ページ 59 | 今日もだらだら、読書日記。

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クレイとフィンと夢見た手紙

 

金髪でいつもにこやかな自称頭脳労働担当の美形少年、フィン。黒髪で目つきが悪くいつも肉体労働担当を押しつけられる青年、クレイ。彼らが回収し、配達をするのは「出されなかった手紙」「書かれなかった手紙」「本当に欲しかった手紙」「普通じゃない手紙」など、本来なら届かなかったはずのメッセージ。彼らは“永遠の昼下がりの森”から輝く霧を通り、時には吸血鬼の城砦に、時には半獣半人の異種族にと、時も空間も超えて「手紙」を回収し、配達に行く。世界をささえる、ささやかな祈りを、明日をつなげる夢を、どこにでもいる「あなた」に届ける。“郵便屋”たちの物語が、今、始まる。 (「BOOK」データベースより)

 コンビで不思議な『郵便屋』をやっているクレイとフィンが、つぎはぎだらけの世界で不思議な手紙を届ける短編連作。

 各編ごとのつながりは薄いんだけど、読んでいくうちにどこか淡々とした物語の中に透けて見えてくる色々なものがとても好き。世界をこれ以上ばらばらにしように様々な形で働きかける人たちと、世界を更にばらばらに引き裂こうとする人間達の戦い。そして、現在の世界と同じようで少しずつ違った道を歩んだ人々が懸命でそこで生きる姿が印象的。そして最後にばらばらだった糸を縫い合わせたようなラストシーンにちょっとだけ胸が熱くなりました。

 何よりクレイとフィンの凸凹『郵便屋』コンビの相棒ぶりが凄く好みでした!一枚上手の先輩・フィンに振り回されるクレイの猪突猛進ぶりにはほんとニヤニヤさせられる。そしてまさかのおかんキャラ!!

 MF文庫Jというとラブコメ偏向女子お断りのイメージ強かったので表紙見て思わず買ってしまったシリーズだったけどとても面白かったです。かといって乙女系でも腐向けというわけでもなく男子も女子も美味しく楽しめる感じの物語で、今後こういうシリーズがもっと増えていけばいいのになあとおもいました。

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甘城ブリリアントパーク2

 

「人が足りない!」東京西部の遊園地、「甘城ブリリアントパーク」の支配人代行に就任した高校生の可児江西也は、会議室で声を張り上げた。放火(!)までやらかして、潰れかけの遊園地を救ったことはよかった(よくない)のだが、問題は山積み。中でも深刻なのは『人員不足』。急いで人を募集してみたら、集まったのは珍妙な女の子ばかり。ある者は清純派の元○○女優、ある者はドジっ子な血まみれ女子高生、またある者はどうみても小学生。…こんな奴らと働くことなんてできるかぁぁぁぁぁ!!果たして、西也は再び「甘ブリ」を救うことができるのか!? (「BOOK」データベースより)

 魔法の力や汚い手口を用いてなんとか閉鎖の危機を乗り切ったのも束の間、今後のノルマやら人員不足やら問題は山積み。とりあえず人員不足を解消すべく、スタッフ募集をしてみたが…?というお話。面接カラー口絵見て「すわっ、美少女大量登場のテコ入れはいっちゃったーー!?」と思ったら光速でモブキャラ落ちさせていて笑った。実に酷いもっとやれ。

 ラティファからもらった魔法を乱発してセコい脅迫から大企業への渡りをつけてくる西也がいろんな意味で凄い。笑ったけどこの乱発ぶりはあとで手痛いしっぺ返し食らいそうだ。交渉という場面においては最強のカードだけど、1人に1回しか使えないという使いどころの難しさが序盤こそ万能間あれど今後じわじわとクビを絞めていきそう。魔法の世界関係の伏線っぽい会話仕込みつつ思い切り3巻に続く展開だけどどうなるのか楽しみ。

 それにしても、1巻はラティファのけなげさ・可愛さにによによせざるを得ない展開だったけど今回はいすずの素直になれないツンデレっぷりにとてもによによしてしまった。特に、本音しか離せなくなってしまって不審者全開になってしまういすず可愛い。マスコットキャラたちの良いおっさんぶりも健在で楽しかったです。

