“庭” の検索結果 | ページ 3 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:庭 (113 件 / 12 ページ)

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…5

 

乙女ゲームの悪役令嬢カタリナに転生した私。破滅エンドを回避したはずが、なぜか最大の破滅フラグだったジオルド王子との婚約は継続中。「私、いつでも身を引きますから!」そう本人にも宣言しているのだけど…。ジオルド王子の婚約者の座を狙う令嬢が現れるライバル登場編、ニコルのお見合い編ほか、カタリナたちの日々や意外な人物にスポットをあてた過去編も収録。大人気★破滅回避コメディ第5弾は、コミック大増量で掲載!

各キャラの視点から描かれたちょっとした話や本編では描かれない脇役達の物語、ショートコミックも収録した短編集。メインとは関係ないところで色んな意味で「カタリナシンパ」が増えてるんだな……としみじみしてしまった。元ライバル令嬢の女の子の顛末に笑ってしまう。

主に他キャラ視点を中心に描かれる短編集

ジオルド・キース・アラン・ニコルの4人の視点から描かれる長めの短編とラファエル・女の子たちを主体にした短編、Webに掲載されているサブキャラ達の視点からのショートショート。コミックの方でアンが淡々とゲームのメインキャラたちの存在感を喰っていく姿に笑ってしまう。最後のキャラデータではしっかりとサブ攻略キャラと同じスペースを確保していた。

割とゲームの攻略キャラ達との絡み以外は描かれないので、学園ではそれ以外の人脈は出来ていない感じなのかなと思っていたのですが予想以上に無自覚でシンパを増やしていましたね。庭師とメイド長の話は本当に短かったけど最近放送しているアニメでもそれとなく話題を振られていた部分だったのでこのタイミングで読めてよかった。パジャマパーティの話はアニメにもなってたけど、アニメのタイミング的にラファエル・ソラが登場できないのが少し残念だったな。

ジオルド&メアリ(腹黒コンビ)の圧が強い

個人的にキースとジオルドがやりあったり、メアリが水面下で奔走したりする所が見れる「ライバルあらわる」が楽しかった。他キャラ視点はこのシリーズの十八番であるけど、コンセプト的に「カタリナ一人称の裏側」として描かれることが殆どなので彼女の絡まないところで綴られる視点が新鮮。

カタリナを妬むライバル令嬢が彼女を蹴落とすために色々画策して返り討ちに遭うお話なんだけど、多少の嫌がらせ程度では暖簾に腕押し状態なカタリナが強いし、度を超えた嫌がらせをしてきた相手をめちゃくちゃ普通に排除しようとする周囲(というかジオルド)が強かった。というかジオルドとメアリの挿絵が最高に「圧」強くて好き。ジオルドが助力を求めるのが最大のライバルであるキースじゃなくて「似た者同士」のメアリというところがわかってるなと思う。

メアリはその後のガールズトーク短編でかつての姿が描かれるのが印象的で、もはやすっかりジオルドと並ぶ「カタリナ過激派」と化した彼女がかつては気の弱い人見知りだったことを思い出すと感慨深かったし、彼女がここに至るまでの血のにじむような努力とそれに報いてくれたカタリナのエピソードを見るとそりゃカタリナ過激派にもなるよねと。別に好きな人が居る同士であるアランと、恋愛ではないけれど良いパートナーしてる姿にもにっこりしてしまった。

新展開が楽しみ

カタリナたちも無事に学園を卒業し、次巻からはじまるであろう新展開の前の息抜き的な巻でした。魔法省編がどうなるのかも楽しみです。

ところでニコルのお見合いの話に出てきた生徒会の後輩ちゃんが割と意味深でしたが、今後出番とかありますかね?モブキャラにしては目立っていたのでちょっと気になる。


転生先が少女漫画の白豚令嬢だった

 

気がついたら前世で愛読していた少女漫画の悪役令嬢のとりまき、白豚令嬢に転生していたブリトニー(80kg)。このままのルートだと悪役令嬢に全ての罪を着せられて処刑エンド!?回避するには人生やり直すしかない!「よし、ダイエットしよう!」─美形従兄や元婚約者の登場でまさかの恋愛フラグも?ぽっちゃり令嬢のダイエット★ラブコメ!! (「BOOK」データベースより)

少女漫画と美容と化粧品づくりが趣味の大学生が転生してしまった先は、好きだった少女漫画の悪役王女…の取り巻きのふくよかな令嬢ブリトニー。性格の悪さとその見た目で読者から「白豚令嬢」と呼ばれていた彼女は、物語の中では悪役王女の罪を押し付けられて処刑されている。最悪の未来を阻止するためダイエットを始めたが、これがなかなか前途多難で……!?

