数十年ぶりに開催されることになった魔術祭典。学院の代表候補に選ばれたシスティーナは、最優秀選手を目指してやる気十分。そんなシスティーナや学院の生徒達を微笑ましく見守っていたグレンだったが、システィーナの元婚約者であるレオスの妹・エレンの登場をきっかけに何かが狂い始めて……。
システィーナの魔術師としての「成長」を数値の上でも実戦でもこれでもかというほどにみせつけてくる序盤の魔術祭典が超楽しい。なんというかこれまでは周囲が色んな意味で「規格外」すぎて、システィーナが成長していることは解ってもそれがどれだけ凄いことなのか伝わりづらい部分あったと思うんですよね。同年代の学生だけの中で、実力を出せる状態で競わせるとこんなにぶっちぎりで強いんだな……作中でも言われているけど「努力する天才」の本領発揮、恐ろしすぎでは。
そして今回マジで凄いなと思うのは、システィーナがメインの回ではあるのですがシスティーナは最後まで事件の全容を一切知らないままということなんですよね。一週間の閉じた輪に閉じ込められて誰にも相談出来ずに解決策を見いだせず腐りかけていたグレンと、気の遠くなりそうな年月をループの中で過ごして摩耗していったエレンの二人を、そして危うく取り返しのつかなくなりそうだった世界を、事情を一切知らされないまま完璧なまでに救ってしまうシスティーナがマジでヒーローすぎる。
これまでどんなにしんどい状況でも鮮やかに事態をひっくり返してきたグレンが囚われた絶望の輪廻があまりにも重く、だからこそ決して出しゃばる事なくグレンを支え、力になってくれるシスティーナが頼もしすぎる。だからこそ、これまでどんなに頼りにしても「教え子」でしかなかったシスティーナに、グレンが掛けた「相棒」という言葉があまりにも破壊力高くて、胸が熱くなってしまいました。それまでの閉塞した展開が嘘のようなグレンとシスティーナのコンビ戦闘も最高だった……。
次回への引きもバッチリで、続きが気になる。本っっっっ当にこのシリーズは安定して面白いなもう…!!
ロクでなし魔術講師と禁忌教典14
リィエルの一件を乗り込え、ようやく訪れた平穏。女王陛下の尽力により数十年ぶりに開催されることになった魔術祭典に、アルザーノ帝国魔術学院、聖リリィ魔術女学院、クライトス魔術学院―アルザーノ帝国の各地から有力生徒たちが結集する。「世界の大舞台で魔術の腕を競い合ったお祖父様が見たという光景を、この眼で見たいんです!」その中には、もちろんシスティーナの姿もあり―。帝国代表の覇を競う中、因縁の少女・エレン=クライトスと再会することになるのだが…。選抜会に潜む卑劣な陰謀、そして失われゆく自分たちの未来を解放するため、システィーナは天高く飛翔する! (「BOOK」データベースより)