 しかし、他のキャラクター達が魅力的な分、西也のナルシー設定が浮いてるどころか作者も時々思い出して書いてるよね状態の不自然さかげんなのはなんとかならないものか……普通に生真面目な自信家くらいでよかったのに(ってこれだとただの世間慣れした宗介になっちゃう気がしなくもない)

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魔法少女育成計画 episodes

 

『魔法少女育成計画』『魔法少女育成計画restart』で、過酷なゲームを繰り広げた魔法少女達。そんな彼女達に魅せられた読者の声に応えて、短編集がついに登場!ほんわかした日常や、少女達の不思議な縁や、やっぱり殺伐とした事件などなど、本編の裏側エピソード山盛りでお届けします。 (「BOOK」データベースより)

宝島社様より献本をいただきました!
 『魔法少女育成計画』『魔法少女育成計画restart』に登場した33人の魔法少女達が本編の外で繰り広げる短編集。予想以上に両作の魔法少女間の絡みが多くて面白かった!意外なキャラクターが思わぬ所と繋がってたり、意外な正体が明らかになったり。

 原作でも最も描写がないまま脱落したねむりんが主役の「ねむりんの冒険」にニヤニヤせざるをえないんだけど、そこから更に彼女の意外な活躍が見て取れる「ワンダードリーム」にホロリとさせられる。マスクド・ワンダーの面白キャラ確立にはこんな裏話があったのかー!とおもっていたら最後で……。

 基本的に本編とは違って明るく楽しい物語が殆どなんだけど、時折彼女達の来歴や末路を思い起こされてふっと暗い気持ちにさせられる事が多くて、そういう意味で二重に楽しめました。特に「restart」の魔法少女達が予想以上に重い話を背負っていることが多くて……その部分にダイレクトに触れてくる「娘々@N市」もキツイんだけど、何よりも終始明るい話を象っているのにその後の展開を考えると鬱になってしまう「アカネと愉快な魔法少女家族」の破壊力が酷い。その前の「娘々@N市」の展開を考えると、アカネのところでも同じことが……って考えてしまって、もう。

 ところで、どの物語も面白かったですがお色気担当の中の人が男っていいんですかそれ!?いいんですか!?ラ・ピュセルたんまじかわいい。「オフの日の騎士」のあざとさがトップスピード(not魔法少女)。

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少年向ラノベの男子メインな表紙をひたすらならべてみた。2013

前回の記事はこちら。

 上記の記事の続きということで、約4年半の期間で発売されたライトノベルタイトルの中で男性がメインで表紙を飾っているタイトルを集めました。(書影はamazonアフィリエイトにリンクされているので、苦手な方はご注意ください)

 年数が限られるので、今回は下のような条件で書影を絞りました。

・2009年4月発売〜2013年に発売され、現時点でamazonに書影のあるタイトル
・少女向けレーベルと新書レーベル、講談社BOXなどは今回は除外
・対象読者が異なる為、原作つきのノベライズ作品とボカロ小説も除外
・表紙が4人以上の多人数物は除外
・キャラクターの性別が不明瞭なものは除外
・表紙が男女カップルになっているものは除外
 女の子の扱いがミニキャラや背景等、明らかにメインではないモノはその限りでない

 そんなかんじで、完全に男性のピン表紙オンリーで並べた前回よりかなりファジーな並べ方をしております。
「これ明らかに女の子だよ!!」って奴がありましたらコッソリと御連絡ください。

重たくなってしまったので「続きを読む」から。
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(仮)花嫁のやんごとなき事情 -離婚の前に身代わり解消!?-

 

シレイネ姫の身代わりとして毒龍公クロウに嫁いだド庶民フェルだが、旅先でうっかりクロウへの恋心を自覚。んなバカな!と自分を戒めるけれど、むしろ想いは育つばかり…。城の帰るまでに彼を嫌いになる、と決めたところで、突然狼の群れに襲われた!クロウ負傷の報せに、思わず飛び出したフェルの前に現れたのは―ウソ、本物のシレイネ様!?ニセ新婚生活、強制終了(?)の第4弾! (「BOOK」データベースより)

 ついに自分の気持ちを自覚してしまったフェル。お仕事の為に気持ちを忘れようと頑張るけどその行動は空回りするばかり。そんな中、突然本物のシレイネ様が現れて、フェルはお役目解消を言い渡されてしまい……。