悪役王女の取り巻きになったから無実の罪で殺される→悪役王女は自分よりブスな女しか取り巻きに選ばない→彼女の目に止まらないために、ダイエットして美人になろう!!という感じで、一見関係なさそうな「痩せる」という目標が破滅フラグの回避と密接に結び付けられているのが面白い。デブの悪臭をなんとかするために温泉を引いたり、石鹸や化粧水を自作していくとそれが口コミで広がって家計を助ける……と他の問題の解決にも次々と繋がっていくのも楽しかった。

体型の件もあるけど、それ以上に性格が悪くて愚かだったブリトニーと周囲の関係はほぼ最悪で。甘やかしで孫をダメにする系の祖父しか味方の居ない状態から、少しずつ足場を固めて周囲との関係を改善していく流れが印象的でした。最初は取り繕って「いい兄」を演じていた従兄・リュゼがどんどん本性出してくるのには笑ってしまったけど。

そしてなにより、物語のしょっぱなで婚約破棄された元婚約者・リカルドとの関係が良かった!最初は婚約破棄を逆手に「取引」という形で関係を持っていたのが、こちらが誠意を見せることで改善していって、少しずつ距離が縮まっていくのがめちゃくちゃ可愛い。最後の最後で吊り橋効果的に一気に距離が縮まるのにもにんまりしてしまった。

それでも、ブリトニーを性格と体格が歪んでいたのは元からではなく、幼い頃の家庭環境にあったというのがなんというか、本来の少女漫画での彼女の末路を考えると複雑な気持ちになる。「白豚令嬢」という単語からしてデブへの当たりがキツくて軽く敬遠していたタイトルだったんですが、読んでみたら予想以上に面白かったです。デブが悪いんじゃない……歪んだ環境がデブをうむんだ……(私もブリトニーを見習ってちょっとお外歩いて来ます)。

ところで、個人的にこの手の悪役令嬢物、割と前世の記憶を思い出した後は前世側の人格に上書きされることが多くてもう少し本来の人物の人格が残ればいいのに……みたいなこと思うんですけど、物語の途中で「寝てる間に無意識にブリトニーの身体が食べ物を求めて夜食を漁っていた」設定には笑ってしまった。心は(前世に)屈しても身体までは自由にならなかったかーーー。


正解するマド

 

野崎まどが脚本を手がけたテレビアニメ『正解するカド』のノベライズを依頼された作家・乙野四方字は、何を書けばいいのか悩むあまり、精神を病みつつあった。ついにはアニメに登場するキャラクター、ヤハクィザシュニナの幻覚まで見はじめる。記憶をなくしたというザシュニナに、乙野は一縷の望みをかけて小説の相談をするが…傑作SFアニメから生まれた、もうひとつの「正解」とは?衝撃のスピンアウトノベライズ。(「BOOK」データベースより)

 アニメ「正解するカド」のノベライズを担当することになった主人公(作者)。ところが、いつまでたっても1文字も書けず、悩んでいるうちに、今度は部屋の中に「正解するカド」に登場するキャラクター“ヤハクィザシュニナ”を名乗る存在が現れる。幻覚だと思い好きにさせていたが、次第に流れがおかしくなってきて……?

