺します

 
mmu

「異世界転生者って何でハーレム作りがちなんだろうな?」「そう言う魔王様も、わりとハーレムじゃありませんか?」人間と魔族が対立し、剣と魔法の溢れる“ありがちな”世界・イグラリア。そこでは、元日本人の転生者が魔王として君臨していた。「転生モノ」を好む彼は、側近の魔女・セレスと共に『転生者が転生者を殺す』皮肉な構図を楽しんでいて―。特権階級の三男に転生した剣神、過労死して転生した元社畜、最強を追い求めて転生した魔術王―魔王の許へやって来る「ありふれたチート転生者」の矛盾や身勝手さを、チート魔王が論破し、そして返り討ちにする“異世界転生”ファンタジー。第24回スニーカー大賞編集部大賞受賞作。 (「BOOK」データベースより)

異世界転生して「魔王」となった日本人の青年。四天王の美少女達に弄られたり、大量の事務仕事に忙殺されたりしている彼の趣味は、自分以外の異世界転生者を探し出し、“狩る”ことで……。

あらすじからもっと軽いノリで異世界転生モノの矛盾にツッコミ入れていく、メタ系のギャグ小説かと思っていたのですが、どちらかというとむしろブラックギャグ系と言うか……!ラストバトルなしでひたすらラストバトル前のラスボスとの対話をやっているようなお話なんだけど、転生して魔王になった主人公が転生者達を自分に向かってくるように仕向け、論破し、チート能力で狩っていく。戦いの描写は一切なくて、それまで語られてきた物語が唐突に終了する。そこに同じ人間への情とかそういうのは一切なくて、ただ愉悦の為に消費されていく姿は滑稽ですらあった。

なんというか、異世界転生という「物語」を駆逐するための「物語」なんだなあと。あまりにもあっけない最期の描写に最初は唖然としたけど、熱いバトルシーンなんか描いたらたとえ最後に負けたとしてもバッドエンドの物語として成立しちゃうもんな。

タイトル通りの「異世界転生」に向けられたカウンターパンチ的な物語が最高に悪趣味で楽しかったです。色んな意味でひとでなしの主人公がどういう経緯でこういう愉悦を得るに至ったかも大変興味あるけど、それはもう舞台装置的な扱いで語られないままのほうが美味しい気もするけどどうかなあ。

まだまだ1巻ではやられてない異世界転生のテンプレはいっぱいあると思うので是非とも続きを出して欲しい。

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人喰い転移者の異世界復讐譚 〜無能はスキル『捕食』で成り上がる〜

作者: kiki

 『捕食』――それは他者を喰らい、能力を奪うスキル。クラス転移に巻き込まれた白詰 岬は、凄惨ないじめで全てを奪われ、異世界召喚の失敗で性別すら奪われ、挙句の果てに何のスキルも与えられず”無能”のレッテルを貼られてしまう。しかし、自らの持つスキル『捕食』の存在に気づいた時、その運命は一変した。力を手に入れ復讐鬼と化した岬は、自分を虐げてきたクラスメイトたちを次々と陥れ、捕食していくのだった――
 ※復讐へ至る過程の描写もあるため、いじめ、グロ、性的暴力、寝取られ、胸糞描写などが含まれております。苦手な方は注意。

本編完結済。転移した異世界で「捕食」して相手の能力を取り込むという能力を手に入れたいじめられっ子がクラスメイト全員、ひいては一国を滅ぼす復讐者となるお話。

序盤のドロドロとした虐め展開と容赦ない復讐展開が凄くしんどく、そこから一転して主人公の理性のタカが外れてからはもう葛藤とか特になくバンバン殺していく展開が凄い。あと「捕食」というのが文字とおり『食べる』スキルなので描写がきついし、普通にチートなんですけども主人公のチートに合わせて周囲もインフレしていくので俺TUEE感は低く、特に異能を手に入れたクラスメイト達との戦いは割と苦戦することが多かった印象。