 口から砂糖はけそうなレベルの糖分の高さに悶絶してたらやっぱりこのまま両想いにはさせてくれなかった…!!タイトル通りの離婚解消展開だけど、シレイネ様の思惑とは反対に恋の障害を乗り越えてむしろ堅くくっついちゃった感がある今回。ラナが可愛すぎて生きるのが辛い。

 ずっとにおわされてきたフェルとシレイネの持つ「秘密」にいよいよ迫る展開でそういう意味でも盛り上がって来てるなあ。色々な意味で手ごわそうな「シレイネ様」だけど、クロウが自分の好意が誰に向かっているかを明確に自覚して、その上で動く覚悟を決めたことにニヤニヤせざるをえません。決着は次巻回しっぽいのでそちらでどうなるのかとても楽しみ!

 しかし、好きを自覚しててんやわんやするシレイネ(フェル)と妙に優しい旦那様というやりとりもすごかったけど、終盤の意地悪黒竜公に振り回されて慌てふためくフェルはやはりかわいい。苛めたくなる男前女子は世の宝なので、これからも適度な糖分のままつかずはなれず頑張って欲しいです!!!

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アルトレオの空賊姫 暁天の少女と世界の鍵

 

魔法と科学が交わり、人々が地上から離れて暮らす異世界。名前と生き別れた弟以外の記憶を失くしてしまった少女・イスカは、おたずね者の空賊団、アルトレオのお頭・ヤフェトに拾われ、行動をともにすることに。ヤフェトと空賊団のメンバーたち、そして偶然助けることになった空軍の青年・ルヴェンとともに、少女は失われた記憶と隠された世界の秘密に迫っていく―。交錯する3人の運命が切なく胸に響く、空の恋愛ファンタジー。 (「BOOK」データベースより)

 弟の存在以外の殆どの記憶を失ってしまっている少女・イスカは空賊団アルトレオに拾われ、一事的に行動を共にする事に。途中でアルトレオはアラバト空軍の襲撃を受けるのだが、そこでイスカは動力源もないままの飛空挺を動かして……!?

 空を舞台にしたボーイ・ミーツ・ガール。物語の持つ世界観というか世界が持つ空気感がものすごく美しくて、そこに詰め込まれた浪漫やらときめきやらできゅんきゅんしてしまう。上手く言葉にできないんだけど、彼らの動きにいちいちワクワクさせられてしまう物語でした。

 また、人形のようにただ軍部の命令のまま生きてきたルヴェンがイスカやアルトレオのメンバー達と出会い、あたりまえの青年としての自我を取り戻していく姿も凄く良かった。世間慣れしていないイスカとの天然コンビっぷりも可愛かった。

 しかし、世界の謎といいイスカを巡る恋の行方といい、色々な意味で「俺たちのたたかいはこれからだ!!」という感じがして……本当に世界観が凄く好きなだけに、物語で不完全燃焼だったのがちょっと残念。そのあたりは、続編で明らかになるのを楽しみにしたいです。

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クロックワーク・プラネット1

 
茨乃

“時計仕掛けの惑星”。落ちこぼれの高校生・見浦ナオトの家に、ある日突然黒い箱が墜落する。中にいたのは―自動人形の少女。破綻と延命の繰り返し。作り変えられた世界と、変われない人類。理想と現実が悲鳴をあげる時、二つの出逢いが運命の歯車を回す!榎宮祐×暇奈椿×茨乃が共に紡ぐオーバーホール・ファンタジー。 (「BOOK」データベースより)

 寿命により一度滅び、一人の天才の手で延命・再生した未来の地球を舞台に繰り広げられる時計仕掛けの世界の天才バトル。「ノーゲーム・ノーライフ」は全盛期の靴・富士見だなってよく思うんだけど、こちらはもう1世代後、キノ・ブギポ以降のちょっと薄暗い異能モノが全盛期だった電撃だなあ。とある異能力を持つがそれ以外はごく普通(?)の機械が好きで仕方ない少年・ナオトが若くして数々の功績を打ち立てて文武両道に秀でた天才少女のマリーと、誰も治すことが出来ずに眠っていた自動人形のリューズと出会い、それぞれの目的やら思惑の為に故郷を揺るがす陰謀を阻止するために奔走するお話。