 最初の原稿書けない描写がリアルすぎて、いま同人の原稿やってたら死んでた

 ノベライズの原稿のこと、仕事のこと、原作者である「野崎まど」さんのこと、そして自らの家庭のこと……正解するカドを題材にした私小説風のなにか…と思いながら読んでいたら、突然物語が急展開してSFのようななにかとしての本性を見せはじめて、終わってみたらまぎれもなく『正解するカド』とはまた別の『正解するマド』だった。何を言っているかわからないとおもうが俺も(略)

 カドとは何も関係ないようできちんと「カド」のアニメを追いかけるようにして作られた物語だったし、作者自身の私小説のようでありながら「カド」のキャラクターが主軸に置かれたまぎれもないスピンアウトでありました。終盤で一気に種明かしされる展開は最高にドキドキして、いかにもSF小説といった空気を感じる仕掛けの数々にゾクゾクする。とても面白かったです。


ロクでなし魔術講師と禁忌教典8

 

成績不振による退学を回避するため、聖リリィ魔術女学院に短期留学することになったリィエル。システィーナとルミアも同行し、さらには男子禁制の楽園でお嬢様を手玉に取ろうと、グレンも女に変身し、臨時講師として赴任することに!?…しかし、そこで見たのは、お嬢様グループ同士の抗争で!?「あっれー??ボクが想像してたのと全ッ然ちっがーう!!」女学院という名の鳥籠。先の見えた人生にくすぶる彼女たちは破天荒なロクでなしの姿に触れて―「断言してやる。俺ならお前達を『魔術師』にしてやれる」グレンの講義が、箱庭の少女達の運命の鎖を引きちぎる! (「BOOK」データベースより)

公式が薄い本(挨拶)

 落第を回避するため、とある女子校に留学しなければならなくなったリィエル。システィーナとルミアがついてきてくれることになったが、アルベルトの提案でグレンも(女体化して)学園の教師として出向くことに!?というお話。正直主犯・アルベルトという時点で発酵系ラノベ読みは盛り上がらざるを得ないわけですが、アルベルトにあっさりノセられて実行犯になっちゃうセリカのチョロインぶり可愛すぎない!?あと、第一章のタイトルがアラサー直撃すぎて笑う。

 女だけの楽園でハーレム生活……という言葉につられて行ってみたら、留学先の学校は生徒たちが勝手な派閥争いを繰り広げていてほぼ学級崩壊状態。全く授業にならないところから、派閥トップの問題児2人をたきつけ、お嬢様としての鬱屈を抱える生徒たちをまとめ上げて成長させていくグレンの「教師」としての姿が楽しかった。留学先の生徒たちとのやりとりも楽しいのですが、一番弟子とも言えるシスティーナの成長を誇らしげに見守ってるグレンが可愛いんですよね……。

 グレンに教えを受けた生徒たちが、今度は他の生徒達に更に影響を与えていく姿が爽快でした。講義シーンこそ控えめだけど、「教師」としてのグレンの力量の高さが存分に描かれていて、これぞロクアカという感じの展開で楽しかった。最近はわりとバトル偏重傾向だったもんな……。

 また、年頃の少女としてはまだ未成熟なリィエルの「人間」としての成長に胸が熱くなる。システィやルミアとはまた違う、はじめての「友達」に一喜一憂する姿がかわいくて仕方がない。まぁ、その初めての友であるエリザのほうは明らかに何か違う感情に目覚めてる感じすごかったんですけどそれに気づきながらも微笑ましく見守ってる女子生徒達が可愛かった……同性愛に優しい世界だった。

 個人的には女体化要素はあれだけ大きく謳ったわりにはいまいち薄めに感じて、女体化してもグレンは割とおおっぴらに男言葉使うし(それでこそグレンという感じではある)、途中でわりとあっさり男子に戻ってしまうのでもうちょっと女体化ならではのギリギリでスリリングな展開があってもよかったのに!と思うんですけどまあそういう話じゃないので仕方ないのか……。

 三嶋くろね先生が描く女体化グレンがめちゃくちゃかわいかったのと、巻末オマケイラストにはニヤニヤしましたというか控えめに言ってアルベルトの女体化まで(妄想らくがきとはいえ)見れるとは思わなくてニヤニヤが止まりませんありがとうございます!!