逆に倫理観は際限なくデフレしていく。特に異世界で出会った3人目のヒロイン・エルレアが篭絡されるまでの展開は、読んでるこっちまで倫理観が揺らいでいくような感覚が最高に良かったですね…。終盤は普通に燃える展開でしたが、あれだけ豪快に成し遂げておいて一国滅ぼしても最終的に全くお咎め無しみたいな展開に持って行ったのには色んな意味ですごいな。初志貫徹でヒロイン2人以外のクラスメイトと教師全員に復讐を果たす展開はなかなか読み応えがあったけど、最終決戦手前でじっくりと残りのクラスメイトの虐殺やりはじめたのはちょっとテンポの悪さ感じました。

スキルが義体というかロボットものっぽい雰囲気だったのでイラストつきの書籍で見たかった感はある。アレとかコレとか書籍化してるしいけるでしょ〜という気持ちなんですけど書籍化されてないみたいなので、やはりこういうのは難易度が高いのか。

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【Web版】盾の勇者の成り上がり

作者: アネコユサギ

※WEB版と書籍版、アニメ版では内容に差異があります。
盾の勇者として異世界に召還された岩谷尚文。冒険三日目にして仲間に裏切られ、信頼と金銭を一度に失ってしまう。他者を信じられなくなった尚文が取った行動は……。サブタイトルに★と付いている話には挿絵が入っています。苦手な方はご注意ください。書籍化しました。槍の勇者のやり直し完結。真・槍の勇者のやり直し始めました。アニメ放送中です。

「盾の勇者〜」の本編完結回(378話)まで読了。

あらすじからもっと暗くて重い復讐物的な雰囲気のお話かとおもっていたんだけど、序盤でラフタリアという支えを得てからはわりとシリアスな展開も多いけど基本的には重くなりすぎずに物語が進む感じ。

呼び出された勇者たちが似ているようでそれぞれ微妙に違う世界から召喚されていて、それが中盤のキモになっていくのが面白い。与えられた勇者の武器を真に強化するためには仲間を信じることが重要で、それを真っ先に仲間に裏切られた主人公の尚文が実践していくのが印象的でした。最終的に、とことん「仲間を信じることが力になる」というお話になっていくんだよなあ。奴隷を買ったりギリギリ?セーフの商売で荒稼ぎしたり復讐に拘泥したり、尚文本来の人格自体は極めて善良で、それを裏付けるような「新・七つの大罪」事件での行動にいちいちニヤニヤしてしまう。

ゲーム世界の感覚でお気楽に生きてる他の勇者たちを、あるときはねじ伏せあるときは信頼して少しずつ想いを共にしていく課程、絶望的な敵の登場から更にそれを何度もひっくり返していく物語は最高にアツかった。全体の物語が割と軽妙に進むぶん最初に主人公を裏切ったヴィッチ王女の扱いが容赦なくて特に343話とか震えてしまったんだけど、最終的に全ての因果が彼女一人に収束するようになってるストーリー展開には思わず唸ってしまう。そこからのラストバトルはえらい壮大なことになってて、スキルはどんどんインフレするし勇者も増える。最後で他人事のように語られる「ロックバレー勇者伝説」の絶妙な伝わらなさと言うか、破壊力が高い。

槍の勇者は最初の印象が「女癖さえ悪くなければ良い兄貴分になれそう」だったのであんなことになって残念だったね……外伝?スピンオフ?の「槍の勇者のやり直し」もそのうち読んでみたいです。

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【Web版】腐男子先生!!!!!

作者: 瀧ことは

ごく普通の腐女子と、ごく普通の腐男子が出会った。イベント会場で。
ただひとつ、ごく普通と違ったのは、二人は高校の教え子と教師だったの……でした。

2018年3月、高校卒業とともに、完結。
卒業おめでとう。
そして、ありがとう!!!!!
ジャンル:現実世界〔恋愛〕

序盤は「腐男子」と「腐女子」がお互いの趣味や関係を周囲に隠しながら「オタク楽しい!!」する話で、それがだんだん「描き手」と「読み手」の話になり、「教師」と「教え子」の恋のお話、初めて担任になった先生と未来に向けて悩む高校生がお互いの道に迷いながら共に歩もうとする恋愛と青春の話になっていく。タイトル通りにオタクネタをふんだんに盛り込みながら、二人の関係の変化に従って物語も色とりどりに変化していくのがとても楽しかった。