 一癖も二癖もある登場人物たちが好き勝手に暴れまわるむちゃくちゃぶりと、ド真ん中で王道なボーイ・ミーツ・ガール展開が読んでて凄く気持ちいい!ツンデレというよりもデレセメント(違)なリューズのある時は主人を主人と思わない、それでいてしっかり「主人」に惚れこんでいるらしい態度が可愛くて仕方ないんだけど、人間側ヒロイン・マリーが大人の思惑の中で虚勢を張り葛藤し苦しみながらそれでも都市を救う為に立ち上がる姿がアツい。そして色々なしがらみから解き放たれた彼女の大活躍に転がるしかない。

 色々な意味で、読んでいて胸がすくような、爽快感がたまらない物語でした。これは続きが楽しみ!

 そして「ノーゲーム・ノーライフ」とは違った意味であとがきが面白い。作者2人がノリノリで物語の世界観を作り上げていく様子にこちらまでにやにやしてしまうのだけど、解説の「ナオトは榎宮さんの思う天才、マリーは暇奈さんの思う天才」というのにとても納得しました。2人とも全く違った意味での「天才」なんだよね。

 しかし、一番榎宮作品臭を色濃く残しているのが彼であるだけに、どうしてもナオトのイメージが榎宮絵で再生されてやばかった。茨乃さんの絵も凄く良いのだけど脳内イメージとの食い違いがすごすぎる…。

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問題児たちが異世界から来るそうですよ? 暴虐の三頭龍

 

地獄の窯より現れた魔王アジ=ダカーハの攻撃から黒ウサギを庇い、致命傷を負った十六夜。ノーネームの仲間を逃がすため、命を賭け対峙したはずが、その圧倒的な力の差に距離を取ることさえ出来ない。さらには「ならば、こういう絶望はどうだ?」と、魔王は己を抉り、その血液で分身体を生み出し、飛鳥たちがいる“煌焔の都”へ追わせたのだ!アジ=ダカーハの攻撃で阿鼻叫喚の渦に巻かれた都で、耀と飛鳥の戦いの行方は―!? (「BOOK」データベースより)

 文句なしに面白かっただけに発売月遅らせても構わないからちゃんと1冊まるまる本編にしてよー!!今回も酷いところで続いたなあ。同じ角川で「まるマ」シリーズとかも似たような本編短編抱き合わせ商法やってたけど、OVAつき限定版とかあったから仕方ないんだろうけど、レビューでみたOVA版の内容が色々な意味でアレだったので、色々こう何か、納得のいかないものが…!!!(OVAどうしてああなった)

 悪い意味で「前巻からの続き」で、かつ「次巻に続く」だから書く事がない。飛鳥・耀の戦闘メンバーとしての成長がめざましかったのと、十六夜の過去がまた少し明らかになったくらいかなあ?金糸雀との「作られた」親子関係が凄く良かった。とりあえず次巻を楽しみにしたいです。

 短編の方はリリとコッペリアがメインの謎解き短編も面白かったけど、問題児達3人がそれぞれの時代についてぶっちゃけトークをする「異邦人のお茶会」が面白かった。飛鳥と十六夜の時代が若干繋がってそうで繋がってなさそうな部分とかは以前からそれとなく言われていたけど、予想していたより十六夜と耀の世代差あるっぽい?ヘッドホンの問題があるので親と子供くらいの世代差しかないと思ってたんだけど……

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デーゲンメイデン 2.池袋、穿孔

 

Dアーム。それは、長い時を経て異能と人格を得た伝説の武器たちの総称。彼等は気まぐれに人と契約し、力を発揮する。池袋で休日を満喫する練司たちの前に、またもロキの伝承者とDアームが現れた。彼等の目的は、サンシャイン60の地下に眠る日本最古のDアーム。そしてその中には、なぜか練司の探し求める少女の姿があって―。阻止に動く練司たちに対し、ロキの伝承者の口から驚くべき事実が語られる。「僕たちはグングニルを破壊するために活動しているんだ」ヒトと剣がしのぎを削る古今東西名武器バトル。 (「BOOK」データベースより)