クズと金貨のクオリディア

 

底辺高校生・久佐丘晴磨と、天使のような後輩・千種夜羽。同じ階層にいられるはずのなかった二人は、とある偶然をきっかけに接近してしまう。異常気象、異常現象、異常行動…少しずつ歯車が狂いだしていく二人の日常と奇妙な都市伝説。曰く「ランダム十字路」―真夜中、突き当たったT字路で誤った道を選ぶと、二度と帰ってこられない。行方不明の女子をなりゆきで一緒に追うなか、晴磨と夜羽の思惑は大きくすれ違い…!?レーベルを越えて広がる新世代プロジェクト第一弾!これはふたつの視点から紡がれる、終わりゆく世界とめくるめく青春の物語―。(「BOOK」データベースより)

 友達いない底辺高校生・久佐丘晴磨はとあるきっかけから後輩の美少女・千種夜羽と出会う。半ば脅されるような形で行方不明になった彼女の“友人”を一緒に探す羽目に。見え隠れする“同業者”の姿と、「ランダム十字路」なる都市伝説の噂。事態は二人の想像もしなかった方向に転がっていって……!?

 プロジェクト・クオリディアのアニメ・小説世界の更に前日譚となる物語。旧世界が<アンノウン>の襲撃によって終わりを迎えるまでの姿が物語の幕間幕間で示唆されつつも、そんなことは全部うっちゃってサイコパス美少女とやれやれ系男子高校生の奇妙な関係性を描く物語です。

 わたりん節全開な晴磨のとりとめのない一人称と、さがら総が描くどこまでもクレイジーでサイコパスな夜羽の一人称がキャッチボールという名の相互壁打ち(決してお互いにボールを獲り合ってはいない)やってる感じが、めちゃくちゃ読んでて疲れるけどクセになる。最初から最後まで一貫して噛み合わず、思考はどこまでもあらぬ方向に脱線しながら、それでもつかず離れず寄り添うように進んでいく展開が面白い。

 夜羽側の家庭の事情やこんな性格になった一端もそれとなく明かされるのですが、晴磨がそういった事情に絆されるわけでもなく、「お前はクソ女だ」という思いが最初から変わることはなく。それでも「一目惚れだ」って言ってしまうのが本当に凄い。最初から最後までどこかすれ違っていて、それなのにラストは本当にびっくりするほどラブラブで……唐突に終わる世界と、晴磨と夜羽ふたりだけのとびきり甘くて閉じたセカイが同時に描かれていくのが印象的でした。その後ふたりがどうなったのかどうとでも解釈できる、アニメのCパートのような終わり方が最高に好き。

 「千種」「朱雀」「天河」「凛堂」とその後のクオリディアの中心となるメンバーと同じ名字が登場して、明確な示唆はされないんだけど彼らの“親世代”の物語になるのかな(特に朱雀に関しては壱弥が『父親が生徒会長だった』といってるのでほぼ間違いないとは思うけど)。晴磨と夜羽の物語には全く関係ない、各章の扉から描かれる旧世界の終わりの姿が、クオリディア・コードの3作品とアニメ4話までを踏まえると明確な形を見せてくるのが色々想像できて楽しかった。関連作品を知らずに読んだら全く違う感想になったと思うので、最後に読んでしまったのが少しもったいなかった気がする。

 それにしても、カナリアの名字だけが登場しないのは意図的なモノを感じてしまう。明かされない彼女の『夢』といい、何か秘密がありそうだしなあ。


甘城ブリリアントパーク メープルサモナー3

 

「甘ブリ」転覆を狙うポ連軍大佐・ニャーソンの経営するおみやげ屋。今日もここでは作戦会議が開かれるはずなのだが―大佐の統率力はすでに限界を迎えていた。自分の精鋭部隊を揃えたつもりが、バイトの東司のハーレムをアシストしただけ。栄光を取り戻す(?)ためには、このおみやげ屋を甘ブリ一番の店に作り替えるしかない!はるの、リリ、杏子、ノエルの4人娘を徹底的に売り出すのだ!!PV撮影、四精霊との女子会、テロリストの襲撃他の作戦を乗り越えて、大躍進へ突き進め!?(「BOOK」データベースより)

 甘城ブリリアントパーク内のとあるおみやげ屋を舞台に繰り広げられるスピンオフ小説完結編。

 家庭の事情で甘ブリの常連になっている少女とニャーソンの出会いを描く「ニャーソンと少女」が凄く良かった。こういうゲストの誰かを特別扱いするようなお話って多分甘ブリ本編では出来なくて、パークのルールの中で動かなくても良い存在であるニャーソン大佐だけが見せることが出来る「夢」なんだろうな。ある意味甘ブリ本編5巻の「リアリティ・バイツ」の対極に位置するお話。このスピンオフでも異質な、正統派に良い話なのですが、こういうたぐいのお話が甘ブリ本編では出来ないことまで踏まえて、とても印象的な1編でした。