朱葉が同人を一時引退してからは恋愛と青春へのふり幅が大きくなったけど、お互いに一定の線を引きつつ「好きなもの」にどこまでも真摯な二人の姿が印象的でした。あと、書籍版感想でも書いたけどとにかくリアルタイムに流行った作品のネタを詰め込んでいく姿勢がどこまでもWeb小説という今を生きるメディアならではでめちゃくちゃ楽しい。旬を過ぎても一般的なオタクの話として楽しくはあるんだけど、リアルタイムで読むのはテレビアニメのリアルタイムTwitter実況みたいな中毒性あるよね。SideMの2ndライブの話がライブの翌日にアップされてた話をまたする。

それにしてもメイン2人の関係も良かったし、両想い度が上がっていくにつれ残念なオタクでありつつもいちいち良い所を攫って行くふだせんに「そういうとこだぞ!!!!!」するの最高に楽しかったけど、個人的には最初は当て馬的な感じででてきた幼なじみの太一とクラスの軽薄な男子・都築が気になって仕方なかったです。特に太一は都築と同部という繋がりで再登場してからが本当に好きで。もうカップリングになっちゃいなよ!!!と思うがマリカさんと都築くんの組み合わせも好きなので僕は私は。

▼書籍版感想


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腐男子先生!!!!! (ビーズログ文庫アリス)|Amazon
瀧 ことは,結城 あみの (著)
KADOKAWA
発行:2017-06-15

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【Web版】アビス・コーリング〜元廃課金ゲーマーが最低最悪のソシャゲ異世界に召喚されたら〜

作者: 槻影

――君はその闇に立ち向かえるか!?
気がつくと僕は、ランダムで召喚される『眷族』を使って冒険するソーシャル・ゲーム『アビス・コーリング』に酷似した世界にいた。
まことしやかにささやかれる運営による確率操作、搭載された類稀な物欲センサーに課金必須のゲームバランス! 開き直って自ら奈落(アビス)を名乗る豪胆さ! 最強の集金システムと呼ばれ、数百万のユーザー達をどん底に叩き落とした末、法整備によりサービス終了した最低最悪のゲームに似た世界で、僕はかつてプレイヤーだった頃にやり残した事を成し遂げるため、再び召喚士(コーラー)として立ち上がった。
これは――闇に挑む勇敢なる召喚士達の物語。

序盤(というかファミ通文庫版1巻分)では最初に引いた眷属一人でほぼ無双出来てしまっていてぱっと読み俺TUEE感すらあるんだけど、なろう版では読み進めるごとに「課金前提ゲーなのに課金できない」「なかなか石が溜まらない」「ピックアップが一切ない」「主人公の引きが明らかに悪い」がジワジワと効いてくる。ガチャが引けない、戦力がなかなか強化できない、協力ゲーなのに主人公がソロ思考、死にプレイが出来ないという難点を最初に引いた眷属と気持ち悪いくらいのゲーム知識でなんとか補う感じ。そういう意味で、主人公が攻略動画投稿やブログをやってた設定は先に出した方が解りやすかった気がする。

青葉以外の人間をNPCとして雑に扱う主人公の性格にもんやりすることもあったけど、その分青葉の意を上手くくみ取れずに戸惑う姿が面白かったし、なんだかんだでこの世界が「現実」であることをどこかで受け入れられなかった姿が印象的でした。コミュ能力が低く最初の引きはそこそこだったがガチャ運が悪くゲーム知識だけは豊富なブロガーとコミュ能力が高くガチャ運あるが最初の引きとゲーム知識のない青葉という対比が面白かったです。

ゲーム知識で俺つえーしたいのではなく、あくまで「ガチャを回したい」「もう一度このゲームを楽しみたい」という方向にオチが付くのも良かったなあ。

文庫5〜6巻分くらいの分量で綺麗にまとまってたのでファミ通文庫は頑張って最後まで書籍化してほし………かったんですが…。良くも悪くも「面白くなる前の部分しか書籍化できなかった」という印象なのがかなしい。

▼書籍版の感想


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アビス・コーリング 元廃課金ゲーマーが最低最悪のソシャゲ異世界に召喚されたら (ファミ通文庫)|Amazon
槻影,桜木 蓮 (著)
KADOKAWA
発行:2017-12-29

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