 あとがきが汁だく(意味深)
 や、やっぱりこのノリのあとがきで続けるんですか!?予想以上に長くてびっくりしたけど凄いジワジワと笑わされたw人間の姿をとり不思議な力を持つ『Dアーム』と、彼らと契約した人間「伝承者」達が東京を舞台に繰り広げる武器バトル第2巻。

 自分の戦う理由を否定された練司の上司・ライラが周囲の人間やDアーム達の“戦う理由”を知り、自らの戦う理由を見つめなおす展開が凄く良かった。正義のため、でも別に良いのにわざわざ台詞を言い換えたり、かっこいいけど実は凄く年齢相応の女の子らしさをもってるライラが可愛い。そして糸はすっかり男前になってまあ……。

 うーんしかし、「ミロク」以上にバトルメインというか駆け足というか……キャラクター達は魅力的なのにキャラの掘り下げほっぽってバトルばかりが進行するもどかしさが……。というか、1巻以上に展開が駆け足。4巻完結らしいのである程度駆け足にしないと進まないというのはあるかもしれないけど、それにしてもバトルばかりの展開はきついなあ。

 死別した幼馴染との再会やら、対立する両組織の思惑やらで色々きな臭い感じに。単純な「善」と「悪」という構図にならずに敵にも敵の正義があると薄々気づいた上でそれでも譲れないもののために戦う、という構図がとても好きなんですが練司とかはそこまで割り切れてない感あるので次の巻でどうなるのかなあ。というかいすかこれヤンデレフラグ立ってませんよね大丈夫だよね!?

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ハイ☆スピード!

 

TVアニメ「Free!」の原案となった、第2回京都アニメーション大賞〈奨励賞〉受賞作【ハイ☆スピード!】のライトノベルです。 七瀬遙は、幼なじみの橘真琴、一つ年下の葉月渚と共にスイミングクラブに通う小学6年生。そこに、別のスイミングクラブに通っていた松岡凛が転校してくる。 奔放で好戦的な凛と、勝ち負けにこだわらずに泳ぐことが好きな遙。 対照的な二人だったが、真琴、渚たちと共に同じ目標に向かって泳ぐことになって――。

 テレビアニメ「Free!」の面々の小学生時代を描く原案小説。水に入るのは好きだけど勝ち負けに拘ることがあまり得意ではない遙が一方的に遙の事をライバル視する転校生の凛に誘われ、幼馴染の真琴や後輩の渚と共にメドレーリレーに出場することになる、というお話。

 序盤はとにかくころころ変わるキャラの視点に戸惑ってなかなか読み進められなかったんだけど、後半の盛り上がりぶりは凄かった!視点がわかり辛いのは本文装丁の微妙さも手伝ってる気がするんですけどそこんとこどうなんでしょうね。下手すると段落の切り替わりがわからないまま気がついたら視点が変わってて困惑、とかあった。多分文章をページの内側ギリギリまで入れすぎなのと、全体的に行間詰まってる印象受けたんだけど……

 真琴や渚の水泳選手としてのスペックとかは今までのアニメの物語だけだとどうしても分かり辛い部分があったので補完的な意味でもありがたかった。アニメでも凛が解説者状態で頑張ってくれてましたけど!!真琴が背泳ぎしてるときのなんとも言えない開放感とか、渚と凛が平泳ぎ勝負をするシーンでの得体の知れない恐怖感とか、文章でなければ出せないなんともいえない迫力があって凄く好き。渚は小学生時代からあざと怖いショタでした。

 勝ち負けに意味を見出せない遙やそれぞれの過去に縛られている真琴や凛など、ばらばらだった彼らが本当に少しずつ、自分のコンプレックスと折り合って目的のために歩み寄っていく姿がアツい。そして直前ギリギリまでなかなかまとまらなかった彼らがドタンバで発揮した一体感に胸が熱くなる。本当にあの、リレーの場面は良かった…!!

 それにしても、正直なところ凛と遙のやりとりも時々あれれだったけど、遙と真琴の関係はどこか小学生男子の健全なそれを越えているというか……真琴のトラウマのせいもあるんだろうけど、どこか不健全なやらしさがあるなあと思ってしまうのは私が腐っているからなんでしょうか。ちょっと共依存してるよね、というか……。凛と遙も互いを過剰に意識しすぎ感あるんだけど。

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