 その他にもヒロインズが四精霊と女子会を催す話やトリケンがホイップアンティークのPV作成に付き合わされるお話、ニャーソンと東司がルブルムの試練場で醜い蹴落とし合いをする話など本編に呼応してる感じのお話が多かったです。

 しかし正直ヒロインズと四精霊の女子会の話はキャラが崩壊しすぎて誰だよってあたりまで含めて「無茶しやがって……」という感じが……1巻からずっといってますが本編キャラ絡ませるならぜひとも西也との絡みが見たかったのですが、西也といすずが登場しないのは一種意識的だったんだろうなあ。

 結局ヒロインの誰とくっつくこともなくの完結だったけど、どんなに女の子に囲まれても絶対にハーレムにはなれない本編主人公の西也と対極的な存在として描かれているので、敢えて結論を出さないハーレムエンドで良かったんじゃないかと。結構終盤はグダグダ感漂い始めてましたが、軽いノリで楽しめて面白かったです。


甘城ブリリアントパーク5

 

高校生なのに遊園地の支配人代行・可児江西也は悩んでいた。アトラクションの改装で集客が伸びてきたまではよかったが、もう一押し目玉となる企画が欲しい。何かないかと考えていると、ファンサービスのつもりで作った中城椎菜が歌ったCDがコアファンにバカ売れしているとの情報が入ったのだった。…これしかない!アイドルをプロデュースするのだ!そうして、甘ブリ初のアイドル(?)ユニット、『タスクフォースABC』が誕生することに!しかし、アイドル業界はライバルが多く、それを生業とする猛者が集う魑魅網魎の世界。果たして、甘ブリを救うべく西也の奇策は成功するのか―!?(「BOOK」データベースより)

 ティラミー総攻でおねがいします(迫真)

 「『鋼鉄のミッチ』その後」が!すごくよかった!!特に挿絵のワイシャツ1枚前はだけで縄拘束+首輪と鎖な西也はぜひともアニメで見たかったですというか特別編が擬人化回だってわたし信じてるから…!!あとコボリー先生の新刊は何日目の何ホールで買えますか。

 3巻から引き続きパーク内外で起きるエピソードを収録した中編・短編詰め合わせなシリーズ第5巻。そろそろ本編の進展はまだか

 バイト3人組の最後のひとり、AVさんこと安達映子さんの家庭の事情にこちらも家庭の事情でおおわらわなマカロンが巻き込まれる『安達映子も大人じゃない』、これまで妄想でしかなかったマスコットトリオ擬人化を現実のものとするミラクルアイテム「鋼鉄のミッチ」がまじ素晴らしいありがとうございますありがとうございますもとい、トリオの中でも唯一の結婚経験者(バツイチ)であるマカロンの父親ぶりに思わずにやりとさせられるお話でした。人間・妖精の姿と次々に入れ替わるドタバタぶりもさることながら、後半だんだん素が出てきちゃうハラハラ感がめまぐるしい。しかし、マカロン人間版の容姿、このいかにも芸術系出の面倒くさい男っぽい感じの外見凄いこれはあるわ……って思った。

 しかしいろいろな意味で凄かったのがモッフルのアトラクションリニューアルをめぐるあれこれを描いた『リアリティ・バイツ』。コア層向けにリニューアルしたせいで人気は高くなったけどそのせいで待ち時間がえらいことになってしまったモッフルのアトラクションをめぐり、西也からの要請でアトラクションの再リニューアルの決断を迫られる話。万人が絶対に納得出来るようなアイデアなんてあるわけなく、どちらかを切り捨てなければいけないモッフルの苦悩が胸に痛かった。途中のエピソードを踏まえて、それでも辛い決断を下すモッフルと、不完全燃焼感が燻るラストがとても良かった。1巻のラストもそうだったように、あくまでご都合主義の奇跡を許さない展開がとても良かったです。

 それにしても、バイト3人組・マスコットトリオの物語もひと通り終わったしそろそろ次は本編が動くかな?アニメも文句なしに面白かったし今後の展開が楽しみです。

 個人的には栗栖隆也の再登場待ってる、超まってる。


甘城ブリリアントパーク4

 

東京西部の遊園地「甘城ブリリアントパーク」で、高校生にもかかわらず支配人代行をしている可児江西也は悩んでいた。以前よりも集客は伸びてきたが、目標としている人数には全く足りない。ダメダメ遊園地を建て直すには、ゲストが喜ぶアトラクションの改装が今すぐ必要なのだっ!『お菓子ハウス』はメルヘンテイストからアクションに!『フラワー・アドベンチャー』はお花畑から血まみれに、…って、血まみれ!?なんでホラーになってるの!!待てよ、流血沙汰といえば、まさか面接の時に大量出血していた、あの女が原因か―!?遊園地を救うだけじゃなく、こんな難題あんまりだぁぁぁ!! (「BOOK」データベースより)

 3巻から引き続きパーク内外で起きるエピソードを収録した中編・短編詰め合わせなシリーズ第4巻。

 バイト3人組のひとり・伴藤美衣乃にかけられた呪い解呪のためにティラミーとパークの面々がひとはだ脱ぐ『伴藤美衣乃の特殊な事情』の、解呪の儀式が課程からオチから実にヒドい(褒めてる)身内ネタ楽屋裏ネタまでぶちこんだクイズ大会に次々と明かされるマスコットトリオ+西也のガッカリ話に腹筋を抉られます便所飯の破壊力ときたら!!!京アニがアニメで西也が便所飯してるところを描いてくれなかったのが本当に残念です!!(漫画版にはあった)

 そんな中で、パークのリニューアル案に対する西也の反応に対するいすずの反応(ややこしい)やら、ラティファの呪いに関する話など、今後への伏線なのかな?と思われるエッセンスがそれとなくつめ込まれていて、今後の展開に想像してはそわっとしてしまう。リニューアルに対する西也の反応は、次巻のモッフルの話への伏線とも思えてその辺踏まえて読み直すと楽しい。あと、西也が美衣乃に微妙な反応してたのは呪いのせいもあるんだろうけど一種の同族嫌悪だったんじゃないかなあと。溜め込んでしまうところとか結構似通ってるよね……。

 個人的に一番好きなのは西也のプライベートや家庭の事情が透けて見える『ファミリー・アフェア』。子役を辞めた事が原因で家族(特に母親との)仲が冷え込んだらしい事はこれまでも何度か描写されてきましたが、父親側の事情が明かされたのはこれがはじめて。

 未だ西也の中に大きな傷を残し、人格形成に大きな影響を与えたであろう両親との確執。二人と別居してもなお『比較的優先順位の高かった悩み事』であったはずの話を「どうでもいい」と鼻で笑えるようになったのはきっと彼の中でとても大きな変化であるはずで、パークと離れたことでその変化を感じ取れるというのが面白かったです。あとそれとなく描かれたオフでの様子にとてもニヤニヤする。

 アニメでまさかのトリを飾った『プロモーションビデオを撮ろう!』は文字で読んでも映像で見ても腹筋崩壊必須のヒドさ。なんどでもいいますが西也も脱ぐべきだったとおもいます。アニメでもいってたじゃない!ひとはだもふたはだも脱いでやるって!!!物理的にも脱ごうよ!!!

 それにしても、改めて読むと随所随所に挟まれるいすずのデレっぷりたまらないですね……すごいこう、じわじわと着実にフラグを積み上げてる感じたまりません。


電子書籍で読める、少し昔の単巻完結タイトル10選

※2022/04/18 「Kindleで買える、おすすめ&気になる単巻完結タイトル10選」から改題

個人的に大好きなのでおすすめしたい単巻完結ラノベ(一部ラノベじゃない)をまとめました。Kindleで買えるラノベが少なかった時代に「Kindleで買える単巻タイトルを〜」というお題で書いた記事だったのですが、現在は殆どのタイトルが電子書籍化していることを踏まえて改題&未読やこの記事の後に続巻が出てシリーズ化したタイトルを省いて、この記事を最初に書いた2014年よりも前に読んでたおすすめの単巻タイトルを(「ボンクラーズ、ドントクライ」以下3タイトルを)追加しています。

今、結構昔のタイトルもちゃんと電子書籍になってて良い時代になりましたね……って綺麗にまとめようとしたんですがおすすめしたいタイトル何割か普通に電子書籍になってなかったのでやっぱり良い時代になるまでにはもう少しかかりそうです!「氷雪王の結婚」と「迷走×プラネット」の電子書籍化を頼むよマジで!!!

入間 人間「多摩湖さんと黄鶏くん」
キスババ抜き、全二次創作を嗜むオタクに布教したい
キスも手繋ぎもまだな初々しいカップルの二人が色々な恋愛の「いろは」を10段階くらいぶっとばしてひたすらカードゲーム(という名目の変態プレイ)に興じるお話。キスまで程度の描写でここまで表現できるのかというか、とにかくエロい。キスババ抜きはもっと二次創作界に広まるべき。
和智 正喜「消えちゃえばいいのに」
どこにでもいる少年少女の、愛と殺戮の物語
自分の為に、自分と些細な形でも関わりをもった人間たち100人が殺される。愛という感情を知らない主人公と、そんな主人公に引き寄せられるように狂気に満ちた愛をふりかざしていく「犯人」の行動に、後味の悪さばかりが残るラストが印象的でした。
紅玉 いづき「ミミズクと夜の王」
児童書のような優しい世界観を持つファンタジー
奴隷として生きてきた少女・ミミズクと金色の瞳を持つ人にあらざる者・フクロウのおりなす物語。根っからの悪人がほとんどいない優しい世界観と、そこで賢明に生きる人々のすれ違いと再生の物語が心にしみます。紅玉先生が電撃文庫で出した作品はどれも単巻でスッキリまとまっているのでおすすめ。
桜庭 一樹「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet」
「好きって絶望だよね」は名言。
家庭環境に問題を持つ2人の少女が最初は反目し合いながら少しずつ仲良くなる。砂糖菓子のように甘い嘘の弾丸で、嘘の世界に逃げ込んだ主人公が現実に帰ってきたら、案外現実だってそこまで辛くはなかったんだよという、苦くて甘くてお話。
神楽坂淳「征服娘。」
中世に生きる貴族の令嬢が歩む頂点への道のり
高い商才を持ちながら貴族の娘として生まれたが故にその才を生かせない令嬢が、その商才で国家の頂点を目指すお話。地道な所からはじまる征服への道のりと、女の友情やライバルたちとの駆け引きが楽しかったです。電子書籍版は挿絵なしの廉価版のみです。
夕鷺 かのう「花狩のロゼ 歌姫は薔薇を殺す」
戦う女装主人公×男装ヒロイン
女装してても心は男前な主人公とその主人公と様々な因縁を持つヒロインの関係性も大変美味しいのですが、主人公の従者・ミュゲとの背中合わせの友情ぶりが大変美味しかった。2巻が出なかったのが残念すぎるのですが1巻だけでも綺麗にまとまっていて面白いので……。
新井素子「グリーン・レクイエム」
植物の遺伝子を持つ少女と植物学者の青年の少し不思議な恋物語
緑の長い髪を持ち、光合成を行うことで生きている少女・明日香。幼い頃彼女と出会い、植物学者への道を志した信彦は再び彼女と出会い、惹かれ合うが皮肉にも明日香は植物学者達の研究材料としてその身を狙われる事になってしまう。続編もありますが1冊で綺麗にまとまっているので。でも続編も良いので読んで欲しい(この記事の主旨が台無し)
大樹 連司「ボンクラーズ、ドントクライ」
恋愛と友情の間で揺れる、少年と少女の青春物語
仲良し男子ふたりの『ごっこ遊び』でしかなかった映画製作が、転校生の少女の存在を切っ掛けにして本格的に動き出す。転校生の少女に恋をしながら、彼女の加入によって親友との蜜月が終わってしまうことを怖れる主人公の感情の動きが物凄く良かった。青春のツマとして語られる甘酸っぱい三角関係が最高に良い。
古戸 マチコ「ワルプルギスの夜、黒猫とダンスを。」
魔法とともに描かれる、やがて大人になる少女の「第一歩」
呪いによって身体を入れ替えられてしまった主人公が、魔女ベファーナとして過ごしながら呪いを解く方法を模索する。魔女の森の描写にとにかくときめいてしまうし、そこで主人公が経験する淡い恋と成長の物語と、何より全ての謎が紐解かれていくラストがめちゃくちゃ良かった。
うえお 久光「紫色のクオリア」
愛する少女を救うため、少女は縦横無尽に時をかける
ひょんなことから並行世界の自分と会話する能力を手に入れた波濤マナブは、親友・鞠井ゆかりの不可解な死を阻止するため、並行世界の自分達と共に時空を縦横無尽に駆ける。ループものというか世界線移動要素と異能要素ありのSFというかあとちょっと百合。単巻ラノベというとかなりの確率で名前が上がる名作ですが本当に名作なので読んでください。


仁義なき新婚生活

 

昔ながらの侠客一家・里海組の長男である佳月は、優しい姉が政略結婚させられそうになり、相手の郷島組若頭・健吾の事務所に単身乗り込んだ。結婚はなかったことにしてくれと談判する佳月に健吾はけんもほろろだったが、押し問答の末、身代わりで自分が嫁ぐことに。姉と組を助けるためなら家政婦役上等!と覚悟を決めた佳月だったが…フリフリの女装や夜のオツトメまで強いられ!?(「BOOK」データベースより)

 表紙にホイホイされた。後悔はしていない。

 極道一家の長男・佳月は姉が郷島組の若頭と望まぬ婚約を強いられている事に腹を立て、郷島組に殴りこむことに。若頭と押し問答を繰り返すうち、何故か勢いあまって姉の代わりに自分が嫁ぐという話になってしまって!?結婚式はウェディングドレス姿、日常でも常にフリフリの服を着て女として過ごす事になり、夜はもちろん……×××!?というお話。

 嫁とは名ばかりの人質のような役割と思っていたら服装的な意味でも性的な意味でも「嫁」として扱われて、家族の反応もなんか歓迎ムードだぞ!?旦那になった男はどっちもイケるとかいって普通に押し倒してくるぞ!?と、このあたりで割りと主人公は泣いていいと思うわけですが、こうなったらこうなったで仕方がない!とちゃんと嫁しながら逆転のチャンスを狙う主人公が大変男前可愛い!

 同じ極道の家の息子でも普通の少年として育てられ、極道として生きるには甘すぎる考えの持ち主である佳月と、あらゆる面で「組の跡取り」として育てられ、家庭の温かみを知らずに育った健吾。正反対の二人がお互いの持たざる部分に惹かれ、身体から始まった関係が少しずつ心も寄り添っていく様子が凄く良かった。劇的な変化やエピソードがあるわけでないんだけど、少しずつお互いに打ち解けあっていっていることがわかるようなエピソードが入ってくるのが美味しかった。

 特に、食生活が少しずつお互いの好みに感化されていくのとか、たまりません。最初は冷凍食品と外食ばかりで佳月の手作りの料理にも難色しか示さなかった健吾が、冷凍食品を出そうとした佳月に「朝御飯は味噌汁がいい」「冷凍食品なんて捨てちまえ」ってごねるシーンとか、佳月が最初苦手だったフレーバーティーをすっかりお気に入りにしてたりするシーンとか。そういうちょっとしたエピソードに、気づくたびにニヤニヤしてしまう。

 極道モノは殆ど読んだことなくて、性的な意味でも展開的な意味でももっとハードなものを想像していたけど、予想してたよりずっと可愛らしく、微笑ましいお話でした。番外編でやってきたブラコン弟に新婚生活のラブラブっぷりがバレる話とかほんともう、ごちそうさまでした!!という感じ。しかしそれだけでなく、受の佳月がどんなにフリフリの可愛い服を着ていても中身は任侠心溢れた義理堅い男の子という部分がしっかり描かれていて、とても好みのお話でした。

 個人的に佳月のプロポーズのセリフが個人的ツボヒットでした。色んな意味で、このお話のすべてが凝縮されきったセリフだなあと。男前受最高!!

「俺も男だ、責任は取る。……一生傍にいて味噌汁作ってやるから、きっちり食えよ」